ハーフビースト:ハーフヒューマン 3
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「おおい、いるかぁい!」
俺はレンガボロマンションの3階にある自分の部屋・・・の右隣の部屋に手の甲を当てノックしつつ声をかける、
「いるよー、入ってきてー」
声がかけられ、俺は扉を開け入る、
その先、古い木の床、壁紙がはがれかけ奥の煉瓦の見える壁、左側の斜めの木の板に支えられた段々の木の棚、
木の棚の上には食虫植物が植えられた鉢が所狭しと並んでいる、
そして、部屋の中央では金色の髪の少年がジョウロで食虫植物に水を上げていた、
そう、人間である、半人半獣ではない・・・
名前はラズ、年齢は14、5歳辺りであり黄色シャツに短ジーンズ、体に余る白衣を付けており、
その顔は実年齢よりも幼くかつ美形と言っていいだろう、飛び級で大学に入り、研究のためにここにいるらしいが・・・
その顔が気が付いたのか俺の方を向きながら喜びでか目が上下に見開かれ
「あ、お兄ちゃん!」
「よう、肉の串焼き買ってきたぞ」
俺は手もあげずに返事を返すが、ラズは眉を顰め困り顔に
「え?でも僕は肉は・・・」
「肉ぐらい喰っとかないと大きくなれないぞ」
そう言いつつ右手のビニール袋を出す、
この年齢で一人暮らししてるせいか、この子は好きな物、この子は野菜だが、しか食わない傾向があるのだ、
で、何でこんなとこに住んでるのかと言えば・・・
「それで、体調に変化は無い?ちゃんと医者の所には行ってる?」
「行ってるよ?」
眉を顰めながら両口端を上げた少し困ったような笑顔に弟の面影が重なる、まったく、全然似てないってのに・・・
「残念ながら変化無しさ、ああ、早く兄ちゃん達みたいになりたいなぁ・・・」
言いながら憧れでか俺をよく見上げる・・・
まぁ、こういうわけ、最初にこの子が越して来た時に野菜ばっかり食べて腹を減らして栄養失調で倒れたこともあったので、
結果、世話を焼いてこういうことになっている、
本来なら、人に半人半獣を移す可能性のある事は避けたいのだが、
彼の願いと放っておけばどうなるかわからないという事もあって、もう考えないようにしている、なるようになれ、だ、
と、ラズの困り笑顔の眉の顰まりが消えちゃんとした笑顔に変わる
「あ、野菜いっぱいあるからお礼にサラダとスープ作るよ!一緒に食べよう!」
「ありがとう、それじゃ、僕は自分の部屋からパンも取ってくるよ!」
「うん!」
ラズは返事を返しながら大きく首を縦に振った
こうして、俺は食事の御相伴に預かったのだった・・・
そうして次の日・・・
「ようよう、昨日は部下二人が世話になったようだなぁ!!」
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