バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

新事実と目的への手がかり/8 カードゲーム小説WカードFu

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カードゲームライトノベル Wカードフュージョン16 新事実と目的への手がかり8
 
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 「こいつは・・・!?」
 そこにあったのは大きい部屋、六方を黒つやな石材が覆い、しかしながら、右手中央下の方には上の出入り口に行くためであろう上り坂が設置され、天井には九つの奥方向白色ライトが並んでいる、
 が、問題は床に設置されている二つの白い物体である、
 左手前部屋中央前の方にあるのは、机のように隙間なく四角く、向こう側に上が斜めに向いたもので、
 上中程にはパソコンのキーボードのようなものが設置され、右手や手前の方に丸、四角、白、黒、赤、緑、薄青といったボタンがあり、左手側にレバーが付いている、
 どっかで見たことあるやつだ、どこだっけ?
 等と思う間もなく、部屋の中央にあるそれを見て、手前の方にあった物が何かを察知した、
 それは、白い四角いキューブを集めて作った土台と、同じ四角で作られた、大きな輪っかだった!
 無論以前にもこいつと同じものをいくつも見たことがある、こいつは・・・
 「まさか、これって、リュッケン達が僕達の世界に来るために使ってた、門!?」
 「御名答」
 エルドガンが答え、一直線にコンソールに向かう、
 思わずまじまじと見る、この門を、リュッケンやレオン君達が・・・って、ちょっと待てよ・・・
 「もしかして、エメラルディアが僕達の世界に来た事故にあった門って・・・」
 「無論こいつの事さ」
 そして、エルドガンが何やらいろいろいじくり始める、
 なるほど、この門が全ての元凶だったのか・・・にしても・・・
 思わず追いかけ声をかけた
 「何をしてるのさ?」
 「ほら、今ごたごたしててここに見張りいないだろ?普段なら張り付いてる奴らがいるが、避難勧告出てるからこの部屋にはいないし、それに、助けに来たのが擬似人型ロボットならともかく、お前らなら門や向こう側の存在知られても問題にはならないし・・・」
 なるほど、門を使ってここから脱出しようって魂胆か、だが・・・
 「でもさ、向こうにはあんたが開発した次元安定機、みたいなものがあるんじゃなかった?アレがあるからこっちから干渉できないんじゃなかったっけ?」
 「フルパワーなら小さな穴程度は出来るよ、もっとも、弾丸一つ飛ばせないような代物だがな、そこから声を出して、装置を弱めてもらえば」
 「そんな簡単に信頼されんの?」
 「ま、やるだけやってみるだけさ、それに、お前さん、一刻も早く私を元の世界に返したいんだろ?」
 「それは・・・」
 「それじゃあ、調整に入るぞ・・・」
 エルドガンがコンソールを熱心に見つめ、その両手を動かし、キーボードやらスイッチやらをいじり始める
 はぁ・・・しょうがないなぁ・・・
 左手で、ジャケット右内ポケットから、赤い丸スイッチの付いた球体の機械を出す、
 これは、博士が僕に預けてくれたものだ、だが、今ここで、渡さないといけないだろう、
 意を決し、それを差し出す、
 「これを」
 「ん、なんだ?」
 エルドガンが右肩の方からこちらを覗き込んでくる
 「これを押すと、特殊な電波が出て、それが届くと、向こうの方で装置の出力を弱めてくれる手はずになってます、研究所近くで出せば、届くと思います、予定の場所とは違うと思うので、保証は出来ませんが・・・」
 「ほぅ・・・私も研究所近くに穴を出そうと考えていた」
 しかし、エルドガンはまっすぐにコンソールに向き直り
 「なら、合図を出すから、タイミングよくそのスイッチを押してくれ」
 「いえ、僕達にはまだ、やるべきことが残ってますから」
 「なに?」
 エルドガンの両手が止まり、改めて右肩の方を回り、僕達の方を覗き込んでくる、その表情は、目に力を込めた、真剣そのものだ
 「やるべきこと、とは?」
 「メインサーバの門の接続を切り、僕達の世界への侵攻を止めます」
 「侵攻を・・・?まさか・・・ここ以外の門のか!?」
 エルドガンの目が見開かれ、驚く
 「馬鹿な!?もう、実働してる門があるのか!?」
 「いいえエルドガン、実働している門は無いでしょう、ですが、それも時間の問題かと」
 「う・・・」
 カーディンの言葉に、エルドガンの反論が詰まる
 「だけどな、別にお前達が行かなくても」
 僕は静かに、首を横に振る
 「ううん、」
 そして、エルドガンをまっすぐに、見る
 「僕達がやらないと」
 「その間に、エルドガンには、向こう側に戻ってもらいます、時間は、かかりますか?」
 「いや、多分、そんなには・・・」
 「なら、大丈夫でしょう」「これを・・・」
 改めて、エルドガンにスイッチを突き出す
 「はぁ・・・しょうがねぇなぁ・・・」
 エルドガンは仕方ない、といった目じりを少し下げた顔でビーコンを右手に受け取った
 「それではエルドガン、最後になるかもしれないので、少し質問を」
 「なんだ?」
 エルドガンが力の抜けた顔で、カーディンの方を見る
 「私にこちら側にこれるような改造を加え、知識を与えた理由は何ですか?」
 「ああ・・・」
 そうだ、カーディンはこれを訊ねたいがためにここまで来たんだ、これを訊かなきゃ意味が無い、
 と、エルドガンがさびしそうに、上を見る
 「おまえらの世界が無くなったら、さ、もう人間の、私達の生きる場所、無くなっちまうだろ」
 それは・・・まぁ・・・
 「色々あって、侵略されたりしたけど、いずれ、お前達の世界の奴らは、私達の世界に来るだろうし、逆に、また侵略されたりするかもしれない」
 ・・・
 「そういった時の為に、色々詰め込んだんだよ、意を決して戻った後、最初に改造することになったお前にな、向こうにもその時に打ち込んだデータや装置の設計図が残ってるはずだ、もしかしたらもう見つけ出したかもしれんが・・・」
 刹那、エルドガンが両手を両肩の外側に出して肩をすくめ
 「ま、最初は私に何かあった時のために打ち込んだってのもあったんだけどな・・・」
 「それだけですか?」
 「それだけだよ、金輪際誓ってな」
 「ふむ、わかりました」
 と、カーディンが大きく前進して門を回るように右前輪側からUターンして僕のそばに戻り
 「それじゃあ、双歩、行こう!」
 「うん!」
 「・・・ちょっと待った」
 エルドガンが穏やかに待ったをかけた、一体なんだろ・・・?
 「お前ら、私の部屋から戻ろうとしてるだろ?」
 「そりゃあ、まぁ」
 「ここから出た方がいいですか?しかし、門というような重要物がある以上、ここの外にも見張りがいるのでしょう?」
 「そりゃそうだ、だがな、ここから行けて見張りが付いていない場所があるぞ」
 「どこ?そこ?」「一体どこですか?」
 「ここまで来る通路に分かれ道があったろ?あれのもう一方の道だよ」
 「それって・・・あ・・・もしかして・・・エメラルディアの研究所に通じているとか・・・?」
 「いいや、エメラルディアの部屋はこの真上だよ、あそこから通じているのは、オブシデの部屋だ」
 「あの、エメラルディアと一緒に出会ったっていうもう一人の」
 「そうだ」
 エルドガンがうっとおしそうに首を縦に振る
 「通路入り口そばの隠し通路開閉パネルから遠隔操作できたはず、まったく、オブシデの研究を始めるとこもっちまう癖とエメラルディアの世話焼きがこんなとこで役に立つとはな・・・」
 何かあったんだろうか・・・でも、今は訊かなくても、いいか・・・
 「ほら、閉じるついでに操作しておくから、見てないでとっとと行け!」
 「わかったよ!行こう、カーディン!」
 「ああ!」
 僕達は、斜めに抜けていた元いた通路に向かって走り出す、そして、走りながら、僕はエルドガンに顔を向けながら右手を、カーディンは運転席側の補助アームをそれぞれ上げ、エルドガンに向かって、振る
 「それじゃあ、映命さんのこと、よろしくね~!」
 「ああ、任せろ!」
 正面に向き直り、僕達は、通路を走って行く!

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