カードゲームライトノベル Wカードフュージョン16 新事実と目的への手がかり7
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「で、どこに行くの?」
「行ってみてのお楽しみ、だ」
右斜めに入った真っ暗な通路を僕達は歩いていく、先にある左右に120度ずつ分かれた道を右手の方に行き、さらに歩いていき
「そういや、レオンの奴に会ったか?」
「ああ、あったよ、ね、カーディン」「うむ、レオリングも一緒だったな」「そうか~」
歩く途中でいきなり何気なくエルドガンが会話を始める
「あいつ、調子悪くとかしてなかったか?知恵を絞って人間にしてやったはいいけど、色々不安でさ、なったばかりの時は体が慣れてないのか調子悪そうにしてたしな・・・」
なるほど、僕と会った時に何もせずに引き上げたのはそういう事情もあったのだろうか・・・いや、それより、
「そもそも、どうやって人間にしたのさ?無から有と言うわけではないっぽいけど僕にはさっぱり・・・」
「私もだ」
カーディンが同様の意見を述べる
「悪用を防ぐために他人に教える気にはなれないな、こいつは私が墓場にまで持って行く、もっとも、他にも墓場まで持ってく技術はいっぱいあるけどな・・・」
一秒でも長く生きるために研究するって言ってるのに今のうちに墓場にまで持ってくことを考えてるのかよ・・・
少し自身に呆れたような言葉を聞き思う・・・
「で?あいつの調子はどうだった?」
「戦った後にいきなり腹なんか鳴らしてたよ、食事の管理すらできてないんじゃないの、あれ」
「まったくだな」
カーディンが同意した
「そりゃわるかった、後で何か持ってけるんなら持ってってやらないとな」
「しばらくはいらないんじゃないかな、僕達の手持ちの食糧たらふく食ってたし、クリスタバーガーとか」
「ほう・・・」
歩きながら、エルドガンが右肩の方から強欲そうに僕達の方を見る
「クリスタバーガー、あるのか?」
「あったよ、レオン君が全部食べちゃったけど」
「そりゃ残念だ」
本当に残念そうな表情で向こうに向き直るエルドガン、にしても・・・
「そもそも、こっちの食べ物ってみんなああいう風に硬いの?手に入れたもの、文字通り全部歯が立たなかったんだけど・・・」
「よく歯が立たないもん食えたなぁ」
「すりこぎで砂状にまで潰して飲んだんだよ、で、どうなの?食べものの硬さは?」
「ま、そりゃ向こうよりかは硬いわな」
やっぱり・・・
「それでも硬軟ぐらいはあるが・・・ガリガリ食えるほうがうまいって感じだしなぁ・・・食う音を立てないのがマナーだなんて、向こうに行って初めて聞いた」
そういう価値観も・・・あるのかな・・・?
「向こうにいた時なんざ、やわらかすぎてはき物食ってるみたいだったな、」
はき物て・・・
「ま、それは言い過ぎかもしれんが、やわらかいもんばっかりだったからな、気が付いたら岩せんべい鉱買ってたな」
「岩せんべい鉱?」
はて、聞いたことないけど・・・
「私達の街の近辺で営業しているせんべい屋のせんべいだ」
唐突にカーディンが話し出す
「固さで呼び名が分かれていて、岩せんべい鉱はその中で一番硬い物だ」
へぇ、そんなせんべいやが、聞いたことないけど・・・
「で?レオンにご飯あげた後、すぐに別れたのか?」
「いんや、食った後、すぐにグースカいびき上げて寝ちゃったよ、後はレオリングに任せてきちゃった」
「そうか、ま、調子良さそうでよかったよ」
調子いいのかあれ、っていうか、
「そもそも、なんで人間になんてなりたがったの、レオン君は?」
「お、そろそろだ」
エルドガンの声に、思わず前の方を見る、しかし、そこにあったのは・・・行き止まり?
「ちょっとまってろ」
と、エルドガンが不意に右手を左側の壁にかざし、
そこにまたもコの字型レバーが降り、その上の壁が微妙に奥に行き上部にスライドして収納され、画面が出現する!
エルドガンはその画面を見つめ
「ふむ、どうやら誰もいないようだ・・・」そう呟く
一体何が映ってんだろ?
少し興味心が湧き、その画面をのぞきこもうと動くも、次の瞬間、エルドガンは左手で横のレバーを引き下げる
ガシャコン!!
なぜかむやみやたらと大きな音がなり、行き止まりの壁が上に動き始めた!
ゴゴゴ・・・
次へ
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