カードゲームライトノベル Wカードフュージョン13話 急襲、キューブフィアーザー!守れ、牧場!!4
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「アリス!?リュッケン!?」
そう、上から降ってきたのは、白いドレスを着た金髪碧眼の少女と、
片目に機械のゴーグルの付いた灰色の狼の生首だった、
少女の方は金髪ショートボブの髪型に、上に青いリボンを着け、
両手に手首を青いリボンで閉めた白い手袋をし、両足に白いメッシュブーツを履いていて、めずらしく全身が傷だらけで、内部の機械が覗いており、
生首の方は全体が灰色の毛皮で覆われ、左目に赤いレンズのスコープが付いている、
両方とも僕らの見知った顔である、と同時に、顔を会わせたくなかった手合いでもある
「つった~」
アリスが上半身を起き上がらせながら右手で尻をさすったりしている、が、すぐに僕の方に気が付いて横目で僕の方を見、その動きが一瞬止まる
同時に、リュッケンの方も逆さまで向こうを向いた状態から器用に鼻先を地面に叩きつけて跳び、僕達の方に顔を向けて動きが一瞬止まったまま地に着地した
「・・・」
「・・・」
「あ~っ!」
「お前っ!?」
うわっちゃ~見つかった・・・
「鋼野・・・双歩?!どうしてこんなところに!?」
「というか、お前がいるってことは、そっちの水色のはカーディンかっ!?」
と、素早くリュッケンが後ろのカーディンの方を見ると、確かに、上白下黒で、屋根の上に赤いX字のパトライトを乗せたカーディンがそこにいた
「あれ?お前、今水色じゃなかった?」
「見間違いじゃないか?」
恐らく、正体がばれると悟り、素早く色を取り去ったのだろう、でも、いいのかこれ、話がややっこしくなるだけだと思うのだが・・・
「あれ・・・?」
「水色と白が似てるので見間違えたんじゃないか?」
「え・・・でも、上に細長い板が乗ってた・・・」
「それこそ見間違いだろう」
「あれ・・・?なぁ・・・」
リュッケンがその顔をアリスに向ける
が、アリスは虚空に視線をそらし
「私、背中を下にして落ちてきてたせいでよく見てなかったのよね・・・」
と、のたまった
「え?そうなの?そう言われてみればオレ様も・・・あれ・・・?水色・・・だったっけ・・・?」
記憶が不確かになりつつあるのか、リュッケンが上を見て、何かを考え込み始める
「頭を打ったせいでメモリーがいかれたんじゃないか?」
「・・・おっかしぃなぁ~記録には・・・言われてみれば水色じゃなくて白っぽいし、板っぽいのも光の加減で赤にも見えるな・・・?」
リュッケンが上に目線を向けたまま思案している、いいのか、お前はそれで・・・
「ま・・・まぁ、今はそれよりもだ・・・」
リュッケンが改めて、僕達に視線を向ける!
「お前ら、今日こそ覚悟しろ!!」
「その状態で戦うの?」
「双歩、私は一向に構わないぞ!!」
「無論オレ様じゃねぇ!」
と、リュッケンがアリスの方に目線をチラと変え
「行け!アリス!!」
「いや」
・・・
沈黙がその場を支配した、一瞬だけ
「で、どうすんの?」
僕があきれて言い放った一言に、リュッケンが歯を食いしばって悔しそうな表情をし
「くそっ!覚えてやがれっ!!オレ様の部下が来たらお前らなんてなぁ!!」
「部下って、もしかして、牛とか馬の事?」
「あいつらは遠くで全力で仕事してるからこねぇよ!!ってお前ら、あいつらと会ったのかっ!?」
「会った」
「まぁ、いろいろあってな・・・」
リュッケンがよほど驚いたのか目を見開いてポカンとした表情を見せる
「ねぇ、聞いていい?」
今度はアリスが口を開いた
そして、僕達に向かい、呆れたようなけだるそうな視線を送って
「ぼけっとしてる状況じゃ無いんじゃないの?お互いに」
あ・・・いや、まぁ、確かにそうなんだけど、っていうか、僕達はともかくなんでアリスたちまでぼけっとしてちゃいけない状況なんだ?
「カーディン?どうしよう?このまま逃げる?それとも戦う?」
「まがりなりにも二人相手だろう、増援を呼ばれる恐れもある、ここは逃げて身を隠すのが一番いいと私は判断する」
「だね、じゃあ、とっとと」すると、アリスがチラリとリュッケンの方を流し見
「ねぇ、リュッケン、あのデカブツ、こいつらに倒してもらいましょうよ」
「はぁ!?何言ってんだてめぇ!!」
今度はリュッケンがアリスの方を見ながら目を見開いた驚愕の表情になる
ん?なんだろ・・・?
カーディンの方に向かいかけるものの、アリスが言いだした言葉を聴き、思わず、二体の方に向き直る
「あいつは今、オレ様達の部下が倒そうとしてんだろうが!!それとも、あいつらが負けるってのか!!」
「もちろん、あの子たちがあいつを倒せればそれでいいわよ、でも、もし負けたら、っていうか、十中八九負けるでしょうね、あんたが突っ走ってやられたあげく、私もまき沿いでここまで吹っ飛ばされてきたんだから」
「ぐっ、ぐぬぬぬ・・・」
リュッケンがまたも、歯を食いしばり目に力の入った悔しそうな顔をする
「大体、私ら全員でかかれば確実にどうにかなったのに、独断専行で突っ込んでやられてそのままなし崩し的にこうなっちゃったのがねぇ・・・」
「うるせぇ!!」
「ねぇ!!」
「双歩!?」
僕が二体に声をかけたことに、カーディンが驚愕の声を上げた、
「その話、詳しく聞かせてくれない?」
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