オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベもどきを置いていきます。

美人タヌキの水難騒ぎ/4

 
美人タヌキの水難騒ぎ4
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
にろ
 
 「ううん・・・」
 かすかに目を開くと、さざ波響く砂浜を誰かがこちらに向かって歩いてくるのが見える、
 くたびれた直洋袴と皮靴のみが見えるが、ゆったりとした力ない足取りはどうやら老人のようだ、
 ただし、さっきの老紳士ではないことは服装と意気無き足さばきから確実にわかる、
 私はどこかに流れ着いたのだろうか?
 ここは現世か別世か?
 あの老人は誰なのか?
 私はこれからどうなるのか・・・?
 様々な疑問が頭の中を巡りながら、私の意識は再び途切れた・・・
 ・・・
 はっ!!
 目が覚めた時、私はどこかの古ぼけた暗い木造家屋の一室で、座布団に包まれて眠っていた、
 座布団のさらに下には畳が敷かれ、周りでは雑多に多量の古い本が山積みにされ、窓際中央の重厚な平机の上には、書きかけの原稿用紙と万年筆が置かれている、
 どこかの小説家の部屋だろうか・・・?
 だが、問題は・・・私はもう一度辺りを大きく見回した、
 ううむ、何だこの違和感は・・・下の抹茶色の座布団は私を十分に覆うほどの大きさだし、その下の床に敷かれた変色した畳など、一つ私四人分はありそうだ、まるで世界が大きくなったような・・・
 と思って立ち上がろうとしたら、手足の長さがいつもより短いことに気付いた、立ち上がれるほどの長さが無いのだ、
 不審に思って両手を見ると、そこには焦げ茶色の毛皮に包まれ、桃色の肉球のある両前足があるばかり、
 あ、そうか・・・
 ここ最近、人の姿に化け続けてきたせいでこの姿を忘れかけていたが、
 これは私本来の、つまり、化け狸としての姿だ、
 「気が付きおったか・・・」
 背後から・・・?
 獣のさが故に素早くそちらを振り向くと、そこにあった開いた障子の間から一人の陰気な老人がこちらの方を見ておった、
 顔には壮年のしわが刻み込まれ、無精ひげ程度の髭のみを生やし、頭には茶色のふっるい丸帽子、
 体には抹茶の洋肌着に茶色の洋上着を着て、くたびれた洋袴をはいておる、
 お、あの直袴、見覚えがあるぞ、確か・・・
 「どうせ山の狸が海に落ちちまったんじゃろう、動けるならはよう、出て行け!」
 きっつい言い様じゃが、あの垂直袴、間違いない、気絶する前に見た洋垂袴とそっくりじゃ、
 どうやら、あのじじいに助けられたようじゃのう、普通の狸として、
 にしても、なんて口の悪いじじいじゃ、
 ん?じじいの背後に誰かおるのう、おお、これはずいぶんな別嬪さんじゃ、このじじいも隅に置けんのう、
 長い黒髪で、少しやせ形で、白装束をまとって、頭に・・・
 って、不意にすーっと消えてしもうた、何じゃ、一体・・・
 「おい、聞いとんのか、動けんのか動けへんのか、どっちじゃ」
 せっかちなじじいじゃわい、まったく・・・
 急かされ、四肢を一つずつ上げて動かしてみる、
 右前足ぷらぷら・・・左前足ぷらぷら・・・右後ろ足ぷらぷら・・・左後ろ足ぷらぷら・・・
 ふうむ、足は大丈夫なようじゃ、尻尾もとりあえず異常は無いっぽい、よし、動けそうだ、
 心地の良い座布団から、じじいの来た扉の方にじじいを避けて跳ぶ
 「ふん、わしの言葉が怖いか、まぁ、ええわい」
 本心では来てほしかったのか、少しさびしそうな声ではある、
 「こっちじゃ、ひっかきまわされてはかなわんからな、こい」
 言い訳の多いじじいである、
 等と毒づきつつ、部屋の外の狭い木の廊下をじじいが歩き出した左半身側に歩き出す、
 途中、雲海の描かれたうすぼけたふすまのある部屋を二、三通り、先の方、右前足側直角に曲がった場所に玄関が見えた、
 ほこりの溜まり始めた簡素な玄関で、一段下に灰色の石床が敷かれ左手奥には古木の引き戸の靴箱があり、床の先にある左右一対の引き戸は一面のがらすに横一線がある細い柵付きのような木枠で構成されている、
 ん、靴箱の上に写真立て・・・
 四角い木枠に支え棒で構成された、古く、簡素なものだが、中の写真に写っているのは・・・
 畳の上に敷かれた布団の上で、白布に包まれた赤子を抱く薄布の白襦袢の黒髪の女とその後ろで満面の笑みを浮かべる白半袖肌着の筋肉質な男、それが色あせた色付きで写し出されていた、
 女の方は長い髪を後ろで簡素に結び、男の方は手拭いを頭で鉢巻きのように巻いて短い黒髪を上に押し上げている、
 女は儚く、別嬪で、どうやら男は漁師ではなかろうか、日焼けした肌がそれを物語っている、
 はて・・・あの女・・・
 がらがらがらと、戸の方から音が響く
 「さ、はよ、出て行け」
 いちいちうるさいじじいじゃ、ったく・・・
 急ぎ、左に開けられた戸から外に出る
 「もう落ちるでないぞ」
 がらがらぴしゃん
 言われ振り返った時にはすでに戸は閉まってしまっていた
 まったく、おぼれたくておぼれたわけではないとゆうに、
 ん、
 左半身側、坂の下、ぼろ古い木造建築の家を何軒も通りすがった先に、海の上に四角く出っ張った・・・港・・・のような開けた場所があって、そこには青い敷物がいくつもあり・・・
 ふうむ・・・何なのかは予想が付くが、とにかく行ってみんと話しにならんか・・・
 どこか隠れる場所は無いかと見回すと、すぐにいい場所を見つけた、
 今出てきた家の裏手、どうやらかなりの高所で、すぐ後ろは山になっているらしく、木々が生い茂っている、
 そして、その家も、あまり大きく無く、私が寝ていた部屋はかなり奥の方なのだというのもわかる、
 いや、今はそんなことどうでもいいか、家々の隙間から急いで裏手に回り、辺りを見回して家達の窓がこちらに向いて無く、誰にも見られていないことを確認し
 ぽんっ
 少量の煙で変化の瞬間を隠しつつ、妙齢の女性へと姿を変える、
 光の加減で白と黒の縞に見えるゆるふわ長髪、肩紐白地狸の大顔水玉わんぴーす、同じく白の麦わら帽に革靴、
 「さて、行きますか」
 森の方から道路に出て、ゆったりと一目散に下に見えた港へと向かう
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 

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美人タヌキの水難騒ぎ/3 妖魔版

 
美人タヌキの水難騒ぎ3 妖魔版
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
はぬ
 
 振り降ろされる大蛸の足、しかし、私に気付かれたのが運の尽き
 着物の裾を振りはだけ大きく右足を振り上げ、大蛸の足を受け止め切り、そのまま大きく弾き返す
 「はっ」
 「おぉおおおお~!」
 まがみ狸から感嘆の声が上がるが・・・少々はしたなかったかのう・・・
 蛸足がそのまま海中まで引っ下がる
 「しかし、これでこの船は大丈夫だな」
 と、まがみ狸が首元にまで伸びる腹側の白い毛皮を上の方に引き延ばしてまで顔を上げ、得意げな顔をする、
 んな簡単に引き下がってくれるなら、最後の一撃など加えてこんじゃろうに・・・
 周辺から幾重もの何かを叩き付ける音が響き渡り、船のきしみ音がわたる、
 「な、なんだ、逃げたんじゃ」
 「やはりこうなったか・・・」
 周りを見渡してみると、八本の蛸足が船の左右に広いて付き、船を裂いて沈没させようと力を込めている、
 
名・海坊主の蛸足
名・海坊主の左蛸足
名・海坊主の右蛸足
概・TM 対の怪 賃金零×八・妖力四〇〇 妖怪・蛸・触手
賃金減条と効・無し
発と条と効・無し
文・八つの足、幾多の獲物を喰らい幾多の船を沈めて来たもの、
  その力は今だ衰えず、今度は鉄の船をも沈めてしまう・・・
 
 とすれば、本体がいるのは・・・
 「あ、姐さん、これは・・・」
 「とにかく、状況を把握するのが先じゃ」
 こういう時にうってつけの札がちょうど袋の中、一番前にあるのがわしの目には見える、
 先ほど同様、左手に別の狸の尾を引き抜き持ち、右手に飛ばした札を取り、
 「あの・・・私も狼になるんですか・・・」
 「残念ながらおぬしは狼ではない、おぬしはこっちじゃ」
 尾を離しつつその額に札を叩き付け、床に落っこち煙を放つ、
 床の煙が晴れた後、そこに現れたのは毛の色が地黒で先赤の尾翼猫又、
 大きさは並みの猫ながら肌色とは別に毛色が、根元が黒く先が赤い独特のものになっていて、尻尾が二股に分かれ、鳥の翼のように変化しており、ただの猫ではないことを物語っている
 「にゃ~ん」
 大きく口を開け、どこか嬉しそうに声を発する翼猫又、そこにまがみ狸が近づき、
 
名・猫又 跳び翼
概・M 物の怪 賃金二・妖力一四〇〇 妖怪・猫
発・戦闘前・自任意・時限無し・条文の頭に指定:次の戦闘に参加する
条・壱・相手の物の怪の妖力が二〇〇〇以下の時
効・次の戦闘を回避する
文・空を飛びたい、願い続けた年老き猫は、
  尾が羽となり空を飛ぶ自由を得る
 
 「おい、お前は狸だろ、狸としての己をしっかりと持て」
 「そういうあんさんこそ今は狼ですにゃ、いやいや、一度言ってみたかったんですにゃ、猫はこうして鳴き声を発してるだけでちやほやされますにゃ」
 「いや、俺もちやほやされたい」
 「どうでもいいからとっとと様子見てこい、飛び猫狸、まわりの海に本体がいないか、と、わしらの援護じゃ」
 「了解しましたにゃ」
 腰を伸ばして座り込み、かわいらしく右前足を額に着け敬礼すると、尻尾を羽ばたかせて上へと飛んで行った、
 
大蛸 
海坊主の蛸足 TM 対の怪 賃金零×八・妖力四〇〇
裏:一表:〇
 
???
真狼 まがみ M 物の怪 賃金一・妖力一〇〇〇
猫又 跳び翼 M 物の怪 賃金弐・妖力一四〇〇
裏:〇表:二
 
海坊主の蛸足 TM 対の怪 賃金零×八・妖力四〇〇
 

 
真狼 まがみ M 物の怪 賃金一・妖力一〇〇〇 妖怪・狼
 
 「さ、わしらも動くぞ、」
 「ですがですね、姐さん、それよりも、さっきの百鬼夜行なんとかで一掃してしまった方がいいのでは?」
 「無理じゃ」
 「無理ぃい」
 「そうじゃ、そもそもあれは妖気を離散させたり、奇襲をかけてきた相手の精神状態を利用し感覚を狂わせ回避するための妖術じゃ、実体がある上に奇襲をかけてこんあの蛸足には効かん」
 「うう・・・でも、効くかもしれないじゃないですか」
 効かん効かん、そもそも、術の性質がきっちり札に書かれておるのじゃから、それ以外の効能など無いというに・・・
 「援護ならきっちり付けてやる、ほら、一声吠えて、思い切り行って来い」
 「ぐぅううぅじゃーねーなー、わぉおおおお」
 右舷前方の触手にまがみ狼が向かって行く、
 さて、こちらも行きますか・・・
 来たり手札に妖力を・・・
 「奇々怪々、妖々皆々、百鬼夜行の意義ありき、子午巳戌未辰たぬたぬ、百鬼夜行、皆々妖々」
 妖力を込めた札を前に出すと、背後からまたも百鬼夜行が飛び出し、
 それぞれの意志で八つに分かれて足々の方に向かって行く、
 無論、まがみ狸の向かった足にも行って、突撃したのだが・・・
 「おい、効いてねぇじゃねぇかぁあ」
 「当たり前じゃ、わしの妖力で再現した程度のまがいもんの百鬼夜行がそこまで強いと思うてか、百鬼夜行を完全再現できるくらい妖力があったらこの国か地獄の支配者にでもなっとるわい」
 「ぐぁあぁっぁあ確かにそうだなぁ」
 ま、どこぞの支配者になる気なぞ、端からさらさらないのじゃが・・・
 「ええい、俺がどうにかしなきゃならんてことだな」
 まがみ狸が百鬼夜行の間を縫って跳びかかり、噛みついて行く、
 が、大きく触手がしなったと思ったら
 ぺいっと放り捨てられてしもうた
 
名・海坊主、蛸足力ずく
概・R 回 賃金零 妖怪・蛸
発・戦闘前・自任意・次の戦闘終了まで・条文の頭に指定:次の戦闘に参加する
条・壱・自分の物の怪、対の怪が
    区分「妖怪」「蛸」を両方持っていた時
効・壱の妖力を百上げる、が、
  壱が対の怪の場合、賃金左から二番目を上げる分にかける
文・大蛸必殺の船底張り付き沈ませ技、
  大蛸が不気味さを増していく・・・
 
名・百鬼夜行 皆々妖々
概・R 回 賃金四 妖怪・百鬼夜行
発・戦闘前・自任意・この巡りのみ・条文の頭に指定:自分の戦陣の
条・壱・区分「妖怪」を持つ物の怪
  弐・何の札も置かれていない場所
効・壱の妖力を五〇〇上げ、
  弐は以下を賃金零で召喚す
   名・百鬼夜行 代々妖々
   概・M 物の怪 賃金一・妖力五〇〇 妖怪・百鬼夜行
   その他無し、
   これはその場所から動くか時限を超えた時消滅し、
   戦闘で相手の生命札を手札にさせることができない
文・百鬼夜行により、妖怪は力を得、誰もいない場所には誰かが現れる・・・
 
名・真狼 まがみ
概・M 物の怪 賃金一・妖力一〇〇〇 妖怪・狼
発・戦闘前・自任意・時限無し・条文の頭に指定:
 
海坊主、蛸足力ずく 真狼 まがみ 相殺
 
 「わぁあああ、ていっ」
 もっとも、即座にわしの前で着地したが・・・
 「うっだぁあああ、なんでだぁあ」
 「狼の変化にまだ慣れきっとらんのじゃな」
 「ざまぁないですにゃ」
 「んだとこらぁ、狸かぶった猫がぁあ」
 「逆じゃ」
 「逆ですにゃ」
 「うるせぇえええ」
 と、いつの間にか翼猫又が戻ってきておったか
 「報告を、この辺りに怪しい影は?」
 「無かったですにゃ、あの触手群以外」
 無かったと、つまり黒幕らしきものも見なかったというわけか
 「他に気になった点は」
 「ええと、船の観客のいる周りを妖力が覆ってる感じがしたんですけれども」
 「ああ、あれは観客たちからわしたちの姿をごまかすための結界じゃよ、どうせわしらが死んだら勝手に解ける」
 「なるほどですにゃ、出来れば、ちゃんとした形で解除してほしいですにゃ」
 「そうするように努力せねばなるまい」
 「おい、怪しいやつを見なかったって、それじゃあ、あの触手の本体はどこ行った」
 どこ行ったってお前・・・
 「普通、触手があったらその根が向かう先に本体があると考えそうなもんじゃが・・・」
 「ついでに、この触手の根たちは下にばかり向かってますにゃ」
 「え、下、ええと・・・あ」
 ようやく気付いたか・・・
 「そ、船底じゃな」
 「船底ですにゃ」
 「わ、わかってたさ、そんなこと」
 今じゃろう、
 ま、船底にいるのが一番厄介なのじゃがな、船は構造上、
 大抵、単独では船底にいる相手に攻撃する手段を持ちづらい、船底に武器を仕掛けるわけにもいかんし、
 それに、わしとしては黒幕が何処にいるかも気にかかる、蛸と一緒に船底にいるか、船の中か、あるいは翼猫又も見ていない高上空か、もっとも、蛸の本体が船底にいようが黒幕が何処にいようがやることは変わらん、
 「行け、狼よ、今度は犬歯をしっかり突き立てるのじゃ」
 「わかってるって」
 まがみ狸が再度、同じ触手に向かって行く、
 幸い、触手は百鬼夜行に囲まれ、こちら側に注意は向けてきていない、
 まがみ狸がはっとしたようにそれに気付き、足音を極力立てずに走りを歩きに変えながら素早く近づき、跳びかかる、
 がぶりと先ほどより深く噛みつき、今度こそ、触手が上に振り上げようと下に思い切り振り下げようと喰らいつく
 「じぇったいにはなさにゃいぜぃ」(絶対に離さないぜい)
 やがて触手は大きく振るったり、まがみ狸を床に叩き付けたりするもまがみ狸は離さない、
 その内に触手の動きも鈍ってきた、そして、まがみ狸が噛みついたまま四足を地に着け
 「こにょままかみちぎぃる」(このまま噛みちぎる)
 一気に後ろに跳ぼうとし
 上から降ってきた触手に押しつぶされた
 
名・海坊主、蛸足頑暴走
概・H 手 賃金零 妖怪・蛸
発・戦闘前・自任意・時限無し・条文の頭に指定:次の戦闘に参加する
条・壱・自分の物の怪、対の怪が
    区分「妖怪」「蛸」を両方持っていた時
  弐・相手の物の怪、対の怪が妖力一五〇〇以下の時
  参・この戦闘前で自分の回・発・手のいずれかの札が相殺されていた時
効・弐を墓地に送る
文・蛸足が邪魔してきた相手を弾こうと暴走し始める
 
真狼 まがみ 墓地送り
 
海坊主の蛸足 TM 対の怪 賃金零×八・妖力四〇〇
 
結果
 
??? 傷
 
 「まがみ狸っ、ちぃい」
 そのまま、触手が上に上がり、そこにいたまがみ狸はただの狸に戻った状態で見つかった、
 同時に、付いていたはずの札が右の巾着に戻って行く、が、叩き潰した触手が今度はその狸を持ち上げようと下に入り込み
 「まずい、翼猫又」
 「了解ですにゃ」
 
大蛸
 

 
猫又 跳び翼 M 物の怪 賃金弐・妖力一四〇〇
 
 右人差し指をずびしと差すと、翼猫又が地に降り走り、触手前で思い切り真上に高度に飛行
 「行きますにゃぁ」
 その高さから思い切り降下しつつ右前足の爪で触手を切り裂き、撃退、
 触手は一旦海に引っ込む、
 
大蛸 傷
 
結果
 
猫又 跳び翼 M 物の怪 賃金弐・妖力一四〇〇
 
 と、先ほどまがみ狸が噛みついていた触手もいつの間にかいなくなっている、
 どうやら、まがみ狸が気絶した隙にこちらも海に引っ込んだようだ
 「大丈夫ですかにゃ」
 「うう・・・すまない・・・」
 翼猫又がかけた言葉をうめきながら返す元まがみ狸、その間にも猫又は前方の海を警戒し始め、
 すかさずわしも元まがみ狸に駆け寄ってその胴を右手で持って回収し
 「すみません、姐さん・・・」
 「いいんじゃ、休んどれ、どうせすぐに回復する」
 狸を出した袋の口を左手で開けつつ無理矢理突っ込む
 と今度は残った触手のあるあたりからいくつもの船が破砕されていく音が
 「まずいのぅ・・・」
 
大蛸
山札:二八枚 手札:三枚 生命札:四枚
溜場:一枚 墓地:二枚
戦場
海坊主の蛸足 TM 対の怪 賃金零×八・妖力四〇〇
 
対決
 
???
山札:二八枚 手札:四枚 生命札:四枚
溜場:一枚 墓地:一枚
戦場
無し
猫又 跳び翼 M 物の怪 賃金弐・妖力一四〇〇
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 

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美人タヌキの水難騒ぎ/3

 
美人タヌキの水難騒ぎ3
 
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はぬ
 
 振り降ろされる大蛸の足、しかし、私に気付かれたのが運の尽き
 着物の裾を振りはだけ大きく右足を振り上げ、大蛸の足を受け止め切り、そのまま大きく弾き返す
 「はっ」
 「おぉおおおお~!」
 まがみ狸から感嘆の声が上がるが・・・少々はしたなかったかのう・・・
 蛸足がそのまま海中まで引っ下がる
 「しかし、これでこの船は大丈夫だな」
 と、まがみ狸が首元にまで伸びる腹側の白い毛皮を上の方に引き延ばしてまで顔を上げ、得意げな顔をする、
 んな簡単に引き下がってくれるなら、最後の一撃など加えてこんじゃろうに・・・
 周辺から幾重もの何かを叩き付ける音が響き渡り、船のきしみ音がわたる、
 「な、なんだ、逃げたんじゃ」
 「やはりこうなったか・・・」
 周りを見渡してみると、八本の蛸足が船の左右に広いて付き、船を裂いて沈没させようと力を込めている、
 とすれば、本体がいるのは・・・
 「あ、姐さん、これは・・・」
 「とにかく、状況を把握するのが先じゃ」
 こういう時にうってつけの札がちょうど袋の中、一番前にあるのがわしの目には見える、
 先ほど同様、左手に別の狸の尾を引き抜き持ち、右手に飛ばした札を取り、
 「あの・・・私も狼になるんですか・・・」
 「残念ながらおぬしは狼ではない、おぬしはこっちじゃ」
 尾を離しつつその額に札を叩き付け、床に落っこち煙を放つ、
 床の煙が晴れた後、そこに現れたのは毛の色が地黒で先赤の尾翼猫又、
 大きさは並みの猫ながら肌色とは別に毛色が、根元が黒く先が赤い独特のものになっていて、尻尾が二股に分かれ、鳥の翼のように変化しており、ただの猫ではないことを物語っている
 「にゃ~ん」
 大きく口を開け、どこか嬉しそうに声を発する翼猫又、そこにまがみ狸が近づき、
 「おい、お前は狸だろ、狸としての己をしっかりと持て」
 「そういうあんさんこそ今は狼ですにゃ、いやいや、一度言ってみたかったんですにゃ、猫はこうして鳴き声を発してるだけでちやほやされますにゃ」
 「いや、俺もちやほやされたい」
 「どうでもいいからとっとと様子見てこい、飛び猫狸、まわりの海に本体がいないか、と、わしらの援護じゃ」
 「了解しましたにゃ」
 腰を伸ばして座り込み、かわいらしく右前足を額に着け敬礼すると、尻尾を羽ばたかせて上へと飛んで行った、
 「さ、わしらも動くぞ、」
 「ですがですね、姐さん、それよりも、さっきの百鬼夜行なんとかで一掃してしまった方がいいのでは?」
 「無理じゃ」
 「無理ぃい」
 「そうじゃ、そもそもあれは妖気を離散させたり、奇襲をかけてきた相手の精神状態を利用し感覚を狂わせ回避するための妖術じゃ、実体がある上に奇襲をかけてこんあの蛸足には効かん」
 「うう・・・でも、効くかもしれないじゃないですか」
 効かん効かん、そもそも、術の性質がきっちり札に書かれておるのじゃから、それ以外の効能など無いというに・・・
 「援護ならきっちり付けてやる、ほら、一声吠えて、思い切り行って来い」
 「ぐぅううぅじゃーねーなー、わぉおおおお」
 右舷前方の触手にまがみ狼が向かって行く、
 さて、こちらも行きますか・・・
 来たり手札に妖力を・・・
 「奇々怪々、妖々皆々、百鬼夜行の意義ありき、子午巳戌未辰たぬたぬ、百鬼夜行、皆々妖々」
 妖力を込めた札を前に出すと、背後からまたも百鬼夜行が飛び出し、
 それぞれの意志で八つに分かれて足々の方に向かって行く、
 無論、まがみ狸の向かった足にも行って、突撃したのだが・・・
 「おい、効いてねぇじゃねぇかぁあ」
 「当たり前じゃ、わしの妖力で再現した程度のまがいもんの百鬼夜行がそこまで強いと思うてか、百鬼夜行を完全再現できるくらい妖力があったらこの国か地獄の支配者にでもなっとるわい」
 「ぐぁあぁっぁあ確かにそうだなぁ」
 ま、どこぞの支配者になる気なぞ、端からさらさらないのじゃが・・・
 「ええい、俺がどうにかしなきゃならんてことだな」
 まがみ狸が百鬼夜行の間を縫って跳びかかり、噛みついて行く、
 が、大きく触手がしなったと思ったら
 ぺいっと放り捨てられてしもうた
 「わぁあああ、ていっ」
 もっとも、即座にわしの前で着地したが・・・
 「うっだぁあああ、なんでだぁあ」
 「狼の変化にまだ慣れきっとらんのじゃな」
 「ざまぁないですにゃ」
 「んだとこらぁ、狸かぶった猫がぁあ」
 「逆じゃ」
 「逆ですにゃ」
 「うるせぇえええ」
 と、いつの間にか翼猫又が戻ってきておったか
 「報告を、この辺りに怪しい影は?」
 「無かったですにゃ、あの触手群以外」
 無かったと、つまり黒幕らしきものも見なかったというわけか
 「他に気になった点は」
 「ええと、船の観客のいる周りを妖力が覆ってる感じがしたんですけれども」
 「ああ、あれは観客たちからわしたちの姿をごまかすための結界じゃよ、どうせわしらが死んだら勝手に解ける」
 「なるほどですにゃ、出来れば、ちゃんとした形で解除してほしいですにゃ」
 「そうするように努力せねばなるまい」
 「おい、怪しいやつを見なかったって、それじゃあ、あの触手の本体はどこ行った」
 どこ行ったってお前・・・
 「普通、触手があったらその根が向かう先に本体があると考えそうなもんじゃが・・・」
 「ついでに、この触手の根たちは下にばかり向かってますにゃ」
 「え、下、ええと・・・あ」
 ようやく気付いたか・・・
 「そ、船底じゃな」
 「船底ですにゃ」
 「わ、わかってたさ、そんなこと」
 今じゃろう、
 ま、船底にいるのが一番厄介なのじゃがな、船は構造上、
 大抵、単独では船底にいる相手に攻撃する手段を持ちづらい、船底に武器を仕掛けるわけにもいかんし、
 それに、わしとしては黒幕が何処にいるかも気にかかる、蛸と一緒に船底にいるか、船の中か、あるいは翼猫又も見ていない高上空か、もっとも、蛸の本体が船底にいようが黒幕が何処にいようがやることは変わらん、
 「行け、狼よ、今度は犬歯をしっかり突き立てるのじゃ」
 「わかってるって」
 まがみ狸が再度、同じ触手に向かって行く、
 幸い、触手は百鬼夜行に囲まれ、こちら側に注意は向けてきていない、
 まがみ狸がはっとしたようにそれに気付き、足音を極力立てずに走りを歩きに変えながら素早く近づき、跳びかかる、
 がぶりと先ほどより深く噛みつき、今度こそ、触手が上に振り上げようと下に思い切り振り下げようと喰らいつく
 「じぇったいにはなさにゃいぜぃ」(絶対に離さないぜい)
 やがて触手は大きく振るったり、まがみ狸を床に叩き付けたりするもまがみ狸は離さない、
 その内に触手の動きも鈍ってきた、そして、まがみ狸が噛みついたまま四足を地に着け
 「こにょままかみちぎぃる」(このまま噛みちぎる)
 一気に後ろに跳ぼうとし
 上から降ってきた触手に押しつぶされた
 「まがみ狸っ、ちぃい」
 そのまま、触手が上に上がり、そこにいたまがみ狸はただの狸に戻った状態で見つかった、
 同時に、付いていたはずの札が右の巾着に戻って行く、が、叩き潰した触手が今度はその狸を持ち上げようと下に入り込み
 「まずい、翼猫又」
 「了解ですにゃ」
 右人差し指をずびしと差すと、翼猫又が地に降り走り、触手前で思い切り真上に高度に飛行
 「行きますにゃぁ」
 その高さから思い切り降下しつつ右前足の爪で触手を切り裂き、撃退、
 触手は一旦海に引っ込む、
 と、先ほどまがみ狸が噛みついていた触手もいつの間にかいなくなっている、
 どうやら、まがみ狸が気絶した隙にこちらも海に引っ込んだようだ
 「大丈夫ですかにゃ」
 「うう・・・すまない・・・」
 翼猫又がかけた言葉をうめきながら返す元まがみ狸、その間にも猫又は前方の海を警戒し始め、
 すかさずわしも元まがみ狸に駆け寄ってその胴を右手で持って回収し
 「すみません、姐さん・・・」
 「いいんじゃ、休んどれ、どうせすぐに回復する」
 狸を出した袋の口を左手で開けつつ無理矢理突っ込む
 と今度は残った触手のあるあたりからいくつもの船が破砕されていく音が
 「まずいのぅ・・・」
 
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