水晶の島のデモの末路 ダブモン!!9話11
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一応、村と街のはざまと言っていいのだろうか?
かなり前はきれいな壁と淡いきちんと削り出された石のようなものを並べ舗装された道路があり、
対してこちら側は白い壁であれど藁ぶきの屋根の家々が並ぶ、道も舗装されていない、
俺達は間より二つ手前の家の裏に隠れ、その狭間を兵士たちが見回りをしている・・・この分だと人力車の方も足止めを・・・
「あそこからが一応首都なのか?」
「そうだ、しかし、10年前の分都計画により、この辺りの家もあのあたりも空き家になっているはずだ、ここはその溢れた者達の集落だったが、土地の値段が下がり引っ越したか・・・」
俺が兵士の様子をうかがいながら発した一言に、神父の声が返ってきた
「分都計画?」
「首都は一時期、超過密状態だった、全ての国の主要施設が集中していたうえ、そこに住む者達が利権を手放そうとしなかったのだ、結果、国は人口過密と人口過疎により荒廃してしまった・・・」
ん・・・?
「人が集まるのはいいことなんじゃ?」
「ある一定まではな、だが、それ以上はダメだ、一定以上人が集中すると人が移動する時に人が邪魔になる、職や家にあぶれホームレスとなる人が出てくる、人が集まることで影響力を増し自然の浄化作用を大幅に超え環境問題が起き、人と人との間にトラブルも起きやすくなり犯罪が起きやすくなる、それらを対処するための治安員も確実に足りなくなってくる、自然災害も被害が大きくなり、犯罪も大規模化しやすくなる」
「へぇ・・・」
言われ、街の方を詳しく見てみると、家壁がボロボロで、スラム街の様になっている、人が無いからではなく、人がいた時よりそうだったのだろう、少し裏では酒瓶やゴミなどが転がっている・・・
「三千人の都市一つと千人の都市四つ、どちらの方が国が発展していると言える?」
「それは・・・まぁ、国としてはそうだろうな・・・」
「一つの都市が発展するのに、国の他の都市を貶めていては意味が無い、重要なのは一つの都市の能力ではなく、国としての総合能力だ、そういう政策を打っているのなら、様々な都市が自然と成長していく」
ふむ・・・
「過疎も問題だ、過疎によって少数集落が消滅すればそこの文化が無くなりその一帯の自然の管理なども行き届かなくなる、一つの都市が発展するのに、国の他の都市を貶めていては意味が無い、重要なのは一つの都市の能力ではなく、国としての総合能力だ、そういう政策を打っているのなら、様々な都市が自然と成長していく、結果、過密過疎、それらを解消することも含めて分都化計画が始動した」
「それらも含めた・・・?」
「面白いことになってるわねぇ・・・」
後ろより聞こえた女の声に、一瞬、背筋が凍る・・・
変な時に出てくるな・・・
「ああ、気付かないふりしてくれてていいわよ、ちょっかい出す気はないから」
もう十分ちょっかい出してんじゃないかこの女は
怪しまれないよう横目から後ろを見ると、見慣れた女神の姿が・・・あれ?
・・・男が一人いない・・・確かに、俺たち以外に三人ついてきたはずだが・・・?
「おい、カンテーラ、人が一人いなくなってないか!?」
「へ?」
カンテーラが少し上より全員を見回す
「ひいふうみ・・・確かに一人いないな・・・」
「なに?」
今度は神父が見回す
「確かにいないな、そういえば消えた男・・・」
え?
「知り合いか?」
「そういえば、教会に何度か来たことがあった男だったな、母親が、公務員に就職したと自慢げに・・・」
まさか・・・!?
「お~い衛兵!こっちに人がいる!」
マジかよ!?
声の聞こえた方、俺たちがのぞく家の反対の方のさらに先の狭間の方に家の裏の側から急ぐと、狭間の兵士たちに話しかけるいなくなったはずのシャツの男が!?
くそっ!公的人間は上から下まで敵ってことかい!?
「どうすんだ!?」
衛兵たちがこっちに向かって歩いてくるのが見える・・・
「だが、これはチャンスだ」
カンテーラ!?
上から聞こえた声に俺は思わず見上げる、
「衛兵が離れたってことは警備が薄くなったってことだ、幸い、この辺りは警備網の中心地じゃない、うまくやれば通り抜けられる」
カンテーラが俺を見返す、
「どうする、相棒?」
ええっと、ええっと、ええっと・・・そうだ!
「カンテーラ、この家の窓・・・」
「開けろってんだろ?シャドウブレイド!」
木の窓で中に降ろし式の閂があった、だが、剣先を隙間に入れて上げると、簡単に空いた、
「皆、この窓から!」
急いでその中に跳びこむ、
中は家財道具など一切なく、蜘蛛の巣まで張っていて完全な空家のようだ・・・
そして、窓を閉めつつ、一気に玄関に、
「カンテーラ、気配は?」
「三つ、ちょうど家の裏手に・・・」
ドアのノブに手をかけると、簡単に開いた、どうやら、鍵すらかかっていないらしい・・・
「急げ・・・!」
「待て、次の手だ・・・カンテーラ、少しおとりになってくれないか?」
「何をする気だ?」
「こうこうこうこうしてこうだ、お前なら、森の中で追っ手を撒いた後、高高度から街に入れるだろ?」
「確かにそうだな、わかった」
俺達はカンテーラを元の窓より外に出す、
「ああっ!あのダブモンです、男たちと一緒にいたのは!」
「他の男たちがいない・・・家の中か!?」
兵士たちが探してもその家の中にはいないだろう、すでにもう一つ都市側の家にさっきと同じくかんぬきを開けて入り込み中に潜んでいる・・・
「くそっ・・・見つからない・・・」
その間にカンテーラは森の方に飛ぶ
「もう、森の方に言ってしまったんじゃないか?」
「兵士たちを呼べ!森がりだ!!」
大勢の兵士たちが森の方に向かって行く足音がする、足音が消えたころを見計らい、顔を服で隠して俺達は反対側の玄関より家を出て警備の空いた穴に一気に突入!
すでに追えるほどの人数ではなくなっていた警備の脇をするりとすり抜け、援軍を呼ぶ間に姿を街の中まで突撃してくらまし、
空を飛んできたカンテーラと三階建の建物の裏で合流した・・・
警備に囲まれる前に中心地まで一気に移動する!
そう俺達は決意を固め、一気に走り出したのだった・・・
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