バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

騎士剣戦隊キシケンジャー/4 妖魔版

騎士剣戦隊キシケンジャー 4 妖魔版
 
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 「ふぅぁあああ~!」
 俺は水色のチェックの薄い掛布団の中から身を起こす、
 まったく、ここ最近は変な事ばかりだ・・・
 水色と青を基調とした部屋で思わず考えてしまった、
 『やぁ、サトル、目を覚ましたか!』
 が、その元凶が右手、部屋端の中ほどにある机の上より声をかけてきたことで、俺の目も完全に冴えてしまった・・・
 今は黒いリストバンドに剣型のアクセサリの様に付いている、ブルーリアというやつだ・・・
 『さて、今日はどうするんだ?守護精かソウルクレスト探しに協力してくれるとありがたいのだが・・・』
 「お前、騎士だって言ってたな・・・」
 『ん?そうだが?私の知恵を借りたいのかな?』
 「・・・少し、顔を貸してもらおうか・・・」
 ・・・そうして、俺は朝食を食べ、青いジャケットを中心としたいつもの服に着替え、布に包んだとあるものを持って人気のない裏路地まで行く・・・
 ビルに囲まれてはいるものの、めったに人のこない裏路地、ここだけ広場のようになっているので、部屋の中で振り回すわけにもいかないこいつを振り回すのにはもってこいなのだ・・・
 そこで布を解いたあるものを右手に握る、
 『それは・・・レイピアかな?私の世界にもある突剣だが、先の方が丸いな、これでは相手を貫けない・・・』
 「いいから、少し俺の突き筋を見てくれ・・・」
 鋼に輝き腕を守る丸いナックルガードの付いた剣を、スマホにタイマーを設定しポケットにしまい込んだ後、俺はひたすらに前に突いた、
 ただひたすら、ひたすら、筋肉が悲鳴を上げるか、スマホに設定したタイマーが鳴るまで・・・
 先に鳴ったのは、タイマーの方だった・・・
 ピピピ、ピピピ、ピピピ・・・
 「どうだ、俺の剣は・・・」
 『ふむ・・・素晴らしい、突きの鋭さだけなら、あれを超えるかもしれないな、場合が場合じゃなかったら、騎士団にスカウトしたいぐらいだ』
 「あれ、とは?」
 『ああ、うちの騎士団一の突剣の使い手だよ、あれは・・・』
 「サトル!またこんなところに!!」
 大きな男の声が響き渡ると共に、通りより大きな筋肉質の男が入ってきた、
 ジャケットに立った黒髪が、力強さを物語っている、
 「タテワキさん」
 その人、タテワキさんが気合のこもった目でこちらを見て両手を握り込む
 「そこまで剣に熱心なら、なぜうちに戻ってこない!知っているんだぞ、毎日ここで剣の練習をしていることを・・・」
 「しかし・・・俺は・・・」
 「何度も言っているだろう、俺を傷つけたことなら、気にしなくていいと!」
 「そ・・・それは・・・」
 キャ~!キャ~!
 悲鳴・・・?
 「なんだ、外が騒がしいな・・・」
 タテワキさんも言いながら通りの方を振り返り覗く
 通りの空に見えるあれは・・・結界!?
 「すみません、タテワキさん、用事を思い出しました、後、ここから逃げてください!」
 「おい!サトル!!」
 通りから出てみんなに連絡しつつ結界の方に走り込んで行くと、その途中で戦闘員を引き連れた奇妙な奴に出くわした、
 鋼の針が全身より突き出ている人型で、その中でも無造作に大量に集まり刃の様に両拳と一体化した大量の針が目を引く・・・
 まさか、魔怪人!?戦闘員も一緒だから間違いなさそうだが、だが、結界の外だぞ!?
 「サトル!」「サトル!」「サトル!」「サトルさん!」
 その次の瞬間にはみんなも後ろに走り駆けつけてきた、
 そんな中でユウキが正面の魔怪人を確認し、
 「こいつが、次の相手なのか?」
 俺も魔怪人の方に顔を向け
 「恐らくな・・・」
 と、行っている中で、魔怪人が戦闘員と共に走り込んできた、
 「行くぞ!」
 『わかった!』
 ブルーリアが元に戻り、それを俺が引き抜く、
 青きエネルギーが全身を纏う!
 『名乗りだ!』
 ええい、やんなきゃいけないのか?
 「青の騎士・・・キシケンブルー!!」
 そう言っている間に、戦闘員は変身していく他のみんなに、あの針男は俺の方に向かってきた
 『サトル、お前の剣の冴えを見せてやれ』
 剣の冴え・・・思わず戸惑いながらブルーリアを見つつ
 「あ、ああ・・・」
 生返事を返しながらも、俺は針男と一直線に対峙する、落ち着け、フェンシングと違って相手は二本、それに一撃で勝負が決まるわけじゃない・・・
 向こうがこちらに駆け出し、右手の針を突き出してくる、すかさず内側に避けるともう一本が、
 だが・・・遅い!
 ブルーリアでもう一本をいなしつつ、素早く踏み込みながら突く!
 「ハリー!!」
 相手は吹き飛ばされつつもなんとか持ちこたえた、だが、すかさず走り込むと、今度は左手の針を突き出してきた、
 だが、左右逆手とはいえワンパターン!
 大きく姿勢を下げ、下より打ち上げる様に突く!
 「ハリャアア!!」
 相手は向こうで背中を打ち、立ち上がろうとするが、今だ!
 「とどめだ!」
 「そうはさせるかよ!」
 左手より来る爪が俺の体を捕らえ、鋭い痛みを与えながら弾き飛ばされ
 「ぐはっ!」
 立ち尽くす
 「よう、ブルーリア、ひさしぶりじゃねぇか・・・!」
 青い、狼男・・・?いや、赤い宝玉のような瞳だが目つきの悪い青い鋼の狼の鎧が一体化しているような・・・そんな存在・・・!
 「どうした?ひさしぶりの再開だというのに、何も言ってくれないのか?」
 だが、纏う気配が違う、それに、明らかに俺よりも・・・速い!
 「お前は・・・誰だ・・・?」
 「しらばっくれるな、ウルフェイだよ、お前も随分変わっちまってまぁ・・・」
 『何を勘違いしているウルフェイ、私はこっちだ』
 「ん?今、お前の剣が喋ったような・・・」
 『そうだ、剣が喋ったのだ、私は今、故あって剣の姿をしている』
 「え!?」
 まじまじとブルーリアを見つめるウルフェイ・・・知り合いが剣の姿をしてればそうなるのも無理はないかもしれない・・・
 「じゃあ、お前を握っているのは一体誰だ?」
 『こいつか?こいつはキシケンブルー、私の弟子のようなものだ』
 「勝手に弟子にするな」
 「弟子・・・そうか弟子か・・・!なら、そいつを倒せばお前と戦えるんだなぁ!!」
 ぐ、いつの間にか俺の前に、右爪での引き裂きが俺を襲い、気が付くと回り込まれ左手爪での一撃、そして、真正面からの爪を使ったサマーソルトキック
 「どうしたどうした、この程度か!」
 こ、この・・・!
 相手は一直線に突っ込んでくる、自分の速さに相当自信があるのだろう、だが、
 当てる、当てる、当てる!
 はぁあああ!!
 渾身の一撃を込めた突きは、ウルフェイの左頬をかすめていた
 「いいねぇ、いい突きだ、だが、ためらいが見えるっ!」
 繰り出された右腕の攻撃は俺を倒すのに十分な威力だった、
 しかし、次の瞬間、
 「ソードアンドシールドクレスト回転切り!」
 キシケンレッドの剣が周囲の戦闘員を斬り裂き
 キキヤャアア!!
 ドドドドドガーン!!
 「ナイトソードスラッシュ!」「ナイトソードスラッシュ!」「ナイトソードスラッシュ!」
 三人のナイトソードスラッシュが先にいた戦闘員たちを斬り倒す
 キキヤャアア!!
 ドドドドドガーン!!
 そんな感じの背後より、他のみんなが戦闘員たちを撃破爆破する音が聞こえ、
 「大丈夫か!」「大丈夫!?」「大丈夫かー!!」「大丈夫ですか!?」
 駆け寄ってくる・・・
 「ちっ、興がそがれたぜ、まぁいい、次は領地の中で待ってるからな、そりゃ!!」
 ウルフェイの爪が地面をえぐってほこりを起こし、ほこりが消えた次の瞬間には、ウルフェイは魔怪人ともども姿が消えていた・・・
 ・・・俺は、何とか立ち上がる、まわりに気配はすでにない・・・
 皆もそう感じたのだろう、変身が解かれ、俺の所に集まる・・・
 『ブルーリア、あいつは・・・』『間違いない、ウルフェイだ』『だけど、あの姿は?』『狼を模した鎧は好んで着ていたが・・・』『普通の人間だったはず・・・』
 『サトル、どうする?』
 ブルーリアの言いたいことはわかる、今のままだと、足りない・・・
 「・・・少し、修業してくる・・・」
 そう言って俺は振り返り、皆を置いてとある場所に向かって歩き出す
 「おい、サトル!」
 「サトル!」
 「サトル!!」
 「サトルさん!!」
 そんなみんなの声を背後に聞きつつ
 『何かあったら、すぐに連絡をくれ!!』
 ブルーリアの言葉を後に乗せ、俺はある場所へと足を運んで行く・・・
 『サトル、何か修業の心当たりでも?だが、ためらいが見えるとか言ってたな、どういうことだ?まさか、あのタテワキとかを怪我させたからか?』
 「・・・半分当たりで半分外れだ・・・」
 『何・・・?』
 「・・・半年ほど前、俺は試合でタテワキさんと当たった、俺は、タテワキさんとの模擬試合で連敗続きで、どうしても勝ちたく・・・」
 『特訓したと?』
 「ああ、スポーツトレーナーに無理を言って専属になって様々なアドバイスをもらい、何度もイメージトレーニングを繰り返し、そして、勝った」
 『それはよかった・・・』
 「だが、あの試合は・・・今までで体感したことが無いほどに不思議な試合だった・・・」
 『どう?』
 「勝利への執念、勝ちたい勝ちたい勝ちたいで考えが埋まっているはずなのに、頭は冷静で、相手の攻撃を全て体が勝手に避け、勝手に攻撃を当てていた、そう、先程のウルフェイの様に・・・」
 『ほほう・・・』
 「だが、それがいけなかった、攻撃を胸に一気に打ち込んでいまい、ガードを貫き、タテワキさんに出血までさせてしまった、タテワキさんはああ言っているが、俺はまた、ああなってしまうのが怖い・・・」
 『それじゃあ、この間の戦いは、もしかして、手加減していたのかい?』
 「そうかもしれない・・・本気を出して、また、何かを傷付けてしまいそうに・・・」
 『それはそれは・・・』
 「タテワキさんがああ言っている以上、遠慮するのはタテワキさんに対して失礼だろう、だが、自分のこの気持ちだけは、どうにも抑えられそうに、着いた」
 右手にある、前方に歪曲したベランダが付いたような白い爽やかなビル、
 その一階上正面には、スルドキフェンシングスクールと、アルファベットで白く一文字一文字造形されていた・・・
 『ここは・・・?』
 「俺の通っていた、フェンシング道場だ、俺はここで、選手兼、コーチをしていたんだ・・・情けない話だ、あの時、フェンシングをやめると誓ったはずが、毎日毎日突きの練習をして、あげく、ここに戻ってきたんだからな・・・」
 
 ビーッ!
 おお~すげ~タテワキさんが瞬殺だ~!
 そのフェンシングスーツとフェンシングマスクに身を包んだタテワキさんが近づ目の前で立ち止まる・・・
 「強くなったな、鍛錬の成果か?道場にも顔を出さないのに、まさかここまで・・・」
 「いえ・・・」
 フェンシングスーツ姿でタテワキさんと話し合う、
 俺を追い詰める状況を再現すれば、もしかしたら、あの試合の状態の手掛かりになるかと思ったのだが・・・
 タテワキさんがこれでは、この道場では・・・
 「・・・少し、この格好で精神統一をさせてくれませんか?、出来れば、邪魔にならない場所で・・・」
 「ああ、仮眠室を貸してあげよう、他の皆にはしばらく近づかないよう、私から言っておくよ」
 「すみません、ありがとうございます・・・」
 
 畳敷きの部屋の中で、俺はフェンシング用の仮面を横に置き、正座をし、精神を統一する、
 どうすればいい、どうすれば俺はあれを・・・
 「それは、無我の境地ってやつかもしれないね・・・」
 「誰だ!?」
 気が付くと、俺は直立した状態で暗い空間で足元に重く白い煙の流れる空間にいた、
 まさか、ユウキの言っていた、試練の空間か!?
 目の前に、一人の騎士が立っていた、兜の上に糸の太い白い羽のようなものが付いた派手で青い帽子をかぶり、その盾には白い蝶に蜂が重なったような紋章があしらわれている
 それが気取るように両手両腕を広げ
 「初めまして、私の名前はフラサン、君たちの探すソウルクレストの騎士の一人だ」
 「どうして、俺の前に?」
 「この私の力を使い、王国を救ってくれるものを探していてね、それでこの道場に来たのだが、」呆れたように首を左右に振る「私の眼鏡にかなうものがいなくてね、」さらにそれが右手を気取り出しながら俺を見据え「ブルーリアが付いていたので、君なら、と、そう思ったわけさ、もっとも、私の剣技を扱い切れるとは思えないがね?」
 「それじゃあ、試練をこなせば、力を貸してくれるのか?」
 右手で帽子の前を気取るように上げる
 「その前に、君の素質に対して、私の推論を述べておこう、少し、盗み聞きさせてもらったがね、おそらく、君は無我の境地に達しかけていたんだ、私の知っているものとは、少し違うがね・・・」
 「無我の境地?」
 それが右手を大きく外側に回しつつ話す
 「何も考えなくとも相手の動きに反応して避け防ぎ、相手に的確に攻撃できる、そんな状態さ」
 「確かに、俺が陥ったのは状態と共通点があるが・・・」
 「タテワキとの戦いではその戦う前の執念で、ウルフェイの時は戦わなければならないという強迫観念で、だが、君のそれにはある欠点がある」
 「それは?」
 今度は右人差し指を上げながら顔の前に持ってきて
 「一つは、無我の境地は本来、何も考えない状態を指すのだが、君は一つのことに集中しすぎた時に起きるようだ、これはまぁ、欠点とも利点とも言いづらいだろう、問題はもう一つの方だ」
 「もう一つ?」
 ここにきてようやく右手を下げる
 「恐らく、戦いの経験が足りていないせいだろうね、君は相当数同じ相手と戦わないと、効果的に攻撃と防御ができないようだ」
 「どうして、そう・・・」
 「タテワキとウルフェイとの試合の違いだよ、タテワキの場合、幾度も戦ったおかげでデータが足りていたせいか、以前に勝ち相当時間の経ったさっきの戦いも勝ちに持ちこめた、だが、初めて戦ったウルフェイは、何とかかすり傷を負わせたのみ」
 「・・・確かに・・・」
 「命懸けの戦いとは、二度以上同じ相手と戦う事の方が珍しい、このままではだめだ、せめて、さっきの状態を引き出せなければね・・・」
 「・・・出来ませんか・・・?」
 今度は疑問符を表現するように右手を開いて胴に押し当て
 「私が?」すぐに右手を降ろす「ま、手伝うことぐらいは出来るだろう、これでも、王国一の突剣使いを自負している身、君を何度か追い詰めることぐらいはできるかもしれない・・・だが、ウルフェイのやつは、君がそれを使いこなしても勝てるかどうかは怪しい、それでもやるかい?」
 「・・・お願いします!!」
 俺は大きく頭を下げた、
 「・・・いいだろう、それじゃ、試練の内容はこうしよう・・・君がその力を使いこなせるようになったら、合格だ、私のクレストを渡そう、さぁ、ぼやぼやしている暇はないぞ、てやぁっ!!」
 突き出されたフラサンの突剣を合図に、俺達の試練は始まった・・・
 ・・・幾度もの剣の音が響き合う、何度も追いつめられ、俺はその度にいつの間にか体が動いて極限状況から脱していた、そして、ついにその時は訪れた・・・
 ガシン!
 フラサンの胴鎧に俺の突剣の先が当たる・・・
 「見事だ、ある程度力の加減も出来るようだな・・・」
 「ありがとうございます」
 二度目思う存分に頭を下げ、礼を表す、
 「何、お前さんが努力していれば、いずれ辿り着けた領域だよ、だが、今後は力におぼれないようにな、さ、約束通りこれを渡そう、バタフライ&サンダービークレストだ、蝶の様に舞い、蜂の様に刺す、それが私の性分でね」
 渡されたものを剣持たぬ左手に受け取る、それはフラサンの盾に斜めに突剣が刺さったようなクレストだった、
 「ありがとうございます、後・・・」
 言いながら、俺はフラサンに頭を上げる
 「ん?何だい?」
 「ソウルクレストについて教えてほしいのですが・・・これは一体何ですか?」
 ・・・
 ・・・
 ・・・はっ!・・・
 気が付くと、仮眠室の時計が・・・10分ほど進んでいた、あんなに訓練したはずなのに・・・
 どうやら、夢の中のような出来事であるため、時間が進むのも遅く感じるらしい、
 『サトル、その左手に持つものは・・・』
 確かに、いつの間にか、バタフライ&サンダービークレストが握られていた・・・
 「フラサンから託された、」
 そう事情を説明しながら、改めてブルーリアを見る
 「行くぞ、ウルフェイを倒しに」
 『あいつから・・・?なるほど・・・』
 「それと、頼みがある」
 『なんだ?』
 「ウルフェイの戦闘データについて、知っていることを出来る限り教えてほしい」
 
 いた!
 「待ちかねたぞ」
 白い広場の中、ウルフェイが俺の方にゆっくりと俺達の方に歩いてくる・・・
 「行くぞ、身体が固まる前に変身だ」
 ユウキの音頭に俺達は応える
 「ああ!」
 「うん!」
 「おお!」
 「ええ!」
 そして、一斉に剣を引き、エネルギーが体にまとう中で俺達は宣言する!!
 「赤の騎士!キシケンレッド!!」引き竜のポーズで決めるレッド!
 「青の騎士!キシケンブルー!!」剣を縦に持ち決める俺!
 「黄の騎士!キシケンイエロー!!」剣持つ右手と共に両腕を鳥の様に大きく広げ決めるイエロー!
 「緑の騎士!キシケングリーン!!」腰を落とし、大きく剣を振り下ろして決めるグリーン!
 「桃の騎士!キシケンピンク!!」剣と左手を横にし竜巻のようなポーズを決めるピンク
 我ら!騎士の剣と魂を継ぎしもの!
 騎士剣戦隊!!キシケンジャー!!
 後ろで大きな爆発!!
 『決まった!演出用の剣に仕込んだ術も決まった!!』
 レッドリアが感動した風な声を出す・・・
 が、ウルフォスは馬鹿にするように見下し
 「下らねぇ、実に下らねぇなぁおい!!こんなこと考えんのは、レッドリア、てめぇだろう、大方その爆発も、別の理由でこっちに来る前から仕込んでいた物だろう・・・」
 『うるさい!時に騎士には、ハッタリも必要なのだ!戦闘狂の貴様にはわからんだろうがな!!』
 「へん、一生分かりたくないね!!やれ!!」
 キキヤャアア!!
 「ハリー!!」
 首を少しこちら側に振りながらのやれの指示に、戦闘員と魔怪人が走り出しこちらに向かってくる、
 「ウルフェイは、任せたぞ、キシケンブルー!!」
 「あ、ああ!」
 ユウキの声に答え、俺は走る
 「そうだ、そうこなくっちゃな!!」
 レッドが魔怪人を、他が戦闘員を引き受ける中で、俺はウルフェイと対峙する、
 今までにない速度で駆けてくるウルフェイ、だが・・・見える!!
 ガキン!
 右爪の振り下ろしを寸前で剣で防いだ!
 「なにぃ!?」
 「ワンパターンなんだよ!」
 そのまま押し斬る!
 「ぐはっ!ま、まぐれだ!これなら!!」
 一気に俺の周りを回り出す・・・このパターンは・・・
 1・・・2・・・違う・・・3・・・4・・・ここだっ!!
 振り返りざまに一閃を加えると、ウルフェイが突っ込んできていた、無論、そのまま斬り飛ばす!ウルフェイは大きく後ろに倒れ込みながら
 「ぐはぁ~ば、ばかな!!」
 「お前のことは、ブルーリアから教えてもらった」あの攻撃から大体2秒後か5秒後か10秒後に突っ込んでくる癖もな
 ウルフェイは下からこちらをにらみつける
 「ぐ・・・おのれ・・・!」
 「さぁ、少なくとも、その鎧は砕き、無力化させてもらう!」
 近づき、ブルーリアから教えてもらった通り、胴部の鎧の継ぎ目を狙う、ここを斬れば、鎧の鉄板が変に垂れ、動きを阻害するはずだ、
 思い切りブルーリアで下に突く!
 ガキン!
 しかし、立てた音は無情にも鉄の音・・・!?
 『馬鹿な、こいつ、鎧の継ぎ目が無い!?』
 そこでウルフェイが思い切り蹴りを振るい、俺達を弾き飛ばした!
 「ぐはっ!」
 キシケンブルー!!
 ブルーリア!!
 仲間たちの声を聴きながらも、
 後ろに倒れつつも再び立ち上がり再度対峙する俺とウルフェイ
 ウルフェイが俺達を見据え付ける
 首をこちらに微小に振りながら「驚いたか?」そのまま見据え「俺はな、魔皇帝とやらと取引して、」右腕を空前に出しつつ「この魔鋼の肉体を手に入れたのよ、ブルーリア、お前と戦い、勝つためにな!!」思い切り右拳を握る!「だが、今回は俺は引いておこう、鍛え直す必要性も出てきたようだし、しんがりはよろしくな、ハリリトン、あばよ!!」
 「待てっ!」
 が、ウルフェイが後ろに向いて走り去る間にも、ハリリトンと呼ばれた魔怪人と戦闘員が集まり壁となる、
 その間にもウルフェイは視界の向こうに消え去ってしまった・・・
 「ぐ・・・だが、あの魔怪人まで逃がすわけにはいかない!!」
 『使うのか?』
 「ああ、出来ればウルフェイを追いたいからな、一分一秒が惜しい、クレストを使う!!」
 クレストをユウキがやっていたのと同じように、剣にセット!
 『バタフライ&サンダービークレスト!!』
 一気に近づき、それをハリリトンが右針をカウンター気味に突き出してくる、
 それは左手に蝶の様に舞い避ける、戦闘員が動きが止まった瞬間に槍を突き出すが、それを元の場所に戻る様に舞い避ける!
 さらに槍を舞い避け舞い避け、舞い避け、壁の様になっているので一周は無理だが、それでも左右に大きく往復して避け続けた、
 戦闘員もハリリトンが首を傾げ隙を晒す、そこだ!!
 『バタフライ&サンダービークレスト!!』
 ハリリトンに一気に剣を突き刺し、電気の一撃をお見舞い、感電!
 「ハリリリリリリリリ!!」
 動きが止まる、今だ!!一旦みんなの元に戻り、
 ナイトソードスラッシュ!!
 全員の色とりどりの剣撃がハリリトン達を襲い、爆発、消滅させる、
 しかし、結界がハリリトンに収束、巨大化して行く、
 やっぱりこうなるか、ウルフェイも見失ったし、ここは・・・
 「ブルーサーペント!!」
 「レッドドラゴン!!」
 「イエローキマイラ!!」
 「グリーンベヒモス!!」
 「ピンクフェニックス!!」
 5体の守護精を呼び寄せ合体、
 完成、キシケンオー!!
 「一気に決着をつけるぞ!」
 剣を抜き、急いで近づく、が、ハリリトンが全身から針を射出して攻撃してきた!
 そのダメージに思わず後退!
 「ちょっと!あんな攻撃使ってなかったじゃない!!」『多分、魔力を収束させた影響で新しく使えるようになったんだわ・・・』
 キシケンイエローの愚痴と解説
 その間にも針二撃目でさらに後退、三撃目は剣である程度弾くもそれでも・・・
 「ちょっと!あんなにさらさら避けられるならどうにかしなさいよ!!」
 こっちに流れ弾が・・・
 「無茶言うな、全方位同時攻撃なんて避けられるわけないだろう!!」
 「そうだ!擬態のビークルでなら、ダメージは少ないかもしれません!!」
 確かに、ユナの言う通りかもしれない、生身よりもダメージは少ないかも、だが・・・
 「それだと、パワーが足りないかもしれない、せめて、ビークルで合体出来れば」
 ジンカイの言う通『できるぞ』
 え・・・!?レッドリアの一言に俺達五人の戸惑いの声が一斉にハモり、レッドリアに視線が集まる
 『出来るぞ、擬態状態での合体だろ?』
 ・・・
 そんなことは先に言え!!
 黙り状態からの五人の続けてのハモり・・・ああ・・・
 「ともかくやるぞ!!」
 ユウキの一言により、一旦分離、ビークルになり再度同じように合体!!
 正面を見ながら右手を開き後半後ろ部分で右手を大きく前に出し叫ぶ
 完成!キシケンオービークル!!
 胴体を消防車が、右手をパトカーが、左手をクレーン車が、右足を緑の新幹線が、左足を救急車が構成する、
 頭は消防官の銀の膜なしの赤いヘルメットをかぶったような鋼の顔だ
 「ハリーーーーー!!」
 再度の針攻撃だが、あまり痛くはない、それに・・・
 「はしごを借りるぞ!」ユウキに一言いいながら、
 背中のはしご車を右手で銃代わりに持ち、水を弾丸として発射!
 当たった部分からハリリトンの体全体が吹き飛ぶ!
 「ハりー!」
 さらに追撃の銃弾!吹き飛ばす!!
 「ハりー!」
 向こうに吹き飛ばし立ち上がる間に一気に近づき、キシケンオーを戻し、一気に剣を振りかぶる!
 キシケンオー、キングスラッシュ!!
 至近距離からの斬撃に、ハリリトンの身体は魔力の爆発を起こし消滅した・・・
 
 『よかったな、フェンシングに復帰するのだろう?』
 戦いが終わり、草の生えた川の土手で空を見ていると、ブルーリアが話しかけてきた
 「ああ、そう考えてる」
 「なんだよ、よくわからないがめでたいじゃないか!!」
 ユ、ユウキ!?
 後ろを振り返ると、ユウキをはじめとした皆が温かい目で俺を見ていた
 「そうよ、よかったじゃない!」
 「何かあったら、いつでも相談してくれ!」
 「私達でよければ、いつでも、相談に乗りますよ」
 みんなまで・・・
 「そうだ、俺達仲間じゃないか!!」
 ユウキの一言、だが・・・
 「仲間と認めたつもりはない」
 「お、じゃあ、なんだ?」
 「まだ、仲間じゃない、お前達の実力を、すべて見切ったわけじゃないからな」
 「おお、素直じゃねぇなぁ!!」
 「素直に認めちゃいなさいよ!」
 「そうだそうだ!!」
 「まったくです!!」
 そんなことを言いつつも、皆、頬が緩んでいた、きっと、一番緩んでいたのは、俺に違いない・・・
 
 「おやおや、威勢よく出かけて行った割には、随分お早く戻ってきたようで」
 「なんだ、ギャルガか・・・」
 日も暮れ人のいない立体駐車場と呼ばれるところの高層階端で、狼鎧がギャルガ向こうの街の明かりを返す中で、俺はまたこいつに因縁付けられていた
 「人のことを散々こき下ろした癖に、簡単に負けてきて」
 「負けてはいない」
 「ほう・・・」
 「だが、鍛え直す必要性はある・・・」
 そして、俺は、振り返りここから出るように歩き出した・・・
 「どこに行くんです?」
 顔を横にして、横目でギャルがを見ながら俺は答える
 「修行だよ、今度こそ、勝つためにな・・・」
 そして、再び正面を向き、歩き出す・・・
 そうだ、俺は止まらない・・・ブルーリア、いや、キシケンジャーと、キシケンブルーに勝つまでは!!
 
名・裏切りの騎士・ウルフェイ
概・M モンスター 使役2 魔力1400 哺乳・雷属性
発・戦闘前・自任意・次の戦闘が終了するまで・条文の頭に指定:
条・主対象:一・次の戦闘に参加するこのモンスター
      二・次の戦闘に参加する相手のモンスター
   略・“”
効・第一効果:二の魔力を100下げる
       ・二の魔力が800以下だった時、
        時限無しで相手のトラッシュに送る
文・戦いのスリルにとりつかれ騎士団を裏切った狼鎧の騎士だ!
  神速の刃でキシケンジャーを苦しめるぞ!!
 
名・キシケンブルー 識学 サトル
概・M モンスター 賃金1 生命力1000 キシケンジャー・雷属性
発・戦闘前・自任意・次の戦闘終了まで・条文の頭に指定:
条・主対象:一・次の戦闘にこのモンスターと
        相手のモンスター・ツインズが参加する時
   主対象単体であるため全対象とする
効・第一効果:以下の効果のうち一つを選ぶ
       ・この一の生命力を100上げる
       ・相手の一の賃金が0だった時、
        この戦闘のみスキップする
文・青の騎士、キシケンブルーに変身する青年、
  ブルーリアと共に、あくまでクールに鋭く戦うぞ!
 
名・裏切りの騎士の疾風の先制攻撃 
概・R リサイクル 使役0 スピリット・雷属性
発・使役で表になった時・自任意・このターンの間のみ・条文の頭に指定:
条・主対象:一・相手のモンスター1体
      二・自分の使役と魔力持ちのモンスター1体
   主対象単体であるため全対象とする
効・第一効果:一の魔力を300下げる
       ・一の魔力が0以下の時、相手のトラッシュに送る
文・神速の剣はキシケンジャーよりも先制して攻撃できる、
  キシケンジャーは果たしてこの剣を打ち破れるのか!?
 
名・裏切りの魔の力・・・
 
名・キシケンバッシュ!
概・R リサイクル 賃金0 キシケンジャー・光属性
発・相殺時・自任意・次の戦闘終了まで・条文の頭に指定:
条・主対象:モンスターかリサイクルで相殺された時
      自分の方は名前かカテゴリに
      「キシケンジャー」と入っていなければならない
   主対象単体であるため全対象とする
効・第一効果:自分のモンスター・リサイクル効果のみ、
       もう一度発動させることができる
       相手の方は相殺扱いとなる
文・盾で相手の攻撃をはじき、相手に隙を作らせる、
  この間に一撃入れて、一気に状況を有利にするぞ!
 
名・裏切りの騎士の疾風の先制攻撃
概・R リサイクル 使役0 スピリット・雷属性
発・使役で表になった時・自任意・このターンの間のみ・条文の頭に指定:
条・主対象:一・相手のモンスター1体
      二・自分の使役と魔力持ちのモンスター1体
   主対象単体であるため全対象とする
効・第一効果:一の魔力を300下げる
       ・一の魔力が0以下の時、相手のトラッシュに送る
 
魔皇帝一派
裏切りの騎士・ウルフェイ M 使役2 魔力1400 哺乳・雷属性 戦闘前
裏:0表:2
 
キシケンジャー
キシケンレッド 常道 ユウキ M 賃金1 生命力1000 キシケンジャー・火属性 戦闘前
 ナイトソード・レッドリア E 賃金0 生命力300 刃・火属性 戦闘前
キシケンブルー 識学 サトル M 賃金1 生命力1000 キシケンジャー・雷属性 戦闘前
裏:1表:1
 
裏切りの騎士・ウルフェイ M 使役2 魔力1400 哺乳・雷属性 戦闘前
 
戦闘開始!!
 
キシケンレッド 常道 ユウキ M 賃金1 生命力1000 キシケンジャー・火属性 戦闘前
 ナイトソード・レッドリア E 賃金0 生命力300 刃・火属性 戦闘前
 
名・キシケンレッド 常道 ユウキ
概・M モンスター 賃金1 生命力1000 キシケンジャー・火属性
発・戦闘前・自任意・次の戦闘終了まで・条文の頭に指定:
条・主対象:一・次の戦闘にこのモンスターと
        相手のモンスター・ツインズが参加する時
   主対象単体であるため全対象とする
効・第一効果:以下の効果のうち一つを選ぶ
       ・この一の生命力を100上げる
       ・相手の一の生命力が300以下だった時、
        この戦闘のみスキップする
 
名・騎士剣の誇り キシケンチャージ!!
概・R リサイクル 賃金0 キシケンジャー・光属性
発・戦闘前・自任意・次の戦闘終了まで・条文の頭に指定:
条・主対象:次の戦闘に参加する自分のモンスター・ツインズ
   主対象単体であるため全対象とする
効・第一効果:主対象の生命力を200上げる
  ・主対象がカテゴリに「キシケンジャー」を持っていた時
   さらに生命力を400上げる
 
名・裏切りの騎士・ウルフェイ
概・M モンスター 使役2 魔力1400 哺乳・雷属性
発・戦闘前・自任意・次の戦闘が終了するまで・条文の頭に指定:
条・主対象:一・次の戦闘に参加するこのモンスター
      二・次の戦闘に参加する相手のモンスター
   略・“”
効・第一効果:二の魔力を100下げる
       ・二の魔力が800以下だった時、
        時限無しで相手のトラッシュに送る
 
騎士剣の誇り キシケンチャージ!! 裏切りの騎士・ウルフェイ 相殺
 
裏切りの騎士・ウルフェイ M 使役2 魔力1400 哺乳・雷属性 戦闘前
 
戦闘終了
 
キシケンレッド 常道 ユウキ M 賃金1 キシケンジャー・火属性 戦闘前 トラッシュ!
 ナイトソード・レッドリア E 賃金0 刃・火属性 戦闘前 トラッシュ!
生命力1000+生命力300-300 計1000
 
名・裏切りの騎士の見払い闇討ち
概・H ハンド 使役0 エフェクト・闇属性
発・戦闘後・自任意・このターンの間のみ・条文の頭に指定:
条・主対象:一・この戦闘で相手のモンスターに勝利した、
        名前に裏切りと入った、魔力持ちのモンスター
      二・互いに何のカードも置かれていない場所1つ
      三・互いのチャージゾーンにカードが二枚ずつ以上存在する時
   主対象単体であるため全対象とする
効・第一効果:二の自分の側に以下を使役0で召喚する
       名、カテゴリは、一と同じ、使役0 魔力0
       その他無しのモンスター、
       これはその場所から動くか時限を超えた時消滅する
文・闇の勢力はどんな手段も使ってくる、裏切りなどお手の物だ、
  キシケンジャー達はそんな存在に勝てるのか、みんなで応援しよう!!
 
魔皇帝一派
 
戦闘開始!!
 
キシケンブルー 識学 サトル M 賃金1 生命力1000 キシケンジャー・雷属性 戦闘前
 
魔皇帝一派 ダメージ
 
戦闘終了
 
キシケンブルー 識学 サトル M 賃金1 生命力1000 キシケンジャー・雷属性 戦闘前
 
裏切りの騎士・ウルフェイ 使役0 魔力0 哺乳・雷属性
 
戦闘開始!!
 
キシケンジャー
 
裏切りの騎士・ウルフェイ 使役0 魔力0 哺乳・雷属性
 
戦闘終了
 
キシケンジャー ダメージ
 
魔皇帝一派
山札:28枚 手札:3枚 ライフカード:4枚
チャージゾーン:2枚 トラッシュ:2枚
モンスターゾーン
裏切りの騎士・ウルフェイ M モンスター 使役2 魔力1400 哺乳・雷属性 戦闘前
 
VS
 
キシケンジャー
山札:27枚 手札:3枚 ライフカード:4枚
チャージゾーン:2枚 トラッシュ:3枚
モンスターゾーン
無し
キシケンブルー 識学 サトル M 賃金1 生命力1000 キシケンジャー・雷属性 戦闘前
 
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騎士剣戦隊キシケンジャー/4

騎士剣戦隊キシケンジャー 4
 
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 「ふぅぁあああ~!」
 俺は水色のチェックの薄い掛布団の中から身を起こす、
 まったく、ここ最近は変な事ばかりだ・・・
 水色と青を基調とした部屋で思わず考えてしまった、
 『やぁ、サトル、目を覚ましたか!』
 が、その元凶が右手、部屋端の中ほどにある机の上より声をかけてきたことで、俺の目も完全に冴えてしまった・・・
 今は黒いリストバンドに剣型のアクセサリの様に付いている、ブルーリアというやつだ・・・
 『さて、今日はどうするんだ?守護精かソウルクレスト探しに協力してくれるとありがたいのだが・・・』
 「お前、騎士だって言ってたな・・・」
 『ん?そうだが?私の知恵を借りたいのかな?』
 「・・・少し、顔を貸してもらおうか・・・」
 ・・・そうして、俺は朝食を食べ、青いジャケットを中心としたいつもの服に着替え、布に包んだとあるものを持って人気のない裏路地まで行く・・・
 ビルに囲まれてはいるものの、めったに人のこない裏路地、ここだけ広場のようになっているので、部屋の中で振り回すわけにもいかないこいつを振り回すのにはもってこいなのだ・・・
 そこで布を解いたあるものを右手に握る、
 『それは・・・レイピアかな?私の世界にもある突剣だが、先の方が丸いな、これでは相手を貫けない・・・』
 「いいから、少し俺の突き筋を見てくれ・・・」
 鋼に輝き腕を守る丸いナックルガードの付いた剣を、スマホにタイマーを設定しポケットにしまい込んだ後、俺はひたすらに前に突いた、
 ただひたすら、ひたすら、筋肉が悲鳴を上げるか、スマホに設定したタイマーが鳴るまで・・・
 先に鳴ったのは、タイマーの方だった・・・
 ピピピ、ピピピ、ピピピ・・・
 「どうだ、俺の剣は・・・」
 『ふむ・・・素晴らしい、突きの鋭さだけなら、あれを超えるかもしれないな、場合が場合じゃなかったら、騎士団にスカウトしたいぐらいだ』
 「あれ、とは?」
 『ああ、うちの騎士団一の突剣の使い手だよ、あれは・・・』
 「サトル!またこんなところに!!」
 大きな男の声が響き渡ると共に、通りより大きな筋肉質の男が入ってきた、
 ジャケットに立った黒髪が、力強さを物語っている、
 「タテワキさん」
 その人、タテワキさんが気合のこもった目でこちらを見て両手を握り込む
 「そこまで剣に熱心なら、なぜうちに戻ってこない!知っているんだぞ、毎日ここで剣の練習をしていることを・・・」
 「しかし・・・俺は・・・」
 「何度も言っているだろう、俺を傷つけたことなら、気にしなくていいと!」
 「そ・・・それは・・・」
 キャ~!キャ~!
 悲鳴・・・?
 「なんだ、外が騒がしいな・・・」
 タテワキさんも言いながら通りの方を振り返り覗く
 通りの空に見えるあれは・・・結界!?
 「すみません、タテワキさん、用事を思い出しました、後、ここから逃げてください!」
 「おい!サトル!!」
 通りから出てみんなに連絡しつつ結界の方に走り込んで行くと、その途中で戦闘員を引き連れた奇妙な奴に出くわした、
 鋼の針が全身より突き出ている人型で、その中でも無造作に大量に集まり刃の様に両拳と一体化した大量の針が目を引く・・・
 まさか、魔怪人!?戦闘員も一緒だから間違いなさそうだが、だが、結界の外だぞ!?
 「サトル!」「サトル!」「サトル!」「サトルさん!」
 その次の瞬間にはみんなも後ろに走り駆けつけてきた、
 そんな中でユウキが正面の魔怪人を確認し、
 「こいつが、次の相手なのか?」
 俺も魔怪人の方に顔を向け
 「恐らくな・・・」
 と、行っている中で、魔怪人が戦闘員と共に走り込んできた、
 「行くぞ!」
 『わかった!』
 ブルーリアが元に戻り、それを俺が引き抜く、
 青きエネルギーが全身を纏う!
 『名乗りだ!』
 ええい、やんなきゃいけないのか?
 「青の騎士・・・キシケンブルー!!」
 そう言っている間に、戦闘員は変身していく他のみんなに、あの針男は俺の方に向かってきた
 『サトル、お前の剣の冴えを見せてやれ』
 剣の冴え・・・思わず戸惑いながらブルーリアを見つつ
 「あ、ああ・・・」
 生返事を返しながらも、俺は針男と一直線に対峙する、落ち着け、フェンシングと違って相手は二本、それに一撃で勝負が決まるわけじゃない・・・
 向こうがこちらに駆け出し、右手の針を突き出してくる、すかさず内側に避けるともう一本が、
 だが・・・遅い!
 ブルーリアでもう一本をいなしつつ、素早く踏み込みながら突く!
 「ハリー!!」
 相手は吹き飛ばされつつもなんとか持ちこたえた、だが、すかさず走り込むと、今度は左手の針を突き出してきた、
 だが、左右逆手とはいえワンパターン!
 大きく姿勢を下げ、下より打ち上げる様に突く!
 「ハリャアア!!」
 相手は向こうで背中を打ち、立ち上がろうとするが、今だ!
 「とどめだ!」
 「そうはさせるかよ!」
 左手より来る爪が俺の体を捕らえ、鋭い痛みを与えながら弾き飛ばされ
 「ぐはっ!」
 立ち尽くす
 「よう、ブルーリア、ひさしぶりじゃねぇか・・・!」
 青い、狼男・・・?いや、赤い宝玉のような瞳だが目つきの悪い青い鋼の狼の鎧が一体化しているような・・・そんな存在・・・!
 「どうした?ひさしぶりの再開だというのに、何も言ってくれないのか?」
 だが、纏う気配が違う、それに、明らかに俺よりも・・・速い!
 「お前は・・・誰だ・・・?」
 「しらばっくれるな、ウルフェイだよ、お前も随分変わっちまってまぁ・・・」
 『何を勘違いしているウルフェイ、私はこっちだ』
 「ん?今、お前の剣が喋ったような・・・」
 『そうだ、剣が喋ったのだ、私は今、故あって剣の姿をしている』
 「え!?」
 まじまじとブルーリアを見つめるウルフェイ・・・知り合いが剣の姿をしてればそうなるのも無理はないかもしれない・・・
 「じゃあ、お前を握っているのは一体誰だ?」
 『こいつか?こいつはキシケンブルー、私の弟子のようなものだ』
 「勝手に弟子にするな」
 「弟子・・・そうか弟子か・・・!なら、そいつを倒せばお前と戦えるんだなぁ!!」
 ぐ、いつの間にか俺の前に、右爪での引き裂きが俺を襲い、気が付くと回り込まれ左手爪での一撃、そして、真正面からの爪を使ったサマーソルトキック
 「どうしたどうした、この程度か!」
 こ、この・・・!
 相手は一直線に突っ込んでくる、自分の速さに相当自信があるのだろう、だが、
 当てる、当てる、当てる!
 はぁあああ!!
 渾身の一撃を込めた突きは、ウルフェイの左頬をかすめていた
 「いいねぇ、いい突きだ、だが、ためらいが見えるっ!」
 繰り出された右腕の攻撃は俺を倒すのに十分な威力だった、
 しかし、次の瞬間、
 「ソードアンドシールドクレスト回転切り!」
 キシケンレッドの剣が周囲の戦闘員を斬り裂き
 キキヤャアア!!
 ドドドドドガーン!!
 「ナイトソードスラッシュ!」「ナイトソードスラッシュ!」「ナイトソードスラッシュ!」
 三人のナイトソードスラッシュが先にいた戦闘員たちを斬り倒す
 キキヤャアア!!
 ドドドドドガーン!!
 そんな感じの背後より、他のみんなが戦闘員たちを撃破爆破する音が聞こえ、
 「大丈夫か!」「大丈夫!?」「大丈夫かー!!」「大丈夫ですか!?」
 駆け寄ってくる・・・
 「ちっ、興がそがれたぜ、まぁいい、次は領地の中で待ってるからな、そりゃ!!」
 ウルフェイの爪が地面をえぐってほこりを起こし、ほこりが消えた次の瞬間には、ウルフェイは魔怪人ともども姿が消えていた・・・
 ・・・俺は、何とか立ち上がる、まわりに気配はすでにない・・・
 皆もそう感じたのだろう、変身が解かれ、俺の所に集まる・・・
 『ブルーリア、あいつは・・・』『間違いない、ウルフェイだ』『だけど、あの姿は?』『狼を模した鎧は好んで着ていたが・・・』『普通の人間だったはず・・・』
 『サトル、どうする?』
 ブルーリアの言いたいことはわかる、今のままだと、足りない・・・
 「・・・少し、修業してくる・・・」
 そう言って俺は振り返り、皆を置いてとある場所に向かって歩き出す
 「おい、サトル!」
 「サトル!」
 「サトル!!」
 「サトルさん!!」
 そんなみんなの声を背後に聞きつつ
 『何かあったら、すぐに連絡をくれ!!』
 ブルーリアの言葉を後に乗せ、俺はある場所へと足を運んで行く・・・
 『サトル、何か修業の心当たりでも?だが、ためらいが見えるとか言ってたな、どういうことだ?まさか、あのタテワキとかを怪我させたからか?』
 「・・・半分当たりで半分外れだ・・・」
 『何・・・?』
 「・・・半年ほど前、俺は試合でタテワキさんと当たった、俺は、タテワキさんとの模擬試合で連敗続きで、どうしても勝ちたく・・・」
 『特訓したと?』
 「ああ、スポーツトレーナーに無理を言って専属になって様々なアドバイスをもらい、何度もイメージトレーニングを繰り返し、そして、勝った」
 『それはよかった・・・』
 「だが、あの試合は・・・今までで体感したことが無いほどに不思議な試合だった・・・」
 『どう?』
 「勝利への執念、勝ちたい勝ちたい勝ちたいで考えが埋まっているはずなのに、頭は冷静で、相手の攻撃を全て体が勝手に避け、勝手に攻撃を当てていた、そう、先程のウルフェイの様に・・・」
 『ほほう・・・』
 「だが、それがいけなかった、攻撃を胸に一気に打ち込んでいまい、ガードを貫き、タテワキさんに出血までさせてしまった、タテワキさんはああ言っているが、俺はまた、ああなってしまうのが怖い・・・」
 『それじゃあ、この間の戦いは、もしかして、手加減していたのかい?』
 「そうかもしれない・・・本気を出して、また、何かを傷付けてしまいそうに・・・」
 『それはそれは・・・』
 「タテワキさんがああ言っている以上、遠慮するのはタテワキさんに対して失礼だろう、だが、自分のこの気持ちだけは、どうにも抑えられそうに、着いた」
 右手にある、前方に歪曲したベランダが付いたような白い爽やかなビル、
 その一階上正面には、スルドキフェンシングスクールと、アルファベットで白く一文字一文字造形されていた・・・
 『ここは・・・?』
 「俺の通っていた、フェンシング道場だ、俺はここで、選手兼、コーチをしていたんだ・・・情けない話だ、あの時、フェンシングをやめると誓ったはずが、毎日毎日突きの練習をして、あげく、ここに戻ってきたんだからな・・・」
 
 ビーッ!
 おお~すげ~タテワキさんが瞬殺だ~!
 そのフェンシングスーツとフェンシングマスクに身を包んだタテワキさんが近づ目の前で立ち止まる・・・
 「強くなったな、鍛錬の成果か?道場にも顔を出さないのに、まさかここまで・・・」
 「いえ・・・」
 フェンシングスーツ姿でタテワキさんと話し合う、
 俺を追い詰める状況を再現すれば、もしかしたら、あの試合の状態の手掛かりになるかと思ったのだが・・・
 タテワキさんがこれでは、この道場では・・・
 「・・・少し、この格好で精神統一をさせてくれませんか?、出来れば、邪魔にならない場所で・・・」
 「ああ、仮眠室を貸してあげよう、他の皆にはしばらく近づかないよう、私から言っておくよ」
 「すみません、ありがとうございます・・・」
 
 畳敷きの部屋の中で、俺はフェンシング用の仮面を横に置き、正座をし、精神を統一する、
 どうすればいい、どうすれば俺はあれを・・・
 「それは、無我の境地ってやつかもしれないね・・・」
 「誰だ!?」
 気が付くと、俺は直立した状態で暗い空間で足元に重く白い煙の流れる空間にいた、
 まさか、ユウキの言っていた、試練の空間か!?
 目の前に、一人の騎士が立っていた、兜の上に糸の太い白い羽のようなものが付いた派手で青い帽子をかぶり、その盾には白い蝶に蜂が重なったような紋章があしらわれている
 それが気取るように両手両腕を広げ
 「初めまして、私の名前はフラサン、君たちの探すソウルクレストの騎士の一人だ」
 「どうして、俺の前に?」
 「この私の力を使い、王国を救ってくれるものを探していてね、それでこの道場に来たのだが、」呆れたように首を左右に振る「私の眼鏡にかなうものがいなくてね、」さらにそれが右手を気取り出しながら俺を見据え「ブルーリアが付いていたので、君なら、と、そう思ったわけさ、もっとも、私の剣技を扱い切れるとは思えないがね?」
 「それじゃあ、試練をこなせば、力を貸してくれるのか?」
 右手で帽子の前を気取るように上げる
 「その前に、君の素質に対して、私の推論を述べておこう、少し、盗み聞きさせてもらったがね、おそらく、君は無我の境地に達しかけていたんだ、私の知っているものとは、少し違うがね・・・」
 「無我の境地?」
 それが右手を大きく外側に回しつつ話す
 「何も考えなくとも相手の動きに反応して避け防ぎ、相手に的確に攻撃できる、そんな状態さ」
 「確かに、俺が陥ったのは状態と共通点があるが・・・」
 「タテワキとの戦いではその戦う前の執念で、ウルフェイの時は戦わなければならないという強迫観念で、だが、君のそれにはある欠点がある」
 「それは?」
 今度は右人差し指を上げながら顔の前に持ってきて
 「一つは、無我の境地は本来、何も考えない状態を指すのだが、君は一つのことに集中しすぎた時に起きるようだ、これはまぁ、欠点とも利点とも言いづらいだろう、問題はもう一つの方だ」
 「もう一つ?」
 ここにきてようやく右手を下げる
 「恐らく、戦いの経験が足りていないせいだろうね、君は相当数同じ相手と戦わないと、効果的に攻撃と防御ができないようだ」
 「どうして、そう・・・」
 「タテワキとウルフェイとの試合の違いだよ、タテワキの場合、幾度も戦ったおかげでデータが足りていたせいか、以前に勝ち相当時間の経ったさっきの戦いも勝ちに持ちこめた、だが、初めて戦ったウルフェイは、何とかかすり傷を負わせたのみ」
 「・・・確かに・・・」
 「命懸けの戦いとは、二度以上同じ相手と戦う事の方が珍しい、このままではだめだ、せめて、さっきの状態を引き出せなければね・・・」
 「・・・出来ませんか・・・?」
 今度は疑問符を表現するように右手を開いて胴に押し当て
 「私が?」すぐに右手を降ろす「ま、手伝うことぐらいは出来るだろう、これでも、王国一の突剣使いを自負している身、君を何度か追い詰めることぐらいはできるかもしれない・・・だが、ウルフェイのやつは、君がそれを使いこなしても勝てるかどうかは怪しい、それでもやるかい?」
 「・・・お願いします!!」
 俺は大きく頭を下げた、
 「・・・いいだろう、それじゃ、試練の内容はこうしよう・・・君がその力を使いこなせるようになったら、合格だ、私のクレストを渡そう、さぁ、ぼやぼやしている暇はないぞ、てやぁっ!!」
 突き出されたフラサンの突剣を合図に、俺達の試練は始まった・・・
 ・・・幾度もの剣の音が響き合う、何度も追いつめられ、俺はその度にいつの間にか体が動いて極限状況から脱していた、そして、ついにその時は訪れた・・・
 ガシン!
 フラサンの胴鎧に俺の突剣の先が当たる・・・
 「見事だ、ある程度力の加減も出来るようだな・・・」
 「ありがとうございます」
 二度目思う存分に頭を下げ、礼を表す、
 「何、お前さんが努力していれば、いずれ辿り着けた領域だよ、だが、今後は力におぼれないようにな、さ、約束通りこれを渡そう、バタフライ&サンダービークレストだ、蝶の様に舞い、蜂の様に刺す、それが私の性分でね」
 渡されたものを剣持たぬ左手に受け取る、それはフラサンの盾に斜めに突剣が刺さったようなクレストだった、
 「ありがとうございます、後・・・」
 言いながら、俺はフラサンに頭を上げる
 「ん?何だい?」
 「ソウルクレストについて教えてほしいのですが・・・これは一体何ですか?」
 ・・・
 ・・・
 ・・・はっ!・・・
 気が付くと、仮眠室の時計が・・・10分ほど進んでいた、あんなに訓練したはずなのに・・・
 どうやら、夢の中のような出来事であるため、時間が進むのも遅く感じるらしい、
 『サトル、その左手に持つものは・・・』
 確かに、いつの間にか、バタフライ&サンダービークレストが握られていた・・・
 「フラサンから託された、」
 そう事情を説明しながら、改めてブルーリアを見る
 「行くぞ、ウルフェイを倒しに」
 『あいつから・・・?なるほど・・・』
 「それと、頼みがある」
 『なんだ?』
 「ウルフェイの戦闘データについて、知っていることを出来る限り教えてほしい」
 
 いた!
 「待ちかねたぞ」
 白い広場の中、ウルフェイが俺の方にゆっくりと俺達の方に歩いてくる・・・
 「行くぞ、身体が固まる前に変身だ」
 ユウキの音頭に俺達は応える
 「ああ!」
 「うん!」
 「おお!」
 「ええ!」
 そして、一斉に剣を引き、エネルギーが体にまとう中で俺達は宣言する!!
 「赤の騎士!キシケンレッド!!」引き竜のポーズで決めるレッド!
 「青の騎士!キシケンブルー!!」剣を縦に持ち決める俺!
 「黄の騎士!キシケンイエロー!!」剣持つ右手と共に両腕を鳥の様に大きく広げ決めるイエロー!
 「緑の騎士!キシケングリーン!!」腰を落とし、大きく剣を振り下ろして決めるグリーン!
 「桃の騎士!キシケンピンク!!」剣と左手を横にし竜巻のようなポーズを決めるピンク
 我ら!騎士の剣と魂を継ぎしもの!
 騎士剣戦隊!!キシケンジャー!!
 後ろで大きな爆発!!
 『決まった!演出用の剣に仕込んだ術も決まった!!』
 レッドリアが感動した風な声を出す・・・
 が、ウルフォスは馬鹿にするように見下し
 「下らねぇ、実に下らねぇなぁおい!!こんなこと考えんのは、レッドリア、てめぇだろう、大方その爆発も、別の理由でこっちに来る前から仕込んでいた物だろう・・・」
 『うるさい!時に騎士には、ハッタリも必要なのだ!戦闘狂の貴様にはわからんだろうがな!!』
 「へん、一生分かりたくないね!!やれ!!」
 キキヤャアア!!
 「ハリー!!」
 首を少しこちら側に振りながらのやれの指示に、戦闘員と魔怪人が走り出しこちらに向かってくる、
 「ウルフェイは、任せたぞ、キシケンブルー!!」
 「あ、ああ!」
 ユウキの声に答え、俺は走る
 「そうだ、そうこなくっちゃな!!」
 レッドが魔怪人を、他が戦闘員を引き受ける中で、俺はウルフェイと対峙する、
 今までにない速度で駆けてくるウルフェイ、だが・・・見える!!
 ガキン!
 右爪の振り下ろしを寸前で剣で防いだ!
 「なにぃ!?」
 「ワンパターンなんだよ!」
 そのまま押し斬る!
 「ぐはっ!ま、まぐれだ!これなら!!」
 一気に俺の周りを回り出す・・・このパターンは・・・
 1・・・2・・・違う・・・3・・・4・・・ここだっ!!
 振り返りざまに一閃を加えると、ウルフェイが突っ込んできていた、無論、そのまま斬り飛ばす!ウルフェイは大きく後ろに倒れ込みながら
 「ぐはぁ~ば、ばかな!!」
 「お前のことは、ブルーリアから教えてもらった」あの攻撃から大体2秒後か5秒後か10秒後に突っ込んでくる癖もな
 ウルフェイは下からこちらをにらみつける
 「ぐ・・・おのれ・・・!」
 「さぁ、少なくとも、その鎧は砕き、無力化させてもらう!」
 近づき、ブルーリアから教えてもらった通り、胴部の鎧の継ぎ目を狙う、ここを斬れば、鎧の鉄板が変に垂れ、動きを阻害するはずだ、
 思い切りブルーリアで下に突く!
 ガキン!
 しかし、立てた音は無情にも鉄の音・・・!?
 『馬鹿な、こいつ、鎧の継ぎ目が無い!?』
 そこでウルフェイが思い切り蹴りを振るい、俺達を弾き飛ばした!
 「ぐはっ!」
 キシケンブルー!!
 ブルーリア!!
 仲間たちの声を聴きながらも、
 後ろに倒れつつも再び立ち上がり再度対峙する俺とウルフェイ
 ウルフェイが俺達を見据え付ける
 首をこちらに微小に振りながら「驚いたか?」そのまま見据え「俺はな、魔皇帝とやらと取引して、」右腕を空前に出しつつ「この魔鋼の肉体を手に入れたのよ、ブルーリア、お前と戦い、勝つためにな!!」思い切り右拳を握る!「だが、今回は俺は引いておこう、鍛え直す必要性も出てきたようだし、しんがりはよろしくな、ハリリトン、あばよ!!」
 「待てっ!」
 が、ウルフェイが後ろに向いて走り去る間にも、ハリリトンと呼ばれた魔怪人と戦闘員が集まり壁となる、
 その間にもウルフェイは視界の向こうに消え去ってしまった・・・
 「ぐ・・・だが、あの魔怪人まで逃がすわけにはいかない!!」
 『使うのか?』
 「ああ、出来ればウルフェイを追いたいからな、一分一秒が惜しい、クレストを使う!!」
 クレストをユウキがやっていたのと同じように、剣にセット!
 『バタフライ&サンダービークレスト!!』
 一気に近づき、それをハリリトンが右針をカウンター気味に突き出してくる、
 それは左手に蝶の様に舞い避ける、戦闘員が動きが止まった瞬間に槍を突き出すが、それを元の場所に戻る様に舞い避ける!
 さらに槍を舞い避け舞い避け、舞い避け、壁の様になっているので一周は無理だが、それでも左右に大きく往復して避け続けた、
 戦闘員もハリリトンが首を傾げ隙を晒す、そこだ!!
 『バタフライ&サンダービークレスト!!』
 ハリリトンに一気に剣を突き刺し、電気の一撃をお見舞い、感電!
 「ハリリリリリリリリ!!」
 動きが止まる、今だ!!一旦みんなの元に戻り、
 ナイトソードスラッシュ!!
 全員の色とりどりの剣撃がハリリトン達を襲い、爆発、消滅させる、
 しかし、結界がハリリトンに収束、巨大化して行く、
 やっぱりこうなるか、ウルフェイも見失ったし、ここは・・・
 「ブルーサーペント!!」
 「レッドドラゴン!!」
 「イエローキマイラ!!」
 「グリーンベヒモス!!」
 「ピンクフェニックス!!」
 5体の守護精を呼び寄せ合体、
 完成、キシケンオー!!
 「一気に決着をつけるぞ!」
 剣を抜き、急いで近づく、が、ハリリトンが全身から針を射出して攻撃してきた!
 そのダメージに思わず後退!
 「ちょっと!あんな攻撃使ってなかったじゃない!!」『多分、魔力を収束させた影響で新しく使えるようになったんだわ・・・』
 キシケンイエローの愚痴と解説
 その間にも針二撃目でさらに後退、三撃目は剣である程度弾くもそれでも・・・
 「ちょっと!あんなにさらさら避けられるならどうにかしなさいよ!!」
 こっちに流れ弾が・・・
 「無茶言うな、全方位同時攻撃なんて避けられるわけないだろう!!」
 「そうだ!擬態のビークルでなら、ダメージは少ないかもしれません!!」
 確かに、ユナの言う通りかもしれない、生身よりもダメージは少ないかも、だが・・・
 「それだと、パワーが足りないかもしれない、せめて、ビークルで合体出来れば」
 ジンカイの言う通『できるぞ』
 え・・・!?レッドリアの一言に俺達五人の戸惑いの声が一斉にハモり、レッドリアに視線が集まる
 『出来るぞ、擬態状態での合体だろ?』
 ・・・
 そんなことは先に言え!!
 黙り状態からの五人の続けてのハモり・・・ああ・・・
 「ともかくやるぞ!!」
 ユウキの一言により、一旦分離、ビークルになり再度同じように合体!!
 正面を見ながら右手を開き後半後ろ部分で右手を大きく前に出し叫ぶ
 完成!キシケンオービークル!!
 胴体を消防車が、右手をパトカーが、左手をクレーン車が、右足を緑の新幹線が、左足を救急車が構成する、
 頭は消防官の銀の膜なしの赤いヘルメットをかぶったような鋼の顔だ
 「ハリーーーーー!!」
 再度の針攻撃だが、あまり痛くはない、それに・・・
 「はしごを借りるぞ!」ユウキに一言いいながら、
 背中のはしご車を右手で銃代わりに持ち、水を弾丸として発射!
 当たった部分からハリリトンの体全体が吹き飛ぶ!
 「ハりー!」
 さらに追撃の銃弾!吹き飛ばす!!
 「ハりー!」
 向こうに吹き飛ばし立ち上がる間に一気に近づき、キシケンオーを戻し、一気に剣を振りかぶる!
 キシケンオー、キングスラッシュ!!
 至近距離からの斬撃に、ハリリトンの身体は魔力の爆発を起こし消滅した・・・
 
 『よかったな、フェンシングに復帰するのだろう?』
 戦いが終わり、草の生えた川の土手で空を見ていると、ブルーリアが話しかけてきた
 「ああ、そう考えてる」
 「なんだよ、よくわからないがめでたいじゃないか!!」
 ユ、ユウキ!?
 後ろを振り返ると、ユウキをはじめとした皆が温かい目で俺を見ていた
 「そうよ、よかったじゃない!」
 「何かあったら、いつでも相談してくれ!」
 「私達でよければ、いつでも、相談に乗りますよ」
 みんなまで・・・
 「そうだ、俺達仲間じゃないか!!」
 ユウキの一言、だが・・・
 「仲間と認めたつもりはない」
 「お、じゃあ、なんだ?」
 「まだ、仲間じゃない、お前達の実力を、すべて見切ったわけじゃないからな」
 「おお、素直じゃねぇなぁ!!」
 「素直に認めちゃいなさいよ!」
 「そうだそうだ!!」
 「まったくです!!」
 そんなことを言いつつも、皆、頬が緩んでいた、きっと、一番緩んでいたのは、俺に違いない・・・
 
 「おやおや、威勢よく出かけて行った割には、随分お早く戻ってきたようで」
 「なんだ、ギャルガか・・・」
 日も暮れ人のいない立体駐車場と呼ばれるところの高層階端で、狼鎧がギャルガ向こうの街の明かりを返す中で、俺はまたこいつに因縁付けられていた
 「人のことを散々こき下ろした癖に、簡単に負けてきて」
 「負けてはいない」
 「ほう・・・」
 「だが、鍛え直す必要性はある・・・」
 そして、俺は、振り返りここから出るように歩き出した・・・
 「どこに行くんです?」
 顔を横にして、横目でギャルがを見ながら俺は答える
 「修行だよ、今度こそ、勝つためにな・・・」
 そして、再び正面を向き、歩き出す・・・
 そうだ、俺は止まらない・・・ブルーリア、いや、キシケンジャーと、キシケンブルーに勝つまでは!!
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 

騎士剣戦隊キシケンジャー/3

騎士剣戦隊キシケンジャー 3
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
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 そうこうしているうちに変身が解け、俺達は元の姿に戻る、
 そこにいたのは、俺と同じように、リストバンドに、あるいは服の袖端に、それぞれ剣のアクセサリを着けた戦士たちだった、
 青いジャケットに冷たく辣な雰囲気を纏う青年、
 黄色のジャケットにタイトスカートの快活な雰囲気纏う少女、
 緑のジャケットに植物的な力強さを感じる青年、
 桃色のジャケットにロングスカートかつ長髪の淑女、
 「お前らが変身してたのか、初めまして、俺の名は常道 ユウキ!!」
 青のジャケットの青年が口を開く
 「俺の名はサトル、識学 サトル(シキガク 智瑠)だ」
 黄のジャケットの少女が続く
 「私はマコミ、佐用 マコミ(サヨウ 信美)」
 緑のジャケットの青年が話し出す
 「俺はジンカイ、義加 ジンカイ(ヨシガ 仁戒)だ」
 桃のジャケットの淑女が言葉を紡ぐ
 「わたくしは、ユナ、親切 ユナ(シタシセ 優奈)といいます」
 俺は飛び切りの笑顔でみんなを迎え入れる
 「よろしくな、皆!」
 「いや、俺はこんなことに巻き込まれて迷惑してるんだが・・・」
 心底やる気のない表情だな・・・
 「私も、この剣に言われてきただけだし・・・」
 右袖端の剣を手首を回して振っている
 「いきなり、戦えって言われて・・・」
 戸惑うような言葉・・・
 「わたくしも・・・」
 こちらは表情が力無く不安感が混じっているようだ・・・
 『いや、我々も状況が掴めていないのだ』
 声を上げたのはリストバンドに張り付いているレッドリアだ
 『いきなり見たことも無いような場所に飛ばされてきて困惑している、レッドドラゴンも見失ったし・・・』
 『そうだな』『まったくね』『どうしようか・・・』『色々把握しませんと・・・』
 口々にレッドリアと同じ状況のアクセサリが宝形の周り光らせしゃべる
 「おっし、それなら、まずはゆっくり話せる場所に移動しようぜ、もしかしたら、ここも警察が来るなどしてあわただしくなるかもしれないしな・・・、俺についてこい!!」
 
 「それで、追加の人員をよこせと?」
 ようやく我は手に入れた玉座に深々と腰を落ち着ける、元の王は子供共々、この玉座の間を飾るインテリアになってもらった、
 そこで我が前でひざまずくのは、この私の計画に協力した裏切りの三騎士の一人、ギャルガだ
 「はっ!奴ら、どういうわけだか協力者を伴って抵抗してきまして・・・」
 「それで魔怪人を寄越せだと、虫が良すぎるんじゃねぇかぁ!?」
 「・・・」
 左右の残りの鎧と魔纏う二騎士もギャルガに様々な感情がこもった視線を向ける
 「しかし、ともに派遣されてきた魔怪人を失ってしまってはどうにも・・・」
 「どうなさいますか?」
 左手より頭から濃紫のローブを深々とかぶり右手に水晶玉を携えた占い師、レガが言葉をかけてくる、
 共に魔術を覚えた身だが、私とは方向性が異なる・・・
 「わかった、準備ができ次第、送るとしよう・・・」
 「は、ありがたき幸せ」
 深々と頭を下げるギャルガだが・・・顔を上げ
 「ところで・・・」
 一言多いなこいつは・・・
 「この仕事が終わり次第、私をロードにし、領地を拝領できるという話は・・・」
 媚びるような言葉だ・・・
 「無論、約束は果たす、奴らを捕らえるか破壊し、抵抗の芽を見事摘んだ暁には、お前は見事にロードだ」
 「はい、ありがとうございます!」ギャルガは再度大きく頭を下げた「それでは、この辺で」
 そしてその姿がツイと消え去った・・・
 「よろしかったのですか?」
 レガが心配そうな目で見てくる・・・
 「構わんさ、人を支配するというのはたやすいことではない、頂点から三角型の支配構造を敷く以上、中間管理職は必要だ」
 「くだらねぇ、実にくだらねぇな!!」
 と、残った二騎士の内、ウルフェイが私の前に出てくる、
 「支配だのなんだの、誰かを縛ることは毛嫌いするぜ」
 まぁ、この戦闘狂はそう思うだろうな・・・
 「なぁ、次に魔怪人を送る時は俺も一緒に行っていいだろう!?それに、向こうにいるんだろう、ブルーリアが!!」
 「構わん・・・」
 「おっしゃ~!!はっはっはっ!!」
 意気揚々と玉座の間から出て行くウルフェイ・・・
 「レダ、次元の様子は・・・?」
 レダが占い水晶を両手に持ち見つめだす・・・
 「・・・今のような通信用の魔力や、戦闘員用の魔力のみなら、霞のようなものだから隙間から送れば大したことは無い、しかし、魔怪人の媒介となる一定以上の大きさの魔鉱石や、彼らのような人員となれば・・・」
 「無理か?」
 「次の一回は大丈夫でしょうけど、その先は隙を見てしばらく魔鉱石を送るぐらいしかできなくなるわ・・・」
 まったく・・・次元を利用する術はこれだから厄介なのだ・・・
 「だがいずれ、時は来る、いいえ来させて見せるわ・・・」
 「そして、その時こそ、ふははは・・・」
 「あははは・・・」
 「・・・」
 腹の内より、私は笑いをこらえることができなかった、全ての存在が私にひざまずくその日の事を考えっ・・・!
 
 「どうだ、ここが俺の秘密基地だ!!」
 「すごい、廃ビルの中にこんな場所があるなんて・・・」
 俺が両腕を組んで声を上げる中で、サトルが感嘆の声を上げた、
 外観は廃ビルの二階一室だが、中はソファーなどもあり、無機質だが、そこそこ快適な空間だ
 「実際には廃ビルじゃないんだ、だが、テナントが全く入らなくてな、俺がタダ同然で貸してもらってんだよ、ここなら、誰かに聞かれる心配も無いだろ」
 「確かにそうだな」
 「ゆっくりお話しできるわね」
 「じゃあ、とりあえず、剣たちの名前も聞いておこうか」
 「ですね、持ってる剣たちは名前は訊いたのですが・・・」
 『私の名はレッドリアだ、よろしくな』『ブルーリアだ』『イエローリアよ、よろしくね』『グリーンリアだ』『ピンクリア、よろしく!』
 「全員似た名前な気が・・・」
 『騎士の称号もかねて拝命した名前だからな!!』
 あ、なるほど・・・
 『そうだ、お前達にも称号を着けてやろう、なに、遠慮はいらん、王族より、下級騎士の称号付けは、特に命令ない限り、私に一任されているからな!』『また始まった・・・』『こうなると長いのよね・・・』『変な称号にならなければいいが・・・』『良い名前をお願いします』
 え・・・ええぇ・・・
 「自己紹介が終わったところで、問題はこれからどうするべきか」『そこに行きつく為にも現状分析だ!』
 サトルとブルーリアが話し出した・・・
 『現状、私達が剣の姿をしているのは、おそらく、ソウルクレストの術と石化の力が変な風に作用したからだと考えられる、レッドリア、前の戦闘で使っていたソウルクレストはどこで?』
 「ソウルクレストはソールドってやつから託されたぜ、なんか、幻を見てたみたいでさ・・・試練がどうたら言ってたが・・・」
 『なるほど、となるとあれがあれでそうなって・・・』
 「どういうことだよ・・・?」『その辺りについては私は理解に及ばん・・・』
 「石化・・・」いきなりサトルがブルーリアを顔の前に構え見る「ブルーリア、ということは、お前達の元の体は・・・」『おそらく、ソールドと同様、元の世界で石化してるのだろう』
 『なんだと!?』『それって!?』『どういうことだ!?』『それは!?』
 「身体のある場所さえたどり着ければ、元の姿に戻れる、と?」『おそらくな、私達が剣であるのは、あの魔皇帝のやつから直に石化の魔力を受けた影響に違いない・・・』
 「石化って言えば・・・結界が解けた瞬間にみんなの石化が解けたけど・・・」
 『人間の体には、元来、魔力に対する抵抗力、回復力があります、本来は魔力を送り続けることによってそれらを超える影響を与え続けるのですが・・・』
 今度はピンクリアだ
 『結界やあの魔怪人がマーキングをして魔力を送っているのでしょう、私達の鎧やあなた方が変身した姿は魔力をある程度遮断することができますが、マーキングは防げませんので注意してください』
 なるほど、わかったようなわからんような、とにかく、変身した状態なら結界の中でも動ける、相手の攻撃には注意と、
 「じゃあ、次はあの結界ね、あれは何?、あんなもん作ってどうしようっていうの?」『多分、あの中があいつらの領地ってことなんだと思う・・・』
 マコミとイエローリア
 『あの結界は、中の人の生命力を魔力に変換して維持、拡大する物なんだと思う、石にして逃げられないようにして・・・』
 「維持に必要なら、そうそう簡単には殺さないだろうけど、ってことか・・・」
 「なぁ、警察に言ったほうがいいんじゃ・・・?」『今の話を聞いてなかったのか?』
 ジンカイとグリーンリアが話し出し、ジンカイがグリーンリアを顔の前に構えて見る
 『見た所、お前達の組織は魔力に対する対抗策はないようだが?見ただろう、警察とか呼ばれてる奴らが石化している所を・・・』
 「それは」
 「俺もやめといたほうがいいと思う」
 「サトル?」
 俺達の視線がサトルに集まる
 「警察や自衛隊の装備ではこの状況はどうにもならない、石にされた人々を巻き込むような装備は使えないし、遠距離狙撃も限界がある、だとするならば、魔力に対抗する術を持つ俺達が突入するしかない」
 「・・・確かに・・・そうかもしれない・・・」
 「混乱を避けたり、結界を無闇に拡大しないためにも、出来る限り秘密にしておいたほうがいいだろう」
 「では、これで現状分析は終了ということで、これからどうしましょうか?」
 ユナがそう言って締めたが・・・そういやぁ・・・
 「なぁ、あのレッドドラゴンってやつを探すのはどうだ?」『それだ!私のレッドドラゴン!!』
 レッドリアが騒ぎ出す
 『ここ数ヶ月行方不明になっていたと思ったらこんなところに・・・ああ、寂しい思いをしていただろうになぁ・・・今すぐに迎えに行かねば!!』
 「俺も賛成だ、現状、あの巨大になったやつを撃破するにはあのドラゴンの力を借りるしかなさそうだからな」『ちょっと待て、サトル』
 再度サトルがブルーリアを構え見る
 「なんだ?ブルーリア?」『ひょっとして、レッドドラゴンがいるってことは、私達の守護精もこっちに来ているのではないかな?』
 「え?あんなやつが?」『私の守護精も!?』
 「他にもいるってのか!?」『それは本当か!?』
 「だとすれば、心強い限りですね」『確かに、同時期に連続して行方不明になった事を考えれば、同じようにこっちに来ててもおかしくないか・・・』
 『決まりだな!』
 レッドリアが締めに行く
 『今後は、守護精と仲間のソウルクレストを探すことを第一に活動する、さ、まずは私のレッドドラゴンからだ!はっはっはっはっ~!!』
 
 が、見つからないもんは見つからない・・・
 俺としては赤といえば消防車なので消防局に行くもダメ、
 郵便局やらスーパーやら街中を出鱈目に歩き回るも見つからない、俺がレッドリアに守護精の事を訊いた際
 『守護精は普段は馬に擬態して私達の側についている』
 と言ってくれたので、青空と緑溢れるの農場に行ってみたが、何も見つからなかった・・・
 『一体、一体・・・どこに行ったのだ、レッドドラゴ~ン!!』
 レッドリアの大声が、のどかな牧場に響き渡って行くのだった・・・
 
 俺は、警察署の前に来ていた、てっきり、巨大なものの目撃情報があるのなら、警察に通報があるのではと、
 しかし、よくよく考えてみれば、そんなものがあったところで教えてもらえるはずもない・・・
 『どうした、サトル?』
 「目撃情報があるんじゃないかと思って・・・」
 『そんな物は、君のスマホとやらで見てみたらどうだ?』
 「確かに、その通りだな・・・」
 警察署の壁に背を預けスマホをいじるも、目撃情報は多いが、忽然と姿を消した、止まりで一行に有力情報が見つからない・・・
 「ダメだな・・・これは・・・」『なら、自分の足で探すしかない・・・』
 致し方無い、体力には自信はあるが・・・ん?この車両、ここだけ妙に青いな・・・
 
 工事現場、広い砂と山の荒野!
 『・・・なんでここに来たの・・・?』
 「あんなにデカいんだから、広い場所にいるんじゃないかとね!」
 『あなたの頭って、レッドリア並みなのかしら?』
 「それってどういう意味よ!?」
 自分の左手首のアクセサリーに怒鳴りつけてる私は傍から見たら相当変な人に違いない・・・
 だが・・・
 黄色い工事車両が土砂を運んだりしてる以外、変なとこなんてどこにも・・・どこにも・・・
 ん?あれ、あのクレーン持ってるキャタピラ、ちょっとサイズ感が違くない?
 
 それで、ここからどこに行くべきか・・・?
 両腕組んで考え込む・・・
 『ずいぶんたくさんの人がいるな?』
 「この辺りじゃ一番デカい駅だからな、新幹線も通っている」
 『鉄の箱に人々が乗り降りしているが・・・おお!すごく速くにかっとんでいるな!あれも守護精か!?』
 「いや、電気で動いているんだ」
 『電気?雷のことか?なるほど、雷が動かしているならあの速さも納得だな、まったく見えないのが難点だが・・・』
 「何かいろいろ勘違いしてないか?」
 『うむ!よく言われる!!』
 そんな事でよく騎士が務まるな、ま、皆は近所を探すと思って、少し離れたところを探そうとここに来る俺も似たようなもんかもしれないが、
 ・・・新幹線が停まります、乗車客の方は、黄色い線の内側でお待ちください・・・
 お、新幹線が来るのか、ついでに見て行くか・・・
 
 『あれは・・・』
 歩き回る中でピンクリアが声を発したのは、ちょうど、病院が横に見えた時だった・・・
 そこでは救急車の後ろ上に開き、中から車輪付きの白いストレッチャーに寝転んだ人が、白いヘルメットと水色の繋ぎに身を包んだ救急隊員達に運び出され病院に入っていく所だった・・・
 「ああ、救急車からけが人を運びだして病院に搬送しているんですね・・・」『さっきのスクイードの騒動が原因かしら?』
 「それはわたくしには・・・あら?」
 『ん?どうしたの?』
 「救急車の色味が少し・・・」
  
 ん?街中を歩いていると、遠くから煙が・・・
 『どうした、ユウキ?』
 「あれは・・・火事か!?」
 コンクリートで舗装された道を走り急いでそこまで近づいてみると、木造の家が燃えている・・・!
 「やっぱり火事だ、消防署に通報を・・・」
 が、そこに消防車が到着する、すでに誰かが通報していたに違いない・・・
 そこから銀の衣類に身をまとった消防団が降りてくる
 「おい!消防車、少し火に近づけすぎじゃねぇのか!?」
 「すみません、ブレーキが効かなくって・・・」
 「まぁいい、今は消火優先だ!!」
 消防団の人達がホースより水を発射し、火を消していく・・・
 『あれが、この世界の消防団か・・・』
 「お前達の世界にもあるのか?」
 『そうだ、どこの世界でも変わらんな、消防団の仕事は火を消すものだ』
 「確かに、そうだなぁ・・・」
 「グヘッヘッヘッ、その火を消してもらっちゃ、困るんだなぁ!!」
 そこに現れたのは・・・なんだあれ、赤と黒を混ぜたような炎を模して固形化させた人型・・・?
 そいつに消防団の一人が振り返り、感情的に
 「なんだお前は!?これは君が放火したのか!?」
 「その通り、俺はアブルーズ、火が強ければ強いほど魔力を増すからなぁ!」
 消防団員の質問に答えるあいつ・・・今、魔力と言ったな、まさか・・・
 「どうしてこんなことをしたのか知らないが、警察に言って、捕まえてもらうぞ、いや、現行犯で捕縛して、後で警察に引き渡す・・・」
 「おっと、俺にそんなことは出来ないぜ?結界、解放!!」
 と、アブルーズの周りから、結界が発生して広がって行き、人々を巻き込み、石にしていく・・・無論、消防団の人達もだ・・・
 『まずいぞ、ユウキ!』
 「わかってる!」
 レッドリアが元の剣の姿に戻り、俺は剣を抜き変身を・・・
 『おい!ユウキ!!ごにょごにょごにょ・・・』
 と、剣を抜く直前にレッドリアが話しかけてきた、思わずレッドリアの方を見る
 「え?本気か?」
 『当たり前だ、騎士の名乗りは誉れ高い儀式だ、存分に行うがいい!!』
 仕方が無い・・・
 もう一度・・・構え直し・・・
 思い切り剣を抜き、赤きエネルギーが身体を包み込み、剣を引き竜のように構え、宣言する!
 ゴォオオ!
 「赤の騎士・・・キシケンレッド!!」
 炎の音が響く中で、俺の宣言が決まる・・・!
 ゴォオオオン!!
 「キシケンレッド・・・?ああ、お前がギャルガ様の言っていた奴らか!」
 アブルーズがあざける感じで確認してくるのを俺は威勢良く返す
 「その通りだ、あいつは今どこにいる?」
 「知らねぇよ、俺は一人で領地広げて来いって言われただけだ、だが、お前を倒せば、俺は褒美に、もっと魔力を上げてもらえるかもしれねぇ、そうなったら、辺り一面火の海にできるぜ!!」
 「そんなこと、させるものか!」
 「行け、お前達!!」
 すると、どこからかわいてきた戦闘員たちが来る、だが!
 レッドリアと共に斬りかかり、一体二体目と計二撃叩きつけ倒し、
 そのまま乱戦、しかし、少しずつ倒して爆破していき、数も少なかったことも手伝って、ほどなく全滅させた、
 きちんと指揮が無いなら、どうにかはなるようだ・・・
 「さぁ、次はお前だ!」
 アブルーズに思い切り剣で斬りかかる、が、
 ゴォオオ!
 あっつ!
 あいつが口から吐いてきた炎に、思わず下がり足止めを喰らう・・・
 「ぐっ!」
 『ソードアンドシールドクレストだ!』
 「わかってる!」
 クレストセット!
 『ソードアンドシールド!!』
 現れた透明な盾が、炎より身を守ってくれる、だが、炎の勢いが強すぎて前へ進めない・・・
 「レッドリア、どうする?」
 『とりあえず、皆に連絡だ、剣に通信機能が備わっている、皆、魔怪人が現れた!』
 「わかった」『了解』「すぐそっちに向かうわ」『負けないでよ』「急いで向かう」『向かうぞ』「耐えてくださいね」『怪我とかしないでね』
 「で、この先は・・・?」『さぁな、仲間が来るまでひきつけるしか・・・』
 仕方が無い、我慢比べなら得意だぜ・・・ん?
 さっき来た消防車、はしご車って言うのか、あれ、前面の下の方のバンパーに炎が吸い込まれている気が・・・
 いや、おかしいぞ、消防団員が石化したってのに、水を放水し続けて、ついには消火しちまった・・・!?
 「あれ、魔力が・・・」
 『チャンスだ、キシケンレッド!!炎が消えて、奴の炎が弱まった!』
 「おっしゃあ!」
 盾を出したまま、一気に近づき
 「ちょ、ちょっと待って!?」
 『ソードアンドシールド!!』
 「はあっ!!」
 巨大な透明な剣を出し、一気に叩きつけ、そこから
 「ナイトソードスラッシュ!!はぁっ!!」
 赤き剣劇の衝撃波がアブルーズを捕らえ、爆発、消滅させた・・・が、
 結界ごと爆発が収束していき、アブルーズが巨大化して行く!?
 「どうなってるんだ!?」
 『ギャルガの奴がどこかから見ていたに違いない・・・』
 「なるほど・・・」
 同時に、消防団員たちの石化も解ける
 「あ、あれ、俺達は・・・?お、おぉおおおお!!」
 が、アブルーズの姿を見た途端、一目散に逃げて行く・・・よし、こっちの方が俺達には好都合だ!
 『どうするんだ、私の守護精、レッドドラゴンもいまだに見つかっていないというのに・・・』
 「いや、レッドドラゴンなら、多分もうここにいる・・・」
 そして、俺は、さっきより、変な動きをしまくっていたはしご車に近づき、レッドリアを付ける、
 「お前だろう、レッドドラゴンて、火を消して、俺達の戦いをそれとなくサポートしてくれたんだよな?」
 『何・・・?はっ!そういえば、レッドドラゴンは火の守護精、時々焚き火などを食っていたな!』
 そういう手掛かりになりそうな大切な事は先に言ってくれ・・・
 と、一瞬、消防車のフロントランプが光る、
 「ほら、お前の主のレッドリアも一緒だ、わかるだろ、声、忘れちまったか?」
 『レッドドラゴン!私だ、今はこんな姿をしているがレッドリアだ、ずっと寂しかったんだろう、こんな姿に擬態してまで・・・』
 「ギュオォオオオン!!」
 と、消防車の外側が翼となって開くように変形、巨大化、大きな赤いドラゴンがその姿を現した!
 『レッドドラゴン!』
 応えるように頭を上げ大きく吠える!!
 「ギュオォオオオン!!」
 「へ、今度の相手はそいつか!」
 アブルーズがこちらをにらみつけてくる・・・!
 『行くぞ、レッドドラゴンの上に!』
 「わかった!」
 レッドドラゴンが望むかのような気流の中での跳躍によりひとっとびでレッドドラゴンの上に飛び乗る
 「はぁっ!」
 アブルーズが先制で火炎を放射してくるが、レッドドラゴンは炙られても涼しい顔
 「ちぃい、火の力を持つやつに、生半可な炎は効かないか、それなら・・・!」
 すると、両手を突き出しての二射同時炎!
 だが、レッドドラゴンはすかさずに消防車に変形、そのまま水を梯子から発射し、両方をかき消した、
 「ああ!ずるいぞずるいぞ!」右手人指し指でこちらを差して「炎と水を両方使えるなんて!!」
 指摘するアブルーズだが、それにも構わずレッドドラゴンは前進、ドラゴンに戻り
 「ギュオォオオオン!!」
 右爪での斬り裂き攻撃から、尻尾での回転追撃を決め、アブルーズを横倒しにする
 「グベハッ!!」
 周りに地響き立てながらも、すぐに立ち上がり直すアブルーズ、
 「ええい、これならどうだ!!はぁあああ!!」
 胸の前に合わせた両掌の間より、巨大な火球が!?
 「はぁっ!」
 これをもろに喰らい、その衝撃により今度はこちらが後ろに横倒される!
 「ぐはっ!」『がはっ!』「ギュオォオオオン!!」
 ズドォ~ン!!
 地面に大きく振動が走る!!
 「へっへっへっ、どうだ、結界を回収したおかげでこっちの魔力は上がってるんだよ~ん!さぁ、とどめだ!」
 またもあの火球を作り出すアブルーズ、くそ、このままじゃ・・・
 「行け、ブルーサーペント!」
 「キシャアアア!」
 いきなり来た雷が、アブルーズをひるませる!
 「ぐはっ!」
 「今度はこっちよ、イエローキマイラ!」
 通りすがるような黄色い鋼風獅子が、アブルーズを追撃!
 「ではぁ!」
 「走りぬけろ、グリーンベヒモス!!」
 大きな両角を蓄えた牛にも似た獣がアブルーズをかするように一撃!
 「がびはっ!」
 「ピンクフェニックス、お願いします!」
 今度は桃色の鳥がすれ違いざまに翼を叩きつけた!
 「でぐはっ!」
 アブルーズが向こうに倒れ伏す、
 『同じことを何度も言わせる気か、情けないぞ、レッドリア!』
 「それに、ユウキ、お前もだ!」
 俺達の左右に、巨大な鋼の精達が揃う、
 パトカーを三つ折りから解放したような青い体を持つ足無き竜
 ショベルカーの外装とキャタピラを羽として背右側にクレーンを持つ黄色き雄獅子、
 新幹線の短めの胴体に狂暴な四肢と顔を持つ緑の四肢獣、
 羽裏側が救急車を開いたようになっている桃色の鳥、
 その上には変身したみんなが乗っていた
 「お前達、遅いじゃないか!」
 「一人で大丈夫そうだったんでな」
 「心配かけさせないでよ」
 「どうにかできたと思ったんだが」
 「怪我とかしてませんか?」
 「お、おまえらぁああ!!」
 アブルーズが立ち上がってくる・・・
 『よし、皆、守護精合体だ!!』『おう!』『任せて!』『いつでもいいぞ!』『行きましょう!!』
 守護精合体!!
 五人の声が合わさった時、顔が胸に来るようにドラゴンが胴体に、顔が右肩に来るようにサーペントが右腕に、顔が左肩に来るようにキマイラが左腕に、顔が右つま先に来るようにベヒモスが右足に、顔が左つま先に来るようにフェニックスが左足に、それぞれ変形、合体し、
 ドラゴンの上に青い宝石の目を持つ鋼の人の顔が前より立ち上がり、背より上に飛びだした上から降ってきた王冠を模した中央が金、まわりが赤で構成された兜をかぶる
 そして、いつの間にか俺達は内部にあるであろう、暗い空間に転送され、と、目の前に剣を差すのか石の台座がそれぞれにあるが、そんな中で皆が周りを思い思いに見渡す
 「すげ~」「どうなってるんだ?」「不思議な事もあるもんねぇ・・・」「あ、あぁ・・・すごい・・・な・・・」「こんなこともあるんですね・・・」
 「そこに私達を突き刺せ、そして、こう叫ぶのだ、ごにょごにょ」
 「よし!」
 剣を突き刺し、俺達は叫ぶ、
 完成!キシケンオー!!
 左手で剣を支えながら右手を開き思い切り前に出すのポーズをとる間にも、目の前の画面にうつるアブルーズが
 「けっ!合体したって同じことだ!!」
 そう言って、さっきの火球を生み出し、放り投げてきた!!
 しかし、真正面から受けても、まったくダメージが無い
 「な、なにぃ!?」
 そこにすかさず近づき、
 「サーペントアタック!」
 伸びる竜の首をパンチ代わりにぶち当て
 「キマイラクラッシュ!!」
 今度はショベルクレーンで一撃!
 「ベヒモスキック!!」
 重い足で一撃!
 「フェニックスラウンド!!」
 軽やかな回し蹴り!!
 『今だ!とどめを刺せ!!』
 背中の四角く白い鞘より剣を抜き出すと、俺達も台座より剣を取り出し、大きく振り上げながら叫ぶ!!
 キシケンオー、キングスラッシュ!!
 思いっ切り振り抜くと、剣より白い斬撃が飛び出し、アブルーズにぶち当たり、爆発!!
 爆破力を上へと逃がしながら、アブルーズは消滅するなか、振り返って決めポーズを取りつつ、剣を背に戻す・・・
 
 「おお!これがキシケンオーか!!」
 キシケンオーから降り、俺達はキシケンオーを見上げている、
 正しく鋼と五色五精の騎士王、そんな感じだな、
 だが、その時間も長くは続かず、キシケンオーは分離し、守護精達がどこかへと去っていってしまった・・・
 『ああっ・・・レッドドラゴン・・・』『呼べばまた来るだろう・・・』『そうそう、こっちに来てるってわかったんだから・・・』『そうだな』『向こうにいた時もそうでしたでしょう』
 「そうだったのか・・・」
 そして、俺達はキシケンオーが去った後でも、きれいな夕日をもうしばらく見続けるのだった・・・
 
 「けっ、アブルーズのやつ、自分一人でも大丈夫だからとか言っても失敗しちゃがって、ああ、これだから魔鉱石から作られる奴は、せっかく巨大化までさせてやったのに」
 「おい」
 「げぇっ!?ウルフェイ!?」
 暗くなり行く隙間なき四角四面の石のみで構成され床に四角く白い線がいくつも書かれところどころに鉄の車が止まっている広く高く、左右前後吹き抜けの場所の端隅にいた俺の前に現れたのは、青い鋼の狼を模した鎧と一体化したウルフェイだ、端々がねじ曲がり、赤い瞳と相成りそれはそれは恐ろしい風貌を成している
 「こんなところに何しにきやがった!俺一人で十分だろう!!」
 「魔鉱石を三つも使って何の成果もあげられていない奴が何を言う」
 そう言った次の瞬間、ウルフェイがその右手で俺の首根っこを掴んで背後の石柱に叩きつけてきた!
 「ぐへぇ!」
 せなかから走る痛みに思わず苦悶する俺・・・
 「今から訊くことに正直に答えろ、ブルーリアは見つかったか?」
 顔近づけてくんな、怖い!
 「見つかった見つかった、多分あの青い奴だ、声からして間違いない!!」
 もっとも、あの声は剣から出てたような気が、というか、レッドリアも剣になってたんだから間違いないだろうな、ソウルクレストじゃなく剣になるとは・・・まったく一筋縄じゃいかないぜ・・・
 「そうかそうか、見つかっていたか・・・」いきなり放され、床に尻もちつく俺!
 ドサッ!
 俺の顔も見飽きたのか、向こうを向くウルフェイ
 「待っていろよブルーリア、ふは、ふは、ふはは、ふはははは、あはははははは・・・」
 戦闘狂狼の狂った笑い声は、夜空にいつまでもこだましていたのだった・・・
 
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