この争い起きた戦場で ダブモン!!8話20
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「昨日、魔族の将より申し出があった」
私達が辿り着いたとき、机を手前以外、軍兵たちが囲んでいた、
無論、一番奥は将軍である、それ以外も、最低でも隊長級の兵士たちであろう、差はあれど、他の兵士より重厚な装備に身を整えた兵士たちだ、
そして、将軍の右手には、オアガーマが控えていた、
しかし、その二者以外の視線からは、なんでここに子供がいるんだという物が見て取れる、
昨日の騒動を知っているものもいるだろうが、それでも・・・
「その者達は私が呼んだのだ、文句は言わせない、次に話す内容にもかかわってくるのだ、そこで待機していてくれ」
将軍の言葉に、納得いかないという顔で黙り込む兵士の面々、
さすがに、隊長級を任されているだけあってか、気に入らないことにいきなりいちゃもん付けるような人間はおらず、
とりあえず、将軍の言葉を聞こうという考えに至ったのだろう、と、
「わかりました、では、」
話を出したのは、左側中ほどの、胸に鉄の簡易な勲章を一つつけた兵士だ、立ち位置より、中程度の立ち位置に違いない、
それが将軍の方に顔を向ける
「申し出があったことは聞いています、して、その内容は?」
「内容は上層部が対応を協議したのち話すと聞いています、」
今度は手前の方、兵士たちより少しフルフェイスに近い、デザインのこった兜を着けていて、鎧も少し重厚、ただ、体には、付いた傷とぬぐいきれなかったであろう泥が多くある
「今は兵士たちが何があっても万全に対応できるように準備しておけ、そして、決してさきばらせるなとのみ、」
二人の言葉を聞き、将軍が一瞥するようにその目を真正面へと少し上げる
「それでは、諸君に手紙の内容を話そう、魔族の将より、カードバトルを持ちかけられた」
!?
まわりの隊長級たちが、目を見開き、一様に戸惑いと驚きの装丁を見せる
「無論、こちらが勝てば引くという条件付きだ」
「そんなもの、罠に決まっています!!」
声を荒げたのは先ほどの一番手前の隊長級
「大体、カードバトルで戦争の決着をつけるなど、戦ってきた兵士を冒とくしているのですか!?」
この言い様に、将軍は隊長級を真正面に見据え
「若い衆、知らないようだから言っておくが、Wカードで戦いを収めることは、古来より、往々にして行われてきた、世界樹やその眷属の力を借りた戦いだ、その力関係がそのまま現実の力量差につながることも指摘されている、これ以上無い解決方法だと思うが?」
「しかし・・・」
少し将軍の目つきが細く厳しくなる
「さらに言うがな・・・」
「何でしょう!?」
「お前の言っていることは、兵士たちを冒とくしてはならないから話し合いでの戦いを止めるのをやめろと言っているに等しい、私達は戦いを収める方法としてカードバトルを選んだ、それで十分ではないか」
「ぐ・・・ぐぐぐ・・・」
隊長級が目を力を込め少し見開くような、悔しそうな表情を見せる
「確かに、お前の言うことはもっともだ、罠かもしれん、しかし、それならばなおのこと、お前達が後ろにいていざという時のため構えてくれればいい」
「ですが、それでは将軍の命が危険にさらされますぞ」
言いだしたのは、将軍に近い位置にいる、深緑で重厚な鎧を着て髭を生やした兵士、
言った後、目じりを少し上げた厳しさのこもった瞳を将軍に向ける
「もし、万が一のことがあれば・・・」
「私の命が危険にさらされるだけでここにいる者達が無事に帰れるのであれば、安いものだ」
「ですが・・・!」
「なに、私も馬鹿ではない、危険だと判断すれば、すぐにこちらに逃げ込むさ、それとも、」
一瞬だけ、将軍の目つきが眉を傾けた力強いものに変わる
「私の判断が信用できないのかね?」
「・・・わかりました・・・」
ため息でも聞こえてきそうなほどに思いつめた返事を返す隊長級重装兵
対し、将軍は元の表情に戻りながら全体を見渡すような角度へと顔と視線を戻した
「さて、ここまで言っておいてあれなのだが、カードバトルをするのは私ではない」
ざわりっ
机を囲む将軍以外の一同が将軍を見ながら目を瞬かせ、動揺する
「ま・・・まさか・・・」
昨日の騒動を知っているのか、一番手前の隊長級が声を上げる、
致し方ない・・・
「もうそろそろ口挟んでいいの?将軍様?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――