バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

ハーフビースト:ハーフヒューマン:ヒーローズ/9

ハーフビースト:ハーフヒューマン:ヒーローズ 9
 
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 ビルの壁をかけて怪盗狐巫女を見上げ、タイミングを計る、
 ここだ!
 一気にジャンプして怪盗狐巫女に接近、前爪を振るう!
 「なっ!」
 マントの下方を切り裂く!
 そのまま落ちていく怪盗狐巫女、
 落ちた場所は深夜にもかかわらずライトアップされた、中央に噴水がありそれを離れて四方の出入り口以外囲う様に地の地面を出し植樹された公園、
 俺もビルに着地しそちらに走り、到着する、マスターもそばに来た、
 俺は怪盗狐巫女に注意を向け
 「さ、宝石を返せ!」
 「嫌よ」
 言いながら切り裂かれたマントをこちらに放り投げてくる
 「左右に!」
 マスターが右、俺が左から回りかかる
 だが、上に跳躍して俺達のいた場所後方に跳ぼうとする!?
 「させるか!」
 思い切り飛び付き地上で押さえつける!
 「変態!!」
 が、蹴り飛ばしで弾かれた!?
 「犯罪者に言われたくはないな!!」
 マスターがかけ右拳を叩きつけていくも、その前に足を上に回しその勢いで立ち上がり、マスターの拳を両手で受け止める!?
 「さすがにこれは受けらんないわ」
 と、跳躍してわざと吹き飛ばされ、着地、
 今だ!
 右拳を叩き込んでいく!
 「ぐへほっ!」
 もろに入った!
 「うふ・・・うふふふ・・・ふふふ・・・」
 何笑ってんだ?
 「やっぱり、ただの人間じゃダメね・・・」
 え・・・?
 と、怪盗が腰元から盗んだ宝石を取り出し俺に放り投げる
 慌てて受け取る俺、
 怪盗は笑みすら垣間見る余裕のある表情・・・?
 「それ、返すわ」
 へ・・・?
 戸惑う俺の周りにいつの間にか煙が舞う
 気が付き周りを見渡すとあいつが投げつけてきたマントから煙が思いっきり出ている!?
 「じゃ、さようなら」
 「あ!待て!!」
 俺とマスターが追おうとするも煙で見失い、
 気が付くとそこに立っていた怪盗狐巫女もマントも姿を消していたのだった・・・
 ・・・そうして・・・
 俺達は宝石の飾ってあった部屋まで戻り、警察官に宝石を返す
 「本当に取り戻してくれたのか?」
 目を少し細めた疑わしさの見える表情・・・
 「あいつが返してきたんだ」
 「本当か?お前たち繋がってるんじゃないか?」
 と、マスターが俺と警察官を遮るように一歩近づく
 「疑うのは自由だが、証拠が無いなら方々に言いふらしたり実力、法的行使はしない方がいい、なんなら。スラム街まで調査しに来てくれても構わん」
 「ぬうう・・・」
 マスターの指摘に警察官はマスターを見ながら悔しそうに口を歪ませ黙る
 ポーン
 ん?エレベーターの着いた音?
 エレベーターの扉が開き
 「あ!ようやく見つけたです!!」
 あ、開いたエレベーターの中からアルマンが走ってきた
 「とりあえず、我々は帰らせてもらおう」
 「仕方ない、後日、報告してくれ・・・」
 背中でマスターと警察官の会話を聞きつつ、
 そうして、スラム街へと歩きだし、
 元いたビルが遠くになるとようやく俺は口を開いた
 「けっ!なんだよ、力貸して欲しいって言っておいてさ・・・」
 「まぁまぁ」
 「致し方あるまい、あいつらには俺達が同胞に見えているんだろう」
 後ろ左右のアルマンとマスターがいさめる、
 確かに同胞っちゃ同胞だが・・・
 いや、幾らなんでも犯罪者と同じにされちゃ困るな・・・
 そこで、昏いビルの合間に俺は目にした、
 いびつな形の布に体を包み、顔の左半分だけを見せた痩せ切った黒髪の中年女性、
 な!?
 俺はそこに向かって走り出すも、
 その女性がいた場所にたどり着いた時にはその女性は影も形も無かった・・・
 俺は必死に左右のみならず上も床も見まわす、
 側にはビルの窓ガラス、匂いも声も無い、光のゆがみが生み出した幻影か・・・?
 「どうしたっすか!?」
 「おいどうした!?」
 後ろからのアルマンとマスターの声、だが、振り返る余裕も今の俺には無い
 「・・・いや、気のせいだ・・・」
 「気のせいって誰かいたんすか?」
 アルマジロが訊いてくる中で、俺は正直に話す
 「・・・俺の・・・母さん・・・」
 
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