到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/20
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宮殿-7
気が付くと、俺はカンテーラを、四葉はウィルピーを背負い、夜の廊下を駆けていた、
「いやー楽だわー・・・」
「すみませんね、私まで」
「いいのよ、疲れたでしょ」
「とにかく、気配の隠蔽と察知だけはやっててくれよ・・・」
「ねぇ、足元に砂の足跡みたいなのが出来てないか?」
「もしかして、踏んじゃいけない物かな・・・?」
兎白と鼓動の言葉に、初めて、暗闇の中に砂で出来た足跡が出来ているのに気づく、
大きな小判型の足跡で、おおよそ、人間の物ではない大き目ぐらいの大きさと形状だ
「これは・・・」カンテーラが俺の肩より見下ろす「・・・ラクダーナの物だ・・・」
「ラクダーナ?」「なんだその、楽そうな名前は・・・」「背中とかに乗れそう・・」
「大体、どういうダブモンなのか想像つくんだけど・・・」
「お察しの通り、ラクダーナは背中に他者を乗せて砂漠を行くダブモンだよ、だが、少々砂を操れるんだ、毛皮の砂を紛れ込ませ、歩く場所が砂漠で無い場合毛皮から足裏から砂をふきだして歩きやすくするのさ、だが、それだけじゃない・・・」
「それだけじゃねぇって・・・」
「実はですね、あ、そこの曲がり角の右手先・・・」
ウィルピーに言われ、思わず立ち止まりながら角から先を見る俺達、
そこを兵士とともに向こうに歩いていっていたのは、毛深いラクダであった、
こぶが背中から張り出した四足歩行、足と顔が毛が無く、少し長めの首と尾と足に眠そうな目に丸く出っ張った鼻口、広い足裏を持つ、
もっとも大きな違いは帽子だろう、周りが立った砂の帽子をかぶっており、毛皮には細かい砂が付いているように見える、たしかに、砂を紛れ込ませてるんだな・・・
「あれがラクダーナ・・・?」
「そうだ、足跡に砂を残してるだろ?」
「確かに・・・」
歩く足からは確かに砂を残してる・・・ん?なんか細い糸みたいなものが足跡と足跡をつないで・・・
「気付いたか?あいつら、足跡を砂の糸でつなぐことで、自身の縄張りを作ってるのさ、そして、砂の足跡を踏んだりした日にゃ」
「あいつらが気付く、ってわけか・・・」「でもさ、走る時の風圧とかは・・・?」「そうだよね、すぐに風で飛ばされそうな気も・・・」
「それぐらいは大丈夫さ、風で砂が飛ばされることもあるしな、多少は向こうは気にしないだろう、本来は砂漠で使う能力で、周辺の砂からの振動やらの情報を感知するものの応用なのさ」
「砂漠とこことじゃだいぶ違う気が・・・」
「砂という存在に媒体にした気術的な側面があるから、神経をとがらせていれば気付く、というわけさ」
「わかったようなわからんような・・・」
「ともかく、それぐらいなら、今までに比べて楽勝よ!!」
四葉の言う通り、今までのダブモン達に比べればだいぶ楽だ、ラクダだけに・・・
「だが、妙だな・・・力が集まってる場所がある・・・」
背中のカンテーラの言葉に不安感を覚える
「力って・・・ラクダーナの?」
「そうだ、」
「ラクダーナ自身から発せられてるとかじゃなく?」
「そうだ」
・・・何か仕掛けがある、というわけか・・・というか、多分・・・
「どのあたりだ?」
「あっち」
カンテーラが差したのは、ラクダーナ達の行く先の方、俺達はラクダーナに気付かれないように待機し・・・
お、左手の方に曲がった!
そのまま曲がり角まで行くと、さらにラクダーナ達がそこで右手に曲がったのが見える、ぐるりと回る形になるのか・・・あの辺りは部屋が壁のようになっていて見えてなかったはず・・・
「ここの中央辺りだ・・・」
カンテーラに言われるままに進むと・・・左手先の、本来十字路であろう場所の左の方の少し先、そこが砂の壁に覆われていた・・・
「これは一体・・・」「どうなってるんだ・・・?」「進めないよね・・・これ」
「こいつは・・・」
「なるほど、ラクダーナの力で砂の壁を作ったってわけか、自分達が通る時はラクダーナ達に砂を回収してもらえばいいだけだからよく考えたな・・・」
ふうむ・・・
「今までの事からすると、多分、あの先に階段があるんじゃねーかな・・・カンテーラ、あの砂の形、わかるか?」
「なるほど、砂で地面の形はわからなくても、この砂の塊に宿ってるラクダーナの力を読めば砂の形はわかるかもと・・・ビンゴだ」
「段差の下ごと階段が埋まってるような形してますねぇ、これは・・・」
「あ、それ、俺が言おうと思ってたのに・・・」
「強行突破でどうにかなんないか?」
「いや、強行突破もダメだ、あの壁、ラクダーナの力の糸が無数に張り巡らされてる、壊すのはもちろん、少し崩しただけでもすぐに駆け寄ってくるぞ」
「そっか・・・」
俺の意見をカンテーラが否定する
「・・・もう一度言うけどさぁ・・・」
四葉か・・・
「どうぞ」
「こんなの・・・見つからずにどうやって行けってのよ!!」
四葉の言葉が・・・廊下には響き渡らなかったけどその意気は十分伝わって来た、気がした・・・
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