バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

月夜と私の過去と光の城 ダブモン!!4話/18

 

月夜と私の過去と光の城 ダブモン!!4話18
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 「歌語理さん・・・?」
 社長に一言言おうとするその日、会うのが午後からだったのだが、その前、午前に時間があったので病室にいる歌語理さんに会いに行く、
 大した理由ではない、社長との物言いによっては、事務所を出て行くことになるかもしれないのだ、
 だとするなら、ここにもこれなくなるかもしれない、その前に、一目会いたかった、
 「四葉ちゃん、ひさしぶり・・・」
 しかし、そこにいた歌語理さんは・・・私の知る歌語理さんではなかった、
 頬はコケ、目に隈ができ、眼球が飛び出、肌は仄暗く固くなり、頭には包帯を巻いているが、全ての頭髪が抜け落ちているのがわかる、
 自身で衝けたのだろう、体中にひっかき傷のかさぶたも見える・・・
 なんで・・・こんな・・・
 「あ・・・かはっ!」
 「歌語理さん!!」
 息苦しそうに咳き込んだ歌語理さんに思わず駆け寄り体を支える
 「大丈夫・・・大丈夫よ、最近、また体調が・・・」
 「そんな・・・」
 「でも、あともうちょっとだから・・・すーはー・・・」
 深呼吸で息を整えようとするもののそれでは抑えきれないほど呼吸も荒い・・・これ以上は無理・・・か・・・
 「すみません、今日はもう帰りますね」
 「いいのよそんな・・・」
 懇願するような痩せこけた目・・・いいや・・・
 「いいえ、もうすぐ治るんでしょう?その時に、思いっきりおしゃべりしましょう!」
 「あ・・・ありがとう・・・そうね、早めに・・・ううん、ちゃんと治すからね・・・」
 「はい!」
 歌語理さんに笑顔を見せ、振り返り、歩き、病室のドアを開けくぐる・・・
 ・・・
 病院の外に出た後、1階部分の広いビルのような病院を見上げる、歌語理さんの病室の方、八階少し右辺りに向かって
 そして、スマホを取り出し、内部に記録した一つのビデオを写す
 そこには、ピンクの衣装を着て、元気に歌い踊る歌語理さんが映し出されていた・・・
 なんで・・・なんで・・・
 なんで・・・ビデオに写る歌語理さんはこんなに元気に歌って踊っているのに・・・
 なんで本人は・・・あんなに苦しそうなの・・・?
 治るんだよね・・・本当に・・・治るんだよね・・・?
 気が付くと、涙の落ちたスマホを、力を込め過ぎ震えながら見つめる私がいた・・・
 ・・・
 「大変だったわねぇ、いきなりねぇ・・・」
 事務所の入り口、そこで、社長の仕事が一段落着くまでの間、
 偶然通りかかった、今までお世話になった女性専務と会話をする、歌語理さんとのインタビューの時にもいた・・・
 「すみません、大きな仕事までいただいて、あの後もいろいろ仕事いただいて、苦労かけさせたのに・・・」
 専務は右手を顔の前で少し振り
 「いいのよいいのよ、うちの不手際でもあるしね、責任が無いわけじゃないわ」
 「不手際・・・」
 「うちとしてもね、デビューさせるアイドルにはちゃんと成功させたいのよ、でも、その戦術が間違っていたってことだからね、あなたを攻めるつもりはないわ、これから、また頑張ればいいだけだからね・・・」
 そうか、そうだよね、事務所の方だって、頑張っていないわけじゃないんだ、でも、それでも、あの社長の出した方法は違うと思う・・・
 ピルルルル・・・
 鳴り響いたのは後ろのカウンターの電話の音、その受話器を受付嬢さんが取り、三言程話した後、私に視線を向け
 「あの・・・」
 と、私に話しかけてきた
 「あ、そろそろ、話も終わりかしら」
 「社長がお会いになられると」
 とうとう来たか、今度こそ、きっぱりと断ろう・・・
 例え、その先に何があろうとも・・・
 ピリリリリ・・・
 今度は専務の方から電話の音だ、一体どうしたんだろう・・・
 私が気になりそちらの方に目線を向ける中で、女性専務が腰の革ポーチからスマートフォンを取り出し、サッと押して通話状態にし耳につける
 「はいもしもし、、、え、風鳥歌語理が・・・死んだ・・・!?」
 
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