バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

魔石物語/13

魔石物語 13
 
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13 果実石2
 
 男は初めて手に入れた石に悩んでいた・・・
 上にヘタが付いた少し横に楕円の球体明らかに果実の形をした石、
 普通なら誰かが彫ったものだと思うだろう、
 だが、それを拾った場所は明らかに誰もいない火山地帯、
 坂の上に火口が有り、黒い岩肌と細かい石が山を覆っている、そんな場所、
 では、それはたまたま果実の形を成した石なのか?それにしては精巧すぎる・・・
 男はまず、その石を釘を差しそれを槌で叩き割ってみた、
 内部はただの石ではなく、果実のように種と実があるかのような形を成していた、
 ここで男は確信した、これは、誰かが作った物ではなく果実なのだと・・・
 その日より、男の研究の日々が始まった、
 火山地帯から拾ってきてはかじったり、水や湯に付けてみたり、細かく砕いて少し口に含んでみたりしてみた、
 だが、いずれもだめだった・・・
 ここで男はひらめいた、
 そうだ、埋めてみれば芽が出るのでは?
 果実を拾って家のそばに埋めるも、芽は全く出ず、掘り出してみると腐っていた、
 成長能力の弱さ故、周りの雑草を始めとした植物にやられてしまったのだ、
 だが、腐ってはいても石化は解けていた・・・
 それは灰色の皮の果実で中は血のように赤かったが腐ったせいか割れて中は緑が多量に混じっていた・・・
 ここで男の努力は実った、土に埋め、毎日取り出して石化が解けたところを見計らい、食してみたのだ、
 その味は無味乾燥だが、体から不思議な力が溢れるようだった、
 だが、その男は気づかなかった・・・
 男はそれを改良し、実を土で覆って石化が解けたころ合いで取り出し食べた、
 食べ方が分かったところで他者にもそれを売りさばいた、
 だが、男は常に考えていた、果実をよりおいしく食べる方法を、
 石化を解く魔術師に頼んで石化を解いても見た、
 しかし、味に変化は無かった、
 そして、その日はやってきた・・・
 突如、男は石化したのだ!!
 長年食べ続けて果実の魔力が体内にたまってしまったせいだった、
 これは体内に蓄積された石化の魔力とその魔力が長い年月で体に完全に定着してしまったせいでありその量と体への定着具合から魔術師もどうしようもなく・・・
 男はただ朽ちていくしかなかったのだった・・・
 
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