カードゲームライトノベル Wカードフュージョン9話 失踪、失意、絶望、9
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「ムハハハハ!!」
突如として響き渡ったのは、あまり聞きたくない高笑いの声、
その声の主は、確かに、落ちた床下の向こう側から背中のジェットエンジンふかし飛んでくるのが見えた、
丸い仮面を丸い体に着け、仮面は白色で、笑い顔の口と左目が描かれ、右目の部分は黒猫の顔が描かれている、
両手は白い手袋が宙に浮いたようになっていて、先が上尖った靴を両足に履いており、
その体は黒いが、上には中がピンクの猫耳を付け、臀部に黒猫尻尾を付けていて、これでもかという具合に黒猫要素を押し出してきている、
そう、ジョーカー、ジョーカー・ブラックキャット!!
ジョーカーが床下からでてきて宙空でホバリングする
「轟君、あれが?」
「ええ、報告していた敵の一人ですよ」
と、ジョーカーが僕達の方を向き
「初めての方もそうでない方も」左手を下にお辞儀をするように出して頭を下げ「ごきげんよう」上げる「ムハハハ!!」
すぐにふざけるように笑い声を上げるなぁ、もう!!
「撃て!!」
署長の檄に、隊員たちが右腰から銃を取り出し、ジョーカーに向け、放つ!
バン!バン!バン!
銃声が響き、弾丸がジョーカーに向かって行きジョーカーの体に弾かれる!!
と、弾き飛ばされた弾丸の一つが僕の足元に着弾し、跳ね返った!
うっだぁああ!危ないっ!!
「ぐ・・・やはり・・・」署長が悔恨の表情でつぶやく
「おやおや、お客様は節操が無い、それなら私もちょっと暴れさせてもらいましょう」
突如、ジョーカーの背中のジェットエンジンが火を噴き、ジョーカーが集まっていた隊員たちを左手の方から突撃していく、
ジョーカーが左手側から右手側に過ぎ去った、それだけである、
それだけのはずなのに、隊員たちは誰一人としてジョーカーを止められず、方々に吹っ飛ばされていたのだった
「さらに、もう一つおまけしちゃいましょう」
元の位置に戻ったジョーカーが右手を掲げ、親指と中指を合わせ、こするように弾く、
パチッ!
すると、上から黒い何かが降ってきて、ジョーカーの前の地面に着地する、
それは、コムスーツを着た大きな黒豹!
顔を除いた全身をゴムスーツで覆い、その右目がアメジストみたいな紫色の鉱瞳になっている、
その黒豹に唐突に何人かの隊員が左手の盾を持って一気に前進し、豹を包囲する、
が、豹がいきなり突進、隊員の包囲を吹っ飛ばし、輪から出てきた!!
この状況、どう見ても、僕の出番だよね、よし!
「カーディン!」
「わかってる!」
「いいや、ここは僕の出番だ!!」
いきなり轟さんが前に出て、胸元の防弾チョッキの内側に右手を入れて何かを取り出しジョーカーに突きつける!
あれは、青いデッキケース!?
間違いない、真っ青な長方四角形に、中央にパトランプと羽を模した銀のエンブレム、
と同時に、後ろの方からエンジン音が響いてきた、
ブロロロ・・・
さらにガッと瞬く間に何かにぶつかる音が響いたと思ったら、
僕達の頭上を、一台のパトカーが跳んでいた!ブォォオン!
「チェーンジ!!」
上に跳んだ青いパトカーの形が変わっていく、
前部が扇状に二つに分かれて両肩になりつつ後部が外装ごと曲げていた足を伸ばすように伸びて足になりながら腰が180度回転し、
両肩から脇を閉めるように両腕が出現しつつ両腕が180度回転してタイヤの部分が外側となり、黒豹のすぐ前に着地した、
それは、全体に青いパトカーの外装が付いていて、胸部に左がオレンジ、右が赤のパトライトを持ち、
上端の切れた三角頭の頭部額中央にパトカーのドアのような装飾があって、その上に羽とパトライトを模した銀のエンブレムを付けており、
目の部分が青い機瞳となっている鋼の顔を持っているロボット!
そのロボットが右腕を外側に伸ばして曲げてその先の右手を額に着けて敬礼し、その目を光らせる
「サーディン・オイル、ただ今着任しました!!」
サーディン・オイル・・・魚の缶詰・・・?
「くくっ、新参ですか?、でも、私達には勝てませんよう!」
黒豹がサーディンに向かって吠える!
「その言葉、そっくりそのまま返してやる!」
「わかりました!轟巡査!」
隊員たちが戦いの気配を感じてあわてて下がる中、サーディンが一歩下がってジョーカーから距離を取り、轟さんの右手に持つデッキケースが一瞬光る、
すると、轟さんの前に半透明の緑の板と緑の画面が出現、
轟さんがデッキケースを半透明の緑の板の左手側に置くと、デッキケースからデッキが出てきてシャッフルされて山札になりつつデッキケースが上下反転して山札のさらに外側に置かれ、
そこから轟さんは山札から右手でカードを引いて左手に移して手札とし、それを計五回繰り返して五枚のカードを手札にする、そして、ジョーカーの方を真正面から見据え
「さぁ、カードバトル開始だ!!」
僕が呆然とする中、轟さんは言い放つ
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