カードゲームライトノベル Wカードフュージョン8話 戦獅の咆哮20
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ジョーカー、どこだっ!!」
博士から連絡を受け、カーディンがLVカーディンから分離して、僕を乗せ、病院から一気に工場にとんぼ返りしてきたところで、
左右に白い塀がある左の方に開いていた三角らせんに錆びた鉄の棒が組み合わさってできた門を通り、一旦停止、
そこで僕は、カーディンの助手席のドアを左手で開け、工場に立つ、
目の前にはとても大きなシャッターが付いた簡素な金属の板で仕切られた建物があり、
その奥にもところどころに大きなシャッターのある似たような建物が並んでいる、
優に普通の学校以上はある広さだが、カーディンの力を借りれば、誰かを探し出すのは簡単だろう、ジョーカーが隠れてたりしなければの話だが・・・
「奥の方から何か戦うような音をキャッチしたぞ!」
カーディンが何かを聞いたっ!
「奥の方!?ということは・・・あっちか!」
前方、左の方にある、中央広場に続く通路の方に目を向ける、すると、向こうの方の左の鉄板で出来たガレージと右の建物の間の隙間から、かすかに大きな鎧みたいなものが見える、
あれは・・・デカい騎士のロボット?
見覚えがある・・・確かあれは・・・いや、思い出すのは後!
「カーディン!中央広場だ!!」
「任せろ!早く乗ってくれ!!」
「よし!」
カーディンに乗り込んで助手席のドアを左手で閉め左肩の上から右手でシートベルトを引き出して右腰の金具に付けると、カーディンが前方、左の方にある通路に向かって走り込み、そのまま通路を抜ける、
確か、轟さんがトレーラーに乗ってカーディンの後ろを追っていたはずだけど・・・
チラリと後ろの方を見ると、トレーラーに乗った轟さんが順調に僕達の後を追ってきていた、
とりあえず道の障害物にはなってる・・・かな・・・?
そんなことを考えつつ正面の方に視線を戻すと、カーディンが通路を抜け、広場に出たところだった、
そこには、左側にエルドガンと騎士を模した筋肉質な機械の巨人が立ち、右側にジョーカーがいた、
騎士を模した機械の巨人は全身に西洋の騎士と思わせるような鋼の甲冑をまとい、頭の兜の上には鉄のとさかが存在し、
左の腰元に巨大な片刃の剣を携行しており、全身の鎧の隙間からは鋼色のマッシブコードが垣間見えていて、
背中には、戦闘機の銀翼を一組とロケットエンジン二つが存在しており、その兜の内に光る黄色い機瞳をジョーカーの方に向けている、そう、あれは、前に見た、エルドガンが召喚した、メカロード、鎧機!!
と、ジョーカーが顔を上げ
「ムハハハハ!!そいつを召喚しますか!!」
笑い声も上げている、
すると、エルドガンが右手の人差し指をジョーカーに向け
「行きなさい、鎧機、そいつをぶっ潰すのよ、遠慮はしなくていいわ!!」
鎧機がジョーカーに向かって一歩前に出る、
同時に、鎧機の背中から、左右に計二機のハニカム構造の小型機械が出現した!
黄色い六角形の横向きの短い柱に、左右に大きな六角形の盾が付き、上前後に大きめのプロペラが付いている、
そのビット内左の方の機体が、ジョーカーの方に向かって勢いよく飛んで行く
「ムハハハハ!!そんなもので私を止められるとでも?」
ジョーカーが背中のジェットエンジンで空を飛び、そこにビットが猛突進してくる、
が、ジョーカーはビットを右手の方にヒョイっと避け
「どうしました、その程度ですか?」
ビットが向かって行くも、今度は上に避けて、またもビットが方向転換して向かって行くが、今度は左手の方にヒョイっと避けてしまった、
「ムハハハハ!!その程度では、ん?」
ジョーカーが不意にこちらの方を向く、どうやら、僕達に気付いたようだ
「どうやら、遊んでる暇は無いようです」
「双歩!行くぞ!!」
「了解、カーディン!」
広場に出たところで、右腰のシートベルトを外しつつ助手席のドアを左手で開け・・・
「よっと!」
ジョーカーがその右手で不意に自分に向かってきたビットを捕まえ
「一気にいきますよ!」
ジョーカーが一気に加速し、エルドガンに向かって行く!
そこに鎧機が立ちはだかり、鎧機が右拳を振り上げ殴り掛かる!
「それっ!」
ジョーカーが上にかわしつつ、鎧機の右腕の上に飛ぶ、鎧機は左手で捕まえようとするもジョーカーが離れるように鎧機の右わきからエルドガンの方に向かい、
一方、僕はカーディンから降り、右手でカーディンの助手席のドアを閉めてジャケットの左内ポケットからデッキケースを出して
「そこですっ!」
ジョーカーが僕に向かって右手に掴んでいたビットを放りこんできた!ビットは勢いよく僕の足元の方に飛んできて、
床にぶつかってガンッ!!という強い衝撃音を発した後爆発!
「うわっ!!」
デッキケースをジョーカーの方に突きつけようとしていた僕は思わずひるんでしまった、
その間にもジョーカーはエルドガンの方に肉薄していく、が、ここでもう一つのビットがジョーカーの前に立ちふさがり、鎧機も振り返ってその右手をジョーカーの方に伸ばしエルドガンが後ろに振り向いて走り出す!
「ちょうどよかった!」
ジョーカーが嬉々とした声を上げた次の瞬間、ジョーカーはもう一つのビットを右の手に取って持ち、僕の方に放り投げた!
「大丈夫か、双歩」
「だ・・・大丈、」
ジョーカーが放り投げたもう一つのビットが僕の足元に着弾!爆発!!
「うぉっ!」
またも僕はひるんでしまう、
その間にもジョーカーは伸ばされた鎧機の右手もするりと抜けて後ろに走り出したエルドガンの前に回り込み
「くっ!」
「それっ!!」
その右手を握って拳と成しエルドガンの腹に思い切り叩き付けた!
「がはっ!!」
エルドガンが前のめりにジョーカー右手に倒れるように気絶し、その反動でその兜を前に落とした、
カンッ!という金属音を立てて転がった兜の中身は、確かに、前に病室で見た、赤い長髪を上でまとめた機敏な感じのする二十代の赤目の女性、
ジョーカーがそのままそのエルドガンを右手に持ち、上に飛ぶ!
「ムハハハハ!!」
鎧機があわてて右手を伸ばすも、ジョーカーに一歩届かず、ジョーカーが上の方に飛行してそのまま向こうに降り立つ、
くそっ!デッキケースで
「おっと!」
突如、ジョーカーが左手を広げ、僕の方に向けてきた!
「それは危険ですのでね、とりあえず、降ろしてもらいましょうか」
「なっ・・・」
「いいんですか、この人が死んでも・・・」
ジョーカーがエルドガン持つ右手に力を込める、
「くっ・・・」
仕方なく、デッキケースを下に降ろし・・・
そこに、鎧機が空気を読ますにジョーカーに走って突っ込んでいく!
「っち、命令者がいなくなって指示を実行するのみの暴走人形と化しましたか」
指示を実行するのみって、あ、そうか、
今の鎧機は、エルドガンが最初に命令した、「ジョーカーをぶっ潰せ、遠慮はしなくていい」という命令を忠実に守っているわけか!
でもこのままだとエルドガンが・・・
「まぁ、上に飛んでそのまま召喚時間が切れるまで逃げ続けてもいいんですけどねぇ、その必要性は無いみたいです」
え?
僕が疑問に思った直後、鎧機に向かって右上の方から白い矢のような物が飛んで来た!
その矢は上下に分離しながら下の方が鎧機を斜めに貫き互いに合流しつつ、鎧機をくずおれさせた後、前方に倒れ伏しさせたのだった、
その矢が僕の方に顔を向ける、それは、右肩に巨大な白獅子を担いだ少年、そう、獅子堂レオン!!
「いやいや、助かりましたよ、レオンさん」
ジョーカーがふよふよとレオン君に近づいていく、
と、レオン君がチラリとジョーカーに目線を向け、
「能書きはいい、目的は達したか?早い目に扉を開けてほしいんだが・・・」
扉・・・?あ、あの穴の事か!
「レオリングは大きいから一度開けると修復する時間がかかり、往復で二度開けると次に開けるまでかなり時間がかかるから、不可能ではないが目的のためには一緒に帰ったほうがいい、そう言ったのはお前だったと記憶しているが?」
「ええ、その通りですよ」ジョーカーが首を縦に振った
っていうか、時間がかかるって、あ、そうか、今まで襲撃に間が空いていたのはそもそも一度大きく開けると次に開けるまで時間がかかるからか!
おそらく、大きいものほど扉の、あの穴の修復に時間がかかるんだ、
往復で開けるとなおさらだから、基準は不明だけど、今まで穴を往復であけた後、その穴の修復を待ってこの街に殴りこんできてたんだ、だから襲撃に間隔があったんだな!!
「じゃ、さっさと帰りましょうかね」
ジョーカーが左手を上げつつ人差し指を親指で正面から抑えて一気に人差し指を押し込みながら解放し、
パチン!!と大きく鳴らす、
すると、ジョーカーとレオン君の後ろに、穴が現れた、
濃い藍色の、宇宙が渦巻いているかのような穴・・・
と、レオン君が僕の方を向き、その目を恨めしそうに細めて左の拳を力強く握りしめる
「次は勝つ、僕達の本当の力で、どんな手段を使っても」
そして、ジョーカーと共に向こうの穴の方を向いた、
っつ、まずい!
「待てっ!!」
「いいえ待ちません!」
そこにジョーカーとレオン君が跳び込んでいく!その肩にそれぞれレオリングと・・・エルドガンを抱えたまま!!
くそっ!あの人がいないと映命さんが!!
思わず走り出すも、その穴は、次の瞬間には閉じてしまっていた、
そ・・・そんな・・・エルドガンが・・・映命さん・・・くそっ・・・
「くそぉおおおおおおお!!」
僕の叫び声が・・・あたりにむなしく響き渡った・・・
Wカードフュージョン8話 戦獅の咆哮
FINISH!!
Wカードフュージョン9話 失踪、失意、絶望、に、続く!!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――