バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

水晶の島のデモの末路 ダブモン!!9話/20

水晶の島のデモの末路 ダブモン!!9話20
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 「おい、崖を降りるぞ、こっちだ」
 ダグザのおっさんに言われ、ひたすら左手を崖沿いに走ると、崖中の小さな入り江につながる下り坂があり、
 そこを降りると、鎧に包まれた騎士の乗る小舟があった、
 腰から下の赤茶の前たれにしっかりと羽ロザリオが白く描かれており、教皇庁騎士団であることが一目でわかった、
 「こいつらは民間人だ、途中で俺が保護した、一緒に乗せてやってくれ」
 「はっ!異端審問官殿!!」
 ダグザのおっさんの顔を知っていたのか騎士が敬礼し、小舟に乗って私達は鉄騎船と呼ばれた船にたどり着く
 「あんたって、敬礼されるほど偉いのね~」
 「仮にも銀ロザリオ持ちだぞ、俺は、ここの兵士は行って銅ロザリオだ、ま、団長クラスになると銀の者もいるがな・・・」
 等と他愛無く話しながら・・・
 はしごで船に乗りこむと、鉄板で甲板が覆われ、船のほぼすべてが鉄で覆われていることがわかる、と、私達を乗せた鉄騎船が右方からノルド島に沿い、どこかに舵を切りだした
 「どこに行くのよ?」
 「今にわかる、と、お出ましのようだぜ・・・お前ら!中に入れ!!」
 「四葉さんは私がお守りします!!」
 ウィルピーが私の上に出る間にも、私は何が起きたのかと目を見晴らす、
 いつの間にか、進行方向に前後に丸まった装飾の付いた楕円形の木船、小型のガレーに乗った兵士たちが集結していたのだ、
 しかし、そこに応対するように前線に鎧騎士たちが集まり、弓に矢をつがえて行く、
 そうして、矢の飛び交う射撃戦の幕が開く、
 ・・・結果は歴然だった・・・
 向こうの矢はことごとくに船に、騎士の鎧に弾かれた、
 思い出したように飛んできた火矢も、鉄の船では意味をなさない、
 対して、こちらの矢は兵士を撃ち抜き、時には兵士ではなく船に穴をあけた、
 そう、別に兵士を狙わなくてもいいのだ、船上で、避けづらいからと言っても狙いの甘い矢なら避けれることもある、しかし、船そのものはそうもいかない、
 高低差も相成り、向こうの船は威力の高い矢が雨あられと降り注がれ、向こうの矢はまるで歯が立たない、
 ようやく登場した中型大型のガレー船も、こちらが火矢を用いれば勝負は火を見るよりも明らかだった・・・
 急に始まった戦いに呆気にとられ船の内部に入るタイミングを逃しながらも(矢の量が量なのでうかつに動けなかったのだ)沈む船と溺れる兵士たちを無視し、私たちの乗る鉄騎船は一直線に突き進む・・・
 「大丈夫なのかしら・・・あの兵士たち」
 いくら矢を撃ってきたとはいえ人間は人間である、海におぼれかけたように体を激しく動かしながら両腕を海面に叩きつける姿が写れば良心が痛む、それも大量となればなおさら・・・
 「俺達は救助隊じゃない一応は他国の軍隊だ、俺達がいなくなれば救助隊もこれるだろ、それに、この国は島国だからな、兵士なら、泳ぎの訓練の一つでも受けてるだろ」
 「まぁ、そうなんだろうけど、」
 私は心の視線をそらすように別の話題を出すことにした
 「それにしても・・・圧勝よね・・・鉄の船ってすごいのね~」
 思わず、船を見渡した
 「たった一隻なのに・・・」
 「ここだけの話だが、あいつらがきちんと戦力を結集してれば、この一隻で勝つことはできなかったろう、それに、ちゃんと警備されてれば、ここまで来ることもできなかった」
 「そうなの?」
 思わず横で周りを見渡し警戒するダグザのおっさんの顔を見る
 「この船は警備に感づかれないよう、北洋に大回りしてから来たが、ちゃんと警備していれば近づく前に戦力を集めることなど難しくなかっただろう、」
 え・・・?
 「戦力を国外ではなく国民に向けたから、結局、戦力が分散された上、国民の元気がなくなって食料供給や生活水準が落ち、他国との交流や他国への情報収集も無くなり、兵士たちも弱体化する、強い国を目指すなら、対外的にはいざ知らず、国民には元気でいてもらった方がいいのさ」
 「そういうもんかしらね・・・」
 
 俺たちはまた定期船に乗り、
 今度は女性騎士も一緒だけど・・・
 定期船に乗り、中央のとある場所を目指していた・・・
 「とにかく、これを届ければいいの、その後は上が勝手にやってくれるわ」
 横に座る女性騎士の切れ長の目がが右手に書類を持ちながら俺を見下ろしてきた
 「でも、兵士たちに追われなくて本当、よかったよ」
 「なんか、慌ただしかったけどね・・・
 まぁ、確かに、援軍を呼んでるけど来なかった感じがして混乱し始めてたなぁ・・・
 
 アントイワン達と定期船に乗る僕達
 「大丈夫かな?転覆しない?」
 「ま、転覆したらお前だけでも引き上げてやるさ」
 僕の質問に、両腕を組んで目をつむるほど知ったように自信ありげに首を縦に振るイグリード、
 イグリードって、海大丈夫なのかな・・・?短期間なら大丈夫か、氷海じゃあるまいし・・・
 と、ほんの少し後方、定期船の前の方で周りの虫ダブモン達に顔を見合わせ共に会話するように体を少々揺らすアントイワンを見る、
 ・・・さっきからアントイワン達はあの調子だ、何か会話してるのはわかるんだけど、僕達には内容はわからない・・・
 向こうに着いたら、どうする気なんだろ・・・?
 
 デモ隊が崩壊した兵士達の防衛網を突破し大統領邸の塀の内側に突入する!!
 
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