バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

炎の精霊と火山と謎の剣 ダブモン!!7話/05

 
炎の精霊と火山と謎の剣 ダブモン!!7話/05
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
f:id:OirenW:20190925130846p:plain
 
 探索2
 
 「実はね、その剣は、ウィルピー族が打ったっていう言い伝えがあるんだ・・・」
 「そうなの?」
 「へぇ、私の同族が・・・」
 「詳しいことはよくわからない、そういう言い伝えがあるだけさ・・・」
 ふぅん・・・そうなんだ・・・
 そういえば、ウィルピー種の一体が僕達の探す裁定の剣を打ったかもって聞いたなぁ、アクリスから・・・
 「とりあえず、あの村に行って伝説を訊くということでいいか?教会みたいなとこがあればいいけどな・・・」
 そのカンテーラの一言により、僕達は村の方へと入り込んでいく・・・
 村の人達は茶色や動物の皮のような前合わせの衣類を着用しており、独特な雰囲気が漂っている、
 そういえば、家の様子も今までに見たことのない様子だ・・・
 「この辺りは古い風習や言い伝え、特産品を守るためにすっと習慣を続けているらしい、あれらの服も、この建築様式も、それらを珍しがる人達からすれば、お金を出してくれるものになる、いわば、観光業ってやつだな、必要時には洋服だって着るが、この辺りの気候はあの服があっているのだろう・・・」
 「この辺りの気候・・・?」「そういえば、少し熱い気が・・・」「砂漠の熱さじゃなく、何だろうな、近くで温泉でも湧いてるような・・・」
 「まぁ、その辺りは地元の住民に話してもらった方が早いだろうな・・・観光協会とかないのかな?適当に誰か話しかけてみるか?すみませーん」
 カンテーラがふらふらと近くの男性に話しかけて行く、少しガタイの良い、木こりでもしていそうな男性だ
 「この辺りに、不思議な剣があるって話を聞いたんですが?」
 「ああ、あの剣か、この道の奥にある家の酋長とその娘が人間側の管理者だから、その人達に訊くといい」
 「ありがとうございました~」
 「じゃあな、観光でも充分に注意しろよ」男が軽く右手を上げ別れの挨拶・・・
 にしても、観光で、注意しろって・・・
 そんなこんなで感想を抱く間にカンテーラが戻ってくる
 「訊いて来たぞ、一番奥にある家だって、そこにいる人たちが知ってるって」
 そうして、僕達は一番奥の家へと向かう・・・
 突き当りの、家の前へは割とすぐにたどり着き、良星君が家に向かって声を上げる
 「すみませ~ん」
 「はい~」
 そこで飛び出してきたのは、一人の女の子だった・・・
 赤を基調とした白ファイヤパターンの前合わせの民族衣装を着た、どこかかわいげのある、黒髪の少女、
 年齢は僕の少し下ぐらいだろうか・・・いや、でも、これは・・・
 「か・・・かわいい・・・」
 「へ?」
 「あ?」
 兎白と良星が呆気にとられた声を出し、女の子の方をじっと見る
 「こういうのが好みなのかお前・・・」
 「そういや、妹さんとは正反対なタイプだな・・・」
 「いもうとぉ!?」
 二人の言葉に大声を出したのは四葉さんである
 そのまま少し見開いた眼を僕に向け
 「あんた、妹いたの?」
 この一言・・・
 その意外に意外を重ねたような顔と表情に思わず気分を害する
 「いちゃわるいの?」
 「いや、別に・・・」
 「あの・・・どのようなご用件でしょうか・・・?」
 と、その女の子が少し困り顔で話しかけてくる、思わず僕はしどろもどろとなり・・・
 「あ、あのね・・・」
 「おい!どうしたい・・・?」
 すると、わらの家の中から、炎の化身、と言ってもかなり小さいが、としか言えない、存在が出てくる、
 人型の、炎の塊のような・・・
 「え、ええっと・・・」
 「お前らは何もんだ、ここに何しに来た」
 そ・・・それは・・・
 僕が戸惑う間にも、良星と兎白が僕達の後ろに回り
 「ほら、鼓動!」
 「ここはお前に任せた」
 ささやきかけてくる、ううむ・・・しょうがない・・・
 「ええっと、僕達は、ここにあるっていう、剣を見たくて・・・」
 「剣・・・?剣ですか?」
 「なんだ、そういう事なら早く言ってくれ、ほら巫女、さっさと行くぞ、道案内も守護者の仕事だ」
 「そうですね」
 すると、巫女、と呼ばれた女の子が、家の中に顔を入れ
 「お父さーん!観光客の人が来たから、ちょっと出てくるねー!」
 「行ってらっしゃーい」
 今のしわがれた声は、父親だろうか・・・?
 そう考える間にも、女の子はこちらに顔を向け直し、お客様用だろう、義務的な笑顔を向ける、
 「お待たせしました、それじゃ、ご案内します!」
 そう言いつつ、左側奥の方に歩み始める、僕達はそれを追う格好に・・・
 「ほら、鼓動、何か喋れよ」
 「訊いておいた方がいいこと、一杯あるだろ」
 良星と兎白がまたも発破をかけてくる、
 横目から微かにそちらの方を見ると、カンテーラはそれを呆れて見て、四葉さんはどうでもいいといった感じでこちらを見てきて、最後尾のアクリスに至っては本当に関心がなさそうにニコニコ事務的笑顔ですらある
 ううむ・・・しょうがない・・・
 「あの!」
 「何でしょう・・・」
 歩きながらの少しこちらに顔を向けての返事・・・
 何から訊くべきか・・・その前に自己紹介かな・・・
 「あの、僕の名前は海象、鼓動っていうんだ、君の名前は?」
 「はい、ユネッタと言います、こちらは」と右手を炎の人型の方に向ける「イグリード」
 「よろしくな」
 ユネッタ・・・良い名だ・・・
 「あ、あの、えっと、そうだ、これから行く先にある剣って、ウィルピー族が作ったって聞いたけど、本当?」
 「・・・そうなんですか?」小首をかしげるユネッタ
 「そういや、そんな話も聞いたことあるような無いような・・・」
 あれ?反応薄いな、ま、所詮はただの噂だしね・・・
 「じゃあ、巫女って呼ばれてるけど、どういうこと、信仰している神様は?」
 「この辺りは、過去に大きな災害があり、その影響から、人間側とダブモン側に、守護者を設けることになったんです」
 「それが俺の一族とユネッタの一族ってわけだな、俺達の一族が村の近くに住んで、仕事が入ったらこうして二人一組で案内したり、パトロールしたりしてるってわけだ、ちょうど、俺達はパトロールに出るところだったのさ」
 「それで、女性が守護者となった場合は巫女と呼ばれているんです」
 「へぇ~、でもずいぶんと若いよね、その年でも巫女とかにはなるんだ・・・」
 「父が腰を痛めてしまって、もうずいぶんな高齢ですから」
 「年の離れた兄がいるんだが、色々あってな・・・大絶賛行方不明中なんだ」
 そっか、お兄さんが・・・
 「じゃ、じゃあ・・・せめて、僕がここにいる間は、僕がお兄さんの替わりに守ってあげるよ!!」
 「へ・・・?」
 「僕も同じ年ぐらいの妹がいるし、女の子の扱いには慣れてるつもり!」
 「いきなりそんなこと言うかお前は?」
 「あちらさん引いてるじゃないか」
 「ちょっと、もうちょっと空気っていうの読みなさいよ」
 なんだよ3人とも・・・思わず背後に振り返る
 「うっさいな、ちょっとぐらいいいかっこしたっていいじゃないか」
 「いいかっことかそういうレベルじゃないだろ今のは」
 「そうだ、もうちょっと色々考えて言葉は選ぶべきだろう」
 「そうよそうよ、初対面の女の子だってこと考えなさい」
 「お前ら、変な喧嘩を始めるなよ」
 「やっぱり女の子ですねぇ、恋愛ごとに無関心だとばかり思ってたのに・・・」
 「そうよ、時代はもっと守ってもらいたい男の子の方がモテるのよ」
 「ちょっと、話が脱線してない!?」
 「ふふふ・・・」
 ん?
 今の声は、ユネッタ?
 確かに、少し笑ってる
 「いえ、失礼しました、楽しそうだと思って・・・」
 へ?
 「そんなにたくさんの人やダブモンが集まって、わいきゃいやってるのは初めて見たので、会議や酒の席じゃ、そんな気軽に楽しそうな雰囲気になることはないので・・・」
 ・・・そういうもんかな・・・
 「ああ見えてな」
 ん?イグリードがユネッタに聞こえないぐらい小声で・・・
 「兄がいなくなったこと、結構気にしてんだ、だから、楽しそうなのを見て心が和んだんだと思う、家柄のせいか、年の近い友達も少なくてな、年が離れていたせいか、かわいがってもらっててな、ま、いい奴だったよ、だから、今どこで何をやってるのやら・・・」
 「イグリード、あまり余計な事を話さないでください、さっきだって、兄の事を勝手に・・・」
 「おっと失礼、お、そろそろじゃないか?ほら」
 すると、いきなり右手向こうの地面から熔岩が噴き出す!
 「うどわっ!?」「すげー」「なんだあれ?」
 それは、まるで大地が怒り、血を噴き出しているかのようだった・・・
 「あれはな、この辺りで定期的に吹き出すものなんだ、だが、柵の外側にいれば安心だ、ほら」
 言われてみれば、噴き出した場所の周り、広い範囲に鉄の柵が・・・
 その中に熔岩が落ちて行く・・・
 「木材とかでは燃えてしまうので、鉄材を使用してるんです、とはいえ、盗み出そうとするのもいて・・・」
 「その辺りは、ダブモン達もしっかり見張ってるから、とりあえずは安心だ、と言ったって、そういう輩がいるのはしゃあ無いんだが・・・」
 ふぅん、大変なんだ・・・
 「あ、見えてきましたよ、あそこです」
 ユネッタが右人差し指で指したのは、柵の外側にある、土を盛って作ったようなこんもりとした一つの洞窟、
 なぜか、中が赤々と燃えているように光を放っている・・・
 「中は熱いのでご注意ください、それから、足元には十分に注意してください、命を失っても責任は取れませんから」
 「ええっ!?」
 僕の少し大げさな反応に、ユネッタはまた微かに笑う
 「安心してください、中はダブモンの巣ですが、きちんと整備されているほか、人の良いダブモンたちばかりで、道を外れない限りは助けてくれますから、運が悪かったりわざとそうしない限りは」
 ううう・・・笑ってくれたのは嬉しいけど・・・
 「さ、参りましょう、剣を見るためには、あそこを通るしかないのですから・・・」
 そうして、僕達は洞窟の中に、大人数で入って行くのだった・・・
 「うへぇ・・・本当に熱い・・・」
 「すみません、このような所で・・・」
 「な、なぁに、慣れりゃどうってことないさ」
 地下に下る洞窟を僕達は歩いて行く・・・脇に見える通路の下には熔岩など流れている・・・
 汗がすぐ蒸発するほどの熱さで僕の前方脇を飛ぶのはイグリード、炎の精霊のような姿をしたダブモン、
 そして、そのすぐ横を歩く少し年下の女の子は、ここの巫女、
 赤い東洋風の前合わせに袴の衣装には大きく白いファイヤパターンがそれぞれ描かれ、手首足首に金の輪などをしており、
 髪型は後ろ中程で髪を結んだ黒の髪で、その顔立ちは清楚さとかわいさが入り混じった顔立ち
 「熱いな、確かに・・・」
 「熱いわね・・・」
 「熱い・・・」
 「熱いです・・・」
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――