バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

氷漬け罪の雪女と氷精霊との出会い ダブモン!!6話/03

 
氷漬け罪の雪女と氷精霊との出会い ダブモン!!6話/03
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 「当ても無くこの大陸を回るっつたって・・・」
 「一応北には来てみたけれど」
 「どうすりゃいいんだ一体・・・」
 「東に壁、南が海に阻まれた場所に西から来たんだから後は北しかないでしょうが」
 俺、兎白と鼓動、良星、四葉さんが森の中を行く
 ちなみに、北とか言ってるか壁は西よりの北に傾いているらしいので実際は北北西とかその辺りだと思う
 「剣を探すんだろ剣を、」
 「と言っても、ここに来るまでに立ち寄った村なんかではそんな気配も無かったですしねぇ・・」
 もちろん、カンテーラとウィルピーも一緒だ
 「善行を積みながらって言ったって、女神はきちんと評価してくれんのかな?」
 「そうだよね~」
 「女神の顔、しばらく見てない気が」
 「今度呼んできちんと評価してるか聞きましょうよ」
 こういう始末だ・・・
 森の向こうに高く白い台地が見える中で、
 森の中の道を進む、そんな中で、森の中の柵に囲まれた広場に出る
 「ここは・・・?」
 周りに小さな家々が見える、集落か何かかな・・・
 ん?なんか、人が集まってる・・・?
 小さい子供や大人たち老若男女が少し右手手前の方に集まり、その奥にある何かを見据えている・・・?
 「初めまして、教皇です、今日は皆様に女神様の教えを説きに参りました」
 地面に設置された丸い平らな・・・機械?
 その上に半透明の少年が浮かんでる・・・?
 青っぽい黒髪の僕らと同じ年ぐらいの少年であり、優しげ真面目そうな雰囲気ながら、白と金縁の全身を包む壮厳な衣装に身を包み、
 首からは金の羽ロザリオをかけている・・・?
 それが両手を少し広げながら話し始めるのだ
 「女神様は我々の創造主であり、常に我々の幸せを願っておられます、我々は女神様の教えを実践することにより、より良い人生を送ることが・・・」
 話しているのは女神の教えだろうか・・・?
 「凄いでしょう?」
 ん?誰だ?
 後ろを見るとそこにいたのは、赤い炎のような髪をした少年である、
 身体にまとうは黒の長袖長ズボン、赤いベストを着けている、そして、木の羽ロザリオ・・・
 「まさかダブモンが聞いているとは、つい声をかけてしまいましたよ」
 「ええっと・・・」「だれ・・・?」「誰だよ?」
 「誰なの?」
 「ああ、失礼しました、実は僕は旅の者で、新しい布教の方法を開発したと聞いて見物に来たんですよ」
 見物・・・ってあれが・・・?
 確かに、斬新ではある、下の機械が投影した教皇様、それが教えを説いているのだ、
 実際に横やりが入っても見事に受け答えしているように見えるから、単なる映像ではないと思うのだが・・・
 「凄いでしょ、ダブモンの協力があってこそできたらしいですよ?」
 「ダブモンの?」「どういうこと?」「知ってるなら教えてくれ」
 「ダブモンのね~」
 「それぞれ得意分野があるだけですよ~」
 「ま、不可思議な力が扱えるのは確かだがな・・・」
 「あの機械をよく見てください、」向こうを向いたまま声を発した俺達に、少年が右手人差し指で機械を指す「機械から出た黒い線が家の一つに繋がってるでしょ?」
 確かに、草に紛れて線みたいなものが奥の小屋に繋がってる・・・?
 「あの小屋の中に人がいて、その人の動きをトレースしてるんです、機械の方から映像が送られてくるため、それを見て受け答えができるんです」
 へ~でも
 「あきらかに」「技術が違いすぎるっていうか」「仕組み分かって使ってんのか?」
 「さぁ、仕組みは作ったダブモンしか知らないんじゃないでしょうか」
 おいおい・・・
 呆れて思わず少年の方に振り返り・・・
 ん・・・?
 「なぁ、ちょっとそのロザリオ見せてくんないいかな?」
 「あ、それ、僕も気になってた!」
 「ロザリオ・・・なんで?」
 「いやいや、まさかねぇ・・・」
 「え・・・?いいですよ」
 少年は戸惑いながら僕にロザリオを渡す、
 あの時、あのおっさんはどうしてたっけ?あれ、そういえば手で巧みに隠してたっけ?確かこう・・・
 手で覆ってその木のロザリオを押してみたりするが・・・何も起きない・・・
 「僕に貸してよ!」
 鼓動に言われ貸してみるが、鼓動も俺と同じようにするが何も起きず
 「私も」
 今度は四葉さんにわたるが手で色々してもやはり、何も起きない、
 「あの・・・何をしてるんですか?言っちゃあ悪いですけど、ただのロザリオですよ?」
 「おかしいなぁ・・・」
 「何やってんだお前ら・・・」
 「実はさ・・・」
 良星に言われ、ようやく二人に事情を説明する
 「前に異端審問官に会っただろ?あの時、身分の証明にこれと似たようなロザリオを見せてきて、それを開けたと思ったら中に銀のロザリオがあったんだよ」
 「ああ、」思い出すように少し上に目が泳ぐ良星「あのおっさん・・・」
 「残念ながら、それにそんな機能は無いですよ」
 「もうちょっと貸しといてもらうとかダメ?」
 「ダメです、信仰を表すものなんですから、欲しいなら自分達で木を削って作ってください」
 「自分で削ってるの?」
 「金属以上のものはとにかく、木や石の物は自分で作るか人に頼むのが多い様ですよ、まぁ、買うと教会にお布施代わりにかなりの額取られることも多いですから・・・」
 「ああ、なるほど・・・」
 自分で作ってるのか・・・?疑問が浮かび、ロザリオの方を見る、そうは見えないほどそこそこきれいだけどな、継ぎ目とかもないし・・・
 って、あのおっさんのロザリオも一見すると継ぎ目も無いただの木のロザリオだったっけ、重さも木のロザリオその物だし・・・
 「仕方無い、返すわ・・・」
 四葉さんがロザリオを少年に返す
 「そういえば・・・」
 俺はそんな会話の中で、ちろっと立体映像の教皇の方を見る、
 「あの教皇って人は金色のロザリオ着けてるな・・・」
 「金のロザリオは教皇だけに許された物なんですよ」
 「そうなの?」「そうなんだ?」「そうなのか?」
 「ふーん、そうなんだ?」
 「そうです、金のロザリオは教会内で最も女神に近い人、すなわち、トップである教皇にしか許されていません、そこから、教会内で何らかの権限が教皇より委託されている人が銀、その下の教皇庁内の一般教員が銅、更に地方の一般教員が鉄などの卑金属になって行きます、一般の人や、そこから地方の一般的な教会では木や石が多いようですね」
 「へー」「へぇ」「ほー」
 「はー」
 「地方だとまた違っていて、地方教員のトップは銀が最高で、その下が銅、卑金属、木や石というようになって行きます、もっとも、権限を示すために金属類が必要なのであって、一般的にも木が好まれるようで、教会の下の人間や金属類を与えられた人間でも、必要時以外は木のロザリオが好まれることが多いです」
 「女神が世界樹と関わりがあるから?」良星が少年に質問しだした「っていうか、女神様はロザリオ着けてないよな・・・?」
 「女神様がロザリオ着けてどうするんですか、ロザリオは女神様そのものを表しているんですよ?女神様は女神様そのものがロザリオなんです、木のロザリオが好まれるのはその世界樹と関わりがあるという解釈が多いようですね、実際にはそれが一番手軽だからというのが大きいです、女神様はロザリオの材質について何か言われたことはありません」
 「だったら、金が一番偉いという論拠も無いよな?」
 「確かにそうですけどね、ですが金は女神様の一色であり、それを女神様から借り受けることにより」
 良星の質問に淡々と答える少年
 このまま質問が続いていくのか・・・?などと思って何気なく周りを見渡してみる、が、とあることに気付く
 「この集落、宿とか店とか無さそうだよな?」
 「えっ!?」
 「マジか!?」
 「あ~確かになさそうねぇ・・・」
 三人も周りを見渡していく中
 「ええ、無いですよ?」
 少年がとどめの一言を放った
 「あんまりのんびりしてる暇はなさそうだな、先の村には宿とかあるって聞いたが・・・」
 「ですね、足止め喰らってる場合ではなさそうです」
 カンテーラとウィルピーの意見、残念がら俺も、そして、他の三人も同意だろう・・・
 「ああ、行ってしまうんですね・・・」
 少年の残念そうな声に、俺達はそちらに振り返り、
 「残念ながらな、お前の名は」真っ先に良星が返答する、
 「レファンです、以後、お見知りおきを」
 「じゃあな、」
 軽く右手を上げる良星
 「お前どこ行くか知らないけど、早いうちに宿は取れよ」
 「行こう、良星」「行こうよ良星」「わかってるって」
 「森とかで野宿はごめんよ」
 「ははそれじゃ、またお会いできることを願ってますよ」
 俺達は説法の邪魔をしないように広場内を大きく回って足早に集落の広場を通り過ぎ、走り去っていった・・・
 
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