バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

森で相対せし地上げ屋炎獣一家 ダブモン!!3話09

 
森で相対せし地上げ屋炎獣一家 ダブモン!!3話/09
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 「よう、ばあさん、久しぶりだな」
 俺が話しかけると、婆さんの体がこちらに向き、
 その目で俺を見つめる、
 「おやおや、プランバニツじゃないかい、こんなとこでどうしたんだい」
 「ちょっと訊きたいことがあってさ・・・って、話してんのわかる?」
 このばあさんはわかってないように小首を一瞬傾げ、
 「すまないねぇ、何の用か、よくわからないねぇ・・・」
 やっぱりわかってなかった・・・
 「誰かいないかねぇ・・・ええっと・・・」
 「大婆様!!」
 と、上空から水色の羽付きトカゲが降りてきた・・・あれは・・・
 「見回り、終わりました!!」
 宙に浮いて止まったのは、トカゲにしてはややごつめの甲殻を持ち、身長は低く、人の子供程も無いのだが、俺よりは二倍ほどもあり、
 両腕両手は膜付きの羽となっていてそれを動かして宙に浮く、背に大きな背びれもあって、横縞の腹から尾につながるその体は全体的に頭大きめの二頭身である、
 「ゲッ!?」
 突如、ウワサツキが俺の後ろに隠れた、ああ、こいつも苦手だったか・・・
 「あいつ、私苦手なんだよ、いっつも上から街の周りを見回してさ」
 「俺も苦手だよ、固っ苦しいわ変に真面目だわ・・・」
 「おうおう、ご苦労さん、テイサバーン、でもね、周辺のダブモンを怯えさせるのはよくないねぇ・・・」
 ばあさんの言葉に、少し目じり眉尻をさげた困った表情になるその水色トカゲ、
 「はぁ、これでもパトロールの回数は抑え気味なのですが・・・」
 そう、この羽トカゲはテイサバーン、蜥蜴に羽の生えたようなダブモンで、定期的に街の上を飛んでいるため、うっとぉしぃだの権威的だのと言われている、
 「もっと目立たないように、例えば夜にするとかねぇ・・・」
 「夜は見えづらくて、見回りの意味があまりないような気がするんですが・・・」
 「まぁ、そこは後々考えるさね、ってそうだ、テイサバーン、ちょっと通訳してくれないかい?」
 「通訳・・・ですか、」不意に羽の端を羽ばたいたまま俺に向ける「この兎と・・・?」
 「そうそう、頼むよ、何か頼みごとがあるっぽいんだが・・・」
 「わかりました、それも私の勤め、それで、」今度は顔だ「何の用だ?」
 こいつに通訳頼むのかよ・・・うんざりしつつも話を始める
 「実はさ、俺は薬草畑の管理をしてんのよ、親父が死んで、一応後継ぐ形でさ、それで、同じプランバニツのダブモンのメス、知り合いにいない?確か、おふくろが何処から来たのかわかんないから、そこから探れると思うんだけど・・・」
 「あ、私の事も!!」ウワサツキの一言、
 「わーったよ、後さ、ウワサツキとプランバニツって子供作れんの?その辺り、俺はよくわかんないんだけど・・・」
 「ふむ・・・」
 テイサバーンは少し思考したのち、ばあさんの方に顔を向ける、
 「私は、父親が亡くなった後に薬草畑の管理をしておりまして、折に跡継ぎの問題が気になりまして、出来るならば、同じプランバニツを紹介していただけないか、母親が何処から来たのか知らないので、そこから調べられないかと、または、ウワサツキと私の間に子供が切るか否かお尋ねしたい、とのことです」
 その言葉を聞き、今度は婆さんが少し困った表情を見せる、
 「ううむ、確かに大ごとだねぇ・・・そうか、親父さんが死んだらその辺りも気になってくるか・・・」
 「おい・・・」
 思わず、テイサバーンに呆れて話し始めてしまう
 「俺はそんな丁寧な言葉使ってないぞ」
 「別にいいではないか汚い言葉づかいより丁寧な言葉遣いの方がいいぞ」
 「あんた通訳だろが、言葉は極力ちゃんと伝えろ、ちゃんと!!」テイサバーンがこちらに真剣な目つきで顔を向けてきた!
 「私はちゃんと伝えているっ!!」
 更に、向こうが威嚇のために動かす両羽を大きく広げ、こちらも尾を伸ばして先をハンマー状に変形させる
 「はいはい、そこまで」
 思わず対峙しだす俺達を婆さんが制する、そして、トカゲの方に向き、
 「テイサバーン、教会に所属する身であるなら、喧嘩っ早いのはよくない」
 「はっ、失礼いたしました、大婆様」
 テイサバーンが婆さんに頭を下げながら臨戦態勢を解く、まったく・・・ダブモンてのは喧嘩っ早いの多いよな、俺もだけど・・・
 と、婆さんが今度は俺の方を向き
 「結論から言うと、ウワサツキとのことはわからないね、ただ、可能性が無いわけじゃないよ、子供作れなさそうなダブモン同士でも子供作ったって話は聞くし、まぁ、本来は同じ存在だから出来ることなんだろうが、子供ができないって話も聞くからどうかは知らないねぇ、情報だけは収集しとくが、期待はしないでくれ、それから、あんたの母親の故郷については、確かに、母親を探して迎え入れさせたのはこの私だから、里の場所は知ってる、呼んでくることも出来るだろう」
 「ほんとか!!」
 「本当か?と言っております」
 いちいち通訳せんでいい、このくらい雰囲気でわかるだろ!!
 「ただし、あちらさんの都合もあるし、ここまで来てくれるかもわからない、すぐに、とはならないかもしれないよ」
 ばあさんの諭すような言葉・・・ううむ、しょうがないな・・・
 「わかったよ、それじゃ、何か決まったら連絡くれ、どうせ薬草畑にいる以外はほとんど家にいるから!」
 「何か決まったら連絡が欲しいと、薬草畑にいる以外はほとんど家にいるから、と」
 「わかった、じゃ、こちらから連絡取ってみるかね、それじゃ、また今度」
 「おう!」
 「ああ、と申しております」
 最後まで杓子定規にせんでいい、でも、家族以外の同族か・・・どんな奴なんだろ、楽しみだ!!
 
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