森で相対せし地上げ屋炎獣一家 ダブモン!!3話/06
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と、まぁ、そんなこんなで俺、プランバニツはクロスロードシティにやってきた、
この辺りは北東に位置してるから、東側から入って行けば問題無し、
オレンジの屋根の街中を、教会に向かい駆けて行く
「ちょっとちょっと、人間の街に入ってっても大丈夫なの?」
いきなりのウワサツキの言葉にあきれ果てる
「迷惑かけたり迷惑な人間に見つからなけりゃ問題無し、っていうか、まだついてきてたのかウワサツキ、街の様子ならお前の方が詳しいだろ?」
「いやー、私は上の方から見てるだけだしな~、木も無けりゃ身を隠そうとも思わん」
「なら俺についてくりゃ問題無いだろ、だいたい、教会は俺達ダブモンにとっても、お、教会の前に誰かいる・・・?」
教会の前にいたのは対面している二人のばあさんだ、その道路側のばあさんの後ろに優しそうな女性もいる、
道路側の二人は俗にいう修道服で、木の羽ロザリオを胸に付け、頭の白いバンドと同じ色の首かけから伸びる長い紺の長袖スカート付き上下一体型着衣に同じ色の頭巾であり、ばあさんは少しやせており、優しそうな女性の方には茶色い巻き毛が少し出て見える、
対して、教会側の方にいるばあさんは、少し丸めな体型で簡易なこげ茶の上下服に茶色と白を凹凸に組み合わせた織物を上下共にいくつもかけたような衣服を纏っている、
一見すると道路側と教会側が衣装が逆であるが、教会側の方の老女が数年前までシスター服を纏っていたことをこの俺は知っている、
「ええ!?、もうすぐ結婚するんだって、その子」
ん?会話の途中だったのか、教会側の婆さんの方からしわがれてるが楽しそうな声?
「そうなのよ、もうのろけがなんだって」
今度は道路側の修道服の老女だ
「あ・・・あの、シスターリビエーラ、もうその辺で・・・」
こちらは後ろに控えるシスターの声、発声の直前から、顔が照れたのか少し赤くなっている、あの様子だと、人前以外ではわりにいちゃいちゃやってるに違いない、
「いいなぁ、結婚かぁ、私もしたいなぁ・・・」
ウワサツキ、お前な・・・
「お前だったら適当な鳥系のダブモンさがした方がよかね?」
「もう、どうしてそんなこと言うかな・・・」
応答でもしたいのか、俺の横にまでウワサツキが近づいてきた、が、俺は言葉を続ける
「だってさ、俺とお前が結婚したって子供が生まれる保証なんてどこにもないんだぜ?俺は兎の哺乳型でお前がキツツキの鳥型、属性も地と風で正反対、これでどうやって子供が生まれると思うんだ?」
「う・・・それは・・・」
ウワサツキが向こうにうつむき黙り込む
「今ね、教皇庁の方に洗礼に行ってるんだけど、帰ってきたら婚礼でしょう?」
向こうの道路側の老女の声、それに教会側のばあさんが応えようと口を開く
「あらあら、それじゃ、私も顔を出したいわねぇ」
「もちろん呼ばせるわよ、あんたとここの教会には世話になってるからねぇ・・・」
「で、で、旦那さんは?」
「こっちの方にも顔を出してると思うんだけど、ほら、ブリントって放浪教師、知ってる?」
「あらあの人!?お似合いじゃない、二人ともいい年だし、」
「あ・・・あの・・・そ・・・そろそろいいですか?」
会話の弾む二人をあのシスターが止めた
「買い出しのついでに顔を出しただけなんで、シスターリビエーラ・・・」
リビエーラと呼ばれた道路側の老女がシスターの方を見る
「ああ、そうだねぇ、」
そして、教会側のばあさんの方に振り返り、
「じゃあね、また今度」
「じゃあねぇ」
そう言って、リビエーラと優しげなシスターが向こうへ向き去って行く・・・
と、話しも終わったんだ、ちゃっちゃと行くか・・・
急いで教会の方に走り、ばあさんに話しかける
「よう、ばあさん、久しぶりだな」
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