森で相対せし地上げ屋炎獣一家 ダブモン!!3話/24
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
報告書 ダブモン研究家 タイカリス・ワイズ
題 ダブモンの起源
ダブモンの起源をご存じだろうか?とはいっても女神の聖書に書いてあるので普通は知っているだろう
ダブモンとは世界樹とその眷属に宿っていた精霊の一種であり、女神様からの賜りものである、
女神様がこの世の全てをお作りになられたのだから当然と言える、しかし、ダブモンの中には聞いたことの無い要素を備える者もいる、外大陸の物だろうか、今だ人間は世界の全てを解明していないのだ、世界の端を見たものもいない、学者の中には世界に端など無いという主張もあり、
それら含めてこの世界の全容は解明されていないと言えるだろう、女神の聖書にもこの世界の全てが書かれているわけではない、
無論、女神様やダブモン達は知っているかもしれないが・・・
閑話休題、
女神様が世界樹をお創りになられた際に、同時にダブモンが生まれたとされる、
学者としては、なぜ生まれたのか、そのように始めから作ったのか、偶発的な何かがあったのか、
この辺りは教会関係ではそういう神話であると片づけられることが多い
また、ダブモンは精霊から動物になったと言われているものの、食べることは禁忌とされている、女神様からの賜りものだからだろう、
そういったことをするのは野蛮な蛮族に他ならないと断ずる、またダブモン同士で喰うか喰われるかが発生するほか、野生動物たちもダブモンを捕食することもあるが、
ダブモン達は今や食物連鎖の中にある存在も多いのだ、こればかりは仕方がないと言えるだろう、
あ、また話がそれてしまった、
話を戻そう、女神様が世界樹をお創りになられた際に、同時にダブモンが生まれたという、その神話であるが、どこか変な感じがする、
聖書とて、女神様のお話や聖者の話などをまとめ作られたらしいのだが、いくつも版を重ね改稿され独自の解釈が入っている、一字一句完全に書き写されたもの、とされるものは残っているのだが・・・
その最初の原本などもうどこにも残っていないのだ、あったとしても風化でまともに読めるかは怪しいだろう、
また、私個人としては最初のダブモンが何なのかが死ぬほどに気になる、女神の聖書にはダブモンが生まれたとしか書いてないのだ、
いわく、最初の存在なので名づけられはしなかった、生まれてすぐに死んだ、ナンバー001のダブモンがそうではないか、(ナンバー001は確かにそのような要素は持っているが・・・)、それとも複数生まれ、それらが001、004、007、010、013番のダブモンの元になったのではないか?
実は、人間の元になったのではないかという話もある、不心得の学者仲間からは女神こそその時に生まれたのではと・・・
おっと、最後の奴は忘れてくれ、教会から何言われるか分かったもんじゃない、私もその説は無いだろうと考えている、その学者仲間も探さないでほしい、
ただし、気になる文献を見たことがある、古代の学者が、女神様に質問を行ったらしいのだ、
アラアタリア・ダブモン研究史、アラアタリアは書いた人間の名だ、ダブモン研究史自体は同名の冊子が数限りなく存在している、
ダブモンが古代より興味を引く存在であったことの証左だろう、おかげでこうしてわかるものは著作者の名や複数ある場合書かれた時期を推察しその辺りの時期の女神歴の年号を入れる羽目になっている、
これは一冊のみだがその分、分厚い、本にしようと書いたものでは無く、メモ書き的な物を勝手に他人が著者の死後に本として売り出したものだと推察する
さて、その中でアラアタリア氏が最初のダブモンとはいかなる存在だったのか、と女神様に問いかけたところ、
女神はただ深く悲しい顔をして、
「・・・それに、答えることは出来ません・・・」
と言ったのみだという、
その先はさすがに畏れ多く、著者も失礼を・・・と謝罪し、追及することかなわなかったそうだ、
ここからするに、女神の聖書にも書かれていないのではなく、書けなかったと推察するべきだろう、
ダブモンの研究の重要な部分であることは間違いないが、女神様が自分から話す気にならない限り、これを知る術はおそらくあるまい、いや、複数心当たりがあるが、大半は女神が話さなければ話さないだろうし、もう一つも話してはくれないだろう、そして、私が生きている間に語られることも無いだろう、
古き時代より存在しているのだ、私もダブモンに関する考古学をかじったつもりでいたが、
始まりのダブモンを知るためにはより深くにまで研究を進める必要性があるだろう、
こうなると、聖書の最初の原本にすら、書かれていないことや疑わしきことがあるかもしれないし、
言い伝えられている起源が本当なのかも疑念も、いやいや、真実全ては言っていないかもしれない・・・
いずれにしても、ダブモンの起源は女神の聖書に書いてあることを除けば、時代が古いためにわからないことが大量にあるのが実情である
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――