バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

森で相対せし地上げ屋炎獣一家 ダブモン!!3話17

 
森で相対せし地上げ屋炎獣一家 ダブモン!!3話/17
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 

f:id:OirenW:20190125120827p:plain


 と、見えた背中にプランバニツが駆けだした、俺達もそれを追って行き、森を抜ける、
 森と茂みの先にあったのは白いお花畑と見まごうばかりの薬草畑だ、
 確かに多種多様な草花が生えているものの、かなりの量が白く涼やかな花に囲まれている、
 「この時期はたくさんのバニーナが白い花をつけるんだ、こっちの世界にしかないと思うが・・・」
 カンテーラが小声で俺達に教えてくれた
 なるほど、そのバニーナってのがこの花達か、きっと何かの薬になるようなものなんだろうな・・・
 「おい!そこで何してるんだよ、って言ってるみたいですよ」
 いきなりのウィルピーの言葉に、思わず、先に行ったプランバニツの方を見る、
 そこでは、プランバニツが先ほど見えたスーツの・・・ゴリラかあれ・・・それが少しずつこちらに振り返って来る、
 身体を包む黒い紺のスーツ、中の白シャツの上には首元に赤いネクタイが垣間見え、頭につば広の台形円状の帽子をかぶっている、
 が、その中身はゴリラである、赤い毛皮をまとったごつい顔のゴリラ、
 それが振り返ってこちらの方、自身の目前にいるプランバニツと対峙し始める・・・
 「貴様は何だ?ここは私が見つけたのだ」
 ゴリラが見降ろしながら目を細め、プランバニツをにらみつける、が、プランバニツがひるむ様子は、無い
 「あいにくと、ここは俺の先祖代々からの土地なんだよ、盗らせるわけにはいかねぇや、なんなら、教会に訊きに行くかい?・・・です」
 「私の名はゴリアゲル、不動産業を行っている、残念ながら、今日からここは私の土地だ」
 「何を言ってるかしらねぇが、子々孫々ここは俺の、俺達の土地だよ!大体、この土地を手に入れててめぇ、どうする気だ!?・・・です」
 「ふん、先の見えない俗物が、決まっているだろう、この辺りの薬草管理を一手に引き受け、薬草流通業界を我らが手にするのだ!!」
 や・・・薬草流通業界ぃ~?
 「薬草流通?あんた、人間の考えに染まりすぎだ、この土地の薬草は、必要な時に必要な分だけ供給するんだよ、先祖代々、そうやってきた、種でも株でも分けてやるから、商売の話はよそに行ってやってくれ・・・です」
 「ならん、薬草を育てるのはこの土地が最適なのだ、この土地ごと渡してもらう、そもそも、教会に行ったとて、土地の権利を証明する書物も何も無いだろう?」
 「あのな、それはあんたも同じことだ、先祖代々ここで暮らしてきた分、理があるのはこっちだよ・・・です」
 「理があろうとなかろうと、ここは私達に渡してもらう、なに、欲しいのならば金も渡すぞ」
 「いらねーよそんなもん、子々孫々まで習慣をこなすだけで楽して食べていける上、教会や街とのつながりだって強くもてる、そんな土地を、一時的な金だけで渡せるかよ、金が欲しいなら、ここの薬草ちょっと街に降ろせば必要な分はすぐに手に入るわ!!・・・です」
 「一生遊んで暮らせるだけの金だぞ、欲しい物も何でも手に入る」
 「いらねーっつってんだろしつけぇな!!この土地はな、俺だけじゃなく、俺の子供達のもんでもあるんだ、俺の一時的な欲のために、誰かになんて渡せるかよっ!!とにかく、そこまで言うなら交渉は決裂だな、俺は、ここを命を賭しても守るぜ?」
 「強情ぱりが・・・いいだろう!!」
 ゴリラ、ゴリアゲルが右の拳に力を込め、振り上げ始める、
 と、プランバニツがいきなりこちらに右肩上から微笑に目を向け
 「お前らは教会まで助けを呼んでくれ、何、逃げ回れば時間稼ぎぐらいは出来るさ、です」
 「ええっと・・・どうしよう・・・」
 「どうすんだ・・・」
 「僕がやるよ」
 俺達の前に出たのは意外にも、鼓動!
 「鼓動!?」
 「鼓動!?」
 「二人ともデッキケース回してたじゃない、」鼓動が左肩の方から俺たちの方に少し顔を向け、「それなら次は僕が・・・」
 言い放った!
 「え~っ、私は~」
 が、ここで水を差す四葉の一言・・・
 仕方無しに俺達は意見を出す、
 「それなら」
 「ジャンケンかな・・・」
 「それじゃあ」
 そして、鼓動と四葉が近づき真正面から向かい合う・・・
 「ジャンケン・・・」
 「ジャンケン・・・」
 続けて互いに右腰に右手を持ってきて構え
 「ポン!」
 「ポン!」
 前に出す!
 鼓動は握りしめたグー、四葉が人差し指と中指を出したチョキ!
 「勝った!」
 「負けた~」
 勢いのよい歓喜の声とともに少しの笑顔を見せる鼓動と残念さにじみ出るふ抜けた声と共に顔と身体からも力が抜けてしまう四葉
 それを見かねたのかウィルピーが四葉の右肩横まで来て
 「まぁまぁ、四葉さん、今回は譲ってあげましょうよ」
 慰めると
 「うぐぐ・・・次は私だからね!!」
 そう言って、威勢のいい声を上げた、
 さて・・・
 「それじゃ、これを渡さないとな」
 そこで俺は、ズボン外側の右ポケットから、デッキケースを取り出す、
 長方形が組み合わさった長方体に、中央には濃い紫色の宝玉が付いている、
 そして前に出て、鼓動に手渡す、
 「ほれ、」
 「ありがと!」
 鼓動はそれを受け取り引き寄せると、少し嬉しそうに見つめる
 「俺達のデッキだ、ちゃんと回せよ?」
 「うん、」頷き俺たちの顔を順繰りに見る鼓動「良星、兎白、」
 そうやって、そのままその顔はカンテーラの方へと遷移する
 「カンテーラ、頼んだよ?」
 「任せろ」
 そして、鼓動とカンテーラが、ゴリアゲルの方に行って立ち止まり、デッキケースを突き出す、
 と、プランバニツが目と口を少し見開いた驚きの顔を見せる
 「お前ら、助太刀してくれんのか・・・?・・・と、言っておりますです」
 「それは・・・デッキケースか!?」
 ウィルピーの翻訳のすぐ後、ゴリアゲルがこちらを見て驚愕と確認を兼ねるように目を見開かせた
 「また厄介な物を・・・いいだろう、森まで来い、そうでないなら、この辺り一帯を焼き尽くすぞ」
 「おい!あんたにとってもこの辺りは大切なんだろ!!・・・です」
 プランバニツの啖呵の一言、
 「別に、この辺りが手に入らないのならばそれでもかまわんさ、そのかわり、誘いに乗ってさらに戦いに勝てればここからは手を引いてやろう、どうだ?」
 ゴリアゲルのかわすような返答に、プランバニツは両の拳を握り悔しそうに歯を食いしばる
 「ぐぐぐ・・・何か釈然としないが・・・・・・です」
 「こっちだ、付いてこい、なに、すぐそこだ・・・」
 そして、そう言って、ゴリアゲルは左の方を向いて歩き出し、森の中へと入って行って、俺達は追う羽目になったのだった・・・
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――