観客のリローデット ダブモン!!13/01
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劇場の舞台の上、俺はカンテーラと共に対峙していた、
古く新しくきらめく舞台の上、しかし、観客はいない、
にしても・・・
「さぁ、行くぞ良星君!!」
と、対峙している男が左右で大きく巻く金色の髪のかつらと腹を揺らしながら話し出す、
「この舞台を素晴らしいものにしようじゃないか!!」
そう言って着ている赤い金縁二列前止めの衣装と、白いズボンと茶皮の靴をきらめかせながら奴の右手側の観客席に向く、
「・・・うざい・・・」
俺は思わず小声でつぶやいていた、
「お前なんてまだましな方だろ・・・」
そうつぶやいたのは俺の前にいるカンテーラだ・・・
「はーっはっはっはっ!同族よ!!そんなに私と対峙できるのがうれしいのかい!」
そう右手のタクト振りながら大声を上げたのは、カンテーラと同じく黒い布を羽織った存在、ただし顔の方は前後に鋭くその上、まぶしい・・・
「どうだい、同族と対峙するのは、この私も初めてなもんでね!!」
まぶしい原因である背中に配した四つのカンテラと、大きな月、流星と太陽を合わせたような造形を頭の左右に配置し、金色のたすき掛けベルト、サッシュと両肩に太いひもが隙間なく垂れ下がった楕円の付いた肩モップ、エポレット、
ベルトの中央部と左肩を結ぶように金色の複数のひも、飾緒が付いており、
さながら軍服と化しており、代わりに足は無いように浮遊している・・・
「うざい・・・うざすぎる・・・」
アレになるかもしれないという自己嫌悪もあってか、目が嫌そうに上が細まっている・・・
「とりあえず、先に進めるぜ・・・リチャージ!」
「リチャージ!」
互いにチャージゾーンに向かって宣言し、続けて山札のカードを引く!
「ドロー!」
「ドロー!」
今の手札は・・・とにかく、こいつで戦線を・・・作る!
1番とチャージゾーンにカードを裏側で置き、向こうも同じように置いていた・・・
「セット!」
「セット!」
1番のを表に!
「オープン!」
「オープン!」
「ダブモンNo.22、幽明の案内屋、カンテーラ!!」
「カンテーラ!」
「おっし行くぜ!!」
「こちらは光導の指揮者、ユードリット、コスト2だ」
カンテーラとユードリットが前に躍り出る!
だが、どういうことだ?
ユードリットは奴が言ったようにコスト2、1ターン目じゃ召喚できないはず・・・
案の定、カードはチャージゾーンに行っちゃったし・・・
召喚ではなく演出としてただ前に出ただけか・・・?
対峙している男は右口端を上げ、不敵に笑う・・・
「ふふふ・・・少年、1番戦闘は始めないのか・・・?」
っつ、面白い、やってやろうじゃんか!
「カンテーラ!」
「おうよ!」
「1番戦闘!」
カンテーラが勢い良く跳躍!
「シャドウブレイド!!」
右手から刃を出現させユードリットに斬りかかっていく!
と男がチャージゾーンのカードを表に!?
「指揮者は一番に動き出す・・・!『この効果でコスト2のモンスターを1番に召喚する!来い、ユードリット!!』」
「ははは・・・」
ユードリットの背中のカンテラがいきなり閃光を放つ!
「ぐっ・・・」
それに押されてカンテーラが左手で目をかばいつつも剣を振り下ろす
ガキン!
が、その剣はユードリットのタクトに止められていた
「っち!」
後ろに跳び退るカンテーラ・・・
「おい!今の相殺できなかったのか?!」
「無茶言うな!こっちに発動できるカードはもうねぇよ!」
「・・・しょうがねぇな!!」
諦めと決意を込めカンテーラが飛ぶ!
「カンテラブレイズ!」
左手のカンテラから炎が向かっていく!!
「カンテラレーザー!!」
ユードリットがタクトを前に出すと、いきなりカンテラとタクトからレーザーが縦に五閃飛んできて、床に五線譜を描きつつカンテーラが上に拭き飛ぶ!!!
さらに、タクトを指揮をするように軌道が不規則な振り子のように振っていくと
カンテラが飛び出していき、カンテーラの周りを取り囲むように縦横無尽に動いてレーザーを連続発射!
「ぐぉおおお!」
カンテーラを焼き焦がしつつ俺の前まで吹き飛ばし、
・・・気が付くと、床の五線譜に音符とト音記号が付き、楽譜が描かれていた・・・
「楽しんでもらえましたかな?」
ユードリットが慇懃無礼に胸前に腕を持ってきて礼をすれば
わぁああああ!!
どこからか響いた歓声に
ユードリットは両手を大きく上げ観客席側を向き
「ありがとう!ありがとう!」
と答える
・・・観客なんていないのだが・・・
「なろ・・・!」
と、カンテーラが上半身を上げ、俺は思わず駆け寄る
「大丈夫かカンテーラ!?」
「ああ、何とかな・・・」
ユードリットを見据えながら答えるカンテーラ
「さて、降伏するかな?」
思わず俺は声を発した対峙する男の方を見返す
「するかよ馬鹿!」
「馬鹿だと・・・?」
対峙する男の涼やかな?目が細まり俺を見下ろす
「だってそうだろうが!まだ戦いは始まったばかり、両方ライフカード五枚で1ターン目が終わっただけ、降伏する要素なんて何もないのに、なんでそんなこと訊いてくんだよ!」
「はっはっはっ、確かにその通りだ、無礼を詫びよう」
そう言って、対峙する男は余裕のある笑いの後、相方と同じように慇懃無礼に頭を下げた
んなろ~
「相棒、絶対に勝つぞ・・・」
「わかってる、さぁ、行くぜ!」
「おう!!」
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