海の街と鮫 ダブモン!!11話/02
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右手には少しの段差の下に海がある、そこを波が被らないように少し離れて作られた整備もされていない道を俺たちは歩いていく、
反対側には広葉樹の森が広がり、
道には人通りも全くと言っていいほどない、
俺の名前は稲走 兎白(いなばしり とはく)、なんやかんや、この世界に来て裁定の剣というものを探す羽目になっている
よく少し背が高く、黒くぼさっとした髪、
波から飛び出す鮫の絵が描かれた長袖Tシャツを着てポケットのたくさんついた青いジーパンをはいている、
「もう少ししたら、海沿いに曲がればいいからね!」
そう話しかけてきたのは、僕の傍らを飛ぶ、氷の精霊、のようなダブモン、フリィジア、
精霊の少女であり、両肩の氷の鎧の意図があり、髪が液体状の氷であり、
上の方にクリスタル状の氷がオールバックの髪のように並ぶ
「しっかし、いつになったら裁定の剣は見つかんのかね?」
前方を歩きながら両手を枕のように添え、愚痴るのは双運 良星(そううん りょうせい)、
立った黒髪に黒い瞳、黒いバンダナをまき、中に赤銅色の袖なしシャツを着て左肩後ろに炎翼のブローチを着け、
腰元より左右にポケットを大量に垂れ下げているベルトがあり、ジーパンをはいていて、
腰掛けの袋を持つ
「さぁな、それは俺にもわからん」
そう返したのは良星の左手を歩くカンテーラ、
濃紺のフードのついた袖付きのマントに黒いもやのような本体を包み、左手に黄色い燭台カンテラを持っていて、
黒の両瞳をフードの中にのぞかせ、
フード左上には太陽と流れ星を合わせ、光の部分をいくつもの細いまっすぐな針金で放射線状に再現したような飾りがある
「でも、どこにあるんだろうね?」
言い出したのは少し後ろを歩く海象 鼓動 (かいぞう こどう)
体系は太い目、黒髪の短髪で、橙と緑のサバンナ草原長袖シャツを着て、腰に左右一対のボックス状の膝上までの皮を下げ、長ズボンのジーンズを着用、
背腰に袋を着けている
「さぁな、今までの情報から察するに、この大陸かそう遠くはなさそうだが」
そういったのはそのそばのイグリード、
小さな炎の精霊の姿をしており、
燃え盛る体にこわもての顔と灼熱の髪の毛を持つ
「しかし、実際どこにあるのかしらね~」
と声を出したのは最後尾の蜜羽 四葉(みつば よつば)さん、
金髪のツインテール、黒スカートに黒タイツ、茶色の革靴を履いていて、ヒラヒラが盛大についている高そうな白シャツに腰元まで伸びる擬似コルセット、首元に黒いリボンのワンポイントがあり、左胸には黒字金縁の筆記体で意の文字のバッチを付けている、
「ですね~」
そう返したのはその横のウィルピーだ、
光の火の玉のような存在で黒い両目に左右から伸びる手、背中に鍛冶用の槌と鋏を交差させ背負っている
「ん?あれ誰だ?」
俺が先に見つけたのは、海沿いに上に出っ張った岩に座る、欠けた三度笠をかぶって・・・ええっと、長い角を持つ鮫かな?
ヒレと角をまるで釣り竿のように前に出して狙いを定めているように見える、
大きさは大きくない、僕たちより少し小さいぐらいだろうか・・・
鮫といっても覇気も何もなく、のんきに釣りをしているように見える・・・
「やぁやぁ、釣れるかい?」
カンテーラが近づきつつ気楽に声をかける
あれ?やっぱり釣りしてるんだ・・・
「てぃ!」
すると、いきなり角を上げて、その先にまるで釣り竿に引かれたかのように小魚が飛び出す!
そして、その鮫は針を外しながらその口に小魚を跳び込ませた!!
「おおっ?!いきなり・・・すげぇ・・・」
「まぁな・・・」
良星の声に、鮫は横顔でこちらを見つつ口で魚を咀嚼しながら聞き取りづらい声だがようやく声を出した
そして、角を上にあげると、さっき外れた曲がった針だったものが、なぜか縫い針のようにまっすぐな針になっていた・・・
「まっすぐな針?釣りをしてたんじゃないのか?」
「まるで仙人みたいな・・・」
俺の感想に鼓動が漏らした
「その仙人てやつは知らないが、俺は確かに釣りをしてたぜ?腹が減っていたもんでな」
「え?じゃあなんで・・・」
「俺はダブモンだぜ?この針も糸も角先から伸びる俺の体の一部だよ、だから形状も長さも自由自在だ、ほれ」
と、目の前で針が曲がり、先に返しができる、と思ったら輪っか状になったり、先が丸い角のような状態にも変わる、
あ、そうか、魚を外すために釣り針の形からまっすぐな針に形を変えたのか・・・
と、そう理解した次の瞬間には、鮫が角先を上げ、糸が一気に短くなり、
鮫の角先に針の根元が付いた
「へぇ~」
「こいつはツリザメ、こうして釣りをするダブモンさ」
良星の感嘆にカンテーラが応える
「ま、そういうこったな、そこの黒い兄さんの言うとおりだ」
黒い兄さんて、今説明したカンテーラのことか・・・
「で、お前らは何だ?大勢ぞろぞろ連れ立って、どこ行くんだよ?」
「当面は・・・そうだな・・・ええっと・・・」
「この先に行くなら教皇庁よ、相棒!」
僕がうろたえているとフリィジアが助け舟を出してくれた
「そうそこ!教皇庁!確か、中央大陸の西の端だよね?」
「それならこの道を道なりに行って曲がってひたすら南下すれば行くための大石橋にたどり着くけどさ、今は無理だぜ」
「ええ!?なんで!?」
「この時期は検閲がすげぇの、ま、毎年のことなんで分かってるやつは時期をずらしていくがね・・・」
「そんな・・・」
「どうしても教皇庁に行きたいか?」
と、サメのめんどくさそうな目が斜めに光った、気がした
「え・・・あ・・・行けるなら・・・」
「なら、行ける方法教えてやるよ、行けるかどうかはわからんがね、付いてきなよ」
ツリザメが岩からこちらに降りて尾びれを足のように動かし道の先に向かってに歩いていく
こうして、俺たちはツリザメについていき、
ちょうど、曲がり角のところまで来る、
ついでに、目の前の西も右手の北も海で、先の方は見えない
「何もないじゃないか・・・」
「あともうちょっとで来ると思うぜ・・・」
「あ!君たちは・・・」
と、南から歩いてきた金髪の少年は・・・
「アクリス!!」
「あ!奇遇ですね!!」
そして、俺たちの来た道から歩いてきたの赤い髪の少年は
「レファン!!」
「ん?」
「ん?」
アクリスが少し疑問符を浮かべたように、レファンが心底不思議そうに、顔を合わせる・・・
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