バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

ネトゲ恋愛記 ~サブタイトルは秘密~/9

ネトゲ恋愛記 ~サブタイトルは秘密~ 9
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 「というわけで、トークンアリスがビギナーより転職することになった」
 サラさんがいつものバーのあるギルドの奥で皆に向かい宣言、
 そこには、なぜかいなかった、エルフの弓使いエーグル、と回復役オセリアさんもいた、
 それほどまでに重要なのかこれ?
 「なお、アドバイスが欲しいらしいので少しずつ説明していくことにする、まず、このゲームにおける職業について」
 「はい!」
 私は大きく相槌を打った
 「職業は基本的に基礎六職に上位職、もしくは特殊職という形になっている、ここはいったん決めると元には戻せないし変えられない」
 つまり、最初の転職は後から変えられないという事か、きちんと考えないとな・・・
 「これはステータスの成長率が関係していると思われる、基礎職でステータスの成長率が決まり、上級職でステータスを%や固定量で変化させるというわけだ、で、今特殊職は・・・」
 「無理ですよ」
 これは少し入り口側の別のテーブルのそばにいるマッキーさん
 「今特殊職の募集は行われてないです、あるとしても半年後ですかね」
 え・・・?思わずマッキーさんの方を向く
 「半年後・・・?なんで?」
 マッキーさんも視線を私に返してきた
 「定期的に行われる特殊職の募集が前に半年後だったから大体その辺りだと予想されてるんです、ネクロマンサーの」
 「ネクロマンサー?」
 マッキーさんの古代機士以外に特殊職あったのか?
 「ええ、弱体化されて強化もされず、結果、これは死体使いではなくただの死体、と呼ばれるようになったネクロマンサーですよ」
 えぇ・・・
 言われように思わず少し引いてしまった・・・
 「召喚系は他にないから、需要があるところにはあると思うんだけどな・・・」
 通路側にいるアニタちゃんの方にマッキーさんはすぐに振り返る
 「ええそうですよアニタさん!特殊職は基礎職に比べて上位職も実装されず、私の古代機士の職も一時は一体でマルチに活躍できる強職とされたものの弱体化された後今だに調整が行き届かずに弱職扱いなんですよ!!」
 あー・・・
 「それから他にも「はいはいそれまでそれまで」
 あ、サラさんが止めてくれた・・・
 そしていつの間にかこっちの方を見ている
 「というわけで、お前には基礎六職のうちいずれかが良いと思ってる、無料で四枠までキャラクター作れるから、古代機士の募集も三ヶ月ぐらい先だと予想されてるし、ネクロマンサーとか古代機士とかやりたくなったらその前に別にビギナーキャラ作っておいた方がいいだろう、上位職以降はスキルの振り直しとか基礎職内での転職とか自由にできるから、まぁ、やりたいようにすればいい、まずは前線物理の戦士系から行こうか」
 「戦士系?」
 「私がなっているのがそれだ、ダークバーサーカー、これは、戦士、バーサーカーと来てその次になる最上位職だ、基本的にやることは敵の側に近づいて武器を振ったり技を出して相手に当てることだな、防御力も平均より高めで、ソロでやる分には一番いいだろうな・・・次、」
 「じゃあ私が、」
 フレナさんが話し出した、思わずサラさんに行っていた皆の視線が集まる
 「私はパラディン、要は騎士だな、正当防御タイプと言われてる、騎士からなる上級職だが、騎士系の役割は敵の目を引き付けるために攻撃したりスキルでヘイトを集めることにある、そうやってみんなを守ってるんだ、防御力は一番、攻撃力もそこそこあるからソロでも人気だが、やはり、仲間を守って連携するのが一番だろう」
 「じゃあ、私が説明しますえ」
 「らんこさん」
 「私はニンジャマスター、忍者からなる職で、忍者系は変則防御言われてます、遁術で仲間のヘイトを減らしたり、舞いで相手の攻撃を回避したり、時に自分のヘイトを無くして後ろから刺したりと言われてます、やれることは多いけど、その分中途半端になりやすいし、回復魔法も使えませんし素早さが高い以外は能力も低めに抑えられてますし、アイテムの管理も必要ですから、一番難しい言われてますえ」
 「じゃ俺か・・・」
 「エーグルちゃん」
 「俺の弓士系、俺はアロースナイパーって言って弓士の次の上級職で、一発必中系だけど、弓士系は遠隔物理って言われるように弓を撃って遠くから攻撃できる、上級職次第で銃になったり連射型になったり簡単な攻撃、もしくは回復の魔法やトラップを扱ったりするけど、やっぱり、弓を使って一発で仕留めたりするのが醍醐味だな」
 「そういえば、前から気になってたんだけど?」
 「なに?」
 エーグルちゃんが私の方を向く、前からちょっと訊きたかったんだよね~
 「エーグルちゃんって、わりとひょいひょい弓撃ってるけど、矢の消費とか気にしないの?あれ割と高くてそれでビギナーソードにしたんだけど・・・」
 「あ、知らないのか?」
 「何が?」
 「転職した時に弓士系は魔法の矢筒(弓士に転職した際に貰える矢筒、適当に木の枝や草や石ころや氷などを入れておけば勝手に矢の形に変えてある程度補強と重さの調整もしてくれる矢筒、その為弓士は矢が無くならない、反面、既製品や手作りの矢よりも威力が劣り、威力に軌道も安定せず、特殊能力も無い)ってのがもらえるんだよ、こいつは威力低くて格下の相手にしか使えないけど、矢を無限に出してくれるんだ」
 「そ、そんなアイテムが・・・」
 「じゃあ次は「私が」
 アニタちゃん
 「私は魔術師系で、今は上級職のダークウィザードってのをやってます!」
 「ん・・・?」
 サラさん?
 「お前、エレメンタリストじゃなかったか?」
 「今はダークウィザードって気分なんだよ!」
 「そ、そうなのか・・・」
 「それで、魔術師系っていうのは、MPを消費して、超威力の魔法で一気に敵を殲滅するの、でも攻撃魔法には必ず属性が付いてるから、その辺りをきちんと考慮して撃たないとね、耐性があったり吸収されると元も子もないから、ま、弱点を突けたりもするけど、あと、上級職次第では敵に状態異常や能力降下を行える魔法も覚えるよ!」
 「最後に、私、僧侶系かな」
 「オセリアさん」
 バーのそばにいるオセリアさんに皆の視線が行く
 「僧侶系はMPを使って自分や仲間のHPや状態異常を回復する回復魔法を使うの、ちなみに私は、僧侶、シャーマン、セレーネっていう感じで最上級職なんだけど、このセレーネは予約回復が得意で直に回復するものはちょっと苦手なのよ」
 「予約回復?」
 質問した私の方を向いてくれるオセリアさん
 「例えば、毒になったらすぐに回復するとか、HPが20%切ったら回復とか」
 「それ、すごく便利じゃないですか!?」
 「そう思うかもしれないけど、基本的に一種類しかかけられないし、回復量も大きくはないの、臨機応変に対応するっていうのも難しいわ」
 「なるほど・・・」
 「それで、どれにするか決まったか?」
 「う・・・それは・・・」
 サラさんの毅然とした質問、しかし、思わずたじろいでしまう・・・
 「おねえちゃん!一緒に弓士しようよ!」
 「だーめ!私と一緒に攻撃魔法撃つの!!」
 エーグルちゃん・・・アニタちゃん・・・
 「サラさん」
 「なんだ、オセリア」
 二人が視線を合わせあう
 「まだ概要を聞いただけだし、もう一人育てるのも大変だから、少しじっくり考えた方がいいんじゃないかしら?」
 「言われてみればそうだな、じゃあ、今日はこの辺にしとくか、とりあえず解散!
 と言いつつなぜか私に体を向ける
 「後注意しておくが・・・」
 一体なんだ?私の方もサラさんの方を向き、
 「何ですか?」
 「レベルマックスの間は、経験値一切入らないから、そのつもりでな」
 「・・・はい・・・」
 そんなわけで、次の日、学校のいつもの階段で階段そばの二人に向かい言い放つ・・・
 「私、転職するんです!」
 「まぁ頑張れ」
 弧己す君のえげつない返答、じゃなくて
 「いえ、ゲーム内で」
 「私、私も!」
 と、いつの間にかついてきていた久利亜ちゃんも右人差し指を自身に向けながら話に加わりつつ指を下げ
 「いつも一緒にゲームしてて、一緒にレベルマックスになったから!」
 「ふーんそっか、」
 なぜか疑うような目線を向けていた弧己す君の視線が戻る
 すかさず私は話を戻す
 「それで、どんな職がいいかなって・・・」
 「クックルードの職は基本的に六種類、だよな?」
 耕氏くんが話し出し、弧己す君も思い出すように私を見つつ言葉を出す
 「近接物理の戦士、正当防御の騎士、変則防御の忍者、遠隔物理の弓士、攻撃魔法の魔術師、回復魔法の僧侶・・・」
 「二人でやるんなら、戦士と僧侶じゃないか、やっぱり」
 「騎士と僧侶という組み合わせもありだな、あ、騎士と魔術師もいいかもしれないな!」
 言いながら自分で思いついたことに対し楽しそうに少し笑顔を浮かべる弧己す君
 「いずれにしても、攻撃職と防御か回復職の組み合わせが鉄板だな、ま、」
 両手の平を肩前に出してすくめる耕氏くん
 「自分の意志で決めるのが一番だが」
 「だな、」
 納得するかのように弧己す君が少しの間目をつぶりつつ微妙に首を縦に振った
 「クエストとかじゃ、大抵足りない分はNPCが加勢してくれるし、気楽に考えた方がいいだろ」
 「だよなだよな~、俺達も当初二人でやっててさ~いやーあの頃は色々大変だった」
 「大変だったって、どういう感じでですか?」
 「いや戦闘がさ」
 キンコーンカンコーン
 げっ!?チャイム!?
 「戻るぞ、耕氏」
 「あ、ああ」
 耕氏が言いかけたことを切り捨て、二人が教室に向かい走り出す
 「私達も行こ」
 そう言って、久利亜ちゃんも、そういえば
 「久利亜ちゃん」
 「なに?」
 久利亜ちゃんがその場駆けをしながら止まりつつ顔だけ右肩の方から向けてくる
 「なんで二人でやってるなんて・・・」
 「あんたの正体、ばれたらあっこ、追いだされるんじゃない?規約違反で」
 う・・・それは・・・
 「とまぁそういう事だから、感謝しなさい、少なくとも、もうしばらくはあんたの味方してあげるわよ・・・」
 そして、教室に戻って一通り授業が終わって家に帰って晩御飯を食べてベットの上、私は茫然とバーチャルスマホをいじっていた、もっとも、目的はそこにあるのではなく・・・
 「ベガさん」
 「何でしょうか?」
 「クックルードで転職するんだけどさ、ベガさんは何か意見ある?」
 「ネットを検索して、アドバイスを拾いましょうか?」
 「お願いします」
 「検索終了しました、戦士系、近接攻撃が強い、上級職だと一対多やボス向きのスキルどちらかを選択出来る、能力値の配分がソロ向き、
  騎士系、防御、近接攻撃、回復魔法と三拍子そろいやはりソロ向き、しかし、攻撃能力が低く、殲滅時間がかかるのが気になる、
  忍者系、舞いによる防御、遁術からの暗殺など、ソロとパーティで違う立ち回りを要求され役割も異なる、使いこなせれば強いが、やはり、基礎能力の低さがネック、ソロでもパーティでもきついときはきつい
  弓士系、遠隔攻撃を消費やデメリット無しで撃てる唯一の職、トラップを使ったり、FPSさながらにヘッドショットを狙ったりと頭とアクション性両方を要求されるが、相手が物理に弱くなおかつ使いこなせれば、対単ダメージソースとしてはピカイチ
  魔術師系、ダメージを与えるといえばやはりこれ、一撃で雑魚を殲滅できるのはやはり強い、ボス戦の攻撃役としても鉄板、ただし、盾役必須でありソロには向いていない、上級職になれば変わった戦い方もできるので、上級職を見据えて育てるのも手、
  僧侶系、唯一の回復が主体の系列、パーティ向き、ソロもそこそこ行けるが、それならば騎士系を志した方がいいだろう、攻撃もある程度はこなせるが専門には遠く及ばない、しかし、防御役と同様にパーティに一人は欲しい
  他の意見を聞きますか?」
 「いや、いい、決めた」
 私がなるべきは・・・
 「僧侶系にします!!」
 「よし、それなら、今すぐ試練だ!!」
 
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