バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

ネトゲ恋愛記 ~サブタイトルは秘密~/8

ネトゲ恋愛記 ~サブタイトルは秘密~ 8
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 いた・・・!
 いつもの階段の所に二人・・・また話をしてる・・・
 いっつもひそひそ話をするときはこの校舎端の三階階段に来るのだ、割と人いないし・・・
 「というか、なんであの眼鏡のがいいの・・・?」
 覗く私に、後ろから久利亜ちゃんが話しかけてきた、っていうか、弧己す君がいい理由・・・?
 「え・・・だってスマートだし、いっつも成績いいし・・・」
 「ま、成績がいいのは認めるけどね・・・」
 あ!、今はそれより、
 「で、どう話しかけるの・・・?」
 「前にクックルードの事を話していたから、自分もやってます、言えばいいのよ」
 「わかった」
 「わかったって、まだ話の続きが・・・あ・・・」
 二人に近づき・・・思い切り話しかける!!
 「あ・・・あの・・・!」
 「ん・・・?」
 「ん・・・?」
 二人がこちらを向く、少し目に力を込めたいぶかしげな眼、でも、ここで話を展開させねばはじまらない!
 「あの・・・二人とも、クックルードやってるんですよね・・・?」
 「どこでその話を聞いた・・・?」
 弧己す君の目が細まる、警戒してる目だ、だけど・・・
 「前に、ここで二人で話してたの聞いて・・・」
 私の言い様に、視線が即座に孝行君の方に行く、ほらみろ、やっぱり聞かれてたとでも言いたげだ・・・それもすぐに私に戻り、
 「それで・・・どこまで聞いた?」
 「え・・・?」
 どこまで聞いた・・・どこまで話せばいい・・・?話しようからミスティーシャの事は知られたくなかったみたいだし、ここは・・・
 「ええっと、クックルードをやってるってことぐらいが風に乗って聞こえたぐらい・・・」かな・・・
 すると、弧己す君の目線から力が少し抜かれ
 「・・・ならいい・・・」
 そう言ってくれた・・・
 ほっ・・・
 じゃなくて!!
 私の後ろに去ろうとする二人を振り返りながら思い切り引き止めつつ声を掛ける、どちらかといえば弧己す君に向けて!
 「あの!私、菊形亜里沙っていうんです!私もクックルードやってるんです!ここに来て話してもいいですか?」
 わざと無視して去ろうとする、二人、しかし、孝行君が立ち止まり、
 「弧己す・・・」
 「はぁ・・・」
 弧己す君がため息一つ・・・
 「・・・勝手にしろ・・・」
 やったぁーーー!!
 そのまま去って行く二人に、横に避けていた久利亜ちゃんが二人が離れたのを見計らい、こちらに戻ってきて表情一つ変えず私を見て
 「よかったじゃない」
 「うん、ありがとう、久利亜ちゃん!」
 ・・・そんなこんなで、家に帰ってクエスト回し!今日も今日とて、えっと、巨大ネズミ退治?・・・
 森の中の町のエプロンをつけた若い女の人よりの依頼、何でも、洞窟に巨大なネズミが現れて、辺りの作物を食べて回っているらしい・・・
 その洞窟に行って巨大なネズミを退治せよ、という依頼だった・・・
 「よし!このクエストはレベル制限をONにしよう!」
 「ええっ!」「えーっ!」
 一緒についていていたのはサラさん、フレナさん、アニタちゃんの三人だ、
 もちろん、この戸惑いと叫び声は、フレナさんとアニタちゃんのもの、その二人にサラさんが振り返り
 「高いレベルで殲滅しても、こいつの糧にならん、レベル制限ONOFF切り替え可、クエスト制限はちょうど四人、仲間がいない時の支給NPCあり、道中は通常出現敵のみ、良い環境だと思うが」
 「わ・・・私は高いレベルで殲滅したいなぁ・・・」
 「私も、低レベルでの戦いは・・・」
 「問答無用!ちょうどバランスもいいし、トークンアリスはレベル制限より下だから問題無し、このまま行くぞ、おーっ!」
 「おーっ!」
 「・・・おーっ」
 「おーっ」
 かくて、物語は指定された洞窟へと続く、森の奥、襲い掛かるゴブリンを切っては投げ切っては投げ・・・
 ついでに、今の私の装備はビギナーソード(刃の長いリーチ重視の軽量の剣、威力はあまりなく、歯が付いているかも怪しい、通称、半人前の剣)革の軽鎧(初心者にピッタリな皮をなめした軽量の鎧、やっぱり防御力はあまりないが、職業ビギナーはこれが最強装備の防具の一つである)頭に指定して付けたリボン(アクセサリー、防御力を少し高める、上位の物は状態異常防御などが付くがこれは無し、様々な色があるほか、見た目上は様々な部位に装備でき、どちらかといえばファッション装備としての需要がある)
 等、革軽防具を基礎としたもので、
 回復薬グリーン(一番安価でコスパの良い回復アイテム、緑色なのは薬草を煎じただけである可能性が高い、これは飲み薬タイプ)などを持てるだけ持ってきている
 まぁ、剣を適当に振り回し、まわりが怪我したらそれを配るだけである、
 気が付くとみんなHP減ってるし・・・
 「すまないな、持ってきていないわけではないのだが・・・」
 「いきなりレベル制限できついきつい・・・回復魔法一応使えるんだけど・・・」
 「前こんなんだったっけ、杖の一撃で消し飛んでたのに五発ぐらい当てないといけない、MPも心もとないな、MP回復薬は使いたくないし・・・」
 「このゲーム、技とか魔法とかの制限、全部MPでやってるんだもんな、おかげで技とか回復魔法打ち放題だけど、MP回復薬高いし、持ち数制限きついし、詠唱時間とかクールダウンは無いけどモーションとか硬直時間はしっかりあるし・・・」
 「そうそう、攻撃魔法の詠唱時間ないけど、こっちはスキルないとMP管理きついもんね、おまけにそういうスキルや装備品無いときっついぐらいバカみたいにタゲが来る・・・」
 とまぁ、こんな調子で・・・崖に三角の割れ目のような場所を見つけた時には、
 皆、疲労困憊していた、HPとMPは満タンなのだが・・・
 と、洞窟の内部をうかがっていたサラさんが後ろに横並びする私たちに振り返り、見渡せるような場所に移動して
 「さて、二人とも、巨大ネズミの事は覚えてるな?」
 「うぃ~」
 「うぃ~」
 私の左右のフレナさんとアニタちゃんが答える
 「フレナが引きつけつつ、私とトークンアリスが突っ込み、アニタが後方より攻撃魔法、基礎的だが、これでいいだろう、フレナ、ヘイト用のスキルのMPは?」
 「持つんじゃないですか?誰かがMP出し惜しみしなけりゃ・・・」
 「私だって、ボス戦にそんな馬鹿な真似しませんてば、終わったらすぐに拠点にワープで帰りでしょ?出し惜しみする必要無し」
 フレナさんの言い言葉に、すぐに反応して反論するアニタちゃん、それを聞いたサラさんが改めて私たちを見渡し、
 「よし、大丈夫だな、トークンアリス?初めてのボス戦だが・・・」
 「はい!問題ありません!!」
 このまま行ければ・・・
 「よし来た、みんな、洞窟に突撃!!」
 そして私達が洞窟に入ると、突如、上下に黒い帯の入った映画風の画面に切り替わり、
 洞窟の奥で、もしゃもしゃと何かをかじるネズミの動画が映し出され、
 それが気配を感じたかのようにいきなりこちらに振り返り、
 キシャアアアア!!
 そう言って、吠えかけてくる図となる、下には黒淵白文字の劇画字で斜め気味に、
 巨大ネズミ
 ジャジャジャジャイアントラット、と出た、
 「来るぞ!」
 大きさは私達より少し大きい程度、少し拍子抜けしつつ、私達三人が前線にでる、
 「ファイヤーボール!(皆おなじみ火属性初等魔法、火の玉をぶつける魔法、洞窟内だと酸素がどうのこうのとかなるんだろうけど細かいことはいいっこなし!!)」
 「痛覚盾打!(敵一体を盾で痛みを増幅するように殴り、注目を向けさせる技、近距離まで近寄れるボス戦だと、騎士役がこれを第一打に撃つのはもはや風物詩)」
 火にまかれたせいか、巨大ネズミの目線がアニタちゃんの方に行くが、盾に殴られ即座にフレナさんの方に変わり、フレナさんが防御姿勢を取る中で前足の爪を振り降ろす
 ガッ!しかし、思ったよりダメージはなさそうだ・・・
 「回復はまだ大丈夫だからとにかく殴れ!」
 「わかりました!」
 左右よりサラさんと挟み、ひたすら剣を振るう、その間にもアニタちゃんの炎の第二打、
 こちらの方が注目度が高いのか、ネズミはまたもアニタちゃんの方を向く
 「お前の相手はこっちだ!」
 すかさずの痛覚盾打二撃目、またも目線はフレナさんの方に、
 よし、このまま行けば・・・
 そう思った次の瞬間、巨大ネズミが高く跳ぶ・・・
 「来るぞ!全員、防御態勢!!」
 え・・・えっと、確か防御は・・・「ベ・・・ベガさん、防御!」「マウス左右キー同時押しです」
 剣を斜めに構えた防御姿勢を取る!
 と、巨大ネズミが頭をコミカルにも天井にぶつけ、辺りが揺れる!
 「こっちか!?」
 別パターンもあるのか!?
 巨大ネズミが目を白黒させながらも落ちてきて、地面にぶつかると同時に洞窟全体にいくつもの岩が・・・
 岩の落下にパターンがあるようには見えない、これは・・・ランダムで攻撃か!?
 「うだだだだっ!」
 不幸にも、フレナさんにいくつも岩が降り注ぐ!
 「フレナさん!回復!」
 回復薬グリーンを放り投げ、フレナさんのHPが戻る、
 「ありがとう!」
 げっ!?
 「もう私、回復薬無いです!」
 「わかった!後は攻撃に集中してくれ!」
 「わかりました!」
 その後は、一心不乱に殴るのみ、
 巨大ネズミが急降下で衝撃を与えてきたりするも、サラさんの指示で防御姿勢を取って事なきを得、
 その後の回復はサラさんとアニタちゃんが回復薬でどうにか勤め、(フレナさんは防御役だからまったくできなかったのだ・・・)
 他の誰かに注意が向いたらフレナさんが痛覚盾打を打って自身にターゲットを移させ、
 その内に、巨大ネズミは向こうに倒れたのだった・・・
 ズドン!!
 パパラパー、パンパン!
 倒れる音が響き渡る中、軽快な音とクラッカーの破裂音と共に頭の上に虹色グラデーションでLVMAXの表記が出る、
 ようし、レベルアップだ!・・・ってあれ違う!?
 レベルマックス!?
 「サラさん!やりました、レベルマックスです、まだレベル10なのに!!」
 「いや、この辺りでビギナーはみんなレベルマックスになるんだけど・・・」
 サラさん話しかけたのにフレナさんがあきれ口調で答えてきた、
 「そのとおりだな、フレナ、だが、しかし、そうなると次は・・・」
 「おめでとうございます」
 「おめでとやす」
 あれ?
 洞窟の入り口に見慣れてはいないけど見慣れた薄肌の鎧と着物姿・・・?
 「マッキーさん、らんこさん、どうしてここに・・・?」
 二人が入ってきてマッキーさんが敬礼を行う
 「合流しようとしたらクエスト受注していて、人数が満杯でしたので、交代でレベル制限押し付けられても困るので、クエストをクリアするまで身を隠しておりました」
 「おなじく」
 あ・・・みんな嫌なんだ、レベル制限・・・
 「ですが、こうなると次は職業選択ですね」
 「職業選択?」
 マッキーさんの言葉に思わず問い返す
 「私はこの職にちゃっちゃと決めてしまいましたが、このゲームは一度基本職を決めると変更できないので、選択は慎重に行わなければなりません!」
 「その通りだ」
 「サラさん?」
 声がした左手に振り向くと、私を優しく見る感じのサラさんが
 「お前はギルドについてるビギナーだ、出来ればお前の意思を尊重したいが、アドバイスして欲しいというならしよう、もっとも、その場合、多かれ少なかれギルドの都合というものが入ってしまうだろうが・・・」
 ええっと、どうしようかな・・・でも、聞かないより聞いた方がいい気もするし・・・
 「構いません、アドバイス、お願いします!」
 「わかった、それじゃ、一旦ギルドの方に戻ろうか、その前に、依頼人に報告してクエストクリアも忘れずにな!」
 
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