ネトゲ恋愛記 ~サブタイトルは秘密~ 10
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バトル4
「ここまでどすえ、先に進んでくれやす」
「ありがとうございました、らんこさん」
らんこさんにお辞儀した後、共に、滝裏にあるポータルに入る、
「お願いします」
その先にあったのは、古く四角い石を積み上げて作られた古代の遺跡、
ジャングルの中にある寺院風のいわくつきのそれが、扉を開けて待っていた・・・
そして、先ほど私に敬礼をしてきたのはマッキーさんだ、
おそらく、マッキーさんと一緒にここを突破せよ、という事なんだろうが、
「いつものマッキーさんと違う・・・」
そう、いつも古臭い岩の鎧に身を包んでいたマッキーさんだが、今回はその部分が全て緑の鉄板で構成されたものに入れ変わっているのだ、
ちなみにそれ以外は変化無しだが・・・
「メニュ~」
気になってメニューを開いてステータスを見ると、装備欄だけではなく、クラス名も違っていた・・・
「ふふふ、先日実装された古代機士の上位職、現代機士になったのですよ!」
得意気に言うマッキーさん、
思わずメニューからマッキーさんを見て
「わー!おめでとうございます!!」
祝いの言葉をかけた
「昨日丸一日かけ試練をクリアしたかいがあるという物ですよ」
しかし・・・
「でも、古代から現代っていくらなんでも安直過ぎませんか?それなら、一緒に実装された仮面機士とか、超古代機士の方が・・・」
「どれもわりと安直だと思うですが・・・」
「一緒に実装されたネクロマンサーの上位職は、アンデッドマスター、悪の幹部、改心したネクロマンサーと安直、ひねり、ひねり過ぎと三拍子そろってましたもんねぇ・・・」
「ぐ・・・ただの死体のくせに、こんなところで差を着けられるとは・・・!」
「もうただの死体なんて呼ばれなくなってきてますよ・・・」
「ぐっ!!」
マッキーさんが両手両膝を地に着け大げさに悔しがる
「ちくしょうちくしょう、いずれ最上位職が実装された時には絶対かっこよくなって巻き返してやる・・・!」
「さっさといきましょうよ」
「そうですね」
あっさりと元のテンションに戻り若干戸惑ってしまった・・・
そうやって、遺跡の内部に踏み込んでいく・・・
最初は新品であったであろう劣化した石でできた通路・・・いくつも分岐があるものの、それらの先はすぐに途切れ、アイテムすらおかれていない・・・
「クエストのシステムがシステムなせいか、宝箱一つ置かれてませんね・・・」
「そうですね、補助した側に不公平があっては困りますから、それでも一個ずつ置くとかして欲しい物ですが」
たわいのない会話を繰り返しつつ先に進む、
しかしである、現実的に、宝箱は置かれてなくても敵は出てくるのだ、
見慣れたひざ丈まであるいくつもの巨大な種、最初見た時はアイテムかと思って駆け寄った物だが・・・
「どうします?弓士の魔法の矢筒の矢攻撃で先制して、外皮はがすのが定番だと思うのですが・・・」
「お任せ下さい!」
マッキーさんが得意げに言い放つと、いつの間にか、二丁の六つの鉄筒を回しまとめて銃に仕立てたようなガトリングガンが両腕の下に出現する!
「現代機士の新スキル、ツインガトリングガン!!(ガトリングによって多数の弾をばら撒く現代機士のスキル、スチームマシンガンから派生する、もっとも、実際のガトリング程ヒット数は無い)」
それを一気にばら撒くように斉射する!
ダダダダダ・・・
弾は種たちに当たるものの、種たちはノーダメージ、
私達があの種、アーマーシードに近づかなかった理由の一つがこれ、
相手の攻撃の一撃目を魔法物理問わずに完全ガードし、さらに、数秒間無敵時間を伴い、その間に一撃仕掛けてすら来るのだ、
近づくか攻撃しなければ害はないが、一つが攻撃されると他も連鎖的に起きる上、自主的に起きたものは両肩に殻を乗せた状態で一撃受けるまで実質無敵状態なので・・・
しかし、ガトリングガンの斉射は続き、無敵時間の後も攻撃が続く!
「さぁ、このまま押し切って、押し切って・・・」
人型の木につるを適宜に巻きつけたような正体を現し敵側がこちらに向かってくる!あいつら、ひるまないのだ!おまけに、ダメージが小さい!
「マッキーさん、ほんとに大丈夫なんですか!?」
「・・・MP切れる前にやめます・・・」
そして、マッキーさんからガトリングガンが消失される・・・
「しかし!現代機士は近距離攻撃も進化しているのです!援護お願いします!ツインソードダンス!!(二本のトンファーソードで相手を切り刻む近距離攻撃スキル、ストーンブレイドの派生スキル、一撃ではなく連続攻撃を肝とする)」
と思ったら、その場所に前方に刃がのびる二本の剣が・・・
「一気に決めます!」
アーマーシード達に走り込み、舞を舞う様に攻撃していくマッキーさん、しかし・・・
「やっぱりダメージ低いですよ!」
「おかしいですね、がっ!?」
あ、後ろからつるを振るうような通常攻撃喰らって攻撃が中断された・・・
・・・しょうがないな・・・
杖を長持ちし、一気に接近、
「でやぁ!!」
らんこさんの時と同じく、一定数の相手を攻撃し、こちらにヘイトを移せば・・・移せば・・・来ないなぁ・・・
こちらが何度か攻撃するが、アーマーシード達は倒れこんだマッキーさんを踏みつけるのみ・・・
あ、そっか、らんこさんの時は火遁の術使っただけで後は避けるのみ、マッキーさんは盛大にガトリングやらソードやらで攻撃してたっけ・・・
「マッキーさん、耐えてください、ヒール!」
マッキーさんの体を細かい粒子のような緑の光が包むが、攻撃は続く・・・
「ぐはっ!」「まだです、ヒール!」「げぶはっ!!」「もいっちょヒール!!」「あぶげはっ!!」
「ヒール!!」
「がひへはっ!・・・もう少しいいの使って下さい・・・」
んなこと言ったってMPがもったいない、マッキーさん、職業柄防御力高いから、あんまりダメージ喰らってないし・・・
「製作陣・・・調整ミスったなぁーーー!!」
レベル制限もあると思うんだけどな・・・
あ、マッキーさんが叫ぶ中でさすがにヘイトが切れたのか五体ほどこっちに近づいてきた・・・!
ジリジリと後ろに上がり、マッキーさんから引き離しつつ、杖を振るう、
が、それぐらいで倒れてくれるわけも無く、追い詰められていく・・・
「必殺!グラフティカルキャノン!!(スチームキャノンの派生系スキル、MP消費は大きいが同程度かつ数で押してくる着弾点の相手を殲滅できる)」
と、向こうでマッキーさんが
頭の煙突が傾いてこちらに向きながらそこより大きな砲弾を撃ち出してきた!
その砲弾に当たって砲弾からの爆発に巻き込まれ、消滅するアーマーシード達
「大丈夫ですか?」
涼しい顔でこちらを見るマッキーさん・・・
「マッキーさん、残った敵は?」
「すでに殲滅しておきました」
確かに、誰もいない、通常攻撃とかで仕留めたのだろうか?
「というより、最初からグラフティカルキャノンを使っておけばよかったですね・・・」
マッキーさんの反省の台詞、しかし、転職したてな上、レベル制限もあるので状況の予測がしづらいであろうことを考慮し、あまり責める気にはなれない
「まぁ、そういうことは次から実践していけばいいでしょ」
「そうですね、それでは、先に進みましょうか・・・」
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