バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

騎士剣戦隊キシケンジャー/20

騎士剣戦隊キシケンジャー 20
 
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 「ここがジャステール王国か・・・」
 空を覆うは紫の魔力、遠くに見るは昏く崩壊した煉瓦の家や街を守る大きな壁・・・
 そこを戦闘員たちや魔怪人が闊歩している・・・
 しかし、サトルが周りを見回し・・・
 「魔皇帝の姿が無い・・・」「さすがに城に戻っちゃったか・・・」「だが、街の向こうに城も見えているぞ」「ああ、もうすぐだ」
 と、後ろから消防車やらなんやらが飛び出してきた!?
 「うどわっ!?」
 思わず左右に分かれる俺達!?
 そして、穴から続々と守護精たちが出てきて・・・あ、おい!オメガバハムートがつっかえてる!?
 『惑星だ!惑星モードになるんだ!!』
 レッドリアのアドバイスに、惑星に変わりつつ、守護精たちが変形して引っ張ってようやくこちらがわにすっぽ抜ける・・・
 そして、守護精達も左右を見渡したりしてる・・・
 そっか、みんなようやく故郷に戻ってきたんだもんな・・・
 だが・・・
 「この図体だと、なんか、街の人達を踏みつぶしちゃいそうだな・・・」
 『その通りだな・・・』『ならどうすべきか、答えはわかってると思うけど』『いざという時までどこかで隠れててもらいましょう』『賛成だ』『というわけで皆さん、呼ぶまでどこかに隠れていてください』
 ピンクリアの言葉に、皆が思い思いに散って行く・・・
 大半は森の中だが、空を飛んで行くものや惑星になって真上に昇って行くものも・・・
 「で、そんな大騒ぎをしていたら当然気付かれるわけだ・・・」
 サトルの言葉に城壁の方を見ると、戦闘員と魔怪人たちの混成軍がこちらに向かっていた・・・
 「行くぞみんな!」
 おう!
 俺の言葉に皆が返事を返し、向かって行く、
 基本は後ろを取られないための六角の陣!しかし、あの軍勢を潜り抜けてきた俺達の敵ではない、
 斬り裂き、突き貫き、撃ち抜き、力で叩き、振り抜き、凍らせ砕き、
 順調に城壁の前までたどり着く、壊れた鉄枠の木の城門を潜り抜けると、
 城の前の街、城下町にたどり着いた、
 王城と思われる城までは一直線の大通りを通るだけ、途中で十字大通り中央の円に開けた所に大噴水などがあり、碁盤の様に家が整然と並んでおり、大通りの左右には崩れた屋台などが大量に並んでいたりする、
 が、問題はそこにあった石像群、全て人の形をした、親子や買い物をしている人々、それに対応する商人なども・・・無論戦闘員や魔怪人たちが闊歩している・・・
 俺達は周りの状況を確認するために一瞬立ち止まるも、
 「行くぞ!」
 俺の発した一言に一斉に走り込む、
 同時に、敵軍も俺たちに気づき近づいてきて、自然と交戦状態となる
 しかし、戦いづらい、人々を傷付けないように剣を振るわなければならないからだ、
 自然と剣を振るうのにためらいが生まれる、
 と、そこで、子供の石像を持って盾にする魔怪人が・・・
 「この!」『バタフライ&サンダービークレスト!!』
 しかし、ブルーが素早く横に回り込み、その剣で貫きながら落ちる像を片手で受け止め、端の方にそっと置く
 が、その奥では女性の像の裏に隠れる戦闘員が!
 「そんな卑怯な真似は辞めろ!」『ミラーデブリ&リフレクショットクレスト!!』
 イエローの放った鏡の破片、それに発射された銃撃が反射して確実に戦闘員のみを撃ち飛ばし爆発、消滅させた、
 「この!」『ウォールシールド&ウォールハンマークレスト!!』
 グリーンが城壁を盾にして、石像に近づこうとする魔怪人を押し飛ばして、さらに城壁を振り下ろして打ち倒し、
 「行きます!」『ヒールナース&スマッシングキュアクレスト!!!!』
 ピンクが己の身を盾にして人々を守りながら剣を振るって戦い、
 「ブリザードガスト&フリーズリターンクレスト」
 意外だったのはシルバーダだ、冷気を少し離れた場所に現出させて操り、人々は避けて魔怪人や戦闘員を凍らせて砕いていく・・・
 「こっちも行くぞ!」『グレイトソード&グレイトシールドクレスト!!』
 人々の前に立ちながら石像の無い狭い空間に盾を展開、一気に魔怪人と戦闘員を押し込み、続け様の大きさを調整しつつの剣げきで消滅させる
 『まずいな・・・奴らが変な手を思いつく前に、速度を上げて一気に走り抜けろ!!』
 「おう!」「これ以上何かあってもかなわんからな」「私の銃撃だって限界あるんだからね!」「パワーファイトが出来ないぜ!」「きついです」「このままじゃらちが明かないな・・・」
 敵達を極力無視し、石像に何かしようとするやつだけを速攻で片づけ、ようやく俺達は城門にたどり着いた・・・
 「ここが・・・」『我らがジャステールナイツ王城だ・・・』
 四角く白灰色のレンガが組み上げられた城、左右に見張り塔を持つ大きな城壁のような壁、さすがにここは城門が修復されたかのように木と鉄枠の門があり、上には竜と盾のジャステールナイツ王国の紋章があるが、大きく傷がつけられている・・・
 「開けるぞ、グリーン、シルバー」「了解!」「わかった」
 俺が中央に、シルバーダとグリーンが左右に陣取り、一気に城門を開け、寸分構わず、一気に入り込み、城門を閉める・・・
 中は、四角いホールに中央に大階段があるような構造、
 むろん高級そうな石材や壁材で構成され、中央や階段に赤い金ぶちの絨毯が敷かれているものの、
 いつまでも使われていなかったかのように荒れ果てていて、やはり、兵士や学者やメイドの石像がいくつもある・・・
 『敵はいないのか?』『来る気配も無いな・・・』『不気味ね・・・』『誰もいない・・・』『どうしましょうか?』
 『この先は上がって通路を行ってすぐに玉座の間だ、予定外の大規模戦闘もあったし、城下町の戦いもあった、脇にある見張り部屋で少し休憩しよう、マスクだけなら少しは大丈夫だろう・・・』
 レッドリアの言葉に、俺達は広場中央左右に通る通路の、少し横にある扉の中へ、
 中には幸い、石像含めだれもいなかった・・・
 『5分だぞ!』
 スマホで振動タイマーを仕掛け、マスクだけ取り、それぞれが持って来たものを口に入れる・・・
 「あの、ユウキさん、これを」
 白い手袋の両手に差し出されたのは、黒い紙と銀紙に包まれた長方形を整列させた板のような・・・
 「チョコレート?」思わず俺は差し出した手の主を見るそこにあったのは気丈な笑顔の少女の顔「いいのか、ユナ?」
 「はい、私は多めに持ってきてるので、」そう言いつつ、ユナは周りを見渡し「皆さんもどうぞ!」
 「悪いな!」
 ユナの渡してくれたものを、皆で分けて食い、俺達は兜を着け直し、再度、階段の前に集結する
 「行くぞ、みんな!」
 「覚悟は出来ている!」
 「ここで止めるわ!」
 「俺達の手で魔皇帝を止める!」
 「行きましょう!」
 「この国を取り戻す!」
 『私達の国を!』
 『僕達が、いや、みんなでやらないとね!』
 『この先に何が待ち受けていようとも』
 『必ず!』
 『皆・・・行きましょう!』
 はぁああああ!!
 階段を掛け上げり先にあった両開きの鉄ふち灰白の木の扉を開く
 先の方は左右の壁に窓が一定間隔でならび、下に金ぶちの赤じゅうたん敷かれた広い通路、その二つの間には天井を支える、少し波状が横に回った趣の柱がやはり一定間隔で並んでいる
 『この先に玉座の間がある!』
 「おい、誰かいるぞ!」
 だが、一瞬誰もいないと思われた部屋には、五人の騎士が並んでこちらの方に悠然と歩いてくるのが見えた・・・
 「玉座の間の前、やはり、見張りの一人ぐらいはいたか・・・」
 『だが・・・あれは・・・』『おいおい・・・またやっかいな・・・』『嘘でしょ!?』『な・・・なぜだ・・・』『そんな・・・』
 レッドリア達の動揺の声が響く・・・
 
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