ベイ四駆、円駆!! 3
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第3話 直線の回転
さて、どうすっぺかなー・・・
俺は青空の公園にて、カラフルなブランコに座りブランコの鎖を握りながら考えていた、
改造の事、って言ったって、とりあえず、適当に店で売ってるものいくつか買って詰め込んだけど・・・
絶対これだけじゃ、氷聖には勝てないし、日本一なんてまだまだ・・・
と、俺の目に身長が小さく目を隠すほど前髪が長く緑のフードかぶった少年が左側に走って行くのが見える・・・
なんとなく目で追ってみると、
エンクストレートコース、ただいま設置、誰でも参加可能!!
と書いてある木の一本柱立ち看板が見えた、
ラッキー!今の烈炎鋼の能力を見定めるには十分だ!!
走って行ってみると奥に芝生の上に乗ったコースが!?
だけど・・・そこそこ、並んでるな・・・
あ、さっきのガキが最後尾に・・・その後ろに並ぶ・・・
ま、すぐに順番回ってくるだろ・・・
そう考えて並ぶと、本当にすぐ回って来た・・・
レース場に立ち、さっきのガキ、右隣を見ると、
珍しいマシンが見えた・・・
「・・・何?」
気弱そうな声のそのマシンを持つガキが顔をこちらに向けていた・・・
「いや、珍しいマシンだなって・・・」
そう、蛇のモチーフのマシンペイントに、
真ん中に穴の開いた風車の基礎に尾を咥えた蛇の様なリングバンパー、
目には緑の宝石の様なプラスチックが埋め込まれている・・・
「環蛇ウロボロスっていうんだ・・・」
ガキの口が動き
さらに、ガキがスイッチを入れると、リングバンパーが自動回転?!
その風を受け、ガキの前髪が上がり、野心溢れる赤い目が見える
「さ、走ろうよ・・・?」
「あ・・・ああ・・・」
こいつの気迫に負けてらんねーぜ!!
「スタート!!」
コースの管理員の言葉に全員がコースにマシンを解き放つ!!
ガチンガチン!!
激しいぶつかり合いから飛び出したのは烈炎鋼!
と、思った次の瞬間には、環蛇ウロボロスが他の全員をはじき出して一気に隣を抜き去る!
馬鹿な!?安定しすぎている!?他のマシンとかち合ってもほとんど動揺していない!
さらに、ストレートもブレずにまっすぐ向かっている!?
あんなリングが回っているのに!?
「ふしぎって顔してるね?」
フードの?!
思わずそちらを見るとガキの口がさらに言葉を紡ぐ
「ジャイロ効果だよ」
「ジャイロ効果・・・?」
「そう、均等に回転しているのは・・・安定するのさ!!」
まだだ!
俺はコースの方に振り返る!
そして、烈炎鋼が環蛇ウロボロスの後ろについて・・・つかない?!
「リングバンパーが回転し続けることにより、後ろの風が乱れ、風の抵抗を無くすスリップストリームは発生しない!!」
「だが、まだだ!」
それでも烈炎鋼は走る!
ゴールに向かって一直線、距離を詰めていきそして・・・
同時にゴールを通過した!
「勝者は2番と3番です!!」
ゴール右横にいるスタッフであろう黄色いジャケットに黄色い長ズボンでポニーテールのお姉さんがそう叫ぶ、
ちぇ、写真判定も無しかよ・・・しょうがないけど・・・
参加者全員がゴールまで歩いて行き、ゴール奥の行き止まりで止まっているマシンを取っていく
「うわあっ!」
フードのが環蛇ウロボロスを取ろうとして回転するリングバンパーに手を弾かれて落としそうに
「そら!」
それを本体をつまむ形で受け取り、スイッチを切ってやる
「あ・・・ありがとう」
フードが俺の方を見上げていた
「ほらよ!」
環蛇ウロボロスを渡しつつ、俺は俺で烈炎鋼を取り、スイッチを切る
「あの・・・名前は・・・」
いつの間にか前髪が戻ってる・・・
「俺の名前は鋼 新速」
「僕の名前は貫木 蛇色(つらぬき じゃいろ)、轟鉄小学校3年3組・・・」
「俺は5年だ、なんだ、同じ学校か・・・」
「そ、そう、よろしく!」
見上げながら近づいてくんな・・・そうだ!!
「なぁ、お前、エンクのことに詳しいか?」
「え・・・うん!」大きく首を縦に振って再び俺の方を見上げる「ネットで見た改造をするくらいには!この右回転改造もウロボロスに合ってると思って!!」
おーし、それなら
「んじゃさ、改造の相談に乗ってくれないかな?ちょっと、勝ちたい奴がいるんだ」
「い・・・いいよ!じゃ、これから友達・・・だね!よろしくね!!」
「おう!よろしくな!!」
エンクシリーズ第三弾!
右蛇、環蛇ウロボロス!
蛇色の使う右回転リングバンパー機体、環蛇ウロボロスをキット化!
この蛇を、右回転を、使いこなせるか!?
エンクレーシングスタンダード、環蛇ウロボロス!!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――