バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

暗黒騎士フラウリア(17)/6

暗黒騎士フラウリア(17) 6
 
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第6話 続・お茶会!
 
 「で、そのステラさんの後ろにいるのは誰ですか?」
 そう言うと、ステラさんの後ろにいた人が顔を横に出していたずらっぽい笑みを浮かべてくる、
 黒い短い髪にオレンジのハンチング帽、同じ色のコートに男物の赤いネクタイと水色のシャツを着て、
 胸元に持ってきた右手には金属の輪っかでまとめられたメモ帳、左手には鉛筆が握られていた・・・
 「ああ、ああ、お構いなく、私はいないものと思ってくれていいですから!」
 ステラさんが私と後ろの人両方を見つつ後ろの人が出した顔の方に手を紹介するように向け
 「彼女は新聞部のチュロさん、今回取材したいそうよ」
 「取材ですか?」
 一体どうして?
 「そうよ、取材、領主様も許可出してるんじゃ、断れないのよね、男子禁制って言ったら女性記者まで出してきて・・・」
 それを聞くと、チュロさんは軽く笑い
 「あはは、おかげで貴重な取材の機械をもらいました!」
 そして私達に右手を手の平を上にして出し
 「ささ、私のことは気にせず進めてください!」
 はあ・・・
 仕方ないなぁ・・・
 とステラさんが私を見て
 「それじゃあ、フラウリア、座って、」さらに騎士みんなを見渡すように視線を移し「皆が持ってきたもの出して!」
 はぁ~い!
 私が椅子に座りつつ皆が前に持ってきたものを出す、
 「私は紅茶だけど・・・ザラメ?」
 ステラさんがザラメさんの出した物を見て目を鋭くしてザラメさんに言い咎め
 ザラメさんの前に出されたのは袋に包まれた何か、取り出し口から中が見えるに中身は干し肉である、
 ザラメさんはステラさんを見て顔から力が陽気に入ったお気楽に
 「いいじゃんか!備蓄食料そろそろ入れ替えるってんで貰って来たんだよ!市場には果物ぐらいしかなかったし!」
 ステラさんの表情がみるみる力なくため息をつくほどの呆れた顔に
 「それだったら果物の方がマシだったわ・・・」
 「ふふふ・・・私はすごいわよ・・・騎士団の氷魔法の子と一緒にこれ作ったの!」
 ジェリーさんがいきなり金属の容器を両手で持って出してきたと思ったら、その蓋を開ける!
 金属の入れ物の中に入っていたのは、氷とさらに内側に柔らかそうな白い物体・・・
 それをジェリーさん以外の全員が覗き見る、
 「なんですかこれ・・・」
 対するジェリーさんは上機嫌で得意気な笑顔・・・
 「ふふふ・・・アイスクリームよ!!」
 「あいすくりぃむ?」
 「アイスクリーム?」
 ザラメさんにシベリリアちゃんが疑問系の声を出すが、私はその存在を噂でのみ聞いたことがある、
 「これが・・・?あの・・・」
 「口に入れるととろけるという・・・?」
 あら?イストさんも知っていましたか・・・
 私は思わずイストさんの方を見る、その顔は驚きでか目を少し見開き白い物体を覗き見ていた
 「知っていたんですね?」
 イストさんが表情を整えながら私の方を見る
 「ええまぁ、貴族界隈じゃ、これのために氷魔導士を雇う人もいるくらいだから・・・」
 「ステラさんは知っていました?」
 私がステラさんを見ての質問にステラさんは少し首を横に振り
 「いいえ、残念ながら、私、教会から出向で来ているので、こういう物には疎いんです」
 と、首を振った後白い物体を見つつ応えてくれた
 へぇ・・・疎いんですか・・・
 「それなのにこんな会をやるなんて・・・」
 「大方、教会からの出向にかこつけて好きなもん食おうって腹だろう」
 ああ・・・
 ザラメさんのぶっきらぼうな一言に思わず納得する私・・・と、そうだ!
 私はジェリーさんの方を見る今だ得意顔だ・・・
 「それで、一つ訊いていいですか?ジェリーさん」
 表情はほとんど変えずに笑い顔の目から目を開き目線だけ私を見るジェリーさん
 「なぁに?」
 「さっき、騎士団の氷魔法の子って言ってましたけど、清澄騎士団って水属性の人しかいないのでは?」
 ジェリーさんがようやく得意顔から表情が少し解ける
 「そういうイメージ持ってる人もいるけど、実際には水属性と氷属性の複合よ、他も似たようなもの、煌星騎士団と暗黒騎士団は魔法が使えない子が入ることもあるの」
 へぇ・・・
 うちの中にも魔法使えない子がいるのかしら?まぁ、必要じゃないなら突っ込んで訊くことじゃないか・・・
 「じゃあ、次は私ね、」
 あ、シベリリアちゃん!
 シベリリアちゃんが楽しそうに蔓を編んだバスケットを取り出し蓋を開ける、
 そこには黄金色に光る円形のパイがあった
 「はいこれ!アップルパイ!!」
 「まぁ!おいしそう!!」
 「売ってるお店、探すの大変だったんだから!!」
 思わずシベリリアちゃんの顔を見る
 「高かったんじゃないんですか?」
 シベリリアちゃんは楽しそうな表情のまま
 「でもねぇ、こういう場に出るんだもの、お母さんに頼めればよかったんだけど・・・」
 「それは・・・ええと・・・」
 「私、魔術の才能があるって言われて騎士団に入ったのよ、村を離れてね・・・」
 「私もそうだぜ、自警団にいたのをスカウトされてさ、ま、村一番の剣の使い手だったからな!!」
 ザラメさんの得意そうな顔・・・
 「私もそうよ、自警団にいたのを引き抜かれて」
 ジェリーさんはようやく得意顔が完全に解けた少し警戒心で顔に力が少々入ったすまし顔
 「前に聞いたその自警団にいた同僚の男子とはどうなったんだよ」
 ザラメさんの間髪入れずの茶々、
 その表情は右口端を上げたいたずら小僧のそれである
 「ああ、前の続きね・・・兵士の入団試験を受けて、今は一緒に騎士してるわ」
 「マジかよ!!」
 しかし、今度はその返事を聞き目を見開き大声で驚いた
 へぇ・・・ジェリーさんにそんなことが・・・
 「で、私が持ってきたのはこれ、ドーナツ!」
 イストさんが出した編みこまれたバスケット、その蓋がイストさん自身によって開け放たれ、その中には黄色と茶色の間の色したいくつもの輪っか、
 「わぁ、おいしそう!」
 イストさんが優しく私を見る
 「でしょう?この辺りのとっておきの店なの、デスランブルジャックさん?北の方にはここまでのものは無いでしょう?」
 「北の方?北の山の方の出身なのか?」
 少し目を見開いた知りたがる声のザラメさんの質問にわたしはそちらの方を向き
 「ええ、父が元は木こりをしていまして・・・」
 「木こり・・・デスランブルジャック・・・まさか、北の死神将軍の娘さん!?」
 「ええっ!?」
 驚き声の混じるジェリーさんの指摘にザラメさんが目を見開き大げさに驚く・・・
 「北の死神将軍・・・たしか、北に魔物が来た際に大活躍して貴族になったっていう・・・」
 ジェリーさんの表情に力の入った探るような慎重な続けての質問に
 「ええ、元は平民です」
 私は応える
 「死神将軍には息子さんがいると聞いてたけど?」
 「それは弟です、後を継げるように今頑張っています、私は・・・魔術大学を卒業させてもらっただけで・・・」
 「魔術大学?!」
 目を見開き大口開け驚いてこっちを見たのはシベリリアちゃん・・・
 「魔術大学出たの!?私も魔術大学に行きたいんだけど・・・」
 「シベリリアちゃんなら行けますよ」
 私は極力優しくそう応える
 「今度勉強教えてくれない?」
 「ええ、いいですよ」
 「やったー!」
 満面の笑顔で両手を上げて喜ぶシベリリアちゃん
 と、私はここで気付く
 「そういえばステラさんは・・・」
 「私は紅茶を用意しましたわ」
 そういえば、優しげな顔のステラさんの前に白いポットと人数分のカップが・・・
 「では私のはクッキーです」
 言って、持ってきたバスケットを机の上に置き、開ける、
 「寮母に頼んでキッチンを借りて作ったんです」
 「うわぁ!手作り!?」
 シベリリアちゃんが目と口を真ん丸にして驚いてくれた私はシベリリアちゃんの方を見て
 「ええ、」そう答え、今度は皆を見回し「それじゃあ、お茶会を開始しましょうか!」
 と言った、
 こうして・・・私と皆はお菓子とお茶を楽しく頂いたのだった・・・
 
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