バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

暗黒騎士フラウリア(17)/14

暗黒騎士フラウリア(17) 14
 
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第14話 崩壊
 
 「わしは娘であるおぬしにもそれが遺伝しているのではないかとにらんでおる」
 元教授の話が本当であるならば、魔力が上がっているはずだが、その実感はわかない・・・
 ひどいほろ馬車の揺れの中、そう考える・・・
 「というか、毎度毎度、騎士なのに馬無しってどういうことだよ!!」
 「新しく来た馬が動物に襲われて1頭戦いにおびえて牧場送りになった煌星騎士団に取られてな・・・」
 「早く全員分揃えてくれよ団長!!」
 「ぼやくな、他所なんぞ1頭だぞ、1頭、2頭馬車を使えるだけうちはマシなんだよ!!」
 「煌星騎士団のとこなんて3頭じゃねぇか!!」
 馬車の中で行われる団長とジャンドさんの会話を聞きつつ考える
 「まぁまぁ、馬の取り合いはしょうがないじゃないですか、軍や王都の方も欲してるそうですし、それよりもほら、見えてきましたよ!」
 馬車の手綱を握り前を見るガナッシュさんの声に、思わず前から外を見る・・・
 広がるは木がまばらに生える草原、そして、左側には広大な湖・・・
 「綺麗・・・」
 「ですねぇ、妻にも見せてあげたいです・・・こちらに来る機会は多いのですが・・・」
 「妻・・・」思わず私はガナッシュさんの方を見る「結婚してたんですか!?ガナッシュさん!?」
 「ええまぁ・・・」
 なぜか少し申し訳なさそうな声を出すガナッシュさん
 「この辺りは俺達の街にも近いし、バカンス商売のログハウスもあるから、休みにでも連れてくればいいだろうが」
 後ろ右側より団長の無遠慮な声が聞こえ、
 ガナッシュさんが苦笑いする
 「デリカシーの無い人ですね・・・」
 私は思わず口を出した、
 しかし、ガナッシュさんはどこか吹っ切れたような顔で先を見る
 「団長は正直だから団長なんですよ」
 「そういうもんですかねー・・・」
 「ええ、いつも指示は的確ですから」
 ああ、そういうことか・・・
 そんなこんなで村にたどり着く・・・
 丸太で作られたログハウスがまばらにある村だが畑などが無く、
 ログハウスはまわりに塀があり、まばらな木々には草食動物などがそこかしこに見え、
 ログハウスの窓の中にはきちんと手入れされた高そうな弓などが見えたりする、
 なるほど、湖での避暑、狩猟の場でもあるわけか、
 人もまばらなのはシーズンでは無いからに違いない・・・
 「でも、こんな所で本当に魔族らしき姿を見たのか?」
 「ええ、下半身が竜巻の・・・トルネード・ジン族だと思われます」
 隊長の言葉にガナッシュさんが答える
 しかし・・・
 「でも、この辺りは私達の都市の統治領の中心部に近い場所ですよね?魔族領からも遠いし・・・」
 私は二人に疑問を呈した、二人はこちらを見て、目じりを上げた真剣な目の団長が口を開く
 「だな、何を企んでんだ・・・?」
 「ああ、騎士様方・・・」
 と、そこに現れたのは、まとめられた白髪交じりの黒髪にタキシードの痩せた中年男性・・・
 ガナッシュさんが駆け寄る
 「パウンドさん!」
 あれ?知り合いか?
 男性は涙目でガナッシュさんにすがるように近づく
 「おお!ガナッシュさま!あなた様方が来てくださいましたか?」
 「お知り合いですか?」
 男性がこちらに振り向き、心労が大きそうな疲れた表情で
 「初めまして、わたくし、領主様の別荘の管理人をしております、パウンドと申します」
 そう言って、パウンドさんは頭を下げた・・・
 領主様の別荘の管理人・・・
 っていうことは、領主の別荘もこの辺りに・・・
 「おしみんな、街での聞き込みだ、一時間後にここに再集合」
 団長のいきなりの言葉に私達は団長の方を向き敬礼
 了解!
 そう言って別れ、村で話を聞き込んでいく、
 魔族なんて見たことないという話も聞くが、実は・・・という形でそれっぽい影を見たという話も聞く、
 どうやら、姿を隠して行動しているのか・・・
 それよりも・・・
 そこかしこに転がる似た形の・・・見たことある石・・・この辺りには多いのか・・・
 ・・・胸騒ぎがする・・・
 「隊長!」
 乗って来た馬車の前に再集合する
 「おお来たか!」
 みんなで集めた情報を公開する・・・
 「魔族がいることは確かみたいだが・・・」
 「問題は何をしているかですね・・・」
 隊長の言葉にガナッシュさんがその顔を見て冷静な表情で返す
 ズドドドド!!
 爆発音!?
 周りを見ると様々なところで爆発が起きる!?
 一体何が・・・?
 周りの家々が吹き飛び、草原や森が燃えている・・・!?
 「何が起きてやがる・・・?」
 「とにかく、皆を助けましょう!!」
 団長の言葉に私は急いでやるべきことを返す
 皆を助けている間に、森の方から違和感と共に足音が聞こえてくる・・・
 湖の反対側の森の方からゴブリンやオークなどが山のように攻めてくる!?
 これは・・・
 「暗黒騎士団!退避だ!!馬車まで戻れ!!」
 団長の声に全員して馬車まで走る!!
 全員がたどり着き、ガナッシュさんが手綱を持ち、走らせる!!
 しかし、そこに足が竜巻の人型の魔物が竜巻を投げてくる!?
 ガナッシュさんが馬車を降り飛び出し、斧を振るい竜巻を防ぐ!
 「隊長!手綱をお願いします!必ず生きて戻りますので!!」
 ガナッシュさん!?
 思わず馬車から出ようとする私だが、
 竜巻でおびえた馬がものすごいスピードで離れ、あっという間に見えなくなっていく・・・
 なんとか隊長が手綱を持って制御した時には・・・
 離れた森の中でありガナッシュさんの居た場所すら見えなくなっていたのだった・・・
 
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