カードゲームライトノベル Wカードフュージョン9話 失踪、失意、絶望、19
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輪ロボの目に収束した光が、一筋のレーザーとなって放射される!
ズビィイイイ!
狙いは、僕!?
直後、僕の左手側を光と熱が行き過ぎる!
な、何だ、これ!?
おそらく、ダメージを受けた直ぐ後で姿勢を立て直し切ってなかったせいだろう、レーザーは僕の左手側を行き過ぎただけで、僕を焼くことは無かった、
しかし、チラリと左肩下から後の方を見ると、床と壁にレーザーを受けてできたであろう黒い筋が出来ており、煙を出しながら赤熱していた、
こ、こんなん、喰らったら一瞬でアウトだ!
「散れ!あの目を向けられるな!向けられる前に動け!!」
署長さんもあわてて周りに指示を飛ばし、隊員たちも輪ロボの目を見つつ動き出す、
署長さんもあのレーザーを脅威と感じとったのだろう、
鏡の盾でもあればいいのだが、あいにくと、ここの隊員たちの盾はほぼ全て透明な強化プラスチック製の盾だ、
なら、被害を防ぐためにも先に進める!まずは裏に返すカードの無いチャージゾーンに向かって「リチャージ!」
と、輪ロボが唐突に目に光を集め始めた、狙いは右腕手の方、
「退避しろ!」
署長さんの声が響くが、隊員の一人が遅れた、そこに輪ロボがレーザーを発射する!
もうだめか、そう思った次の瞬間、ジャイロが上から隊員を蹴っ飛ばしてどかせた!
ドカッ!
が、そこに輪ロボのレーザーを被弾、その右足を貫かれた!ジャイロの右足が吹っ飛ぶ!!
「フロストジャイロヘリコプター!」
カーディンの地に降りつつの叫び声が響くが、このぐらいでへこたれるジャイロだとは思えないけど・・・
刹那、輪ロボの目にまたも光が収束していくのが見えた、
「逃げて、ジャイロ!」
思わずあげた僕の大声に、ジャイロが背中と両肩のローターを回して飛ぼうとする、
が、即座に輪ロボのレーザーがジャイロの胸部を貫き、ジャイロが爆発、消滅する!!
「フロストジャイロヘリコプタァアアー!」
「ジャイロ!」
ぐっ、ジャイロがやられた、いや、ショックを受けてる暇はない、とっとと次に、
右手で山札の一番上のカードを、引くっ!「ドロー!」
今度は輪ロボの目が署長さんの方に向き、目に光が集まっていく、
「なんの!」
署長さんがその光を避けるため、左手側に向かって走り出し、
そこに突如、輪ロボの左腕手が降ってきて、署長さんの行く手を防ぐ、
「しまっ・・・」
カーディン達ならどうにかできるだろうが、これは・・・
輪ロボの目が署長さんを狙い・・・
そこにキューブが走り込んできた!
キューブは署長さんを抱えて右肩の方に放り投げ、
そのまま、レーザーに貫かれ、爆発、消滅!!
「スケルトンキューブゥウウウ!」
「キューブ!」
「うむぅ・・・くそぅ・・・」
カーディンと僕の声と同時に、署長さんのうめき声が響いた、署長さんはすでに立ち上がり、キューブから輪ロボの方に視線を移している、
ぐむむ、まさかここまで状況が悪くなるとは・・・
しかし、緑の画面ではジャイロとキューブのカードは置いたまま、予の場所に置けという指示が出ている、
仕方がないっちゃ仕方ないんだけれどもね・・・
とにかく、今引いたのはバトルマシンズハイパーフルブースト!
よし、こいつを予の場所に置いておいて、チャージゾーンには・・・これだ!
左手の手札からバトルマシンズ カーディン ロボモード Vol2のカードを右手で引き、チャージゾーンに裏側で置いて、
「セット!」
ん?今度は輪ロボの目が僕の右手側の方に・・・あ!あっちには修理中のサーディンが!
「な・・・」「な・・・」
轟さんとサーディンが戸惑った声を漏らすが時すでに遅し、
輪ロボの目に光が収束し、レーザーが発射され、それが貫通する!
ズガァ!
だが、貫通したのはサーディンではない、とっさにサーディンを両手で持ち上げたスパイクだ!
スパイクはカーディンと共に着地した後、サーディンに目が向けられた瞬間に走り込んでいたのだ!
スパイクはそのままレーザーで胸を撃ち抜かれており、サーディンを少々粗雑に降ろした後、爆発、消滅!!
「サンダースパイクダンプゥゥ!」
「スパイク!」
周りが唖然とする中で、カーディンと僕の声がむなしく響き渡る、
くそっ、とにかく先に!
右手で予の場所に裏側で置いたカードを表に!
「オープン!」
輪ロボの目が、光をまとめつつ、今度はカーディンの方に向く!
緑の画面に出てきたのは、あの輪ロボのカード、あの輪ロボ、ディメンジョン・ワーム・ガーディアンっていうのか、でも、輪ロボで通してしまおう、
しかし、問題はその効果、なんと、輪ロボのパワー3600以下の相手のモンスターを一気に全滅させる効果である、
あの効果で、三体を一気に破ったということなのだろう、三体ともパワー3600以下だ、くそぅ!!
さらに、そんなことを考えている間にも、輪ロボの目からレーザーがカーディンに向かって飛ぶ!
「簡単には喰らわない!」カーディンが右足側に跳んで避ける!
続けて、またも輪ロボが目に光を溜め、レーザーをカーディンに向かって照射!
「喰らわないと言っている!」今度は左足の方に跳んで避けた「次はこちらの番だ!」
カーディンが輪ロボに向かって走り出す、輪ロボは幾度もレーザーを発射して行くも、カーディンは左手側に右手側に避け続けて輪ロボに迫る、
輪ロボは方針を変え、左腕手で薙ぎ払うも、カーディンは華麗にジャンプして回避、そこから着地して一気に走り輪ロボへと距離を詰めて行く、
ん?あ、緑の画面に輪ロボのコスト四枚が載ってら
ボルトドライバー ドライバーぶん回し、ボルトドライバー ステークパワード、ボルトドライバー クラストチェンジャー、ボルトドライバー リベッターリチャイド、この四枚だ、
だからと言ってどうという程の事でもないけど、発動とか出来ないし・・・
なんて考えている間にカーディンが輪ロボに近づいていく、
しかし、輪ロボはなんと、博士の方に向いた!
「ちょっと待てぃ!」
狼狽した博士があわててコンソールから離れようとするも、その前に輪ロボの目に光が充填しきる!
「どこを見ている!」
だが、これをカーディンは大ジャンプから右拳をぶつけて後ろの方に向かせる!
ガツン!
輪ロボのレーザーが後ろの方に暴発し、博士は事なきを得る、
「ほっ・・・」
そして、輪ロボがゆっくりとカーディンの方に向き直り、カーディンを見る、今度は、目に光を溜めず、どうやら、カーディンの様子をうかがっているようだ、
対するカーディンも殴った反動で戻り、着地し、じっと輪ロボの方を見て出方を伺っている、
両者、一歩も引かずに、警戒し合う、
いきなり輪ロボが目に光を溜めていき、レーザーを発射!
「はっ!」
カーディンがこれを後ろに跳んで間一髪で回避!
そこに輪ロボが右腕拳で真正面からぶん殴ってくる、
「何の!」
今度はそれを小ジャンプしつつ両手で乗り越え右足で踏み台にし、続けて輪ロボの胴体に殴りにかかろうと輪ロボの方を見、
そこで輪ロボがいきなり拡散レーザーを放つ!
「ぐわっ!」
威力が低かったのかカーディンが少しひるんだ程度だったが、それでも空中で喰らったそれは、バランスを崩して地に落ちるには十分なほどだった、
ドガッ!
カーディンが地に落ち、そこに輪ロボが両手を互いに握って振り上げ、叩き落とした!
「ぐおぅ!」
カーディンがもろに喰らい、床にめり込む、
そこに両腕手を離しつつ今までで一番目に光量を集め、カーディンにレーザーを撃ち込んだ!ぐっ、あれが
ガーディアンスカッシュ!?
だけど、僕にはどうすることも出来ない、くそっ!
「ぬぉおおおお!」
カーディンがビームを浴びて悲鳴を上げる!
「でぇい!」
が、すぐ両手両足を使って後ろに跳躍しビームからのがれた!
カーディン、よかった・・・
いや、安堵したはいいが、カーディンの体がところどころ焼け焦げてるな、やはり、あのダメージはきつかったのか・・・
「はぁ・・・はぁ・・・」
カーディンが息も粗くに輪ロボの方を見る、
輪ロボもカーディンの方を見返し、即座に右腕拳を斜め上からぶつけてきた!
「何の!」
これを右足側に半歩動いて避けるカーディン、
続けて輪ロボは左腕拳を同じようにカーディンを挟み込む様に打ち込む!
「その手には乗らない!」
これをカーディンは反対側に一気に動き、右腕拳を吹き飛ばしながら跳ぶ、
すると、右腕拳と左腕拳の間に輪ロボの目からビームが飛んだ、
なるほど、カーディンはこれを警戒して力ずくでも一気に跳んだわけだ、
おそらくは輪ロボの目に光がたまっていたんだろう、
しかし、そこは輪ロボ、避けられたとはいえ、左腕拳と右腕拳を外側に動かし、一気にカーディンに振り抜く!
「ぐっ!」
さらに、目に光を蓄積させてのビーム!
しかし、このビームは自分の両腕拳に遠慮しつつ放ったせいか、狙いが甘く、奥の方に向かっていく、
カーディンは狙いが甘いのを察知したのか動かずに体の右頬あたりをかすらせ、直後に後ろにバックステップ、
が、ここで輪ロボの両腕手が一気に加速!カーディンがその両腕手に捕らえられた!!
な!?加速速度を偽装しての不意打ちか!!
「ぐっ、なんだとっ!?だが、すぐに逃げて・・・」
と思ったら、両腕手がすぐにカーディンを天井高くに放り投げ
「うわっ!?」
上空から落ちてくる間に、先と同じように目に光を大量に溜め、一番に収束させ
寸分たがわず、カーディンにレーザーを撃った!
今度こそ必殺のレーザーがカーディンを貫通する!
「うぉおおお!」
「カーディイィイイン!」
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