バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

策謀の中の少女/4 カードゲーム小説WカードFu

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カードゲームライトノベル Wカードフュージョン11話 策謀の中の少女4
 
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 「ふぅ・・・」「ヒヤヒヤしたぞ・・・」
 街のような建物群を出てしばらく走り、後ろを見て追手が来ていないことを確認、ようやく一息つく僕とカーディン、
 「で、君はなんでパン泥棒なんてしたの?」
 「う・・・それは・・・」
 話し出し後ろを見る僕の視線をさらりと外すパンの袋の娘、がすぐにその口を開き
 「食料、足りてなかったのよ・・・」
 「食料が?」
 「食料?」
 「そうよ」パン袋娘がキッと僕の方に視線を向ける
 「私達はレジスタンスだ、でも、もう倉庫に食料が無くなってきてたんだよ!」
 「レジスタンスって、テロリストの事?」
 「テロリストじゃない、レジスタンス!レ・ジ・ス・タ・ン・ス!!」
 「双歩」
 「何、カーディン?」
 「レジスタンスやテロリストは呼ぶ側によって変わる、抵抗者側はレジスタンスと言うし、支配者側はテロリストと呼びたがる、その違いは抵抗者が自己を正当化したいか、権力者側が抵抗者を貶めたいかの違いでしかない、どちらが正しい呼称なのかは時代によって異なる、というより、正しい呼称など無い」
 「へ、そうなの?」
 「そうだ、どちらかが正しいのかも、どちらも正しくないのかも、場合によって大きく異なる、テロリストにだって自分たちの正義があるかもしれないし、レジスタンスにだって正義は無いかもしれない、支配者側も同様だ、実際には民衆の支持もあまり関係は無い」
 「え、え~っと・・・」
 「民衆の支持があったとしても支配者側が正しいとは限らないし、同じように支持があっても抵抗者側が正しいとも限らない」
 「自分で調べて、見て、それで決めろというのはよくわかりました」
 「その通りだ、他人の意見に流されず、きちんと自分の考えで持って情報を集め、見聞きし、考え、自分で責任を持って決めるべきだ、抵抗者や支配者が正しいのか正しくないのか、どう正しくて正しくない等、含めてな、後から間違ったと思ったら考えを改めることも重要だぞ、うむ、よくわかったな!」
 「なぁ、長々と話してるけどさ、結局私の事はどうするつもりなんだ?」
 言われてみれば、思わず助けちゃったけど、どうしよう・・・
 「どうするのカーディン、この子事?」
 「双歩はどうしたい?」
 「カーディンは、どう思うの?」
 「この子を助けたのは双歩だろう、それなら、まず双歩から意見を」
 「あのさ・・・」
 え、なんだろ?
 「何?」
 「この子、この子って言ってるけどさ、私にはナユタって名前があるんだけど・・・」
 「ナユタさんね」
 「ナユタか、了解した、それで、双歩の意見は?」「あ、う、」
 後部座席から何かを言いだしかけて止めたようなうめく声が聞こえ、ナユタさんがそういう目じりを下げたいたたまれなそうな顔をしていたが、とりあえず無視、後で事情を聞けばいいか、今はカーディンとの話に集中したい、
 「ふむ・・・」
 僕の考え、ねぇ、それなら・・・
 「僕はこの子の、ナユタさんの仲間にあったほうがいいと思う」
 「理由は?」
 「レジスタンスがどうあれ、まずは情報を収集しないとお話にならない、もしかしたら力になってくれるかもしれないし、それに、どうせ正体知られたら追われる身だしね、追ってこない方と協力関係が取れるのなら、それに越したことはない、敵対したら、その時はその時さ」
 「ふむ、私もほぼ同意見だ」
 ほぼ、か・・・
 「なら、会ってみるってことでいいんだね?」
 「ああ、とりあえずはな」
 「よかったぁ・・・」今度は一体何だ?
 思わず後ろの座席を見ると、ナユタさんが安心して息を吐いている様子が見て取れた
 「このままどっかに連れ去られたらどうしようかと思ったよ・・・」
 「連れ去るって・・・それより、さっき何か言いかけてたよね、何を言おうとしてたの?」ナユタさんがどこか戸惑いながら口を開く
 「いや、その、私をアジトまで送ってって欲しいなって、それができないなら、適当なところで降ろして欲しいなって・・・」
 「アジトまで行くというが・・・」
 カーディン?なんだろ・・・
 「君たちはそれでいいのか?私達にアジトの場所を教えてしまうんだぞ?」
 「全然かまわないさ!」ナユタが歯などを見せるほどの決まりきった笑顔を見せる
 「人間は味方だ!仲間たちだってそうだ、だから大丈夫!」
 「ふむ・・・それならば・・・いいが・・・」
 カーディンは何を心配してるんだろう、ま、向こうがどういう存在なのかわからないから当然か、僕だって見たことない組織と関わることになりそうなんて、考えてみたらかなり不安だしね・・・
 「よいしょ」
 いきなりナユタさんが首元から右腕を出し鎧を脱ぎ始める
 は?
 「ちょ!何してんの!?」
 「こいつ、動きづらいんだよ!!」
 ちゃっちゃと後ろの方から着ぐるみを脱ぐように腰下まで鎧を外すと、その中から肌を晒す、
 といっても、日焼けした肌に黒い一枚布のさらしに短めの黒スパッツのような上下のインナー、
 確かに、動きやすそうな服装ではある、
 ガッ!
 しかし、そこで動きが止まった、なんてことは無い、外した鎧がシートベルトに引っ掛かったのである
 「ええっと・・・」
 「留め具の方にスイッチが付いてるから、そこを押せば外せるよ、終わったらシートベルト閉めてね」
 「了解!」
 シートベルトを右手で手早く外し、そこで両足から鎧を脱ぐと次いで動きが終わることなく何やら機械鎧の方を両手でガチャガチャやり始め、
 着ぐるみ鎧のブーツを外して足にはき、そこから着ぐるみ機械鎧から鎧を外して体に付けて行く、腰部、胸部と肩部、両手と付け、
 最終的にはマントを首にはおり、へそ出しで体の各部に鎧を付けたような姿になる、
 その姿に、僕は少しあきれ気味になってしまう、
 「それ、そんなに嫌だったの?異性の前でいきなり脱ぎだすほど?」
 「ああ!まぁな、この鎧、動きづらいし暑いし、それに、中にちゃんとインナー着てるから恥ずかしくないしな!、この鎧、ジャミングが出てるから外出る時はいっつも着てるんだけど」
 「待って、今ジャミングって・・・?」
 「ふふん、」ナユタさんが少し得意げに鼻を鳴らし「実はな、この鎧は機械のセンサーを狂わせるんだ、ま、良いセンサーには効かないけどな、狂わせるってこと自体を見抜かれて」
 「へぇ・・・」
 「そうなのか・・・」
 思わずカーディンと共に納得してしまう
 「それに、ま、このカーディンの中なら外から見えないから、これ脱いでもいいかなと思ったしな!」
 それは、まぁ、そうなんだろうけど・・・あれ?
 「ナユタさん、膝のあたりに血が・・・」
 よく見ると、右ひざの先が切れ、血がブーツまで垂れ、床の方にはさっき脱いだときに垂れたであろう、血がほんの少し落ちていた、そうだ!
 「あ、ごめん!さっき倒した時に・・・」
 「いいんだよこのぐらい唾つけときゃ直るって!」言って、ナユタさんが歯を見せ笑い、右人差し指にほんとに唾をつけて傷口に塗ってしまった、
 そして、再び僕の方に向き直り
 「さ、アジトまで案内するぜ!まずはこの辺りを左に・・・」
 「は、はぁ・・・」
 
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