バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー/13

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー 13
 
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 「おお!アルフィエラス!!」            BGM:皇帝と玉座の部屋
 たくさんの兵士が居並ぶ中、奥の方に高い階段の上にある白い玉座に座る男が一人、
 オールバックの茶髪に豪快そうな顔立ち、纏うは顔のみ出した重厚なる黒の鎧に白の端ふさ付きの赤いローブ、
 と、俺達が前進する中で、兵士たちが道を塞ごうと前に・・・     SE:驚き
 「待て待て待て待て!」
 出る前に男が後ろのしっかと立った白いひげの老人が心配する中で前傾姿勢で俺達の方まで駆けてきて、アルフィエラスさんをしっかりと見る
 「とうとう妃になってくれるのか!?」
 「そんなわけないだろ」
 アルフィエラスさんの右足の裏が蹴りによって男の顔にめり込む・・・ SE:蹴り
 そして、足裏より顔を離し
 「ううう・・・じゃあなんなのだ・・・」
 と、顔が痛みでか赤くなり、右手を覆うように当て涙目にすらなっている・・・
 「これが・・・皇帝・・・様・・・?」
 俺は、いや、アルフィエラスさんと皇帝陛下を除く周りの人々全員が呆気に取られていた・・・
 イメージと違う・・・
 当然だ、俺は隣国の長として、威厳を持って国を支配していると聞いていたし、
 他の人達も多かれ少なかれ同じようなもんだろう・・・
 「こいつは昔からこんな奴だぞ、情けなくて優柔不断で」
 アルフィエラスさんの一言に、なおも唖然とする俺達・・・
 「私の部下だった時代からな」
 え・・・
 「えぇええ~!?」
 俺たち全員が驚きアルフィエラスさんに注目する
 アルフィエラスさんの・・・部下ぁ!?
 「元々、こいつは皇帝の継承権としては下から数えた方が早かったような奴だったんだ」
 へ、へぇ~・・・
 「後ろ盾の両親も早くに亡くしてな、どういうわけか特殊部隊に入って、私の部下になった」
 そういえば、アルフィエラスさん、特殊部隊の隊長だったって・・・
 「ところが、その後、毎代毎代の皇帝の継承権争いで上位の奴らが軒並み死んで、こいつが皇帝になったってわけだ」
 ああ・・・その話は俺も聞いたことがある・・・
 皇位の継承権争いは毎回毎回熾烈を極め、半分以上が死亡することもざらだとか・・・
 だからこそ、威厳ある皇帝陛下を想像してたのだが・・・
 と、その皇帝陛下が痛みでか顔を右手で押さえ涙目のまま片目をつぶりアルフィエラスさんを見て
 「では、なんの用でここまで来たんだ・・・」
 「言ったろ、最後の別れ際に、お前が間違ったことをした時は力ずくでも正してやるってな・・・」
 「私が何をしたと・・・」
 「王国との戦争を即刻停止しろ」                  SE:驚き
 皇帝陛下の目が見開かれる、が、姿勢を伸ばすとともにアルフィエラスさんの方を正面に見据え直し
 「それは出来ん!最初に戦線を開いてきたのはあちらだ!帝国を守るため、ここで引くわけにはいかん!」
 アルフィエラスさんは引かず変わらず真正面に見据え返している
 「つまり、お前は本当の発端を知らないわけだな?今の特殊部隊の隊長は誰だ?」
 「特殊部隊?それが何の関係が・・・」
 「まったく・・・皆さん何をしているのです・・・」         SE:驚き
 と、聞こえた声は見知ったものだった・・・
 後ろの出入り口の方を振り返ると、そこにいたのは、目とその周辺を出すように白い布で覆った顔と頭、その肌は日に焼けたように黒く、髭を長く伸ばしている・・・
 フォビドンで別れたディバーソンルさんだ、
 思わず俺は大声を出していた
 「ディバーソンルさん!?どうしてここに!?」
 ディバーソンルさんは少しあきれたように目端を下げ俺を見る
 「言ったでしょう、戦争を止めるって、皇帝陛下に和平を申し入れに来たのですよ・・・」
 「和平だと!?」
 途端に皇帝陛下が姿勢を伸ばし、威圧的な空気を纏いディバーソンルさんを見据える
 「王国の者か!?それともフォビドンの」
 言われてディバーソンルさんも皇帝を見返す
 「フォビドンの者です、しかし、今は王国の使者でもある・・・」
 ディバーソンルさんはゆっくりと皇帝陛下に頭を下げた・・・
 「ディバーソンルと申します、今回は、王国より、和平の申し入れを頼まれ、ここに参りました・・・」
 「兵士たちは何をしているか!」
 「みんな伸びてましたよ、そこの方々にやられてね・・・」
 ディバーソンルさんはそう言って俺達に目線を向けた
 あははは・・・
 思わず苦笑いしてしまう俺達・・・
 「王国が和平などと、何を考えているのだ!?フォビドンの加勢で、
  そちらが優勢ではないか!」                   SE:驚き
 「な、なんだって!?」
 思わずディバーソンルさんを見る、戦争には加担しないってこの人の上司のフィローゲルさんも言ってたはず!!
 そんな加勢ってことは戦線を大きく・・・
 俺は思わず右こぶしを強く握る、が、俺の心境を見透かしたように頭を下げたままのディバーソンルさんの視線が俺に向き
 「クルーダ君、気持ちはわかります、しかし、これもこの状況に持ってくるためのもの・・・フィローゲル様がおっしゃったでしょう、戦争は簡単には止められないと・・・」
 ぐ・・・
 「フィローゲル・・・フォビドンの長か」
 俺が押し黙る中でも皇帝陛下は話を続ける、ディバーソンルさんも応じるように目線を放し頭を下げたまま
 「それに、テンブレンの国王陛下の命でもあります、皇帝陛下、戦争の発端はご存じで?」
 「王国が突如、戦線を開いてきた、我らはそれに応じたまでのこと!」
 「それは違います、王国の国境付近の村の一つを、帝国の特殊部隊が突如占拠しました、それを取り返そうと王国が兵士を派遣したのが発端なのです」
 「何だと!?そんな話聞いていないぞ!!」
 「誰かが故意に捻じ曲げて伝えたのでしょう、皇帝陛下、王国側はこの特殊部隊の身柄の引き渡しに応じれば、今回の件より手を引き、これまで通り領境も元通りにすると、主張しています、こちらに」
 そう言って、ディバーソンルが巻物式の手紙を取り出し差し出し、皇帝陛下に渡す
 皇帝陛下は受け取り開き中を見て、仕舞い直す
 その表情は威厳を保ちつつもどこか納得のいく表情だった・・・
 「確かに、王国国王のサインとフィローゲルのサインである、書いてあることもその通り・・・」
 「元の部下を引き渡すのは心苦しいが、全て帝国の落ち度だ、致し方あるまい、そうだろう?」
 「う・・・うむ・・・」
 アルフィエラスさんの言葉に、皇帝陛下はゆっくりとうなずいた・・・
 「さて、再度訊こうか、特殊部隊の隊長は誰だ?」
 「・・・コウという男だ、数素武具の扱いが優秀で・・・」
 「それだけで隊長に任命しているわけではあるまい、指揮能力は?それとも後ろ盾がいたか?」
 アルフィエラスさんの再度の質問に皇帝陛下はアルフィエラスさんの方を見る
 「あの男は数年前に帝都を襲った異常動物を兵士たちが苦戦する中で見事に打ち倒した一団の一人だぞ?」
 「では、そのリーダーは・・・?」
 「私だよ」                      BGM:我の名はダイガ
 と、力強さと老獪さを併せ持つ声を発した皇帝の玉座の後ろにいた老人が、皆が注目する中で階段よりゆったりと降りてくる、
 やせ型で後ろに回した髪はすでに白く、優しげな雰囲気を漂わせ、上下二段式の青緑縁のローブをその身にまとっている・・・
 「ダイガ!どういうことだ!?」
 「あいつは・・・?」
 「異常動物の撃退後、新技術の研究により我が国を支えてきた男だ・・・」
 「その通り・・・」
 「ダイガ!功績に免じ、正直に話すというのなら死刑は免れさせてやるぞ?」
 「笑止!」
 ダイガが両腕両手を優美に大きく広げ
 「私は貴様らなどに捕らえられる存在ではない!」
 「ならば仕方あるまい・・・」
 と皇帝が右手を大きく前に出す!
 「捕らえろ!!」
 「・・・少し待ち合わせをしていてね、致し方なし、相手をしてやろう!!」
 兵士たちがダイガに向かって行く!
 「はぁあ!」
 名も知らぬ兵士の剣がダイガに振り下ろされる!
 しかし、ダイガはその背に剣をかすらせるようにして避けると、その裏拳を兵士の顔に叩きつけ、吹き飛ばす!
 「がはぁ!!」
 続けて背より振り下ろされる剣も体を一気に回して真剣白刃取り!そのまま刃を上に開放すると、両掌を叩きつけ、その兵士を吹き飛ばし、
 「ぐふぅ!!」
 さらに、左手側より横ぶりに振り回された剣をその左拳で上に跳ね上げ、右手の平を兵士に叩きつけ吹っ飛ばした!
 「げはあっ!」
 つ・・・強い・・・!数素武具も無いのに・・・
 「何をしている!囲んで一気に同時に叩け!!」
 ダイガの周りを兵士が囲み、剣が、槍が、一気に突き込まれる!
 ダイガは動かず仁王立ちのまま、刃が、穂先が、ダイガを斬り裂き、貫・・・かない!?
 なんと、そのすべてがダイガの体に弾かれ、滑り、剣と槍がダイガの体を取り囲むような形に・・・
 身にまとったローブは切れているのだが、中身の身体は一切傷がついておらず、白い肌をさらすばかり・・・
 「な・・・」
 皆が目を見開き驚愕する中、
 「その程度か・・・」
 ダイガが呆れたような声を出し・・・
 「ぬぅおおおおお!!」
 一気にダイガの体の筋肉が大増量し、気合の一閃は上半身のローブと共に周りの兵士もすべて吹き飛ばした!
 「数素武具が手に持つ物のみと誰が決めた・・・」
 そして、その筋骨たくましい背を見せてくる・・・
 その背一杯には、白と黒の二匹の魚が円を描くように絡む紋章に、
 そこに赤縁と黒縁が八角形を描くように囲んでいく何かが・・・
 まさか・・・あれが
 「これぞ我が数素武具、進化を続ける紋章、八角の陣なり!!」
 「数素武具使いだっただと・・・!?」
 「どけ、私達がやる」
 「行きます!」
 俺は剣を抜き放ち、兵士たちが引く中で一気に前に出る!
 「来い!若造!!」
 タイガが叩きつけてくる右こぶしを盾で防ぎつつ剣で斬り込むとそれを右手人差し指と中指で掴んで上に開放し、
 俺がそれに取られている間に左拳を腹に叩きつけてきた!
 吹っ飛ばされる俺と入れ替わるようにジンガさんが走り込み、大剣を叩きつけるも、今度は前胴を刃にかすらせるように躱し、裏拳を叩き込んでくる
 「おっと!」                  螺旋よ、其が回るは熱のため!
 咄嗟に後ろにかわし避けるジンガさん、しかし、続けて一歩踏み込みながら打ち込んできた両手掌底は躱せず
 「がはっ!」                   空気も大地もあだなすものも
 そこに入り込んでくるリリサ!
 「爆発権藩音!」                    ズィイイイイイイ!!
 爆音に一瞬動きが止まるも、容赦なく左手掌底をリリサに打ち込む!
 「くっ!」                   すべて巻き込み焼き焦がせ!!
 「フレイムスパイラル!!」            ボォオォオオオオ・・・!!
 地よりの炎のらせんがダイガを巻き込み、
 終わり際にアルフィエラスさんは六本もの矢を連続で解き放っていくがその身体を焦がしたり傷つけることはかなわない!
 「くそ!化け物かこいつ!?」
 「き・・・効かないなんて!」
 「ま、まだだ!」
 アルフィエラスさんとマユーカが戸惑い引く中で俺は再度斬り込んでいく!
 「ダイガさま!ついに見つけました!」
 今のは・・・コウの声・・・!?
 声が聞こえた入口の方を見ると、
 そこには、黒き鎧のコウ、スロットマシン背負うロサミ、半人形のエーラーン、それに・・・
 「あれは・・・王国のアイレス騎士団長!?」
 そう、銀の鎧に黒い楕円の盾と騎士剣を持つ騎士団長!?
 「手が足りなかったのでね、手伝ってもらったのだよ、」
 タイガの声に思わずそちらを見る
 「まさか・・・お前達全員仲間・・・!?」
 「その通り!!これぞ五芒星!!」
 ダイガが大仰しく声を上げる
 そうだったのか・・・!
 「陣の力により、認められた数素武具の数字と能力
  をも進化させることの出来た存在よ!!」            SE:豪笑い
 「ダイガさま!これを」
 コウがダイガに金色の輝きを放つ何かを放り投げ、ダイガが右手を上げ受け取る・・・
 そして、悠然と眼前にそれを持ってきて納得したように口を縦に開く
 「おお、まさしくこれは・・・12の鍵!」
 「12の鍵だと!?」
 確かに、ダイガの手の平の中には12の形をした金色の物体が・・・
 「12の鍵だって・・・!?」
 「12の鍵っていうのはな・・・」
 アルフィエラスさん!?
 「この帝国が古代より続いている正統ある国家であるという証明のような秘宝だ、太古の国家より引き継いだそれは、時に皇帝の命より優先される、上層部しかその存在を知らず、厳重に保管されているものだ、だが、それを何故奴らが・・・」
 突如、タイガが引き笑う!
 「くくく・・・このために戦争を引き起こしたのだ・・・」
 「なに!?」
 思わず俺は声を上げていた
 「戦争が起これば、それにより人員を割かざるを得なくなり、帝都の警備は手薄になる・・・」
 なんだと・・・俺は慟哭して再び口を開いていた
 「そんなことのために、戦争を引き起こしてたくさんの人の命を散らさせたのか!?」
 が、タイガは屈せずに俺を見て
 「そんなこと?この鍵を手に入れることこそ、この世を変えるために必要なことなのだ!!」
 タイガが大きく両端に開いた両腕の、右手の12の鍵が光る・・・
 「だけど、その12の鍵だけあって一体何ができるっていうんだ!?」
 「これだけではないさ・・・メイダ!!」
               輝きの星よ・・・今こそ我が意思に従い・・・瞬け!
 「スターシャイン・・・」  キラキラキラ・・・ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!
 メイダの呼び出した星が・・・俺達を襲う!
 俺達は思わぬ不意打ちに、全員が天を仰ぎ地に伏せる・・・
 「メイダ・・・なんで・・・」
 「そいつらの鍵を奪ってこい!」
 「はい・・・」
 メイダが天仰ぐ俺のポーチの中を探り、
 1~10の鍵を持っていく・・・           メイダに鍵を奪われました
 メイダがカギを持っていき、ダイガに渡す
 メイダの顔はうつむいたまま・・・
 「だけど、まだ11・・・」
 タイガがメイダを見下ろしている
 「11の鍵のことか?それならここにあるぞ・・・!」
 ジンガがポケットより11の形をした鍵を取り出しメイダに見せる・・・!
 「時計のあった村に厳重に保管されていたのを奪ってきたのだ!」
 そんな・・・俺の村に・・・あったのか・・・
 「これで12の鍵が揃った!!」
 「・・・ヒール・・・スコール!!」                  ドン!
 この声は・・・アルフィエラスさん!?
 アルフィエラスさんが真上に上げたボウガンから緑色の光が上に飛び出し、それが広がる雲となって雨となって周りに広がる
 体に活力が戻ってくる!
 「だが、もう遅い!!」
 タイガ達が出入り口に向かって走り、
 立ち上がった一気にジンガさんが行く手を阻むように駆け、タイガ達の方に行く!
 しかし、俺がなんとか立ち上がったころにはすでにタイガ達は扉の外に・・・
 「くそ!待て!!」
 俺達も追って走り出す!!
 「待ってくれ、アルフィエラス!」
 「先に行け!」
 俺達は走っていく・・・
 「・・・最後に一つ聞いていいか?・・・アリファは元気か?」
 「知っているくせに・・・お前が送ってくれた見張り、元気に働いているぞ?」
 「お前の口から聞きたい・・・」
 「・・・元気だよ・・・」
 「そうか・・・」
 「だが、お前もお前だな、もう妃の心配などしなくていいだろう?甥っ子がいるのだろう?」
 「それは・・・そうなのだがな・・・私は、いつまでも・・・」
 「・・・考えるのはこの騒動が終わった後だ、それに言っただろう、私は自由の無い皇妃などご免だとな・・・それに、この皇室は血なまぐさすぎる・・・」
 「・・・わかった、だが、待っているぞ・・・」
 「期待には応えられないかもしれないけどな・・・じゃあな!!」
 そう言ってアルフィエラスさんが追い付いてくる・・・
 「あいつは・・・弟がいるんだ・・・」
 走る中で話しかけてきた、俺は思わずそちらを見て答える
 「弟?」
 「後ろ盾を失った後、あいつは他の候補者から弟の命を守るため、他の候補者の命令を受け、弟の命と引き換えに、命を賭けて国のために仕事をすると誓った・・・」
 へぇ・・・
 「それでその後、私と知り合って、色々あって、あいつは・・・皇帝になった・・・皇帝になったのも、弟を守るためだ、ここの皇室は帝国になった後も色々降りかかるからな・・・」
 「・・・」
 「その後、その弟に息子が生まれて、今もあいつは、愛するものを守るために戦っている・・・」
 アルフィエラスさんは表情を変えなくても、どこか心配しているように見える・・・
 「ああ見えて、責任感が強くて、愛する者から降りかかる危機を全力で守っているんだ・・・」
 「あ・・・」
 「ふっ、」アルフィエラスさん一瞬だけ眼を閉じが自嘲気味に笑い「何を語っているんだ私は・・・忘れてくれ、じゃ、行くぞ!」
 ・・・俺たちは、五芒星とメイダを追い、駆けていく・・・
 
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マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー/12

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー 12
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 大鼠!?                         チュワァアアア!!
 「皆、行くよ!」                      SE:剣抜き長め
 「いきなり出てこないで!!」                  SE:星構え
 「森に潜んでやがったか!」                   SE:剣抜き
 「めんどくさいなぁもう!!」                SE:ボード構え
 「その時計、呪いの武器か何かじゃないの!?」          SE:杖構え
 かもしんない                      SE:クロスボウ構え
 「あともうちょっとで帝都だ、気合入れろ!」      SE:エンカウント!!
 うへ~                          BGM:凡庸ボス1
 「牙走閃!!」                            ザシュ
 衝撃波の後を走りの矢の一撃に加え                   ザシュ
 ジンガさんも走る!                         ガシュ!
 「地裂斬!」                           ドガシュ!
 「眸々潰閃矢!!」                      ガシュガシュ!
 目がつぶれたところでリリサが一気に近づく!   螺旋よ、其が回るは熱のため!
 「爆発権藩音!」                    ズィイイイイイイ!!
 轟音で                        輝きの星よ・・・今こそ
 鼠の耳もつぶれる!   空気も大地も仇なすものもすべて巻き込み焼き焦がせ!!
 「チュワァアアオ!!」              我が意思に従い・・・瞬け!
 「フレイムスパイラル!!」            ボォオォオオオオ・・・!!
 「スターシャイン!」    キラキラキラ・・・ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!
 炎の舞い上がる螺旋に上より来たる星の三撃、炎が効いてると見た!
 「大牙豪炎剣!!」      ゴッゴッ、ボオォォォ・・・ガスガスガスガス!!
 火柱が高く舞い上がり鼠を焼き焦がし            チュワァアアア!!
 鼠はついに倒れたのだった・・・               SE:戦闘勝利!
 口の中を調べると、口の中に1の鍵が・・・              リザルト
 「これで1から10まで揃った・・・」             1200EXP
 「これで終わりなのか?これを使って何をすればいいのか?    仮10ゴールド
  っつーか、12の国が                獣肉:鼠を入手しました
  それぞれ守ってたんだから残り二つか・・・」      1の鍵を入手しました
 「帝都には今も12の数字の鍵があると言われている・・・」
 「なら、どのみち帝都に行かなきゃならんな・・・」
 アルフィエラスさんの意見にジンガさんが同意する
 「俺も、とりあえず、行ってみよう!」
 そうして意気揚々と歩き出す
 「そういえば、アルフィエラス」
 「なんだ?」
 「リボルバーボウガンっつーが、他に使ってるやつはいるのか?見たことないんだが・・・」
 「いるわけないだろう」
 「だろうな・・・」
 「こいつは、帝国の武器庫にほっぽり出されてたもんだよ、何でも、昔の兵器開発者が試験的に作ったんだと」
 「で、結果は?」
 「こんなもん作るぐらいなら、ちょっとパーツを足してクロスボウ六丁作った方がいいって結論らしい」
 「そうだろうな・・・」
 「そういえば、私のボードも村の倉庫の中で使われずに残ってたのを私がもらったの!私の声にディスク台になった時はびっくりしちゃった」
 「それは俺でもびっくりするな・・・」
 「で、ジンガのは?」
 「俺か?内緒」
 「ええ!?話してよ」
 「話す義理なんてねぇよ、気が向いたら話してやる」
 「ええ!ケチ!!」
 「ケチで結構」
 「・・・皆、数素武具といろんな出会い方をしてるんだね?メイダは?」
 と、右側を歩くメイダにそちらを見て質問するも、メイダは驚いたように眼を一瞬見開き
 「わ・・・私・・・?」なぜか気まずそうに斜め上に目を逸らす「その・・・親からもらった・・・かな?」
 「親?メイダの両親て・・・」
 「あ、あはは・・・」
 メイダの辛そうな空笑い、
 何か嫌なこと思い出させちゃったかな・・・?
 「ああごめん・・・そうだ!俺はね、村の時計を入れてた石板が急に壊れてねその中に・・・」
 メイダがその話題に乗っかるように空笑いのままこちらを見る
 「へぇ、そうなんだ・・・」
 気・・・紛れたかな・・・
 「おい!そろそろ見えてきたぞ」
 ジンガさんに言われて正面に向き直る俺達、
 丘の向こうに見えてきたのは見違えるほど大きな町・・・
 赤いレンガに覆われた塀は妙に黒く煤けており、
 内部の家々はは頑丈そうなレンガ造りながらそここに壁から出て地上に向け曲がった鉄パイプで地上とつながり
 極めつけは鉄骨がそこかしこに出た白褐色の巨大な城だった・・・
 そういえば・・・
 「帝国は製鉄技術に優れてるんだったっけ・・・」
 「もっとも、あの城はやり過ぎ感あるがな・・・」
 「誰が設計したの?」
 「何代か前の皇帝陛下だ、当時、建設に凝っていて誰も反対できなかったらしい」
 全員が白を見る中でジンガさんの話よりリリサの質問にアルフィエラスさんが応える
 「帝国勤めも大変だな・・・」
 「だな、ほら、行くぞ」
 アルフィエラスさんを先頭に僕たちは
 進んでいく・・・                SE:ワールドマップから移動
 簡素な服で上下をまとめた行く人々の顔は煤け、ただただ  BGM:重厚なる帝都
 重い顔を下げ歩くばかり・・・           SE:絶望に歩み続ける足音
 「やっぱり、戦争の話が影を落としてるのかな・・・?」
 「だろうな・・・っと、今回はここを拠点とする」
 たどり着いたのは裏路地の何の変哲もない、
 って、上の扉左上の鎖で繋いだ垂れ看板にボトルとグラスの絵が描かれてるけど
 「失礼するぞ」                   SE:鈴付き扉を開ける音
 アルフィリアさんが扉を開け入ると、中から話し声が
 「昔はこの店に皇帝陛下もお飲みにいらっしゃってたもんだ」
 「へぇ、こんな店にな」
 「あ、いらっしゃい・・・って、シスター?」
 右手のカウンターの奥に立っている腹が出て頭の禿げたおっさんが驚いている
 が、すぐに目を力を込め睨むようにアルフィエラスさんを見る
 「ここはあんたのような人間が来るとこじゃねぇぜ、帰んな」
 「よう、マスター、久しぶりだな」
 マスターの目がみるみる開き驚きの物へと変わった
 「あ・・・あんた、よく見たらアルフィエラスじゃないか!?」
 「な・・・なんだって!?あの特殊部隊前隊長の!?今はシスターに転職したってのか」
 マスターの反対側のカウンター付きの椅子に座る髪の立った肌白いやせこけたおっさんも驚いている
 「どこの教会にいるんだ!?」
 「それは教えられないな・・・」
 「特殊部隊って、うちの村を襲った!?」
 「ああ、その件については私も驚いたんだよ、で、マスター、今の帝都の状況はどうなってる?」
 ずっと店内を見て話している・・・
 「どうもこうも、王国との衝突で、いつ徴兵されるかってんでみんな戦々恐々でさ・・・」
 「なるほど、あいつは何してる?」
 「公務だと思うが、もう雲の上のお人だしねぇ、私らにはどうにもならんよ」
 「大丈夫だ、どうにかなる、こっちには数素武具使いが六人もいるんだ、お前ら、少し耳かせ」
 「いいが、あまり店の邪魔してくれるなよ」
 アルフィエラスさんが振り返る中でマスターの声が響く
 と、リリサがアルフィエラスさんを見上げる
 「何を教えてくれるの?」
 「数素武具使いがいかに対多戦術に長けているかを教えてやる・・・」
 「対多戦術って、それは数素開放で」
 アルフィエラスさんの目のみ動き視線が俺の方に向く
 「それだけじゃない」
 そして、俺の意見をアルフィエラスさんはこともなげに否定した
 そうして、俺たちは秘策を教わり、帝国城の前まで来ていた・・・
 重厚な鉄の扉に左右にはやはり重そうな赤い全身鎧をまとった、右手に赤い片刃の鋭き槍を立てて持つ兵士たちがいる
 そこにまるで女神か天使のような笑顔でアルフィエラスさんが近づき二人を見据え
 「すみません、皇帝陛下にお会いしたいのですが」
 「シスターごときが何の用だ、さ、帰った帰った!」
 「じゃあ、無理矢理にでも押し通るっ!!」            ドガンッ!!
 アルフィエラスさんが重い鉄の扉を蹴り開けた!?    BGM:重々厚なる帝城
 「ちょっと!?アルフィエラスさん」
 「様子を見るだけじゃないの!?」
 アルフィエラスが中に入る中で俺達も続く、
 中は白を基調とした宮殿のようになっており、先別れして天井を支える壁柱がそこここに埋め込まれており、
 天井には金色のシャンデリアがぶら下がっていた、
 中と外はえらい違いだな・・・
 「貴様!何者だ!」
 たくさんの赤い鎧を着た兵士たちが隙間なく詰め寄ってくる
 「皇帝陛下に伝えろ!アルフィエラスが、あの時の約束を果たしに来ましたってなぁ!!」
 どすの利いた声にたじろぐ兵士たち、
 だが、それも一瞬で、そろいもそろって槍を突きつけてくる!
 「貴様など、皇帝陛下にお目通しするわけが無かろう!今ここでしょっ引いてくれる!!」
 「しょうがねぇな・・・」               SE:エンカウント!!
 アルフィエラスさんがリボルバーボウガンを向け       BGM:対軍団戦
 「連鎖矢岳射」                     (レンサヤガクシャ)
 放たれた六本の矢が、
 兵士達に乱反射して確実に傷つけていく・・・          ドガガガ・・・
 どうやら、相手の数素を徐々に奪いながら矢が攻撃力を増しながら様々な敵に向かって行く数素奥義らしい
 数素秘奥義以外にもこういう使い方があったとは知らなかったが・・・
 同じ敵には向かって行かないとのことで、相手の数が少ないとてんで役に立たないとのことだ・・・
 というわけで、
 「連鎖牙走閃!!」                   (レンサガソウセン)
 たった一筋の衝撃波が敵と敵の間を結ぶように
 徐々に巨大化しながら乱反射する           ザシュザシュザシュ・・・
 「連鎖鍾乳落」                 (レンサショウニュウラク!)
 ジンガさんが宙より下に一突きすると、
 それに呼応するかのように、            ザシュ!ドゴドゴドゴ・・・
 当てた兵士の周辺の兵士の上に鍾乳石が降ってきて、それが連鎖的に続いていく・・・
 「連鎖豪爆音!!」                  (レンサゴウバクオン)
 リリサの台から発せられた音が、兵士と鎧に共鳴していき、
 その動きを止めていく・・・       キュイン!!キュイン!キュイン・・・
 「アドプリズムスター!!」
 降ってきた五つの小さな星が部屋中を飛び回り
 兵士たちを打ち倒していく・・・          ピコピコピコピコピコ・・・
 「エレクトリックショックウェーブ!」
 一人の兵士に落雷が落ち、その兵士を介して
 電気が広がり感電して動きを止めていく・・・  ガシュ!バリバリバリバリ・・・
 そうして、兵士たちが倒れていき、俺たちは先へと進む・・・
 階段を上り、大きな扉、この奥が玉座の間・・・
 「どういうつもりだ、アルフィエラス!!」
 「例え貴公といえど、返答次第では容赦しない!!」
 と、扉の左右にいる兜に登坂の付いた重厚な黒鎧に金縁ブラックカイトシールドに手元まで円錐棘が来たブラックランスを備えた重装歩兵が止めてくる
 「知り合いってこいつら?」
 「違う、左任せたぞ」
 「行けるかな?」
 アルフィエラスが右側を狙いつつ一気に近づき
 「至近距離砲」                 (ゼロキョリパワーショット)
 たった一発撃っただけで吹き飛ばし                  ドゴン!
 「握留氷槌盾!」                       バシィイン!!
 俺は握った手と氷の盾で吹き飛ばしたのだった
 「開けるぞ!」
 アルフィエラスさんが扉を蹴破る!!
 
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マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー/11

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー 11
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 「さて、ここから帝都だな・・・          SE:ワールドマップへ移動
  かなり距離があるから、              BGM:ワールドマップ1
  村や町によって休みながら行こう」
 「アルフィエラスさんって、どうして帝都に行こうとしてるの?」
 茶の髪のシスターやアルフィエラスさんに似た年下のシスターや老婆のシスターや黒髪のシスター等のシスターたちに見送られて山を下り、中央に道がある少し狭めの平原に出たところで話し出したアルフィエラスさんに何気なく質問をぶつけてみた
 「古い知り合いが帝都にいる、そいつに話せば争いは止まるかもしれない、それだけだ」
 と、アルフィエラスは視線も向けずに返してきた
 「ふーん、そうなんだ・・」
 そんなこんなで前に村が見えてくる・・・
 「ねぇねぇ!あと少しで日の入りだしさ!あの村で休まない!?」
 リリサが突如村に右人差し指で村を指し示しながら口を大きく開けた笑顔で楽しそうで提案してくる!
 俺は戸惑いつつも
 「俺はいいけど、皆は?」
 「私はいいよ」
 「僕も」
 「構わないと思うが、アルフィエラス、おたくは?」
 「時間もちょうどいいし、私もあの村で休もうと思っていた」
 「決まり!ほらほら、いこいこ!」          シャアア、シャアア・・・
 リリサが急いでボードで滑っていく・・・
 ずいぶんと楽しそうだけど、
 いったいどうしたんだろう・・・?        SE:ワールドマップから移動
 そこは少し乾燥した土壁で四角く家が作られ、
 藁ぶきの三角屋根が乗った家々の村、             BGM:普通の村
 濃い日焼けをした人たちがいる小さな村だ・・・どこかリリサに似てる人達だ・・・
 「お~っすみんな!帰ってきたよ~!!」             SE:気付き
 と、突如リリサが右手を挙げて皆にあいさつしだす
 それを聞いて村人たちもこちらを見て
 「リリサだ!」
 「本当だ!リリサだ!!」
 と寄ってくる!
 すると、その中で太って頭の上に髪をまとめたおばさんがリリサを見据え
 「大丈夫だったかい!?帰ってくるって連絡を受けた後、帝国軍が国境を閉鎖したんで心配してたんだ・・・」
 と、リリサが目線を斜め上に逸らし
 「ま~ちょっとした裏技をね・・・」
 「で、後ろの人達は・・・?」リリサが目線を戻す
 「色々あって、一緒に旅をしてるんだ!そうだお母さん!」
 このおばさん、リリサのお母さんだったのか・・・
 「皆も一緒にご飯食べて止まってっていい?」
 「ああ!もちろんだよ!!これからじゃあ、買い物に付き合ってくれるかい!」
 「はぁい!あ、その前に家の場所教えてくるね!!」
 「いいのかな?」
 「ま、いいんじゃねぇか・・・?」
 そうして、リリサに家に案内された後、道具屋で換金している間に、料理ができていた・・・
 四角い部屋、左手の方にはキッチンが存在しており、背後には出入り口のドアがある、
 二階建てのようで、右手には木製の階段があった、
 「いやいや、リリサがこんなにたくさんのお友達を連れてくるとは・・・」
 そう言ったのは、机の右手奥のイスに座る、ひげを蓄えた男性、おそらく、リリサの父親だろう
 「いえいえ、クロノス神のお導きですわ」
 そう言って、両手を合わせて清楚に祈りをささげるアルフィエラス
 こうしてみるとボウガン持って撃ちまくっていたのがウソのように思える
 「普通は幼い娘がこんなバラエティ豊かなメンツ連れてきたら心配だと思うんですがね・・・」
 「いやいや、前に村でコンサートした時のメンツに比べれば」
 ジンガさんの意見にジンガさんを見てさらりと返す男性
 どんだけひどかったんだよ・・・その人たち・・・
 机に並ぶのは、緑の菜っ葉にチキンを焼いたものを四角く切って乗せたものに、足つきチキンに、焼いたチキンをパンに挟んだもの・・・
 「この村は鶏肉が名産でねぇ」
 「それはよくわかりました」
 「そういえば、お父さん、帝国軍の方から何か来てた?」
 おじさんが椅子に座るリリサの方を見る
 「いいや、まだだよ、だが、いつ来るか・・・」
 「どういうこと?」
 メイダさんの質問におばさんがメイダさんの方を見て
 「帝国領は戦争が始まったら徴兵が来るからねぇ・・・王国軍と衝突したって噂を聞いて、お父さんもまだ徴兵される年齢だから・・・」
 そうなのか・・・リリサも心配だっただろうに・・・これは・・・止められるなら早く止めないと・・・
 アルフィエラスさんも顔がこわばっている・・・
 「他に何か変なことは?」
 「ああ、最近体が痛くって、あ、いてて・・・年かねぇ・・・」
 「私もですよ、そういえば、向かいの奥さんも・・・村の人達みんな・・・」
 おじさんおばさん共に腰や肩に手を当て本当に痛そうだ・・・
 「そんなに共通の症状が出てるなら、もしかしたら、流行り病かもしれないですね・・・」
 アルフィエラスさんの推測に、おばさんがこともなげに見る
 「そうなのかい?今度お医者さんに見てもらおうかねぇ」
 「ま、死者が出てないなら、流行り病と言ってもすぐに過ぎ去るじゃろう、心配せずとも大丈夫」
 おじさんの意見におばさんもそちらを見て
 「そうかもしれませんねぇ・・・」
 と、返した・・・                      BGM:夜と鳥声
 そして、夜になり、俺たちは眠る、
 もっとも、俺たちはリビングで雑魚寝だけど・・・
 ・・・ん?
 階段から気配がする・・・?
 階段から人が下りてくる・・・あれは、リリサのお母さん?
 なんだろ、手洗いかな・・・
 が、それは外に出ていった・・・
 一体どうして・・・?
 それを追うようにリリサのお父さんも階段を降り外に出ていく・・・
 さすがにおかしいと感じ外を見ると、たくさんの人々がどこかに向かっていた!
 思わず室内に向かって叫ぶ!
 「皆起きて!」
 「何?」
 「何だよもう」
 「ふぁああ・・・」
 「朝・・・では無いようね・・・」
 「村の様子がおかしい!メイダさん、リリサを起こしてきて!」
 「え・・・あ・・・うん!」
 メイダさんがリリサの部屋がある上に駆ける間に、他のメンバーは外を見る
 「確かに」
 「おかしいな・・・」
 「どうなってるんだ・・・?」
 ジンガさん、マユーカ、アルフィエラスさんがそれぞれ感想を述べる間にも、メイダがリリサを連れて降りてきた
 そして、リリサが外を見る
 リリサの表情が見る見るうちに目を見開く驚きのものに変わっていく・・・
 「えええ!?みんなどこに行くの!?」
 リリサにも心当たりがない・・・
 「皆、追ってみよう!」
 そうして追っていくと、村の裏手にある森に人々が入っていく・・・
 そこで森の奥まで追い
 「ふふふ・・・労働に体を痛め、苦しむのよ、ふふふ・・・」
 前から不思議な笑い声がする・・・
 先にいたのは宙に座るフリルがいっぱいついた黒いドレスのような上半身とロングスカートに身を包んだ青白い肌に、
 ドリルのようなツインテールを持つ不気味な少女、ツインテールの根元にも白いフリル付きの黒いリボンをつけ、肩に黒いフリル付きの傘などをさして担いでいる、
 「あら?お客さんかしら?」
 その正面を見て俺は驚愕した、
 なんと、顔の右半分が陶器の様な人形・・・いや、眼帯を付けた右半身全体が人形のようになっている!?
 「あらあらとんだ邪魔が入ったわ・・・そうだ!あなたたちにも手伝ってもらいましょう!!」
 「お前が村の人達を操っているんだな!」
 「操る?うふふ・・・」横に俯く不気味な笑い、が、すぐにこちらに目線を向け「私はただ、眠るという無意味な時間を提供してもらって、代わりに労働という苦しみを与えているだけよ」
 「だけど、その苦しみのせいで体を痛めてるんだ!眠るのは無意味な時間なんかじゃない!!」
 「うるさいなぁ・・・」今度は見下ろすような鬱陶し気な目線、しかし、それは何かに気が付いたようにすぐに俺達を見る「あら?あなたたち、例の時計の一団かしら?」
 「時計の一団て・・・見ればわかるでしょ?」
 メイダさんの呆れたような声・・・
 「うふふふ・・・」また俯くような笑い、すぐに目線だけ俺達を向き「それなら、糸が効かないのも納得だわ、あれは数素武具を持つ者には効かないもの、それに、あなたたちを倒して鍵を奪えばいいだけの話ね・・・」
 鍵!?数素武具じゃなく!?
 「これは僕の勘だけど・・・まさかお前・・・コウ達の仲間!?」
 「だから何?
  さぁ、あなたたちを倒して鍵を奪いましょう!」 BGM:私の名前はエーラーン
 女性が黒い影に覆われたと思ったら地に潜り、三つの影となって飛び出し、その姿を再び現した!?
 「な・・・三つ子!?」
 「普通に考えて分身だろう・・・」
 「どれが本物!?」
 「わかるかっ!!」
 と、ジンガさんと言い合っている間にも女性が前、中、後と別れた、
 前は傘を閉じて剣のように構え、中程はまるで傘でボウガンのようにこちらを狙い、後ろでは目を閉じ集中して何事かを詠唱している・・・
 「普通に考えれば・・・!」              貴き深淵よ・・・その輝
 一気に駆けだして前が傘を横ぶりに降ってくるのを跳躍で避け、 輝きの星よ・・・
 中程から撃たれる数素の塊を盾で防ぎつつ、素通りし、一気に後ろに迫り、剣で叩き切る
 「おし!」
 が、叩き切られたはずの後ろの奴より斬られた部分から紫の光が漏れ、爆発!
 「ぐっ!?」
 爆発をもろに喰らって転がる・・・
 くそ!偽物か!?でもこれで一体減・・・      今こそ我が意思に従い・・・
 と思ったら、先程のように地面に潜り、再び三体と化す!?
 ぶん殴ってくる後衛を何とか盾で防ぎ、                 瞬け!
 「スターシャイン!」    キラキラキラ・・・ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!
 俺の前の後衛が星により吹っ飛びつつ爆発!              
 何とかその爆発を盾で防ぎ          貴き深淵よ・・・その輝きを喰らい
 「地裂斬!」                           ドガシュ!
 ジンガさんが前衛の奴を無理やり斬り裂いた!! すべてのものをくらませよ・・・
 「闇よ・・・ダークビュアー・・・」
 突如、あたり一面を闇が覆う!?
 「な・・・なんだこれ?!がはっ!」
 唐突に、傘で腹を殴られた感じが・・・!?
 「傘昏突」                         (サンコントツ)
 腹を突かれて一気に吹っ飛ぶ!?
 「傘惨撒散弾」                   (サンサンサンサンダン)
 体中を細かい礫のようなものが襲う!
 「がぁああ!!」
 いつの間にか闇が晴れる・・・
 皆も倒れどこか傷ついている・・・
 くそ・・・こいつ・・・強い!
 何とか上半身を上げようとする中でも傘を突きつけてくる・・・
 「もう終わり・・・?なら・・・本当に終わらせてあげる・・・」
 「リリサ!フルパワーで音!!」
 「了解!」
 俺の声と共に敵少女三人の中央点にリリサが入り込み、一気に音を出す!
 「爆発権藩音!」                  (バクハツゴンパンオン)
 いきなりの台からの大きな音で女性の気が紛れる!     ズィイイイイイイ!!
 「小賢しい・・・」
 少女がリリサの方を向く
 少女のさっきの終了宣言、そのまま行かせてたら間違いなく数素奥義の雰囲気だった・・・
 リリサも俺の意図を察して対応してくれた!
 「ジンガさん!アルフィエラスさん!敵の前衛と中衛をお願いします!」
 「あいよ」
 「仕方無い・・・」
 「リリサは俺とジンガさんとアルフィエラスさんの間で苦戦してそうなのを遊撃!メイダとマユーカはできる限り複数巻き込んでの呪文!」
 「任せて!」
 「わかった」
 「オッケィ!」
 「牙走閃!!」                            ザシュ
 一番遠い前衛の少女に衝撃波がたどり着く間に
 俺は後衛の少女に迫り後ろを取り剣を振り上げ振り下ろす!        ガッ!
 剣を後ろに出した傘で受け止められた!?           輝きの星よ・・・
 「小賢しい・・・小賢しい・・・小賢しい・・・」      水よ・・・空より集
 「悪いね、負けられないんだ!握留氷槌盾!」          バシィイン!!
 剣を持ったままの手で傘を握り、氷の盾で中衛の方に弾き飛ばす!
 「地裂罰列斬!!」  ザザシュ!ガシュガシュガシュガシュザザシュザザシュッ!
 さすがに、ジンガさんが相手する前衛も             今こそ我が意思
 浮いた地からの剣劇は止められずに後ろに下がり中衛に近づく!   まり降り注ぎ
 「止まってろ、順次六閃」                (ジュンジロクセン)
 長いスパンで放たれる矢が  ガシュ、ガシュ、ガシュ、ガシュ、ガシュ、ガシュ、
 動き出そうとする中衛を次の瞬間縫い留め確実に足止めする  
 そうして、三人が一か所に集まる!             に従い・・・瞬け!
 「今!」                          我らの敵を潰せ!
 「スターシャイン!」    キラキラキラ・・・ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!
 「ウォータープレス!」               ダァン!ダァン!ダァン!
 星と水が一気に叩きこまれ、二体が壊れて爆発し、ただ一人だけが残される!
 「小賢しい・・・小賢しい・・・小賢しい・・・小賢しい・・・!小賢しいっ!!」
 今までにない歯を食いしばった怨嗟の表情
 来る!
 俺達は咄嗟に防御姿勢を取った
 と、影に潜り俺達を取り囲むように九人に分身!?
 そのまま三人が
 でたらめに駆け巡りながらすれ違いざまに俺達を叩き、     ドダダダダ・・・
 三人がまたも弾を狙い定まらずにばらまき、   ドジャダドダジャドジャダ・・・
 残り三人が詠唱しつつ詠唱を完了する!
 「これぞ秘奥義、ダークエクスプロージョン」
 上から来たりた闇の塊三つが地上に着弾!
 黒い爆発を起こす!                  ズドォオオオオン・・・
 が、戻ったのは三体元の同じ位置に固まっている、
 どうやら、九体出すのは数素開放の時が限界らしい、それなら・・・!
 「まだ終わらないっ!」
 俺は数素を開放し、剣を盾に戻して盾を展開、
 盾の端々の鉄の棒より、様々な獣の影が三体にとびかかっていく!
 狼、兎、狐、豹、鼠等
 々々         ガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュ
 そして、大剣の鉄の棒が二つの方向に集まりくの字のようになり、
 短い方の一方を手に取って長い方を敵に向ける
 「喰らえ・・・百獣王豪咆!!」         (ヒャクジュウゴウオウホウ)
 俺が引き金を引くように指を動かすと、大きな咆哮と共に獅子の顔の幻影が一気に三体を貫通し全て吹っ飛ばした・・・!
 「っつ・・・」
 右膝付き戻った時には少女一人だった・・・
 「さて、話して・・・」
 女性が何か投げると、あたりが黒い煙に染まる!        SE:戦闘勝利!
 ・・・っつ・・・                          リザルト
 ・・・晴れたときには女性はそこにはいなかった・・・      1500EXP
 ・・・逃げられた・・・                    レベルアップ!
 「何とかなったな・・・」                    仮0ゴールド
 「まったくだ」
 と、いつの間にかジンガさんとアルフィエラスさんが後ろに・・・
 なぜかその面持ちは神妙かつ思ってる感じすらする
 思わず後ろに振り返りつつごまかし含めて右手を頭の後ろなどに持っていきできる限り気楽に
 「いやー、強敵だったね」
 「アホか」
 「まったくだ」
 う・・・
 「そもそも、お前が前に飛び出さなかったらもっと楽に勝ててたんだ!」
 「誰が本体かもわからないのに、独断で飛び出すとは、どういう了見だ!」
 「う・・・ごめんなさい・・・」
 半分うなだれかげんで頭を下げる俺
 「ま、まぁ、クルーダも反省してるみたいだし」
 右後ろから聞こえたメイダさんの声に思わずそちらを見て
 「メ・・・メイダ・・・」
 「まぁいい、結果的には勝てたことだし・・・」
 「次からは注意するように」
 二人の厳しい声にそちらに向か直り
 「は・・・はい・・・」
 とまたもうなだれ
 「ちゃんと反省しろよ!!」
 「ちゃんと反省しろよ!!」
 「は~い!!」
 と、少しうんざりしつつも返事を返したのだった・・・
 「あれ・・・?」
 「ここは・・・?」
 と、周りの人たちが目覚めだす・・・
 「リリサ!街の人達をとりあえず街に、今日はとりあえず戻って寝ましょう、考えるのは明日にしようとか言って」
 「了解!」
 右手を額に持ってきて敬礼したリリサが町の人達の方に行く
 「お母さん!お父さん!いきなり家出ていくから心配したよ!とりあえず今日は家に帰ろ、原因は明日考えようよ!」
 町の人達はリリサの方を見つつも口を半開きにした戸惑い顔
 「そ・・・そうだねぇ・・・」
 「そうだな、今日は・・・死ぬほど眠い、考えてはいられない・・・」
 皆があくびをして街に戻っていく・・・さて・・・
 俺は周りを見渡し、口を開く
 「この辺りに鍵があるのか・・・」
 時計にちょいと力を込めると、森の奥を指し示す・・・
 あっちか・・・
 街の人達が使っていたスコップをいくつか持って時計の指し示す先に行き、
 時計が地を指すその場所でその場所でスコップで堀る、すると、2の形をした鍵が出てきた・・・
 ・・・                         2の鍵を入手しました
 「お母さん!お父さん!行ってきます!」
 リリサが村の出入り口で見送りに来た両親に右手を上げ降る
 「いってらっしゃい!」
 「ああ、いっといで、村の昨日の事件は、何とか村のみんなで調べて見るよ」
 「お父さん、調子はどう?」
 リリサのお父さんは得意げに左手を当てた右肩から右ひじを大きく回し
 「ああ、昨日あんなとこにいたとは思えないほど調子がいい、リリサが返ってきてくれたおかげだな!」
 ははは・・・と家族で笑い合っている・・・
 それを俺達は少し遠くから見て・・・
 俺は口を開いた
 「にしても、このまま連れまわしていいんでしょうか?」
 「それは俺たちが決めることじゃない、少なくとも、彼女のおかげで俺たちは助かってる、昨日だって、危ないところを助けてもらっただろ?」
 「そうですけどね・・・」
 ジンガさんもリリサを見ながらそう答え、
 と、リリサが振り返ってこっちに向かって来て立ち止まる
 「みんな!お待たせ!さぁ、行こう!!」
 「ねぇ、リリサは俺達についてきて本当にいいの?」
 「何をいまさら・・・」
 「でも、今まで以上に命懸けだよ?お尋ね者になるかもしれない、メイダだって・・・」
 と、メイダの方に顔を向ける
 もっとも、メイダはいつもの調子で
 「私はあなた達の行き先に鍵があるだろうからへーき」
 「それは・・・」
 「私はね・・・」
 リリサ・・・
 いきなり出した声に顔を向ける俺達
 リリサの俺達を見上げる顔には、顔に無理なく力が入り、幼いながらも決意に満ち溢れていた
 「仲間のみんなが困っているなら助けたい、それに、戦争が始まったら音楽を楽しめる人もいなくなっちゃう!・・・じゃ、」問いかけるように困ったように目と目の周辺の力が抜け顔を少し傾けるリリサ「ダメ?」
 ・・・当人がそういうなら・・・
 「いいよ、それで」
 「私も、それでいいと思うわ」
 「僕も!」
 「立派な心掛けだ」
 「ああ、仲間と音楽を愛しているんだな・・・」
 「皆・・・うん!」
 リリサの大きなうなずきからの笑顔が、まぶしく見えた・・・
                          SE:ワールドマップへ移動
 
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