バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

水晶の島のデモの末路 ダブモン!!9話/26

水晶の島のデモの末路 ダブモン!!9話26
 
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 「ぐっ・・・くそう!!」
 俺はしりもちをつく事務次官に勇ましく宣言する!!
 「さぁ、これで観念してもらおうか・・・」
 「誰がするか、そんなも・・・」
 「次官閣下!お怪我はありませんか!!」
 「おお!ようやく来たか!!」
 と、事務次官の後ろの左右の階段の裏より兵士たちが溢れてくる!?
 とっさにこちらに下がるカンテーラ、
 立ち上がる事務次官の左口端が不気味に上がった
 「どうやら、状況は逆転したようだ・・・さぁ、降伏しろ!!」
 カンテーラが横目より向こうを警戒しながらこちらを見る
 「どうすんだ?この姿なら、後ろの扉も斬り裂けるだろうし、兵士たちを蹴散らすこともできる・・・」
 そうだな・・・俺としては安全策を取りたいから・・・
 ガシャン!ビュォオオオオ!!
 いきなり上の右方にある明り取りの窓が割れ、こちらに強風が雪崩込んでい来る!?
 「な・・・なんだっ!?」
 皆が踏ん張り、両腕で顔を抑え・・・その中で、上から何かが皆を見下ろしながら降りてくる・・・
 あれは・・・きっちりとしたスーツ姿にパイロット帽をかぶった鷲・・・
 まさか・・・イーグット?!
 「私自身の気配を感じて来てみれば・・・なんなんだこの状況は・・・」
 「まさか・・・本物だというのか!?」
 事務次官の人が目を見開き驚いている・・・
 「ん?」
 が、イーグットと言えば、何かの気配を察したように俺の方を向く
 「おお!麗しの我が女神よ!!」
 女神・・・!
 俺が後ろをほんの少し見る間にも、こちらの方にイーグットが飛んできて、
 片羽を体の前に持ってきて慇懃無礼にも礼をする
 「お久しぶりです、女神様、お元気そうで何よりです」
 「ひさしぶりねぇ、イーグット」
 女神の方も古い友人に会ったかのように、というか、実際に古い友人的な存在なのだろうが、返事をする
 「見える・・・のか?」
 カンテーラが不意につぶやく
 「ん?ああ、見えるぞ、そうか、まわりの人間達には今、見えていないのか・・・」
 さすがに伝説のダブモン、女神のこの幻影が見えるようである
 「おい!何を話している!!なんでそんなガキどもに礼をしているんだ!!」
 事務次官が疑問の声をさしはさむ、しかし、まわりの兵士は警戒してか、一向にこちらをにらむだけで動こうとはしない・・・
 「姿見せてあげた方がいいんじゃねぇ?」
 「厄介なことになりそうなので差し控えてもらった方がいいと思うが、さて、私はカードを回収しなければな」
 すると、イーグットは目にもとまらぬ速さで、いつの間にか、デッキケースに回収される直前のイーグット自身のカード二枚をその足で掴み、事務次官に見せる、
 「このカードは返してもらうよ、あなたに渡した物ではないはずだ、それに、このカードを渡したのは外大陸だったはず、これをどこで手に入れたんだ?」
 力を込めた恨み目でイーグットをにらむ事務次官・・・
 「それを話す義務はあるのか?」
 「無いが・・・ま、話したくないならそれでもいい・・・もし取り返したいなら、私を探して辿り着くことだ、もっとも、私は世界中を飛び回っているがね、さて・・・」
 カードを羽に隠しながらも俺達の方に戻ってきた・・・
 「君達、何か望みはあるかな?せっかく私のカードに勝ったのだ、その名誉をたたえてね」
 「どうするんだ?相棒・・・お前に任せるぜ?」
 「そうだな・・・あんたが出来る範囲でって事だろ?」
 「当然だ、出来ないことをなぜ出来ると思うんだい?というか、なぜそんなことを訊いてくるんだい?」
 「この間さ、別の伝説のダブモンにあったんだよ、トリプティオっていう・・・」
 「ああ、彼が言っていたのは君たちの事か!だが、女の子だと聞いていたぞ?その場にいた別の子供かい?」
 「まぁな、立ち会ったっていうのが正しい、俺が戦ったわけでも願いをかなえてもらったわけでもないからな・・・」
 「なるほど、しかし、君たちは幸運だぞ!一生のうちに伝説のダブモン二体に出会えたんだからな、はっはっはっ!」
 「とてもそうとは思えない・・・」
 カンテーラのこぼした一言に、イーグットは咳払いで場を直し
 「さて、君は何をのぞむのかな?トリプティオは山を作ったそうだが?私は?」
 そう・・・だな・・・
 「何もしないでほしい」
 「何も?なぜだ?」
 「この国の行く末は、この国の人やダブモン達が決めるべきなんじゃないか?だから、何もせずに見守っていてほしい」
 「なるほど、確かにその通りだ・・・」
 「あ、でも、後ろの扉の鍵は外してほしいかな・・・」
 「了解した、それぐらいならいいだろう」
 「させん!!」
 ガキン!!
 いきなり鳴り響いた金属音は、イーグットの頭の後ろから、
 そこでは矢の落ちるのが見え、その先には、弓を構えた事務次官が・・・
 「何か当たったかな・・・?」
 そう言って、イーグットは振り返る・・・
 「はん!何が伝説のダブモンだ!私のカードを盗みおってからに!これは正当防衛だ!!」
 「盗んだ?単に返してもらっただけだが・・・」
 「なんとでもいうがいい!!」
 「上のやつらはいつもそうだな、自分達で火種を撒いてやらせるのはいつも兵士や国民だ!!」
 俺の言葉にも、イーグットは女神に振り返り・・・
 「女神よ、貴女の臣下である人々を傷つけてしまうことに許しを・・・」
 「何が女神だ!!どうせ偽物だろう!!」
 「偽物・・・!」
 途端に、イーグットも目つきが変わり一瞬のみ事務次官たちを横目で見る・・・!
 「見えないがために言いたい放題だな・・・致し方ない・・・」
 そして、視線が女神に戻り
 「女神よ、その姿を彼らに・・・」
 「・・・しょうがないですね・・・」
 「め・・・女神様だ!!」
 途端に兵士たちの目が驚きに見開かれ、中には頭を地に付けて伏すものまで現れる・・・
 「何を驚いておるか!!偽物だ!!」
 「兵士たちよ!!」
 事務次官の声を遮る様にイーグットが振り返りながら雄々しく話し出す
 「今この時より我らに逆らうのであれば、女神の加護はなくなり、その一生は死後も含め暗きものとなるだろう、しかし、今この時より降参するか、ここより退散するのであれば、女神の加護も復活し、穏やかな日々を送れるであろう!!」
 ざわざわと、兵士たちが顔を見合わせ、ざわめき出す・・・
 「何を戸惑っておるか!!偽物の女神とその使いの言葉に惑わされる必要など無い!!」
 事務次官のその言葉に、兵士たちは惑いながらもこちらの方を向く・・・
 「では、済まないが少年よ、ちょいと仕置きを行わさせてもらおう、もっとも、これは手を出すのではない、神罰を下すのだ」
 イーグットが空気椅子に座るようにリラックスした姿勢になると、うっとおしそうに右羽を払う、
 途端に事務次官含む兵士たちが向こうに吹っ飛び壁に叩きつけられた!?
 あれ、誰か死んでないだろうな・・・?
 続けて、その羽を握る様に動かすと、全ての兵士が一か所に圧縮する、
 離すと弾けて飛ばされ、振り上げると上に飛び、床にゆっくり下ろすと、連動して叩きつけられた、
 が・・・は・・・
 誰かの声が聞こえ、イーグットが元の姿勢に戻ると、そこには、動かなくなった一塊が・・・
 「ふむ・・・手加減はしたつもりなのだがね・・・」
 えげつねえ・・・
 「それじゃ、私はそろそろ行くとするかね、ああ、そうだ、」
 イーグットはそう言いながら俺たちの方に振り替えり
 「もう少しだけ見守っているからね、何かあったら呼ぶと言い、それでは女神様、これで」
 またも片翼を前に持ってきて深々とお辞儀する・・・
 「ええ、またね」
 「はい、それでは・・・」
 そうして、颯爽と空を飛んで入ってきた明り取りの窓から去って行った・・・
 「・・・」
 「・・・」
 それを呆気にとられ見守る俺とカンテーラ
 ドンドン!!
 「大丈夫かー!今開けるからなーっ!!」
 背後の扉を叩く音と神父の声!?
 次の瞬間、扉が開け放たれ、なだれ込んでくる人々、
 良星!!
 兎白、鼓動、四葉三人の声が唱和し、俺の元に駆け込んでくる!
 「みんな!」
 「心配したんだぜ、ここに閉じ込められてるって聞いてさぁ・・・」
 「大丈夫だった!?デモ隊の皆が体当たりして扉を開けてくれたんだよ!!」
 「ま、私は心配なんてしてないけどね、カンテーラも一緒だし、・・・女神様も一緒だったみたいだし・・・」
 最後の方は小声で言う四葉と、心配してくれた兎白と鼓動・・・
 「これは・・・どうなっているんだ?君達がやったのか?」
 そして、俺に目が行く前にこの状況が目に入った神父・・・
 「まぁ、そういうことにしといてくれ、な、カンテーラ」
 「ああ、とりあえずはな、兵士たちが色々証言すると思うが、建て前的には俺達がやったことにしておいてくれ」
 「ふむ・・・まぁ、出来る限りそういうことにしておこう・・・」
 誰が指示を出すでもなく、縛り上げられていく事務次官と兵士達・・・
 そうして、場が落ち着いてきた頃、そいつらは姿を現した・・・
 前に会ったダグザとかいう異端審問官と騎士のねーちゃん、それにアントイワンの3者だ、
 「あんたら、なんでここにいるんだよ!?」
 「ま、色々あってな・・・」
 「というか、レファンはどこ行ったんだ?ウィルピー、お前達と一緒だったはずだが?」
 「あれ?いつの間にかいなくなってるですね・・・」
 ウィルピーが左右を見渡し
 「んなガキの事はどうだっていいんだよ!」
 そんな俺達の疑問をダグザのおっさんが一蹴、
 「おい!兵士たちの様子はどうだ?」
 神父の言葉に、地味な貫頭衣を着たデモ隊の男がこちらまで近寄り真面目そうに話し出す
 「はい神父様、今だに意識を失っているもの多数ですが、女神様が、女神様が・・・と発狂するものも・・・」
 「きっと、良心の呵責にさいなまれ、気が狂ってしまったに違いない、後で教会の方に来て、もう一度、女神と善意と正義に忠誠を誓い、祈りをささげるように言いなさい」
 「はい、そうしておきます」
 「ここの担当神父はお前か?」
 と、今度はダグザのおっさんが少し上から目線で神父に話しかけ、だ、神父もダグザのおっさんの方を見て
 「正確には西の方の国境の街の神父ですが、あなたは・・・」
 「異端審問官のダグザだ、この度は教皇庁より密命を帯びてこの国で潜入調査をしていた」
 「異端審問官?しかし・・・」
 神父の信じられないという顔・・・
 「身の証を立てよう」
 そう言って見せた開いた木のロザリオの中の銀のロザリオに神父は少し目を見開き驚きながらも素直に頭を下げる
 「し、失礼いたしました」
 「気にしなくてもいい、身分を隠すのも仕事の一つなんでな、で、そこの事務次官か」
 と横目で事務次官を見るおっさんに対し女性の騎士が敬礼しつつ
 「情報収集の通りなら、あの事務次官で間違いないそうです」
 報告する、
 「よし、わかった、」
 そう言って、ダグザのおっさんは女性騎士とアントイワンを伴って事務次官に近づき
 「おい!」
 ダグザのおっさんの一喝に、事務次官が目を覚ます、
 「なんだ!貴様は!!」
 ちなみに、事務次官は縛られ、ダグザのおっさんを見上げる格好になっている
 「俺か?俺は異端審問官のダグザだ、お前に訊きたいことがあるのでな」
 「異端審問官!?そうか、これは教皇庁の陰謀だったのだな!?」
 「違う」
 ダグザのおっさんがこともなげに否定した
 「なんだと?」
 事務次官は一瞬顔が疑問に緩んだようになったが、すぐに力を込めた警戒感こもった顔に戻り
 「ならばなぜ教皇庁が動いた!?」
 「・・・嘆願書を受け取ったからだ」
 「・・・嘆願書・・・だと・・・?」
 「そうだ、一万人分のこの国の民の署名の入った嘆願書だ」
 「なぜ、そんなもので・・・」
 「そんなもの・・・ま、」
 ダグザのおっさんは両手を両肩の前で外側に広げてすくめてみせ
 「お前さんならそう思うだろうがな、テロリストの一味さん」
 「テ・・・テロリストだと!?」
 心底心外であるという風に顔にしわを刻む事務次官、が、ダグザのおっさんはそのまま続けた
 「そりゃそうだろ、不法行為を行って国の権力者の座に居座って民の支持も無けりゃりゃ、それはテロリストだ、それに、ここの嘆願書には不審死が大量にあるため教皇庁の人達も気を付けてほしいという言葉が実例付きで乗っているのだが、真面目な人間や真っ当な主張をする人間を病死や自殺に見せかけて殺し、変死だと主張して捜査もしない、これに関しては?」
 「私は誰も殺していない!」
 「つまり、お前以外の人は殺人を犯しているという事だな?おまえらは何人殺して来たんだ?政治闘争という名を借りた権力者の横暴で、」
 「はん、民の支持ならあるぞ!」
 「お前らにはないだろ・・・」
 「今の政権にはある!!」
 「あー・・・あー・・・そのことなんだが・・・ほい!」
 「ほい!」
 「・・・」
 ダグザのおっさん、女性騎士、アントイワンが服や背中の箱より出してきたそれぞれ大きさの違う紙束に、
 事務次官の目がこれ以上ない位に広がり、瞳孔が縮小し、冷や汗が滝のように流れる
 「な・・・」
 「俺が見つけたのは、前回の選挙が行われた後の再開票に関する裁判の資料だ、これによると、担当した裁判官は現政権と行政側との裏取引によってことごとく再開票を理由も無く却下したとのこと、ほい次」
 「法案院と法決院の議員の一部と裏取引、及びその他の議員を騙して選挙が不正しやすいように整備を進めましたね、裏取引による議員の資料と証拠が残っていました、他にも、警察や裁判所の許可が無いと再開票ができないように法令を出させていましたね」
 「そして、アントイワンが持ってきたのは、その選挙と今回の選挙で捨てられた票、それに加え、不正選挙で使った虫系ダブモンの証言もアントイワンは取れたと言ってる、だよな?」
 アントイワンが首を大きく縦に振る
 「意志疎通のしづらい虫系のダブモンを使ったのだろうが、教皇庁はその手の奴らと意思疎通を行うための人員ぐらいいるんだよ、残念だったな、テロリスト」
 「だ・・・だが、その資料が無ければ・・・」
 「馬鹿か!こいつは急いで写させた一部の写しに決まってんだろうが!アントイワンの奴も票の一部にすぎないし、オリジナルは新政府ができた時にちゃんと返すつもりだよ、もちろん、その間に移しはもう一組作っておくつもりだがな」
 「くそ・・・貴様らの介入が無ければ」
 「俺達の介入が無くたって、この国の奴らは十分やれてたさ・・・この国に入って数ヶ月、次の選挙が近いから何か起きるだろうで、内政干渉はいけないから証拠探しに奔走してようやくだよ、内政干渉はいけないことだが、これは明確に証拠が見つかったうえでのテロリスト退治だ、証拠と署名がある以上、内政干渉してんのは俺らじゃなくててめぇらなんだよ、責任転嫁してんじゃねぇ」
 「ぐ・・・くそったれ・・・」
 「それから、異端審問官様?」
 「なんだ?」
 女性の騎士が話しかける
 「この資料が・・・」
 そして、紙の一部を見せた
 「っち、あの人が見立ててた通りか、外大陸・・・」
 何だ一体、あの人・・・?
 「まったく・・・そっちの方はこの国の人たちと一緒にどうにかしなきゃならんか・・・」
 なぜかため息のような声を出し
 「後・・・」
 なぜかダグザのおっさんの顔が横側より俺たちに向く
 ん?
 「お前らにも色々話訊くんでゴタゴタが収まるまではこの国からは出られないんでそのつもりで」
 えぇ~!?
 俺ら全員が声を上げる中で、しばらくこの国にとどまり、訊き取りを敢行されることが決定するのだった・・・
 そうして、しばらくたったある日のこと、俺らは青空の下で、国境の橋の島側の方にやっと来ることができたのだった・・・
 「いえいえ、迷っちゃって・・・せっかくの良いシーンだったのに見逃してしまいましたよ・・・」
 そう言うのはレファンだ、
 もっとも、まだ取り調べを受けると言うので島の方にいるが・・・
 「じゃあな、ガキども」
 「また縁があったらね~」
 「・・・」
 とまぁ、ダグザのおっさんたちもいるのだが・・・少しめんどくさそうなダグザのおっさんに対し女性騎士などは右手を開いて気軽に振っていたりする、アントイワンの表情は読めないがよくよく考えてみたら表情筋など入っていないのだろうから表情なんて変わりようがないか・・・
 と、神父が俺達の方を見据え
 「異端審問官がいる中で行っていいのかどうかわからないが、私は・・・神父の職を辞そうかと考えている・・・」
 「どうすんだよ?」「どうするんだ?」「どうするの?」
 「ええっ!?」
 俺たちが驚く中で、神父は真剣な目を向け
 「法案院に立候補しようと思っているのだ、神父の職をしているとどうしても内政干渉だの宗教と政治の分離などと言う話になってしまうのでね、なので、落ちた時のための別の職を見つけ、立候補しようかと考えている」
 「そうなのか?頑張れよ!!」「頑張れ!」「頑張って!」
 「まぁ・・・頑張りなさい・・・」
 「うむ!」
 そう言った神父のその顔つきはどこかすがすがしいものがあった、
 ダグザのおっさんたちも苦笑いしながらも、その表情から、教皇庁側からは何の問題も無いという風なのが見て取れる
 「それじゃあ!」「それじゃあな!」「それじゃあね!」
 「それじゃ!」
 「さよならだ!」「さよなら!」「さよならだな!」
 「それではみなさん!!」
 そうやって俺達は右手を振りながら、また、振られながら見送られ、島より離れ橋を渡って行く
 「そういえばさ」
 四葉が言葉を発したのは、神父たちが見えなくなるぐらい、しばらく行った後だった
 「結局、水着、着れなかったね、いろいろあったからしょうがないけど・・・おかげで面白いものも見れたし・・・」
 まぁ、こいつが暴走したせいでもあるが・・・けど・・・
 「別に無理して着る必要性は無いだろ」
 「そう?」
 後ろから聞こえた四葉の疑問の声
 「帰ったら・・・その後で・・・ゆっくりプールなり海水浴なりに行けばいいんだからっ!!」
 「・・・えへへっ!」
 なんでそんな声上げてんだ・・・?
 うれしそうなその声に惹かれほんの少し横目で見ると、
 なぜか四葉は満面の笑みを浮かべていた、思わず四葉の方に振り返り
 「なに笑ってるんだよ!」
 「べっつにぃ~」
 にやけながら目線を斜め上にそらす四葉
 「けっ!」
 なぜだか・・・思わず負けたような気分になって目を逸らして踵を返してしまう俺
 「とっとと行くぞ!」
 「あ・・・待ってよ~」
 こうして、俺達はまた、次の国に向かって進むのだった・・・
 「・・・俺達もいるぞ・・・」
 「ですね」
 「俺もいる」
 「僕も」
 「私も」
 「俺もだ」
 「ま、今回はあいつらに花をもたせてやるとするか・・・」
 
ダブモン!!九話 水晶の島のデモの末路 おわり
 
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