バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

水晶の島のデモの末路 ダブモン!!9話/02

水晶の島のデモの末路 ダブモン!!9話02
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 中央大陸北方西側の海沿い、と位置的に言えばいうことになるのだろうか、
 てっきり、さぞ寒いのだろう、と思っていたら、そこはまるで南国のバカンス地のような様相を呈していた
 エメラルドブルーとエメラルドグリーンの青い海と真っ青に澄み切る空、コントラストを描く白い雲、不思議な、薄い白や反射によって薄い緑や黄色の光も放つ大きないくつものクリスタルが生えた砂浜と緑と土あふれる地
 中央大陸より続く、木の大橋を渡り切ったその先に、その諸島は存在していた、(なんなんだあのクリスタル?カンテーラに聴いても「何だろーなー近くに行ってみてみようか」の意見でまとまっちまったし、)
 よくよく考えてみれば、俺達の世界では赤道に近いほど熱く極地に近いほど寒いが、そうであるのであればこの中央大陸自体が灼熱の地であるはずだ、それなのに穏やかだったり寒かったりする場所がある時点で俺達の世界とは違う気候が成り立っているという事なのだろう
 兵士たちが橋を渡った後の両端で見張っているが、日に焼けた肌晒す前空け袖なしの麻の薄茶の薄上着に短い同じ色のズボン、簡易的な木と鉄の槍と気楽なもんだ
 「この辺りはバカンス地だからな、警戒させて人が来ないのも困るというわけだ」
 その地に踏み入れたころにカンテーラが話し出した、
 ついでに、木の橋の反対側は海洋国家シーゴルンであるらしい、街らしい街は見たことないが・・・
 「あぁああ~青い海、白い砂浜、一度来て見たかったのよ~!!」
 と、いきなり一同の中、左の方で目を輝かせ始めたのは氷の精霊のダブモン、フリィジアだ
 小さな氷の精霊の少女で、両肩に氷の鎧の意図、上の方にクリスタル状の氷がオールバックの髪のように並び、そこより液体状の氷のくねる髪を持つ、
 それが右隣りにいる少年にいきなり向き
 「どう、相棒、私の水着姿見たい?」
 「ええっと・・・」
 言われ、戸惑いの笑顔交じりで疑わしげな眼でフリィジアを見るのは兎白だ、
 高めの身長にぼさっとした髪で波から鮫が飛び出す長袖Tシャツとポケットがたくさんついた青いジーパンをはき、背の腰に袋がある、
 と、兎白が悩んだ末にか苦笑いで呆れた顔で口を開き
 「いっつも全裸みたいなもんじゃない?」
 「うっ!?」
 その兎白から何かに叩きつけられたように右ひじを後ろに出すほど大きくうめきひるみ大げさに涙目となるフリィジア・・・
 「というか、この陽気で大丈夫なの?」
 「問題無し!」
 が、すぐに兎白の質問にテンション高く返した
 「海の側だから水と風の属性が強いから問題ねぇよ」
 補足したのはイグリードだ、一同の右側、鼓動の右肩側を飛ぶ炎の精霊
 燃えたぎった髪の毛にこわもての顔に灼熱の肉体、正しく熱血者といった感じだ、
 と、そのすぐそばで当ダブモンに顔を回しつつ
 「だったら、イグリードはどうなの?」
 疑問を呈したのは鼓動だ、
 少し太めの体型、長ズボンのジーンズに橙と緑の長袖サバンナ草原シャツを着ていて、腰にボックス状のポケットが一杯ついた皮を一対垂れ下げていて、背腰に袋を持つ
 ・・・少し暑くないか、その恰好・・・?
 がそんな鼓動への疑問をよそにイグリードはさも当然といった風に両腕を組み
 「俺もこの陽気で火の属性が強いから問題ねぇよ、足りてないのはしいて言うなら地の属性と圧倒的に闇の属性が足りてないぐらいだな、ま、長時間海に跳びこんだりしなけりゃ問題無いだろ」
 「イグリードが水着着るならブーメランパンツって感じよねぇ、そして、へんたいくさい」
 後ろから聞こえた声に同意したいが声に出す気はしないな・・・
 そう忌憚の無い意見を呟いたのは後ろにいる四葉だ、
 どうせまたなんか言うんだろうななどと右の方に顔を向けながら横目で様子を見る、
 悪目に見ても可憐と言っていい容姿、金色のツインテールにヒラヒラの付いた白シャツに首元にはワンポイントの黒リボン、黒スカート、黒タイツ、茶の革靴を履き、左胸に筆記体で黒字金縁で意の字を表したバッジ、
 が、そんな見た目とは違って性格は・・・
 「どういう意味だそりゃ・・・」
 疑問を抱いて顔を向けるイグリードに
 「聞き流してくれていいわよ、っていうか、あつい」
 と右手を上げてあついと意思表示するかのように払うような動きをさせつつ返す四葉
 「ならそうさせてもらうか!」
 そう、イグリードは気楽に言い放った
 「ま、俺らは水着なんて着ないしな・・・」
 「ですねぇ・・・」
 そりゃお前らはな、カンテーラ、ウィルピー・・・
 すぐ左とその後ろから聞こえた声に、俺は思わず呆れてしまった
 「そういえば、四葉さんは?そういうの着たいと思うですか?」
 四葉にそう問いかけたのはウィルピーだ、
 光の火の玉に目玉とユニークに伸びる白い両手が付き背中には鍛冶用の槌と鋏を持つ、
 その質問に四葉はウィルピーを見据え
 「私、水着とか好きじゃないのよ、日に焼けるし、え?何!?見たかった?みんなは!?」
 「別に・・・」
 「わ・・・私は見たいと思うですよ?」
 「フォローになってねぇぞウィルピー」
 「ええっ!?」
 なぜか目を見開かせ驚くウィルピー
 「え・・・あ、いや・・・その・・・」
 そしてこちらもなぜか顔を少し赤らめ戸惑う言葉に詰まる四葉、ん?
 思わず顔を後ろに回して四葉を見る
 「なんだ、見られたかったのか?」
 「う・・・うるさいっ!」
 ?、なんだ・・・?
 というか、俺ら四人、暑いところイコール死にかける場所という共通認識で生きていると思うので、
 早いとこ、どこでもいいから日陰の一つでも入りたいところだ、島に入りながらそう考え、周りを見渡す
 下が土や砂であり、コンクリで無いところが心底ありがたい、
 見える家々も土壁とわらぶきであり、緑も豊富だ、リゾート地であるというのは伊達ではなさそうだ、
 さらに周りにはそこここに、座って本を読んだりしている日焼けした黒い肌の人間がそこそこいたりする、
 以外にも、読書が盛んな国のようだ、この暑い中・・・
 ん?
 見知った紅い髪の少年が、そのクリスタルを見ていた、
 赤い炎のような髪、黒の長袖長ズボンに赤いベストを着けていて、胸には木の羽ロザリオを紐にかけ付けている、
 一見すると熱血系なのだが、実際にはかなり優しげで食えない性格だった記憶がある・・・
 なんであいつがここに?バカンスか・・・?
 「おやおや、みなさん!」
 その少年が気が付きこちらを見る、
 俺は思わず右手を上げ
 「よぅ、レファン、こんなところで何してんだよ?」
 声を掛けた
 「ちょっと用事がありましてね、ついでにいろいろ見て回ろうかと」
 「で、このクリスタルを見てたのか?不思議なクリスタルだよなぁ・・・」
 クリスタルを見上げ言い出したのは兎白だ
 「不思議な色合いだ、光を受けて輝いているというよりかは、自分で輝いているような・・・」
 「なんていうか、力を感じるよね・・・」
 今度は同じように見ていた鼓動
 「どうしてだろうね、波動のようなものを感じるというか、熱は感じないのにエネルギーは感じるというか、どういうものなんだろう・・・?」
 鼓動が続けるうちに
 「ええ、不思議ですよね、」
 レファンもそう言って再度クリスタルを見上げ
 「この諸島以外では見ない物なんですよ・・・」
 話し出し、
 「地下で各諸島と鉱脈で繋がっているそうで「あらあら、このクリスタルは・・・」
 背後より聞こえたのは聞き覚えのある、正しく女神の優しげな声・・・
 
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