バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

水晶の島のデモの末路 ダブモン!!9話/17

水晶の島のデモの末路 ダブモン!!9話17
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 「それで?どこに行けば目標の物が手に入るわけ?」
 内部では年老いた身なりの良い老人が怯え、兵士たちが巡回していた、警戒する目でこちらを見る者もいるが、
 ダグザが兵士の証明書を見せると渋々ながら下がって行った、
 そんな中で白壁木の床の廊下を私たちは先へと進む・・・
 「めぼしい奴の家は他の人間がこの騒ぎに乗じて調べているはずだ、俺がここを担当することになったのは間違いなく難度が高かったからだろう」
 「で?目標の物は?」
 「ダグザさんじゃなくてもわかりますよ、この場合・・・」
 どういうことよレファン
 「最高裁判官の私室、ですね」
 あ、なるほど・・・
 「そういう事だ、この塔の最上階にあるから、とっとと行くぞ」
 
 「さて、法案院で一番偉い人の私室はっと・・・」
 入り込むなり三分岐の廊下でフリィジア言い放ち周りを見渡す
 「法案院議長の事かしら?知ってるわよ」
 女性の言葉に顔を向けるフリィジア、
 「それよそれ!」
 しかし・・・俺は思わず女性に向かい
 「なんで部屋の場所知ってるの?」
 すると女性は微笑みすら浮かべ
 「そりゃあ、この日のために情報収集ぐらいはしてたから・・・」
 言い放った
 なるほど・・・
 「というか、フリィジア、なんで求める物がそこにあるって・・・」
 「一番偉い人が不正の証拠握ってるだろうから」
 え・・・?女性の笑った目線が突き刺さる
 「なんでそう思ったの?」
 「今回のデモって、要は、公務員が大がかりな悪事をやらかしてるわけでしょ、それなら、一番偉い人が関わって無かったら、絶対にその人に告発されてるだろうからね」
 「まぁ、当たらずとも遠からずってとこかな・・・」
 どういうことだ?
 「詳しい経緯知ってるの?」
 俺は女性に言い募った、女性は表情を変えぬまま俺に向かい
 「知ってる、というより、察してるわ、でも、そこまで詳しく言うつもりはないって感じ」
 「ふぅん・・・」
 「ふぅん・・・」
 「さぁ、早く見つけましょう、あなた達の活躍に期待してるわね」
 
 「これ、何が書いてあるの・・・?」
 渡された紙の束、上質な紙質だけど・・・
 イグリードが一緒にのぞき込む
 「ふむ・・・これは一枚一枚人の名前が書いてあるな、一枚一人、だが、重複が多いな・・・」
 ・・・まさか、これって・・・
 と、アントイワンが戻ってきた・・・
 
 あの部屋は・・・?
 最高裁判所の塔上層部、兵士二人が見張る部屋・・・兵士の腰には一つの鍵が・・・おそらくドアの鍵穴の鍵ではないだろうか・・・
 「恐らくあの部屋だな、ちょっと待ってろ・・・」
 ダグザのおっさんが廊下の角、左の方にある部屋より大分離れた反対側の角より身をひそめる私達より先行して歩いていき、笑顔さえ浮かべ兵士に挨拶するように右手を上げ・・・
 「やぁやぁ、すまんが、この部屋に入れてくれ」
 廊下の兵士たちが細めた鋭い視線をダグザのおっさんに向けた
 「この部屋には何人たりとも入れるなと言われている」
 「これでもか?」
 ダグザのおっさんが紙きれを見せる、っが、兵士たちの表情は変わらない・・・!
 「ダメだ、誰も入れるなと言われている」
 「っち、しゃーない・・・」
 ドグォ!
 瞬間、ダグザのおっさんの剣の柄が兵士の一人の腹に埋まり、
 「ぐは・・・」
 兵士がうめいて前のめりに気絶する!?
 「き・・・貴様!?ぐはっ・・・!」
 二人目の兵士も同様にあっさり沈んだ!?
 「ボヤボヤするな!こいつらを部屋の中に入れるの手伝え!」
 次の瞬間にはダグザのおっさんの声が飛んでいた
 致し方なし・・・
 私とウィルピーは急いで近づいておっさんを手伝い、兵士の持っていた鍵で部屋の中に入り込む・・・
 そして、兵士たちを兵士たちの来ていた衣類できっかりと縛り上げ槍で留め、口を塞ぎ、部屋に転がし
 この部屋か~・・・
 本棚が左右にいくつも高く梯子が必要なほどに積み重ねられ、ぎっしりと本が入っている・・・
 さらに、大きくとられた窓の右側には黒いローブのような衣装がかけられた根元が三方向に分かれた棒状の薄い色の木の服掛けがあり、窓の前には重厚な机があり、窓ふち外側左手には木の高い梯子が置かれ、床には緑の絨毯が敷かれている・・・
 「さて、どこにあるのかな・・・っと・・・」
 ダグザのおっさんが右の本棚に近づき正面の本の背表紙を右手で撫で触りつつ色々と探し始める・・・
 それにしても・・・私は思わず上を見上げ
 「これ取りづらくないかしら・・・?」
 愚痴っっていた
 「どうにも怪しいですね・・・判例でも詰まってるんでしょうか?」
 ウィルピーが上に飛んで色々と見て回る、大人二人分はある高さ、この高さの梯子、私は登る気しないわ・・・
 とりあえず、近くの所から・・・
 おっさんのいる反対側の本棚に近づいて何の変哲もなさそうな本棚を凝視する私
 「あ・・・」
 「ん?」
 ウィルピーの声・・・?
 思わず見上げ話しかける
 「ウィルピー、どうしたの?」
 一番上の方、中心より少し左にずれた微妙な位置でウィルピーはそばの本棚を見つめていた・・・
 「いえ、なんでも・・・」
 「ちょうどいい、上から資料幾つか降ろしてくれ、お前なら、戻す時もすぐだろう、それを俺が調べる」
 おっさんがいきなり上げた声にウィルピーは反応してそちらを向き
 「わかりました~」
 そう返事をして、几帳面なウィルピーが一番上の左の方より資料を両手に積んでおろし、
 それをダグザのおっさんが座り込み手早く開いて見ていく・・・
 「どうにもおかしい点はないな・・・」
 もうすでに見た本は十冊を数えるが、もちろん、この部屋にある本の総量からしてみれば、ほんの一部という言葉すら生ぬるい、
 私は思わず呆れながら口を開いていた
 「資料が古いとかじゃないの?そんな感じしてるわよ・・・」
 「かもしれないな・・・」
 カチ
 「ん?」
 「ん?」
 上から唐突に聞こえた音に、私達は上を向く
 「ウィルピー、どうしたの?」
 上を見上げると、ウィルピーが先程の場所で、本を引っ張ろうとして止まっていた・・・
 「いえ、この本、なんか、本じゃなくてスイッチみたいな・・・」
 ゴゴゴ・・・
 聞こえたのは後ろ右の方・・・そちらを見ると、本棚が前に出てきて、左に動き、奥から黒い金属でできた金庫が現れた!?
 「なるほど、これだけの高さの本棚から特定の一冊を見つけ出すのは至難の業、おまけにそれははしごを使わなきゃいけないもっとも高い場所にスイッチがってわけね・・・」
 私達は急いで金庫の前に接近する
 「開けられる?」
 右の方にある金色の金属で四角く作られた土台に大きなカギ穴があるけど・・・
 にもかかわらずおっさんは金庫全体を凝視する・・・
 「・・・無理だな、剣で叩き斬るか・・・?」
 脳筋・・・
 「あ、私がやってみましょうか?」
 とウィルピーが近寄り、ハンマーを持って鍵穴近くに耳を当てる様に近づき、ハンマーを地道に位置を変えて叩いていく・・・
 「ここです!」
 ガン!ガン!ガン!とハンマーが叩かれる大きな音が響き渡り
 ガチャ!っと、何かが開く音がした・・・
 「マジかよおい!!」
 金庫が自然とこちらに開いてくる・・・
 これには思わず離れた私もダグザのおっさんも言葉を失った・・・
 「どうやったんだよ・・・」
 「原始的な鍵の構造っぽかったでしたし、かなり丈夫そうだったんで、ショックを与えたら動きそうな場所を推類して、叩きました、人間でもできると思いますですよ」
 「馬鹿じゃないのか、人間は何の知識も無くその場所見つけんのはほぼ不可能なんだよ!」
 「あ・・・そうですね」
 涼しい顔で言い放つウィルピー、カンテーラといいフリィジアといいイグリードといい、ダブモンて時折とんでもないことやらかすな・・・
 「まぁいい、ダブモンと関わってたらこんなもんめずらしくもくそも無いからな、大切なのは結果だ」
 まぁ、そうだろうな・・・ダブモンと関わることが多い教会ならなおさら・・・
 「あったぞ・・・」
 おっさんが金庫の中にあった資料を取って見る、重ねられた書類を一枚一枚裏に回して読み・・・その手が不意に止まり、その目を一気に資料に近づけ、資料を確認し・・
 「間違いないこいつだ、急いで戻るぞ、兵士たちが目を覚まして騒ぎ出さないうちにな」
 ダグザのおっさんの口端が、得意気に歪んでいた・・・
 
 「おねえさん、意外に強いんですね・・・」
 「これでも、教皇庁に仕える騎士なんだけど・・・」
 お姉さんにデレデレしていた兵士たちを剣で一気に叩きのめし、今は彼らの服で縛り上げ部屋の端に転がっている・・・
 「さて、この部屋のどこかにあるかしら・・・?」
 部屋は窓前に重厚な机と椅子があって赤いじゅうたんが中央に敷かれているといった具合、何の変哲もない部屋に見えるけど・・・
 「・・・ちょっとごめん・・・」
 フリィジアがいきなり部屋中を飛びまわる、どうした、急に・・・
 そして、部屋の中央を見据え
 「・・・絨毯、どけてくれないかしら・・・?」
 「はぁ・・・」
 俺とお姉さんが絨毯を上に引っぺがすと、お姉さんがいきなり姿勢を下げて床の机の前あたりを見つめ、続けてそこから絨毯の下だったギリギリの場所を見て
 「・・・二つ・・・床に切れ目があるわね・・・」
 「よっしゃ!」
 フリィジアの歓喜の声、俺は思わずフリィジア見上げ
 「よくわかったね・・・」
 フリィジアは両手を腰に当て胸を張って笑顔にも見える得意顔だ
 「空気の流れが違ってたから」
 普通わかんないって・・・しかし、騎士のお姉さんはそれを聞いても平然と・・・床のふたを開け・・・
 中から出てきたのは鉄色で構成され左の白鉄色の四角い台座に鍵穴が着いた金庫・・・?
 「金庫か・・・」
 「これならどうにかなるんじゃない?」
 フリィジアが氷の槍を突き入れて、回すと、金庫が開く音がした
 「氷の槍を鍵の形に変形させたのかしら・・・?」
 「その通り」
 槍が引き抜かれると同時に、お姉さんは金庫を開け、中に入っていた資料を手に取りめくり見る
 「間違い無い、これだわ」
 
 アントイワンの背後には、幾体かの虫のダブモンが・・・一つの家の中をひょいと除くと鋼色の金庫から取り出してきているようにも見える、僕は元の場所に戻り、
 「彼らも一緒に行くの?」
 アントイワンに問いかけると、微かに首を縦に振って返してきた
 「そういや、妙なもの受け取ったが、こいつは?」
 アントイワンは受け取ると、半分ずつに分けて僕達が持つ、
 なるほど、少しでも届ける確率を上げようってわけか・・・
 そうして、アントイワンと村のダブモン達は僕たちが元来た道を戻り始める
 「あ、まってよ~!」
 「おいおい、せっかちだなぁ・・・」
 それを僕達は追いかける・・・
 
 神父の声を聞いていたデモ隊が、
 ついにいきりたち始める・・・!
 
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