バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

この争い起きた戦場で ダブモン!!8話09

この争い起きた戦場で ダブモン!!8話/09
 
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 出てきた食事は干し肉や長期保存を想定した硬めのパンなどで、味はあまり良くなかったことを付け加えておく、
 もっとも、戦場に持って行くものであろうため、
 戦いが始まったばかりで量がきちんとあった事だけでもよかっただろう、戦いが長引けばそれだけ出せる量も少なくなっていくに違いないのだから、
 私達が食事を終えたころ、
 兵士たちに連れられ、外に出る・・・
 辺りでは兵士たちが傷つき、テントの中で寝てたり、外で力なくテントの柱に背を預けていたり、
 見張りに回っている兵士も、どこか怪我しているものが大半だ、
 遠くには、なぜかたくさんの兵士が倒れ折り重なっている場所もあったが、
 どうしてなのかすぐに察してしまったため、私は見ないことにした
 あの襲撃か戦いの余波で燃えたのか、煙がくすぶっているテントもある・・・
 血が焼ける匂いがする・・・料理の匂いではなく人の血の匂いだ、
 引いてくれたからよかったが、そうでなければもっと凄惨な状況が私達を待ち構えていたに違いないと空恐ろしいものを感じる・・・
 「お連れしました!!」
 先にあった白いテントの中に引きいれられた、ちょうど戦陣の中央より少し森側の場所だ
 「ご苦労」
 中は私達のテントの様にテーブルと椅子のあるものだが、違いは奥に大きく盾の紋章が掲げられ、
 机の上に地図が広げられていることだ・・・
 しかし、そこには将軍の他にもう一人奥左の柱に背に接するように立って両腕を組み立つ爬虫類のようなダブモンがいた・・・
 顔に布を巻いてマフラーをなびかせて体にも布製の布まとう黄色の反転垣間見える緑の鱗顔・・・
 その背には曲がった大きな逆三角の笛のような白い・・・いや、壺かな・・・?を背負っている・・・
 「あなたは・・・?」
 「教皇庁から出向してる単なる壺売りだよ」
 将軍が説明してくれた、
 「あなたは・・・戒地の壺売りオアガーマというダブモンですね?」
 壺売りを見て問いかけるウィルピー
 本当に壺売りなんだ・・・
 「というか、ダブモンがいたならさっきの騒動の時なんで出てこなかったんだよ」
 「そうだよな」
 「おかしいよ!!」
 三バカのまぁ、そう思うだろうなという指摘
 「あいにくと、人間と魔族との争いには極力関わらない、そういう条件のもとで出向していてね・・・」
 「彼を責めんでやってくれ、ダブモン達が教皇庁と契約を結ぶ際は、ほとんどそういう条件下で契約しているのだ、本来、私達の方に来てくれてるのもいざという時にダブモン災害にあった時の対処法の指南が主でな、戦争に関わってくれているわけではないのだ・・・」
 それに、オアガーマと将軍が説明する
 「じゃあなんでここにいるんだよ?」
 「・・・」
 「だんまりか・・・」
 しかし、カンテーラの言葉に応えることはなかった
 ま、ここで問答しててもいいけど・・・
 私は将軍の方をまっすぐに向き少し軽めに話し出す
 「で、何のようかしら?」
 「ああ、そうだった、まずは、非礼をわびよう、命の恩人だというのに、拘束してしまったな」
 そう言って、将軍は頭を下げた
 「もうしわけない」
 「あ・・・別にいいけど・・・そんなこと言いだすんなら、どれぐらい私達を拘束するつもりなのか話してくれない?」
 「そうだ、その話をするために呼んだのだ・・・」
 将軍が頭を上げ、私達を見据える
 「済まないが、そうそう、簡単には解放させられない、向こうの出方次第、というのもある」
 向こう次第って・・・
 「こっちから何かすることは出来ないの?」
 「基本的には無理、だな、結界が張られていて侵入することすら難しい・・・」
 「はぁ・・・あそうだ、襲ってきたあの魔族はちゃんと捕らえたの?」
 「ああ、きっちりと魔道具で結界も張ってある、おそらく、豪炎族だろうが、中から出てくることはないだろう・・・」
 「豪炎族?」
 「炎を扱うのが得意な魔族の一族だよ」
 アクリス?
 後ろの方にいたアクリスが突然話し出したので一斉に視線が向く
 「能力は見た通り、すごい破壊力だ」
 そうか・・・
 アクリスの言葉が終わったのを計り、私は将軍の方に向き直り話し出す
 「それで、そいつは利用できない?交渉に持ち出すとか・・・」
 「それも含めてこちらで検討中だ、しかし、先ほども言ったように、結界のせいで簡単には手出しできず、魔族の方に連絡も取れそうにない、捕らえられたのはわかっているだろうから、あちらから何かしてくる可能性も高い、もっぱら、こちらが何かするより、向こうから何かしてこないかという警戒と防御の方が優先順位が高くてな・・・」
 そうねぇ・・・
 「ちょっと訊いてもいいか?」
 ん?イグリード?
 イグリードが浮遊しながら少し前に出て将軍と向かい合う
 「近隣の町村への避難勧告はどうなってるんだ?住んでたとこが近くにあるんで心配なんだが・・・」
 「それなら問題はない、戦いが始まった直後ならともかく、もうすでに警戒、避難の通達を出す様兵士に言ってある」
 「ならいい・・・」
 そして、将軍が再度私たちを一瞥するように見る
 「他に何かないか?要望があるなら聞こう・・・」
 「特に今は無いわ、だよね、みんな?」
 「ああ」「うん」「そうだね」
 「その通りだ」「相棒に賛成」「俺も、訊きたいことは訊いちまったからな・・・」
 「私も無いですよ・・・」
 「・・・」
 アクリスのやつ、何しかめっ面して考え込んでるのよ・・・
 「アクリス?」
 良星の言葉に、気が付いたように私たちの方に顔を向ける、そして、微小に首を縦振りながら
 「え?あ、うん、僕も無いよ」
 返してくるアクリス
 「ならいいぜ」
 「大変です将軍!向こうよりの使者が!!」
 
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