この争い起きた戦場で ダブモン!!8話17
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「ん・・・?あれは・・・?」
カンテーラが
なぜか音もたてずに入り口に歩いて向かい、テントから出て行く・・・
「何でしょうねぇ・・・?」
そばで寝ていたウィルピーも気付いたようだ、こっそりと動いてテントから外を見る、
入口外の見張りの兵士は・・・別の人に変わっていたがどうやら、立ったまま寝ているようだ・・・
周りは見張りをしているとみているのか誰も気付いていない・・・
が、それよりも今は先にいるカンテーラだ・・・
「よう、見回りかい?」
先見る視線の先にいるあれは・・・オアガーマ・・・?
見張りがぽっかりと穴の開いた様な場所、上より満月と夜空と崩れた壁と魔族の野営をのぞむ地に、そのオアガーマは魔族の陣営を見据え、佇んでいた・・・
「・・・」
カンテーラがゆっくりと近づいていく・・・
が、オアガーマは不動だにしない
「やっぱりだんまりか?ちょっとくらい話したっていいだろ?」
カンテーラ、昼間に無視されたことを根に持っているのだろうか・・・?
「まぁいいさ、あんたがなんでここにいるのかちょっと推察したんでな、勝手に話させてもらうさ・・・」
オアガーマがここにいる理由・・・?
カンテーラが横に座って共に魔族の陣営を眺める・・・
「あんた、本当はあの将軍の事が心配なんだろ?」
へ・・・?
「・・・」
カンテーラがおもむろに左手など上げ動かし
「目がそう語ってたぜ、何があったかは知らんが、教会との契約違反ギリギリになるようなことしてからに・・・」
あ・・・まさか、しかとしてたのは照れ隠しか・・・!?
「違うんならそう言ってほしいがな、こっちも、少ない手掛かりで考察してんだから・・・」
「・・・ダブモンは信頼を主とする種族だ・・・」
お・・・?
オアガーマが語りだした・・・!
「だから、よほどのことが無い限りは親からの言いつけや契約は重視する、しかし、それはそれ以上に優先すべきことが無い場合だ・・・」
カンテーラが左腕を下げ
「それで?」
返した
「剣の腕だけで将軍にはなれん、ましてやあいつには家柄も無い、故に、もっとも嫌われるダブモン対策部で前線に立ち、あいつは戦ってきた、俺が知り合ったのもその縁だ、もう10年来になる、だが、将軍になった後も、さらにその上から、壁の警護など、嫌われる仕事を負った」
「壁の警護が嫌われる?なぜだ、」
思わずカンテーラはオアガーマの方に顔を向ける
「魔族と戦うのは人間の誉れじゃないのか?」
「こちらから手出しは出来ない、他国との戦争のように領地も取れない、魔族が来るとなればいつも突然、それもいつもいつも魔法を使って策を立ててくる、今回はあの豪炎魔族を使って、前回は氷の魔剣を使ってだ、次は何が来るやら・・・」
「・・・」
「前回も今回も死者が山ほどでたさ、それでも今までの戦いより死者が少なかったってんで、あいつはここにいる、それに・・・」
「それに・・・?」
「いや、よそう、」
なんなんだろう・・・?
「ともかくだ、明日、お前達の仲間が戦いに関わる」
「・・・」
「どうしても、勝ってほしいんだ、あいつを戦線に出す気はない、俺も契約で何もできないし、な」
「ああ・・・」
カンテーラの目が少し虚空にそらされる
「それでか・・・」
それでって・・・なんなんだろう・・・
「あともう一つ、お前に訊いてもわからんかもしれんが・・・」
オアガーマがカンテーラの方に顔を向ける、
「なんだ?」
「俺達が本来元々信頼すべきは誰なんだ?」
へ・・・?
「どういう意味だ?」
「人間や魔族より親の言いつけを守るのが普通だ、だとすると、大元である、女神をもっとも信じるものだと思うんだが・・・俺はそこまで信じてるわけじゃない、お前は?」
「俺も信じちゃいないさ、だが、俺達の大元は女神だけじゃなく世界樹も関わってるだろ?」
「そうなんだが、木を信頼しろって言われても困る、なぁ、俺達は元々、誰を信頼して生きる存在なんだ?」
「・・・さあな、俺に訊かれても困るぜ・・・」
また左腕を上げ今度は少しあきれるようにその左手を返す
「こちとら、おそらくあんたより年下なんでな」
「・・・」
オアガーマが目をつむり熟慮する、と思ったら次の瞬間には目を開けカンテーラを見据えていた
「すまないな、忘れてくれ、さ、明日に備えてお前は眠れ、俺は、もう少し見回りを続けるさ・・」
「そうさせてもらう」
カンテーラが立ち上がり、月光とオアガーマの視線を背にしこちらに戻ってくる・・・
おっといけない、立ち聞きしてたのばれてないわよね?、あれの感覚は異様に鋭いから・・・
それにオアガーマに見られたかも・・・ま、チクられるようなことは無いわよね、大丈夫大丈夫、今はとにかく下がるのが先!
私とウィルピーはあわてて寝床に戻る、
でも、あの二人が話してたこと、一体何の意味があるんだろう・・・?
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