バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

炎の精霊と火山と謎の剣 ダブモン!!7話/23 妖魔版

 
炎の精霊と火山と謎の剣 ダブモン!!7話/23 妖魔版
 

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 「おぉっしゃああ!!」
 吹き飛ばされたライゼゴートが、壁に当たった反動でこちらに弾き飛ばされて・・・ってあれ?
 黒い塊の小さな人型に、山羊の頭骨をかぶったような姿・・・?
 あれ、じゃあ、さっきの亡霊みたいな姿って・・・?
 「まったく・・・」
 とカンテーラがつぶやき、少し横の離れたところにいたカンテーラがいつの間にか誰かを背負っていた・・・!?
 ユネッタに似た感じの黒髪の大人の男性・・・?
 「完全に憑依してたから把握が遅れたぜ、ダメージで憑依がぶれてくれたからよかったものの・・・」
 あの人は・・・?
 「兄様!?」背後から聞こえたユネッタの声、
 え!?あの人が!?青いシャツに長ズボンで、普通の男性っぽいけど・・・
 いや、確かにその短い髪の感じは近いか・・・
 と、その男性が顔と体を上げて行きこちらを見る・・・
 「あ・・・あぁ・・・ユネッタか・・・」
 あっ!急いで駆け寄るユネッタ!
 「イグリード!」
 「わかってる」
 急いで僕とイグリードも駆け寄っていく!
 「すみません、まさか人が憑依してるなんて・・・」
 「俺からも謝らせてもらおう、まさか、お前が憑依されてるなんて思わなくてな、思い切り殴ってしまった・・・」
 僕たちの言葉に、その男性驚いたように目を見開き
 「まさか、君達が救いだしてくれたのか?」
 「いや、救ったのはお前を背負っていた・・・」
 「俺も気配の感知が遅れたからな・・・」
 カンテーラが謙遜する
 その言葉に男性は僕たちを見て
 「いや、君たちみんなのおかげだ、ユネッタの声が聞こえたあたりで声も聞こえなくなって、目も見えなくなって・・・」
 「おい、目元と耳に石の破片が付いてるぞ」
 「なるほど、これで僕の目と耳を塞いでいたのか」
 後ろのカンテーラの指摘に男性は岩を取り払う
 「あいつ・・・だが、あの骨の部分、」
 イグリードが突如考察を話し出す
 「人間を取り込んだ状態で自身の体の部分だけかなりの部分出して動かしてたとなると、かなりパワーダウンしていたはずだ・・・」
 と、その言葉を受けたかライゼゴートが一気に上に逃げて行く・・・
 「人と一体化した状態なら強い力を出せるという話だったし、」
 見上げる男性の言葉
 「その延長線上で、熔岩を通して他のダブモンから力を吸収する能力も得たらしい・・・」
 そして、僕たちをまじめでまっすぐな視線で見据える
 「あいつも寂しがっていたんだ、あいつは祖先がこの辺りを危機に陥れた奴らしくて、デッキケースも祖先が持っていたものらしい、伝説では使わなかったらしいが・・・」
 「デッキケースを使わなかったのは、使う前に対処されたからだろう、伝説を聞く限り、同種のダブモンだからな、まわりが警戒するのも仕方ない、人に憑依できるのはダブモン自身の能力でもあるが、あいつも先祖もそれを悪用したようだしな」
 イグリードの意見に男性が向き合う
 「その辺りは、私達でどうにかしよう、受け入れてみるさ、今回は被害も出さずに済んだしな」
 「でも、兄様、どうして1年以上も行方不明に・・・」
 ユネッタの疑問はもっとも・・・
 「あれ?親父に聞いてないか?俺は観光客の不法投棄を無くすために、周辺の町や村を回ったり国に陳情を出していたんだ」
 「え?」
 「不法投棄?」
 寝耳に水といった風に少し惚けがユネッタとイグリードが男性をまっすぐ見る驚いた顔をしている
 「そうだ、ごみの不法投棄、使わなくなったものは熔岩に放りこめばいい、などという短絡的な発想でここにごみを捨てに来るやからがいるんだ」
 え?
 「そうなの?」
 「確かに、ゴミを捨てに来るためだけにここに来るような人たちもいます、この間など、そのような理由で案内は出来ないと断ったら、夜の間に洞窟内にごみを投棄したとの目撃情報が・・・」
 「ゴミの中には毒性の強いものもあって、その影響で熔岩内のダブモンが病気になったりもしてるんだ」
 「そうなんだ・・・」
 僕の訊き声にユネッタとお兄さんがきっちりと答えてくれた
 「そういえば、」
 なんだろう、イグリード?
 「この間、教会からそんな毒の処理の依頼があったな、毒殺するために毒を入れられたパンとシチューで・・・おい、何で目をそらす?」
 「いや、別に」
 「なんでもねぇよ」
 「ははは・・・」
 あの件は僕達が悪いわけではないのだがなぜか気まずくなってしまう・・・後でちゃんと話そう・・・
 「ん?まぁいい、でだ、その毒はダブモンが生成したものでな、焼いても簡単には無毒化できず、有毒ガスが発生しちまう、結果、熔岩ででっかい箱を作って密閉して、ガスを逃がさないように無毒化するまで燃やし尽くしたってわけさ、苦労したぜ、酸素入れなきゃいけないから、ガスも無毒化せにゃならん、箱が爆発するのを防ぐために燃やしたり冷やしたりでも大変だった」
 「そ・・・そうなんだ・・・」
 「教会からの正式な依頼ともあって無下にも出来なくてな・・・あれは大分他のダブモンに協力してもらって苦労したぜ」
 「そうだ、そういう風に毒を持つものもある、単純に毒を入れられたものだけじゃなく、腐って毒性を持つようになった食物や木材などもだ、他にも使わなくなった衣類や家具などを捨てて行くものもいる」
 「・・・」
 僕達の世界でも似たような問題が発生してるんだよねぇ・・・
 「そこで、僕はきちんとしたルールを定めるために周辺の町や村と協議したり、各地の観光協会と提携し、有料でちゃんとした客を連れてくるようにしようとしたのだけど、それを親父が金のためだと勘違いして、大喧嘩になってね、まったく、有料にするのは無料だからと気軽にゴミを捨てに来るような輩を追い出すためだというのに・・・」
 「そんなことが・・・」
 ユネッタが兄を心配そうに見つめる
 「ユネッタやダブモン達には、あまり苦労かけさせたくなかったから、隠していたんだ、まさか、親父が何の取り繕いもしていなかったとは・・・」
 「いえ・・・」
 「他にも、国や、根回しに教会にも、不法投棄者を捕縛したり、罰を与えたりできる様に陳情にも行ったんだが、肝心の、この辺りの観光を仕切る親父が首を縦に振ってくれなくてね」
 「ああ・・・確かに・・・」
 ユネッタは何か心当たりがあるようだ、目を少し閉じつつ苦笑いを浮かべている・・・
 「それで、どうしたもんかと思案していたら、あの剣を抜いて少し脅かせばいい、と、ダブモンの一体が声をかけてきて・・・」
 あいつか!ライゼゴート!!
 「思いつめてしまって、ほんの出来心だったんだ、あの剣を抜いて少し周りを驚かせればよかった、それで噴出口に影響があると嘘を言って皆に納得してもらうつもりだった、村に被害を与えるつもりはなかったんだ」
 「それで人払いしてたのか・・・」
 ダブモンたちが協力姿勢だったのも、ゴミ問題に辟易していたからに違いない・・・
 「そうだ、洞窟内に誰かいたら被害にあいかねないからね、出来れば、噴出口からも人を離すように指示を出したんだが・・・」
 でも、僕たちが来ちゃったと・・・
 「ユネッタたちが来たってことはあまりうまくはいってなかったようだな・・・正直、この作戦が失敗して、ほっとしている、」妹を失わずに済んだわけだしね・・・「だが、まさか、憑依されるとは・・・読んだその時は何も思わなかったが今にして思うと、まさか、伝説の中で切り取られたページでも、誰かが死んでいたのでは・・・」
 「まさか、あのページに・・・?」
 ユネッタとお兄さんの言葉に、僕は思わず訊いてみた
 「どういうこと?」
 「本に書かれた伝説は、最後の方のページの一つがある時に破られたと言われているんです、戦いの場面とその直後、戦っていたライゼゴートがいなくなったのは事実ですし、それで火の山は収まった、ライゼゴートが倒れたか逃げたのは事実ですし、その後のページにも剣を刺し、実際に剣も刺してあったから、そういった状況から推察できる部分だけ・・・」
 「一体誰がそんなことを・・・」
 「さぁ、私達にはすでに何もわかりません・・・」
 「女神様なら知ってるかな?」
 「さぁ、知っていたとしても、答えてくれるかどうかわからない・・・」
 女神様・・・知っているのかな?
 「あの・・・そろそろいいですかね・・・?」
 ん?ウィルピー・・・?
 声が聞こえた後ろの方を向くと、いつの間にか、ウィルピーが僕達のすぐ後ろにまで移動してきていた
 「あの剣を調べたいんですけど・・・」
 ああそうだった・・・
 「あの、あの剣が何なのか、調べてみてもいい?」
 お兄さんの方に向き直る僕
 「あの剣を抜く気ですか?」
 「え?」
 突然のユネッタの声に、そちらに体を向けると、何の変哲もない真顔でこちらを見るユネッタがいた
 「実際に何人もの人が抜こうとしましたので・・・」
 「剣があったら抜きたくなるのが人のさがだからねぇ・・・でも、ただの一人として抜けたことはない」今度はお兄さんの台詞
 「そうなの?」
 「あの剣は刺された後に木の根のように広がって、辺りのエネルギーの調節をしているんです、吸収したり、放出したりして、そもそも、地面に刺すために剣の形状をしているそうですし・・・」
 「木の根の様になってしまってるから、簡単には抜けないんだ・・・」
 「そうなんだ・・・」
 「必要なら意地でも抜くだろうが、そうはならないだろ・・・」
 「まぁ、度合いにもよるが、剣を傷付けないと約束してくれるなら・・・」
 カンテーラがあきれたセリフを吐いてお兄さんが返している間にも、いつの間にかウィルピーが剣に近寄っていた
 「ウィルピー!どう!?」
 四葉さんがウィルピーに問いかける、たいして、ウィルピーは真正面から剣を見据え、
 「・・・裁定の剣とは違いますね・・・」
 あ、やっぱりか、薄々感づいてはいたけど・・・
 「君達、裁定の剣を探しているのか?」
 「はい!」
 お兄さんの言葉に僕は元気よく答えるものの、対照的にお兄さんは口端を上げ曲げたどうもやりきれない顔
 「でも、あれは・・・」
 「人類史の中でも、見つかったのは・・・私が教わった中でも数えるほどしかないらしいですし・・・」
 「僕も、都に行って色々勉強して、その中で裁定の剣の事も見て見たことがあるけど、古代史にはある程度出てくるんだけど、どこかに行ったのか、ある時期からぱったりと出てこなくなってるんだ・・・」
 「神隠し・・・いや、あの女神様がそんな・・・」
 「そうだね、女神様がそんなことをするはずが・・・」
 「ふぅむ・・・」
 ん?
 どうしたんだろ・・・?イグリードが右手を顎に当てて何か考えてる・・・?
 そして、顎から手を放して僕たちに改めて視線を向け
 「少しいいか・・・?」
 「お前達、今帰ったぞ!!」
 なんだ!?いきなり頭上から声・・・!?
 上を見上げると、あれは、火の鳥だろうか・・・?
 羽などが炎の羽毛に覆われ、対照的にくちばしや足などが冷えた熔岩の岩のような、炎の鳥・・・?
 「姉貴!?帰ってきたのか!?」
 見上げるイグリードの台詞、っていうか、お姉さんいたの?!
 「おお、皆で一緒にお迎えか!?イグリード、その姿は・・・?」
 「オーバー化したんだよ、どうせすぐに戻る」
 「ほほう、随分と立派になって・・・で、」お兄さんの方に目を向ける火の鳥「ユゴス、首尾はどうだ!?」
 「お久しぶりです、フェニクルス」
 
名・転炎の再生師 フェニクルス ダブモンNo.108
概・M モンスター コスト4 パワー3600 鳥・核属性
発・戦闘前・自任意・時限無し・条文の頭に指定:
条・主対象:一・次の戦闘に参加するこのモンスター
      二・自分のチャージゾーンの表側表示のカード
      三・このモンスターを召喚したターンかつ、
        このモンスターの召喚コストがすべて、
        カテゴリ、核属性を持つリサイクルだった時
   略・“”
   主対象単体であるため全対象とする
効・第一効果:自分のチャージゾーンの表側表示のカード全てを裏にする
       ・このターンの間このモンスターのパワーが0になる
文・物質の再生を司ると言われるキンケイ型ダブモン、実際にかの炎には物質を元
  素の状態まで戻し溶岩のように近い状態に繋ぐがそれは何らかの素材に戻るこ
  とを意味し再生は不可能だが真偽不明で時に命すらも転生させてしまうと言わ
 
 「姉貴!?今度のこと知ってたのか!?」
 「フェニクルスが知ってるのは、僕が外に出たのがごみ処理問題解決のため、ということぐらいだよ」
 「なんだよ!姉貴から話してくれればよかったのに・・・」
 「なんだ?皆知らなかったのか・・・?」
 「相変わらずだな・・・こっちがこんな状況なのに、外大陸を見てくるとか言って一ヶ月近くも・・・」
 「いやいや、ついついな、ダブモン達も精力的に活動していたものだから・・・」
 「この鳥さんは・・・?」
 思わずついて出た言葉に、イグリードが僕たちを見る
 「俺の姉貴だよ、種族はそのままフェニクルス」
 「よろしくな!」
 「姉貴が帰ってきたならちょうどいいやみんな、聞いてくれ」
 「何?」
 「何でしょう?」
 「なんだ?」
 「何用だ?」
 「何だよ?」
 「何だろ?」
 「何かしら?」
 「何だ、一体・・・?」
 「何ですかね?」
 「何かしら・・・?」
 「何かな・・・?」
 それぞれがイグリードを見る僕、ユネッタ達、良星、兎白、四葉さん、カンテーラダブモン組にアクリス、
 「俺は・・・こいつらの旅について行こうと思う、」
 「ええっ!?」「ええっ!?」「ええっ!?」
 「ええっ?」
 「・・・」
 「そうですか・・・」
 「あ~核属性かぁ・・・」
 ・・・そうして、僕達は地上に戻り、僕たちが村に入った反対側の出口へと集まる・・・
 「イグリード・・・」
 「本当に行ってしまうのか、イグリード?」
 「弟よ・・・」
 ユネッタ達が一身にいつの間にか元に戻ったイグリードを見る
 対し、イグリードは自信に満ちた瞳で見返す
 「ああ、こいつらを見て確信したんだ、なんか、変な事が起こってるってな」
 「女神様が・・・ですか・・・?」
 「誰が何をやらかそうとしているのかは知らない、だが、放っては置けない、それに・・・」
 「それに・・・?」ユネッタの訊き返しに
 「未来のユネッタの婿候補の資質と成長を、相棒として見届けておきたいからなぁ、がっはっはっ!!」大笑いで占めるイグリード、にしても・・・
 候補・・・
 「候補か・・・」
 「候補だな・・・」「普通は追い出されてるよな・・・」
 「そりゃ候補だよなぁ・・・」「そうね・・・」
 「候補になっただけでも万々歳じゃない?」「ですね」
 「よ・・・よかったんじゃない?」
 僕のつぶやきに反応していろいろ言ってくる後ろの面々
 「今回の件もあるしな、ま、見届けるぐらいはしてやろうと思っただけだ、姉貴がいれば、ここも大丈夫だろう・・・」
 「ああ、此度のライゼゴートの件、私が探し出してきっちり始末をつけてやろう、周辺のダブモンも協力してくれるだろうしな・・・気を付けろよ?」
 「いってらっしゃい、イグリード、皆さん、イグリードをよろしくお願いします!」
 ユネッタの下げた頭に僕は意気揚々と返す!
 「うん!」「ああ、」「まかせろ」
 「しょうがない」「です」
 「・・・ま、いいか・・・」
 「反対属性はあんまり好きじゃないんだけど・・・」
 「それに鼓動さん」
 何だろう、僕を目じりを少し下げた少し心配そうにまっすぐ見据えて・・・
 「なに?」
 「なにとぞ、もう一度、イグリードと共にここに戻ってきてください、何やら嫌な予感がするのです・・・」
 予感・・・?いや、ここはそんなもの吹き飛ばす勢いで!
 「わかったよ、必ず!」
 ズドン!!
 今のは・・・!?
 背後からの・・・いきなりの大きい爆発音・・・!?
 「大きい音・・・!?」
 「オァケイジョナル火穴の方からじゃないよな?」
 「違うと思うが、少し、調べてみるか・・・」
 「・・・・・・・・・」
 突然、アクリスが後ろに振り返り走り出す!
 どうしたんだ!?
 向こうは、僕達が来た道の反対、これから行く道の方!!
 「あっちょっと!!」「おい!」「どうしたんだ!?」
 「ごめん!用事を思い出した、じゃあね!!」
 「この先って・・・」
 「しばらく、一本道だったはずですよ・・・」
 一体・・・どうしたっていうんだろう・・・?
 
ダブモン!!7話 炎の精霊と火山と謎の剣 終わり
 
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