炎の精霊と火山と謎の剣 ダブモン!!7話/20
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探索7
辿り着いたのは、上の裂け目に青空望む場所、
熔岩が冷えた岩で筒の様に形成されたその場所は、下の方に熔岩がたまっているのが確かに見える・・・
少しドーム状になっていて、上からここまでは一気に落ちてくる形になるから、人間では無理だ、距離がありすぎる・・・
「ここですここ、時々ここでエネルギーが爆発的に増えて上の裂け目を通して外に出て行くんです、時間帯が決まっているので今は安全なのですが・・・」
後ろからのユネッタの声・・・
確かに・・・
前方に見える岩でできた自然の橋のような通路の向こう、
橋につながった水に満ちた盃のような岩の中央に、それは突き刺さっていた、剣だ、
少し見回すもそれ以外にはそれらしきものは無い、ウィルピーに最初から降りてもらえばよかったとも一瞬考えたが、ま、みんなで確かめた方がよかったろうし、問題が起きてるなら解決したほうがいいしね、ウィルピーだけで解決できるとも限らないし!
さて、本当にあの剣が裁定の剣なのだろうか、近くに行って確かめないと・・・!
「おっと、そうはさせません・・・!」
上から突如、亡霊が降ってきた、山羊の頭骨に赤黒い布を袈裟懸けに来た羽と六つの骨腕を持つ・・・
なんだ、あれ・・・
「あいつ、ライゼゴートか!?」
「伝説にある姿の通りです!こんなところに何を・・・!?」
伝説って、アクリスの言ってた言い伝え!?
ユネッタとイグリードが前に出る
「このようなところで何をしているのですか!観光にでも来たのですか!?」
が、ライゼゴートは大仰しく右側全手を広げ
「この剣を手に入れに来たのだよ、だが、一向に抜けなくてな、時間稼ぎをしてその間に抜こうとしていたのだが・・・」
「この剣はここ一体の核熱のバランスを調整しているのです、手に入れようなど、そのような愚かな真似はおやめなさい」
「そうはいかんよ、この剣を手に入れ、伝説の再現でもしようと思ってね」
「なんですって!?」
伝説の再現!?
「私達ダブモンがいくら力を暴走させてもこの辺りに何の影響も及ばないのはこの剣があるせいだ、この剣はいつの間にか膨れ上がった力を吸収して還元してしまう、憎らしい、ようやく、力を強く発現させることができるというに・・・」
「そのような理由で、伝説の災害を再現しようというのですか!?」
「なに、世間をちょいと驚かせるだけだよ・・・」
「伝説では村が焼かれ、周囲にも甚大な被害が及んだと言います、そのようなことは許されません・・・」
「ははは・・・平行線だな・・・なれば、そろそろ・・・」
「そうはいかねぇ!!」
いきなりイグリードがライゼゴートに突進していきその右拳を振り上げ叩きつけて行く!
「おっと・・・」
ズゴン!!
ライゼゴートも対抗するように左拳を打ち込み、ぶつかった拳が辺りに熱を帯びた衝撃波が走り
「うぉりゃああ!!」
更に二度追加で拳をぶつけあう!
ズゴン!!ズゴン!!
「ほほぅ、面白い、それでは、これならば!」
するとライゼゴートが空いたもう片方の手の平に炎を集め、それをイグリードに叩きつけ、爆発させて吹き飛ばす!
が、イグリードはなんとか持ち直し、
「ふむ・・・これなら?」
ライゼゴートが空いた手の平から追撃の火の玉を撃ち出していくも、イグリードは両腕で己を守り、耐え
「ならば・・・」
が、今度は宙に無数の火の玉を出現させた!?
「それ・・・」
その火の玉を雨を一点に集中させるようにイグリードにぶつける!
これにはさしものイグリードも耐えていたもののついに耐えかね吹き飛ばされる!
「イグリード!?」
何とか僕の前で止まるイグリード
「くそっ・・・!何だってんだ」
「弱い弱い、今の私なら環境にあった精霊種だろうとこれこの通りだ!!」
全手を広げ得意気に上機嫌に高笑いを上げるライゼゴート・・・!
ははは・・・
ええい!
「カンテーラ、カードバトル!」
「ええ・・・俺こんな熱いところで戦うのやだよ」
ちょっと、いきなり何言ってんの!?
あきれたように言い出した一言に僕は思わずカンテーラの方に振り返る、
「なんだよその文句言いたそうな目、核熱の場にはそれにふさわしい奴がいるって言ってんだよ」
え・・・?それって・・・?思わず他のダブモンの方に僕の目が行く
「私じゃないわよ~こんな熱いところで戦ったら正真正銘命にかかわるわ、兎白がやれって言うならやるけど~」
「そんな無茶なこと言わないよ・・・」
「順番は鼓動、お前の番だろ?」
「そうよ、私達は関与しないわ」
「ですねぇ・・・」
「俺にやれって言いたいんだろう」
イグリードが宙に浮き、僕の前に浮遊し、ライゼゴートを気合の入った目で見据える・・・
「そうだろ、鼓動、いや、相棒!かっこいいところ見せたいなら、今ここで前に出なけりゃな!!」
・・・だね・・・!
「ユネッタは下がってて!」
「は、はい!」
僕が前に出ると同時に、ユネッタは後ろに下がる、
「行こう!」
腰のポケットからデッキケースを取り出す、黒の立方体に中央に濃紫の宝玉が付いたものだが、
それが鮮やかにオレンジの本体と橙の宝玉へと色が変わる・・・
「最低限のカードの入れ替えはしとけよ」
おっとそうだった!
カンテーラの言葉に適当に生成されてたカードをデッキケースの蓋を入れて差し込み、同じ枚数のカードを抜いてカバンの中にきちんと入れる、落としたら燃えそうだし・・・
「ほう、デッキケースか、ならば、私も奥の手を出そう・・・」
すると、向こうもデッキケースを出してきた!?同じデザインの!
「さぁ、カードバトルだ、雌雄を決しようではないか、我が力、とくと見るがいい・・・!!」
互いの前に、溶岩のような橙色で左斜め前に緑の画面が付いた板が現れる・・・
向こうあいつ一人だけど・・・ええい、前回も似たようなことがあったし!
中央にデッキケースを置き、それが左の方に移動して中からデッキが外れながらシャッフルされ山札になってそこに置かれつつデッキケースが上下反転しながらさらにその外側に・・・
「通常ルールだ・・・!」
「いいよ!」
互いに山札から五枚カードを見ずに一枚一枚板手前に置いてライフカードとし、
続けてまたも五枚引いて左手に移して山札にする!
そうして、僕とイグリードはライゼゴートと対峙する!
「くふふ・・・ふはははは・・・人間よ、骨も残らず焼き焦がしてくれよう」ライゼゴートの目の奥が威嚇するように赤く光る・・・!
「行こうぜ相棒よう!!」対して、イグリードが威勢のいい声で鼓舞してくれる・・・!
さぁ、カードバトルの始まりだ!!
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