オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

氷漬け罪の雪女と氷精霊との出会い ダブモン!!6話/18

 
氷漬け罪の雪女と氷精霊との出会い ダブモン!!6話/18
 

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 大きな壁を突破してきた魔族の前に、今だ戦いは続いている、
 大きな荒野の中、匂うは土と血の匂い、空には黒々とした雲が渦巻く、恐らく魔族達が魔術の補助に呼び出した物だろう、
 その為にある程度以上は近づけない、近づくと多量の氷の礫や雷が降ってくるのだ、ただし、向こうの方にある雲のみであるほか、複数人必要な術なのか間隔がかなり開き、こちらの弓矢の射程、程遠くに届くわけでもない、しかし、それでもこちらを威嚇するには十分だ、
 「わぉう!」
 足元からの狼の声、こいつも一緒だ、血の匂いに興奮してやがる・・・
 俺達、剣と盾を構えた前線兵は、その雲の下を向かってくる魔族兵たちを押し返すのが役目である、一緒にいる狼たるこいつはその補助、
 魔族は見た目が人間と変わらないのも多いが、肌の色が違ったり、角が生えていたり耳が長かったり、人間よりも身体的特徴に富むことが多い、
 それよりなにより、魔力だ、人間よりも筋力が劣る代わりに持つそれは、様々な現象を引き起こす、
 ただし、筋力の衰えはそれで補い切れるかは五分五分の所、
 こちらは鉄製の剣および槍、と盾、兜に、革を下地にして、鉄のパーツを付けた鎧等を装備しているのに対し、
 向こうは槍の穂先と剣は鉄製なれど槍の持ち手は木、その他は革と布だ、ただし、槍と剣の刃先には奇妙な光が宿っている、
 雷や氷、火の光だ、へたに防ぐと感電したり氷漬けになったり火だるまになるという寸法である、
 何度か使えば切れてしまう物らしく、光が無くなったら後ろに下がって再度掛け直している様子が見られる、
 が、そんな戦法は百も承知、兵士の一人に一気に近づいて槍の穂先を切り飛ばしつつ本人を剣で突き刺し、
 残った穂先を適当に敵軍に放り込むと向こうで誰かが凍った、
 この手の戦法の対応策はきっちりマニュアル化されている、しかしながら、そこまでやれるのが少ないのか、こちらの仲間も凍ったり火だるまになったりしている、
 しかし、隊が崩れない限りそんなことに構っている暇はない、
 「そのまま進め!弓隊を守れ!壁まで押し戻せ!」
 上官の声に従い、俺達は前へと進んで行く、
 が、そんな中で、いきなり吹雪があたりに巻き起こり、まわりが足を止め、人によっては氷漬けになったりしている・・・!
 「ふはははは・・・この剣の前では、何人足りとて進めはしない!」
 吹雪が来た方向に見えたのは青い長髪の戦士、青く着色した鎧を身に着け、右手に青い刀身を持つ両刃の剣を携えている・・・
 「ふぅん!」
 右手の剣を振るうと同時にその刀身が光り、辺りに吹雪をまき散らした、それに足を止め、凍りつく兵士たち・・・
 なるほど、あの剣が大元か、それなら・・・
 近くで足を止めたやせ形の兵士のそばまで寄って、斜め後ろに控える、
 「お前、あの吹雪で動けるか?」
 「ダメだ、足が止まっちまう、盾で受け流さないと氷漬けになっちまうぜ・・・」
 「俺が後ろから押す、お前は盾で吹雪を防げ」
 「おい、それって・・・」
 横目で少し瞳孔の動く俺を非難するような目をしてくる、仕方無い・・・
 「安心しろ、近づいたら俺がどうにかする、帰ったら飯の一つでもおごってやる」
 「・・・わかった、」目線がようやく正面に戻った「飯の件、忘れるなよ・・・」
 「おい!誰かもう一人来い、こいつが盾になってくれるってさ!」
 「・・・」
 前の兵士があきれてか少し細まった目で押し黙る中で別の兵士が来て、盾役の兵士を前にして少しずつ吹雪生み出す奴の方に進んで行く・・・
 盾役の兵士が足を止めれば俺も足を止める、なんせ、これは・・・
 そうして、青い魔族の前まで来て、ようやくそいつが俺らを認識する
 「ほう、おしくらまんじゅうで地道にやってきましたってかぁ、だが、それもここまでだ!」
 大きく剣が振るわれるが、前のやつは俺達が支える中で放たれた吹雪を盾で受け流す、が、
 「う・・・腕が・・・」
 盾ごと左腕が凍りつく!
 「おい、外側に飛び出せ、飛びだすだけでいい」
 「わ、わかった」
 横の兵士に指示すると、本当に外側に飛び出す、よし!
 同時に俺は反対側から飛び出し、一気に青い魔族に向かう!
 青い魔族は左右同時に飛び出してきた俺達に一瞬躊躇したが、それでも対峙すべきが俺だと悟り、こちらに顔を向ける
 「馬鹿が!凍りつかせてくれる!」
 全力の青い剣の振込みしかし、その吹雪を姿勢をかわし、その一番威力のある部分をかわす、
 兜を通して髪の毛上部が氷漬けになるのを感じる、だが、それだけだ!
 「なにぃ!なぜ寒さで動きを止めない!?」
 「あいにくと、雪国育ちなもんでね!」
 「ぐ・・・くそっ!」
 がとっさに後ろに間合いを取り始める、ここで下がられては、もう一度吹雪がくる!
 「わぁう!」
 「ぐわぁ!!」
 すると、俺の影から現れた狼、ウルフィスがその足首に噛みつく
 ナイスだ!奴の動きが止まった!
 狙うは相手の剣持つ手の・・・腕!
 思い切り剣で叩き斬る、が止まった!
 「馬鹿が!防御魔法がかかっていないとでも思ったか!」
 馬鹿はそっちだ、鉄製でも無い、単なる青く着色した布、さらには剣から伝わるほんの少し硬い程度の感触・・・余程の防御魔法でもない限り・・・
 さらにさっき、ウルフィスの牙が同じく防御魔法がかかっているであろう魔族のズボンで覆われた足首を貫いていた、すなわち・・・この手首も剣で断ち切れぬ道理は無い!
 「たあっ!」
 相手の腕を斬り飛ばしたと瞬時に落ちた剣を奪い取る、
 試しに振って見たが、魔力が無いと使えないのか何も起こらない・・・仕方が無い、
 「お前ら、一旦引くぞ、前線の維持は他の奴らに任せ、俺達はこいつを上層部に持って行って手柄にする、異論は?」
 「無い、腕が凍って前線にいられそうにない、引く理由が出来たなら好都合だ」
 「しんがりは任せて!二人とウルフェスは早く引いて!」
 「わぁう!」
 「ま・・・待て!」
 そうして、俺達は上官の元へと引いていく・・・
 「おい、お前ら・・・」
 と、途中にいた弓兵に引きとめられた、だがな・・・
 「済まんが敵の兵器を手に入れた、上官に献上したい」
 「いやいや、勘違いしないでくれ、活躍は見てたぜ、ほら、入れ」
 一列に並んでいた弓隊に中に入れてもらいつつ、奥の布テントすぐそばにいた現場指揮官に相対する、
 「お前ら、ご苦労だった・・・!」
 鎧は俺達よりちょい重武装なぐらい、黒髪のを全て後ろに回したやせ形の中年男性だ、
 左胸に赤い丸地にH字の金字の中央金左右赤の勲章がぶら下がっている・・・
 「済まないが、一人負傷していてな、そいつ以外はこいつ渡したらすぐに戦場に戻るぜ?」
 「わかった、衛生兵達の所に行くといい、それよりもその剣を・・・」
 「わかってるって」
 が、それを渡そうとした際、かすかに後ろから何かが光ったのが、上官の顔に反射した、気がした、
 いつの間にか俺の脚は左に動き、倒れるほどに大きくそれを回避していた、上官もこれを見ていたのか、俺と同じ方向に避けていた!とっさに自分のいた場所に顔を向ける
 「こいつは・・・魔族の奴らの雷か!?」
 馬鹿な、ここまでは届いてこなかったはず、今までとの違いといえば・・・そうか!
 「まさか、この剣に雷を引き寄せる装置でも仕込んであるのかよ・・・」なるほど、保険はかけていたってわけね・・・
 「そうと考えるしかあるまい、君は、一旦隊たちの後ろに下がり、安全な所まで逃げろ」上官と共に体勢を立て直し
 「そういえば、雷、ずっと撃ってこなかったですねぇ・・・」
 ん?しんがりやってたやつの言う通りだいくら間隔が空くとはいえ、逃げる間まではいくらなんでも開き過ぎだ、
 そうか、剣は狙えるが、それをやるには時間がかかるんだな・・・!
 「君が下がってくれれば、それだけ、軍は前へと進める・・・」上官の言葉に、俺は上官を見据え直し、答える
 「了解しました、ウルフィスは?」
 「君以外にはなつかんかっただろう、連れて行け」
 「了解」
 そして、俺達は軍の裏まで下がって走り出していく、
 どこまで行けばいいだろうか、だんだん疲れて来たな・・・ジグザグに動いて雷を避けて行く中で、いつの間にか雷も来なくなった、
 すでに届かなくなっているのだろう・・・
 故郷のある雪の台地のそばまで来てしまっているが・・・
 ん?あそこは・・・氷の洞窟のこちら側の出入り口・・・?
 ちょうどいい、あそこに身を隠そう、少し寒いが致し方ない・・・
 洞窟の入り口へと差しかかり、
 そこで、強烈な痛みと痺れと閃光が走る、
 まさか・・・薄れゆく意識の中で俺は悟った、そう、洞窟に入るところを狙い撃ちにされたのだ、洞窟の入り口という逃げ場のない場所で、
 雷を撃ってこなかったのも俺を油断させるためのフェイクだったに違いない・・・
 「ふか・・・く・・・」
 そうして、俺の意識は、あっさりと闇に帰してしまった・・・
 
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