氷漬け罪の雪女と氷精霊との出会い ダブモン!!6話/17
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洞窟探索6
「おい、またなんかいるぞ・・・」
冷たい通路を歩いて行った先に出た場所、突如開け空気が澄む、大きな広場のような行き止まり、
そしてやっぱり、その先にも狐のダブモンと思わしき存在がいた、
どうやら、広い場所一つ一つがダブモンの住家に近い感じになっているらしい・・・
「やぁやぁ、すまないがこの先には通せなくてね、帰ってもらえないか?」
そこにいたのは雪のような白い体躯のおとなのキツネ型のダブモン、
後ろの方には透明かつ中に何か入った氷の尾が八本、計九本の尻尾が存在している、
ユキギツネが成長したかのような姿だ・・・
「あら、フブキツネじゃない」
なんだ、フリィジア、知り合いかな・・・?
フリィジアがフブキツネと呼ばれた方に向かって飛んで止まる
「こんなところで何してるの?」
「何してるのかとはお言葉だな、彼女の機嫌が直るまで、誰も通さないようにしているのさ」
「彼女・・・ああ、なるほど、私の友人の・・・」
フリィジアが僕達に聞こえるように解説してくれる
「君一人なら、氷を操って延々迷わすことも出来そうだったけど、あいにくと、後ろの彼らはそうじゃないっぽいからね・・・」
「え・・・私を迷わしてたのって・・・あなたなの!?」
フリィジアが驚愕の表情を浮かべるも、フブキツネは涼しい感じで
「やれやれ、彼女が誰とも会いたくないというから、こうやって協力しているというのに・・・」
その言葉に、俺は思わず声を出す
「じゃあ、騎士団をやっつけたっていうのは・・・」フブキツネの視線が僕に向いた
「それは彼女が感情的になってやったことさ、私はむしろそのフォローに回ってるんだ、感謝されこそすれ、恨まれる筋合いはないね」
「でも、交通止めに・・・」
「それは人間たちが勝手にやったことさ、もっとも、今のこの洞窟は、彼女の感情を受けてか、ダブモン達がピリピリしていてね、無駄に入り込まなかったのは正解だったな」
そういう中に俺達が飛び込んだってわけか・・・でも、そうでもしないと、やっぱり交通止めは撤回されそうにないしなぁ・・・
「というか、私じゃなくてなんでこの子たちは足止め出来ないと踏んだのよ・・・」
「ああ、その話・・・」
そう言って、フブキツネが改めて僕達の方を見据える
「そこの・・・カンテーラだろ、案内屋の」
「そうだ」
フブキツネの問に、カンテーラがこともなげに答える
「なら、仕方が無い、君の一族は正しい道を探すのに長けているからね、それに、炎で氷を溶かされもする、氷で道を塞いだりするのには限界があるのさ」
「それなら、その後ろの氷壁の向こうにこそ、正しい道があるっていうのは俺の勘であってるってわけだ」
「ははは、まさかもう見破られるとは思わなかったよ」
え・・・?先の方を見るが、フブキツネの後ろには通路など断じてない、氷壁があるだけだ
え・・・?だが、カンテーラを疑う理由は・・・無い、今までの実績から言っても、つあり・・・あるのだ
「ええ~っ!?「ええ~っ!?「ええ~っ!?」
「えええ~っ!?」
思わず俺達は大きな声を上げた、実際、奥の方は行き止まりにしか見えない・・・
「氷に空気や土を混ぜて先に何も無いように見せかけているだけだ、この先から氷の力が漂ってきてる」
「やはり・・・ごまかし切れなかったか、」少しその目を伏せるフブキツネ「私がいなかったら、難なく突破されていただろうね、でも、」再び僕達に視線を向けるフブキツネ「先に進ませるわけにはいかないんだ」
「ちょっとちょっと!」
フリィジアがフブキツネの前に躍り出る!
「さっきから聞いてたら、会わさない、会わさないって、何の権利があってそんなこと言うのよ!」
「彼女が悲しみに囚われているからさ、悲しみを癒すには時間が必要だ、そうだろう?」
「でも、このまま一生この洞窟から出ないなんて状況になったらどうすんのよ!ともかく会わせなさい!話をさせなさい!!」
「それでまた何かのきっかけに落ち込んじゃったらどうするんだい?それに、会話したくないって言われたら?」
「会話したくないって言われたら、今回は引き下がって間を開けてまた来るわよ、とにかく、あんたじゃなくて、あいつと話をさせなさい!」
「やれやれ、往生際の悪い・・・そういえば、昔から君はそうだったね、致し方無い、少し、力の差を思い知ってもらおうか・・・!」
フブキツネの周りに白い冷気が目に見えて集まって行く・・・
「あら?氷の洞窟で氷の精霊に氷の力で挑むわけ?チャージゾーンにカード差が十枚以上あるようなものよ?」
「君こそ、力の差という物を思い知ったほうがいい・・・」
フブキツネの冷気が、九本の尾をより大きく拡張させる
「よっ!」
そして、本体とつながる尾の部分以外をフリィジアに発射した!
「甘い甘い!」
それを宙を横に滑るようにしてきっちり避けきるフリィジア、
「これなら?」
今度は新たに生成した氷の尾を上に射出、フリィジアの周りに壁のように落とした、阻まれるフリィジア
「あら~?」
「終わりだ」
そこに、別の撃ち出された尾が降ってきて
「なぁんてね」
フリィジアがその槍をくるりと体の周りに回した瞬間、
槍の刃先に触れた周りの氷の尾が重々しく割れる音立て崩落する、
「なっ!?」
フブキツネが驚く暇もあればこそ、
上に突き出された槍は、降ってきた氷の尾を触れた瞬間瓦解させる
「私は氷の精霊よ、ちょっと、氷に干渉するだけでこういうこともわけないわ」
「そんな!?ダブモンの力で相手からの影響力は抑えられているはずなのに・・・こ、この!」
さらにフブキツネが氷の尾を射出していく
「ふんふふんふふ~ん」
それを宙を時計回りに回ったり横に回ったりしながら飛ぶフリィジアが、時に避け、時に槍の切っ先を触れさせて砕きながら進んで行く・・・
「ううう・・・たぁっ!」
しかし、フブキツネが突如前方に跳躍、尾を大きく上に上げ、近寄ってきていたフリィジアに叩きつけた!
ズドン!
だが・・・
「いやぁ・・・良い毛皮してるわねぇ・・・」
氷でできた尾は砕け、残ったフブキツネ自身の尾には頬ずりなどしているのだった・・・
「そんな・・・そんなばかな・・・」
目を見開き、またも驚愕の表情でフリィジアを見るフブキツネ・・・
「じゃ、先に行かせてもらうわね~」
そうして、フリィジアはフブキツネの尾から離れ、洞窟の奥中央まで行き
「この辺かしら~ま、何でもいいわ」
槍を一振りして穂先を洞窟の奥に一直線に当てると・・・
大きなガラスが割れる様に洞窟の奥が崩壊、先にぽっかりと空いた穴が出現する
そこで、フリィジアは振り返って笑顔など見せ、
「ほら~早く行きましょうよ~兎白~」
「ああ、はいはい!」僕は皆の方に顔を向け「みんな、行こう!」
「だね!」「おう!」
「進みましょう」「です!」
そうして、俺達はフリィジアと共に奥に
「なぜだ・・・なぜだ・・・」
「状況が悪すぎただろ」
ん?カンテーラ?
「平地だったら、あいつに勝てたはずだ、肉弾戦でも挑めば、氷の力を礎にしているあいつは、平地じゃ、お前よりもスタミナがもたなかっだろう、お前は明らかに、あっちのフィールドで戦っちまったんだよ」
「う・・・ぐっ!それでも、私はここで挑むしか・・・なかったんだ・・・」
「だったら、もう少し頭を回すこった、少なくとも、ここはお前の方がホームなんだろ?」
「・・・そうだな、冷静さを欠いていた、向こうの情報が無かったのも悪い、次からは、もう少し情報を集め、そして、考えよう・・・」
「そうか、じゃあな!」
そうして、カンテーラがこちらに来る
「何話してたんだよ?」
「べっつにぃ~」
そんな良星とカンテーラの会話を聞きつつ、俺達は、洞窟を奥へ奥へと進んで行くのだった・・・
多分、この先こそが目的地・・・!
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