バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/08

 
到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/08
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宮殿-3
 
 暗い中、宮殿をようやく二階へと上がる
 二階も一階と同じく白い通路が左右に続き、左右見回しただけでもところどころに分岐路や端にはT字路、壁には木の扉が点在している、
 多分、他の階層もこんな調子なのではないだろうか・・・?
 「カンテーラ、ウィルピー、気配は?」「いいタイミングで登ってくれたんだよな?」「このまま見つかって捕まるとか嫌だからね、僕・・・」
 俺が指示を飛ばす間にも口々に意見を言い募る兎白と鼓動
 「周囲に気配はない・・・はず・・・?」
 「近くに気配がしますです、うかつでした・・・」
 「気配ってあれ?」
 四葉が右側の方に右手を伸ばすと、先の十字路を通りすがるように一匹の猫が歩いている、
 少し虎縞のある野性味ある焦げ茶と薄焦げ茶の猫だ、
 しなりとした四肢に少し長めの尾、少し平べったい顔と三つ口を持つ
 「可愛い~」四葉が女の子のような(女の子だけど)上気した声を上げる「ここの飼い猫かしら?首輪無いから野生かな?」
 「階段の方に隠れろ!」
 「え?」
 いきなりのカンテーラの言葉に驚き呆気にとられる四葉
 「いいから!お前らも!」
 「了解!」「了解」「了解~」
 ここはカンテーラに従った方がよさそうだ、こっちの猫が俺達の世界の猫と同じとは限らないわけだし・・・
 「ほら、四葉さんも」
 「え、えぇ~」
 四葉が戸惑いながらも、ウィルピーに引っ張られ俺達と共に階段にひそみ、しばらく・・・
 「・・・行ったようだ・・・」
 カンテーラの声に、俺達は顔を上げる、なるほど、確かに先ほどの猫は影も形も無い・・・
 「早く出ましょう、右側の方にいきましたから、反対側の方に」
 「俺とウィルピーが誘導する」
 二人の指示に従い、急いで階段から出て忍び足で走り出す・・・
 斜め交差に作られた窓枠の向こうに月の夜空を写す廊下に出て右に曲がり走る俺達・・・
 「ちょっと、動物にまで警戒することないんじゃない?」
 後ろの方からの抑え気味の四葉の非難の声、しかし、あの猫、本当に警戒しなくてもいい猫だったのか・・・?等と思っていたら・・・
 「さっきの猫の事か?」
 「あれ、ダブモンですよ」
 「え・・・?」
 カンテーラとウィルピーの発言に、俺も内心驚く中で、四葉の目が走る中でその驚きに開かれる、確かに、普通の猫にしか見えなかった・・・
 「恐らく、サニャ―ラというダブモンだ、体内から微かに火の力を感じた」
 「普通の動物は火の力とか、あまり持ってないですもんね・・・」
 なるほど、しかし、よく考えりゃ割と装備とか外したら普通の動物と見分けのつかなそうなダブモン、いるもんなぁ・・・
 「げっ!?」
 カンテーラがいきなり動きを止め、窓と反対側に続くT字路のこちら側に身をひそめる、
 「どうした?」「先に何かあるのか?」「ちょっと見てみていい?」
 何かの気配を感じたのか?
 俺達三人がT字路の先を見ると・・・しばらく行った先の左手側の壁に、階段があった、
 が、問題はその前にいる奴だ、先ほど見回っていた、サニャ―ラがおすましの様にちょこんと四つ足で座っているのだ、
 呑気にもあくびなどしている所から見て、俺達には気付いていないと思うのだが・・・ううむ・・・
 「あれ、どうにかして退かせないのか?」
 「って言われてもな、俺達の力を使ったら気付かれる恐れがあるしな・・・」
 「勝手に行ってくれると助かるんですけど・・・」
 え~・・・
 「なぁ、あいつって、本物の猫とどれくらい生態が近いんだ?」
 「ああ、それがわかればどうにかなるかも?」
 兎白の言葉に鼓動が賛同する、
 「普通の猫とあんまし変わらんと思うが・・・」
 「元となった動物とあまり変わらないことが多いですからね・・・」
 「でも、仮に見張りとかだと言われてあそこにいるなら、そう簡単にどかないと思う、向こうにレダクロもいるっぽいし・・・」
 「確かにそうですね・・・」
 確かに暗闇でわからなかったけど、向こうの一番奥のT字路左の壁際に黒い影が・・・
 なるほど、カンテーラが慌てた理由はおそらく、チャトラニャというより、あのレダクロの存在があったからだろう・・・ここに入る前にも警戒していたし・・・
 さて、どうするべきか・・・レダクロはダブモンの気配に敏感でこちらはあまり力を振るう事は出来ない、
 でも、あれをうまく遠ざけられれば、今後、力を大袖振ってと言わないまでも微量程度には使えるに違いない・・・
 ううむ・・・力、感知・・・あ!
 思わず後ろにいたカンテーラに顔を向ける
 「カンテーラ、こういう炎の飛ばし方出来るか?」カンテーラの耳がある辺りに近づいてゴニョゴニョ小声で話し、顔を離す「後は、もう一つの道の先の曲がり角から、階段まで近づけるかどうかだけど・・・」
 一旦もう一つの道の先にある曲がり角に行き、曲がって直進、さらに階段がある辺りの少し先の直進と右方向の分岐路を右の階段のある方に曲がり、階段が見えるかなりギリギリの十字路まで近づけた、
 わざわざ顔を出して確認しなくても位置関係から廊下は繋がっているだろうと思う・・・
 よし!一気にサニャ―ラを見つけた窓の所、サニャ―ラからは見えないところまで戻る・・・
 「カンテーラ!」
 「無茶を言ってくれるぜ、うちの相棒は・・・」
 「僕もコントロールに協力します!」
 カンテーラとウィルピーがサニャ―ラから見えないような位置の雲がほんの少し出始めた夜の窓際まで飛んで窓の外に炎を小さく弱く、星と見紛うほどに弱く小さくに飛ばし、そのままカンテラを持つ手に力を込め一気に遠くまでに飛ばす!そして、一点にとどまらせて軌跡を消しつつ、一気に力を膨らませ爆発、レダクロに気付かせる
 そこで一気に俺達はさっき曲がってきた曲がり角の通路の影に、
 窓際にサニャ―ラとレダクロが駆けてきて、光が消えていく窓の外を見る、
 レダクロがフクロウのよプな丸い体をまるでカラスのように体を伸ばして注視し
 「何だあれは?ダブモンか?力を感じるが・・・」
 「ニャー」
 チャトラニャがレダクロに向け四足ですまして顔を上げ、鳴き声、というより、何かの言葉をかけている気がする
 「確かに、野生のダブモンかもしれない、少し調査してこよう、」サッと素早くチャトラニャを見るレダクロ「君は階段の方に戻って」
 まずい!
 慌てて俺達は階段の方に向かって走り出し、先ほど通った分岐路の先で、こちらにまだチャトラニャが来ていないことを確認し、
 「ははは、わかっているさ、単なる調査だ、心配することはない」
 「ニャー」
 向こうが何事か話している間に急いで階段を駆け上がり階段の左右の陰に分かれ隠れ、
 そして、上から下を覗き見ると、先ほどのサニャ―ラが戻って来て、最初に見た時と同様に澄まして座った、そこから左右を微小に見回し眠そうにあくびを一つしたものの、他の動きをする様子は無い
 「ほっ・・・」
 「ほっ・・・」
 「ほっ・・・」
 「安心してるところ悪いが、もうすぐ人が来る、早い目にここを離れた方がいい」
 ええ・・・一難去ってまた一難とはこのことかよ・・・
 
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