到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/29
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
が、オオキバイの口の動きが止まった・・・
「ギリギリ、間に合ったな・・・」
なんと、その口の根元に、カンテーラの右手の剣が差し込まれていた・・・
「カン・・・テーラ・・・」
「貴様!生きていたのか!?」
アグニスの驚愕の声が聞こえる、
「うまく、芯は外させてもらった、さ、早く引け・・・!」
足元にカンテーラが巻いたであろう炎が放射され、ネクロスがあわてて引く、
自由になった俺は、一旦後ろに下がり・・・
「ふん、まぁいい、お前達は我らが魔族が、裁定の剣を手に入れるのを見ているがいい、裁定の剣を手に入れ、魔族がこの世界の覇権を握るところもな!!」
オオキバイが俺達を警戒しながら後ろに退がり、その向こうにアグニムの姿が見えた、
俺は先ほどの高圧的な言葉に、一つの疑問が浮かび、口外へと紡ぐ、
「なぁ、裁定の剣って一体何なんだよ、なんでそれを手にすることが魔族が世界の覇権を手に入れることになるんだ!?」
「裁定の剣とは、神と魔を殺す剣、すなわち、その剣で持って、魔王を滅すれば人間がこの世界を支配し、そして、女神を滅すれば、魔族がこの世界を支配する権利を得るというわけだ!!」
「な・・・!?女神や魔王が死ねば、人間や魔族も一緒にいなくなるってことかよ!!」
「そうかも知れないし、そうでないかもしれない、だが、少なくともこの世界の覇権は約束される!!これこそ、古代からの魔王と魔族、女神と人間が争いあってきた理由!!人は欲におぼれ、この世界を欲し、魔族は魔王の正義の元、この世界を守らんとするのだ!!」
アグニスが切り強くマントを翻した後、カードが回収されたデッキケースを取り、腰元に戻しながらもケージに入った裁定の剣の元に近づいていく、
だが、俺達はそれを黙って見ていることしかできなかった、
俺達の事はオオキバイが見張り、カンテーラはああは言ったが肩で息をして姿勢を保つのがやっとな満身創痍、
ウィルピー一体じゃどうにもならないだろうし、あいつの後ろにはネクロスが付いている・・・
せめて、オオキバイが消えれば四葉達が、とも思うが、それもあのカードバトルの実力を見れば時間稼ぎにしかならない気がする・・・
どうにか手は・・・
そう考えているうちにも、アグニスは裁定の剣の目の前まで歩いてケージをその刀で上少し正面に吹き飛ばし、裁定の剣を見つめ
「・・・こいつは偽物だ!!」
「え!?」「おいおい・・・」「やっぱり・・・」
「ウィルピー、どう?」
「私にも周辺の気が乱れてて何とも言えませんが・・・ケージを解放してわかったんですけど、おそらく、エネルギー量が足りていない・・・」
「その通り、こんな矮小なエネルギー量ではないはずだ!魔術によって凄い力があるというように見せかけているだけ、はっ!」
言い放ったアグニスの刀を振り払うような一撃に、剣の刀身はまるでガラス細工のように簡単に砕け散り、風に消えてしまった・・・
「本物の裁定の剣であればこんなにもろいはずがない!こいつの大元はこれだ!!」
と剣が突き刺さっていたはずの本をその左手に取って持ち掲げ俺達に見せる、
が、剣が刺さっていたはずのその本には、傷一つさえもついてはいなかった・・・
「こいつはマジックブック、誰かがこの本に細工をして、さも裁定の剣であるがごとくに見せかけたのだ!!」
マジックブック・・・?なるほど、魔力を持つ道具なら、確かにそういう芸当も可能か・・・
「っつ、まずい・・・兵士が・・・」
兵士・・・?
「どういうことだよカンテーラ!」
「俺達が来たルートから、兵士たちが囲うように迫ってきてる、この闇は下の方もカバーしているらしいが、それももうすぐ尽きる・・・」
「下らない!行くぞオオキバイ!」
アグニスがいきなり跳躍してオオキバイの首の上に乗りこんだ、
「おい、どうする気」
「はっ!」
すると、振り返って歩き出し跳躍、一気に天井を壊しつつ屋根の上をさっそうと歩いて行く・・・
それに対し、兵士たちが左右から来て俺達に気付かずにアグニスとオオキバイを追って行った・・・
「おい、闇の結界消えたし、兵士たちの気配も向こうに行っちまったぞ・・・」
「今のうちに脱出しましょう、四葉さん、みなさん」
「わ・・・わかった・・・」
デッキケースを取り、俺達は次に来るかもしれない兵士を警戒しまったく別の方向、左手の表通りとは反対側の方に急いで移動、円状の部屋を夜空に抜け、走る、
「浮かばせることはこの体力じゃ無理でも、出来る限り滑空しつつゆっくり下ろすことはできる、一旦宿とは別方向に行って尾行がいるかどうか確かめ、いなかったら宿屋に戻るぞ」
「四葉さんは私に掴まって下さいね」
言われるがまま、俺達三人はカンテーラに、四葉はウィルピーに掴まり、
「それじゃ行くぞ、ちゃんと掴まってろよ!」
「行きますですよ~っ!!」
一気に裏の街に向かって飛び込んで行く!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――