到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/24
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
街中-8
「やーうまかったな~」
「薄い目の小麦粉の生地を焼いたものに」
「香辛料を聞かせた鳥の焼き物!!」
「・・・」
「いやいや、おいしかったですよ」
「サービスがいいっつーのは、本当だったみたいだな・・・」
部屋に戻り、俺達は分かれてベッドに腰掛けそれぞれ食事の感想を言う、
白い壁と天井、木の床、ちょっとした開閉木の立て付きの窓があって反対側に扉が、
縦方向に四隅にベットがあり、そのそばにそれぞれ引き出し付きの小さな木の台がある、光源は上にぶら下がっている火のランタンだ
「で、四葉、さっきから黙りこくってるけどどうしたんだよ?せっかく二部屋取ったのに・・・」
「そうだぞ、そこのベットは俺のだぞ!」
そう、俺達は四隅のベットにそれぞれ腰掛けているにのだ、が、本来俺の隣のカンテーラがいるべき俺の正面のベットには、なぜか四葉とウィルピーがいる、
俺はそちらを見据え、話を進めていく、
「っていうか、何か話があったんじゃないのか?食事時にそんなこと言ってたよな?」
「何を話したいんだよ?」
「僕達でよければ相談に乗るよ?」
「・・・じゃあ訊くけど・・・」不意に四葉が考え伏せていた目を上げ俺達を見据える「裁定の剣って、あれ、本物だと思う?」
裁定の剣・・・ねぇ・・・
「そういや、お前、裁定の剣の事聞いた時から、妙に考え込んでるよな?」
「ウィルピー?カンテーラ?わかる?」
無視すんなよ・・・そりゃ俺達の意見じゃ意味ないけどさ・・・
「確かに妙な力は感じるですよ?あれは裁定の剣かもしれないと言われたらそうかもしれないと感じるです、でも、いまいち確信がもてないんですよねぇ・・・」
「俺よりもウィルピーの方が正確に感じてるみたいだな、俺も妙な力を感じたが、裁定の剣かどうかはわからん、そして、確信を持てないのは一緒だ、近くで調べられれば別だが・・・」
ウィルピーとカンテーラが四葉のみならず、みんなに答えるように話し、次第に互いに向けて会話して行く
「そうですよ、近くなら私も真贋の区別がつくかもしれないです、しかし、近づけさせてくれるでしょうか・・・?」
「俺はともかく、ウィルピーはあれの関係者みたいなもんだろ?本物ならともかく、偽物だったばあい意地でも近づけさせてくれないだろうな、気付いてない場合は別だが、だが、金儲けに利用しようとしているなら、偽物である可能性は1%でも捨てたいんだから、近づけさせてはくれないか・・・偽物だと言われても困るだろうし・・・」
「なるほど・・・よくわかったわ・・・」
何がわかったんだよ・・・っていうか・・・
「四葉、そろそろ俺の質問に答えてくれ、嫌なら嫌でいいからさ」
「そうだな、何か答えてほしいところではあるな」
「無視は嫌だよ~」
と、俺達の言葉を聞いたのか、四葉の目つきが不意に鋭く、真剣なものとなる、
「ねぇ、裁定の剣って、何だと思う?」
「へ?」「は?」「え?」
「ううん、正確には、何ができると思う?世界の命運を握る剣、神も魔も殺す剣、そんなこと言われたら、出来ることはたった一つじゃないの?」
「・・・女神を殺す剣か・・・」
「そうよ」
俺の言葉を、四葉が厳粛に肯定する
「ふむ・・・確かに、アクリスの言葉を聞く通り、魔法じゃ女神は殺せない感じのことを言ってたな・・・」
「魔法で殺せないなら・・・物理も怪しいんじゃないかな・・・?魔法で物理攻撃するって手もあるだろうし・・・」
兎白と鼓動もそれぞれ意見を述べる
「そうだな、本来は殺せない世界の創造神を殺せる剣なら、大仰しい名前や称号にも納得は行く、で、お前はそれでどうしたいんだよ・・・」
「決まってるわ、脅すのよ」
「脅す・・・?」
「このまま、善行の内容がよくわからずに突き進めっていうの?」
「それは・・・」
思わず少し目をそらしてしまう・・・
「いつまでもこの世界にいるつもりはないわ、女神の力で死を戻せないってことは、寿命で死んだらどうにもならないってことじゃない!!」
視線が戻りながらも俺達自身の浅はかさから口角が引くつくのを感じる・・・
「・・・確かに・・・」「そうだな・・・」「だね・・・」
「私はそんな悠長な事する気はない、願いを叶えたい、ただそれだけよ、でも、基準の無いまま何をすればいいのかわからないまま動くつもりはないわ」
「基準なんて無いとか、適当だとか言われたら」
「その時は作らせるだけよ、少なくとも、私の分わね!」
四葉が腰に両拳を当て、意味無く胸を張る、
「その時は、あんたたちも随伴させてあげてもいいわ!!」
「・・・」「あ~」「あはは・・・」
俺があきれてる間にも、兎白と鼓動があきれと苦笑いの反応を示す、が俺には訊きたいことができた
「で、その基準がもし、魔王を倒すこと、とか言ってきたらどうすんだ?」
「倒すわよ?それこそ勇者の仕事でしょ?」
・・・確かにそうなんだが・・・何だろうな・・・何か引っかかるんだよ・・・
「神も魔もって言ってるってことは、一応、魔王も倒せる、って事でしょ?アクリスの話を聞く限り、女神と魔王の因縁は数十年じゃ効かない、そして、女神と同じく魔法でも物理でも殺せない可能性が高いわ、そうじゃないなら何代か代替わりしてそうなものだし・・・」
「まぁな」「確かに・・・」「だねぇ・・・」
そして、四葉が再び、俺達の方を見渡すように見据える・・・!
「で、どうすんの?私は、あんたたちが止めてもあれを手に入れに行くわよ?」
「とは言っても、引き換える金はないだろ?近くで見るだけで大金貨一枚、仮に借用するにしても、実物を手に入れるにはどれだけいるやら」
「金なんて用意しないに決まってんじゃない」
あ~だろうな~
「ん~盗みは感心できないが・・・」「俺も・・・」「僕も・・・」
残念ながら、俺の意見は少し違うけど・・・
「・・・女神を納得させた後、返す、って約束するなら・・・」
「あ~そうなっちゃうか~」
「ううん、僕は反対だなぁ・・・」
「剣の前まで行って、本物かどうか確かめて、その場で女神を呼び出して協議する、女神が出てこなかったら・・・その時はその時で考えるさ、一旦脱出して商人に協議するか、他の手段に訴えるか・・・こっちに危害を加えるなら強硬手段でも構わない、これで?」
「とりあえずそれでいいわ、決まりね」「時間は?」「早い方がいいわ、今夜、皆が寝静まった頃に、ウィルピーを使いに寄越すわ」
と、俺は左右両隣りに目配せを送り
「兎白、鼓動は?」「行くよ」「二人が心配だもんね」
「私達は強制参加なんですね・・・」
「ついでに俺もそうっぽいな・・・」
「あんたらいないと裁定の剣が本物かどうかわかんないでしょ」
四葉が声を響かせ、不意に立ち上がって俺達を見る
「それじゃ、後で呼ぶわね!」
「それじゃ、私もこれで!」
そう言葉を残し、四葉とウィルピーは扉へと歩き、その扉からこの部屋を出て行ったのだった・・・
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――