バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/23

 
到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/23
 

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宮殿-8
 
 「なぁ、カンテーラ?」
 「ん、なんだよ?」
 砂の壁の前で立ちすくむ俺におぶわれたままのカンテーラが応える
 「例の剣はこのすぐ上なのか?」
 この建物の高さからして登ってきた分換算するにそろそろ屋根辺りだと思うのだが・・・
 「ああ、気配から察するに、この砂の壁の階段を上がったすぐ先っぽいな、それが?」
 「なら、決まりだな・・・」
 チラリと左、出来る限り壁際の方を向く、まさか全部の部屋にあれが無いわけではあるまい・・・
 「とにかく、出来る限り外側の部屋を一通り周ろう」「外側の部屋・・・あ」「そういうこと、良星!」
 「大体察しついちゃった・・・」
 「いいから行くぞ!」
 夜の廊下を走り出し、警備員を注意しつつ、出来る限り時計回りで外側にあった扉を一つ一つ調べて行く、
 鍵付きで開かなかったものがいくつか、他に開いたものが少しあったものの、その先は倉庫だったり、机とベットと窓があるだけだったりしたが、
 一周し砂壁より最初に近づいた窓へ戻りつつあるその中で、その扉は開いた・・・
 比較的広めの室内で、下に赤の絨毯が敷かれ、正面奥に優美な天蓋付きベットがあり、右手には端の丸まった装飾の付いたタンスやらクローゼットが並んでいる、
 恐らくは、上客用の寝室なのではあるまいか・・・?
 左手側に少し出っ張ったベランダがある、街中であるせいなのか高さがあるせいなのか、砂が多量に入り込んでいる気配はない、
 扉を閉め、急ぎそちらのベランダに行く、眼下に所々に少な目に火の明かりのついたマジカラの街並みが見える、ただし、その奥には白い塀と砂漠が・・・
 そうか、この辺りは門側か・・・火があるって事は人がいるってことだよな、まずいな、早いうちに行かないと・・・
 明かりがついているのは酒場か、あるいは深夜まで何かしている人達だろうか、とはいえ、夜も深いためか人影が真下の警備以外全くない上、浩々と明かりがついている状態でないのはありがたい・・・
 上を見ると・・・よし、ベランダの上に屋根は無い、
 「カンテーラ」
 「はいはい、休憩終わりってことね、壁に沿って極力お前らの手で進めよ」
 出入り口脇からベランダの手すりに乗ってカンテーラに協力してもらい、背を押してもらいながら両手両足をカベに付けて一気に上にのぼる、
 上の屋敷の屋根の形状は全体が一体化したような四角く白い屋根、その上、中央と斜め角に金の玉ねぎ状の屋根が乗っかるとてもみじか太い円柱があるという感じか、
 中央のみ屋根の下にくりぬいたかのような空間があるものの、その空間含め、屋根の上には誰一人として人もダブモンもいない、
 もっとも、いなかったからこうやって来たのだが、誰かいたらカンテーラかウィルピーが言うだろうし・・・
 幸い、外側に下がるように角度は少しあるがしっかりと少し奥まで登らせてもらったおかげで落ちることはなさそうだ、
 「へぇ・・・こうなってるのか・・・」
 「なんかすごい、こんなところ、物語でも登らないよ!!」
 「早く行きましょう、誰かが見るかもしれないわ」
 そんなこんなで見てる間にも、背後から残り三人の声が聞こえて来た、俺に続けて昇ってきたのだろう、兎白、鼓動はカンテーラが、四葉はウィルピーが登らせてきたのに違いない、
 そして、四葉の言う通り、確かに、下にいる人間や今までの俺達の痕跡から見つかる可能性がある、
 それに、長い時間居れば、それだけ、その間に見つかる確率は高まって行く・・・
 「落ちそうになったら助けてやるから行こうぜ」
 「階下に気付かれないよう極力静かに、ですね」
 ウィルピーの言う通り、屋根上でドタバタやったら下の人間に気付かれる・・・か・・・
 静かに中央の塔にまで一気に走り近づく、
 どうやら中央部分は四隅の柱のみで玉ねぎ状の屋根を支えほとんど内部が野ざらしのようだ、
 いざって時は、カンテーラに窓の格子を切ってもらうとかしてもらうつもりだったわけだが・・・
 だが、少し怪しくないか?空を飛ぶダブモンとかもいるんだぞ、そいつらに何かされたら・・・?
 「待て」
 カンテーラからの声に思わず俺達は立ち止まる
 「風の結界だ」
 「風の結界って・・・前に女神の神殿であったやつか!?」「あったな、そういえば、全く見えなかった・・・」「だとするなら、僕達じゃ感知できないよね・・・」
 「ウィルピー」
 「いやぁ、カンテーラさんが先に声かけちゃったもんで、私も気付いてましたよ、本当本当、です」
 「女神の神殿のやつよりかはずいぶん弱いものだよ、さすがに女神の神殿守るために選ばれたであろうダブモンやその眷属と金持ち雇いの物と比べるのは悪いだろ、」そう言って、カンテーラはまじまじと結界の方を見据える「・・・多分、張ったのはレダクロともう一種、あの入り口にいた蜥蜴のダブモンかその同種のやつだろうな、異なる気配の風が混ざり合っている、仕掛としては、風の力で防御しつつ手を出されたら風の気でも送って結界を張ったダブモンや見張りのダブモンに知らせる、といったところか、だが、これぐらいなら気付かれずに隙間を作れる、シャドウブレイド!」
 カンテーラが右手から両刃の刃を出現させ、縦に一気に切り裂く、
 「ほら、早く内部に」
 「了解」「わかった」「すぐ入るね」「借りにはしないわよ」
 カンテーラの刃の上の方から飛び込むと、無理矢理開かれたせいか耳元で風の唸りが聞こえてきた、
 もしかして、この辺りで風が強いのって、高層階というだけじゃなくこの結界の影響もあるんじゃ・・・?
 そんな事を考えているうちにも、二段ほど低い屋根の内部に突入、着地、
 俺に続いて、兎白、鼓動、四葉、ウィルピー、そして、カンテーラも入り込んできた気配がした、
 中央内部は床が夜空をそのまま映すかのような青く美しい一枚岩を磨いてそのままはめ込んだかのように構成され、
 無機質な四つの柱に床と白く丸い天井が夜光に生える神秘的な空間となっている、
 もっとも、右手部屋中央側にある四角い階下への階段が砂でふさがれていて、雰囲気を阻害しているが、
 そして、それらの中央に、台座とガラスのケースと共に、下に刃先を向けこちらに刃を向け、それは置かれていた、
 端的に言えば開かれた本に刺さった剣である、
 「あれで・・・いいのか・・・?」
 「間違いない、」カンテーラがふわりと宙を俺の側より少し前に出る「俺とウィルピーが見た裁定の剣だ・・・」
 その時、向こう側に現れた黒い影が、剣を振るい、風の結界を吹き飛ばした!!
 
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