バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/15

 
到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/15
 

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街中-5
 
 本屋を出て、俺達は街を行く、
 「そういえば、マジックブックって何のためにあるんだよ?」
 「え?マジックブックかい?」
 先を行き横から少しこちらを向いたこいつがマジックブックで絵を動かした時に不思議に思ったのだ、
 てっきり、呪文をかくとその通りに何か起こると思ったら、絵が動いただけだし・・・
 「マジックブックはね、遊びに使う道具なんだよ」
 「遊び・・・?」
 「遊びって?」
 「遊びに?」
 「遊び・・・ねぇ」
 「そう、マジックブックに書かれた選択肢を選んで物語を進めたり、指で絵を動かして決められたルールの中で勝敗を競ったり」
 なるほど、そういう物なわけだ・・・
 「実際には、ほとんどの物は書かれた後に魔法で設定した領域以外に干渉されないように封じ込められてて、白紙のものは開発者にのみ手に入れられる、一般の者からしてみたらとても珍しい物なんだ、まさか、本屋で埋れていたとは、相当古い物っぽいけど、どこから出て来たんだろう・・・?」
 そんなのは、俺達にはわからないんだが・・・
 「ま、考えてもしょうがないか・・・あ!そうだ!、」再びアクリスが、ほんの少しだけ振り返る「カンテーラ、ウィルピー」
 「ん?なんだ?」
 「何でしょう?」
 「君達、裁定の剣、ちょっとでも見えた?宙を飛んでたようだけど、僕はこの身長だからね、全然見えなかったんだ・・・」
 そういや、俺も、恐らく兎白、鼓動、四葉も剣を欠片も見てないに違いない・・・
 「そうだな・・・何か、シンプルな鋼だけの剣が、なんか、本に突き刺さってたような・・・」
 「ですね、私もそう見えましたよ」
 「本に・・・?」
 「岩とかじゃなく本にか?」
 「岩とか地面とかはそういうのよくあるよな、そういう絵面は・・・」
 「湖の妖精からっていう伝説もあるよね」
 「ああ・・・聞いたことあるような無いような・・・」
 「そういう伝説は初耳だけど、でも、本か・・・剣は本物だった?」
 「さぁ、あの距離じゃどうにも、そもそも剣自体見たことないしな・・・」
 「私は・・・人がいっぱいいて気配が紛れて判別しきれないって感じでしたね・・・」
 「え・・・?」四葉がすかさずに横を行くウィルピーの方も向く「ウィルピー、あなた・・・わかるの?」
 対し、ウィルピーも四葉の方に向き直る「あくまで勘ですよ四葉さん、確定は出来ません、でも、本物の裁定の剣なら、すごい力が秘められてると思うんです」
 さすがに、鍛冶屋とか言われてるだけあるな、ある程度なら勘でわかるのか・・・?
 「ふむ・・・さすがに真贋はわからない・・・か・・・」
 ん?アクリス?なんだ、目を伏せて右手口に当てて考え込んだりして・・・
 が、すぐに三度俺達の方にほんの少し向き
 「ありがとう、カンテーラ、ウィルピー」
 「どうも」
 「いえいえ」
 ?・・・何だったんだ・・・?
 「他に、何か聞きたいことあるかな?」
  あ・・・それなら・・・あれも聞いてみるか・・・
 「俺達さ、魔が何なのかについて調べたいんだけど?」
 「魔って・・・魔族の事?魔法の事?それとも魔道具の事かな?」
 「どれかって言えば魔道具の事かな・・・?」
 「ああ・・・ごめん、旅の間に聞きかじりしたことが多くて、マジックブックは旅の中で見たことあったから反応出来たけど、詳しくないことも多いんだ、それなら、魔道士に訊けばいいんじゃないかな?」
 「魔道士?」
 「魔法を使う存在の事さ、人間なら魔道具が無いと魔法を使えないから、自然と魔道具の事について詳しくなるんじゃないかな?」
 確かに魔法があるなら、魔道士って呼ばれるような人間がいても不思議じゃないが・・・
 「この街にいるのかよ?」
 「いるけど、基本的に一般人は会えないんじゃないかな・・・」
 「じゃ、どうしろと・・・?」
 「正式な魔道士には中々会えないけど、隠れ魔道士なら・・・」
 「隠れ魔道士なんてどうやって探すんだよ、隠れてんだろ?」
 「一般人の中に出自を隠して生活してるものが大半だって聞いたよ、だからさ、カンテーラ、ウィルピー、君達幽霊族だろ?」
 「なるほど・・・」
 「そういうことですか・・・」
 俺達はそうやって、街の中を歩いて色々回り始まる、
 東奔西走、と、まではいかないまでも、
 「いないな~いないな~」
 と、中心部と思われる場所を歩き回っていく・・・
 も、日が暮れ始め・・・
 「どこにいんだよ・・・」
 「つかれたぜ・・・」
 「だよね・・・」
 「もうそろそろ宿でも探さない?」
 「そうだね、この辺りには・・・」
 と、今後の相談が始まる中、大通りの向こうの方で、右手の絨毯商店に並べられた宝石のアクセサリをしゃがんで見ていた女性が立ち上がり、こちらを向いて歩き出し、すぐに立ち止まる、
 相対するように一瞬にして俺達も立ち止まり静止する・・・あれだ、そう、どっちが道を譲ればいいのかわからなくなる、あの感じに似てる、
 女性は、黒い布を頭からかぶり、口元まで隠し、対して下は分厚い白い服に覆われ、腰にはベルト代わりの腰ひもを巻いているような格好をして、
 目元から唯一見える体の一部は、少し日焼けした肌に黒茶色の妖艶な細長い瞳、
 だが、そんなことどうでもいい、この女性は、この女性は・・・
 「それじゃ、僕達がどこ」う
 「おっぱいだぁあああ~!!」
 何かを言いかけたアクリスの前を飛び出し飛びこんでいく俺!!
 が、足に何かが当たってけつまづいた!!思わず胴が地面に当たる俺!!
 痛って!何だってんだよ!
 足元を見ると黒い影の石のようなものが見え・・・てないな、ただの小石か、俺の影で黒いように見えただけだ
 思わず立ち上がり
 「何やってんのよあんたは・・・」
 四葉の冷ややかな視線の制裁を受ける
 「あの、私はこれで・・・」
 「待った」
 と、去ろうとする女性に対し、今度はカンテーラが静止に入る、
 その女性がゆっくりとカンテーラの方を見る
 「あんたから魔の気配を感じる」
 魔の気配・・・?
 女性の目が少し見開かれる
 「あんた・・・魔の道具を持ってるだろ?」
 魔の道具!?
 「え・・・ええまぁ、」するとなぜか、女性は視線を逸らし出し「あんまりおおっぴらに話せることじゃ、無いんだけど・・・父の形見で・・・ね・・・」
 父の形見?だが・・・
 「なぁ、魔の道具って、教会が禁止してるんじゃ・・・」
 「そりゃ、シスターや神父は教会への無許可での持ち込みは禁止されてるわ」
 「じゃあなんで?」
 「あくまで、シスターや神父はってだけの話よ、一般庶民は禁止されてないわ、余程信仰が強い地域から来たのかしら?」
 「まぁ、信仰が強いっちゃ・・・」
 「強いかな・・・」
 「女神様の神殿がある方角だし・・・」
 「ここよりは強いわよね、少なくとも・・・」
 「そう・・・」
 「そういえばさ、魔の道具について詳しい?」
 「え、ええ、まあ、ほんの少しは・・・」
 「そりゃあ、詳しいだろうさ、魔のにおいが染みついてるしな・・・」
 「ですねぇ、日常的に使ってる感じがします」
 「え、えぇぇ、まぁ、いろいろ便利だからね、」
 「じゃ、口止代わりに話してもらおう」
 「はぁ、しょうがないわね・・・じゃあ、あなた達が行こうとしていた方に行きながら話しましょうか、私も適当に歩いていただけだしね」
 そういって、俺達の先を突いて歩き出す女性
 まずは俺が質問をぶつけてみる、
 「なぁ、魔の道具って言ってもさ、具体的にどんなことができるんだよ?」
 「応用次第で色々・・・火の玉を出すとか基本的な事から、身体能力を高めたりとか・・・これに関して言うなら、出来ないことを言った方が早いかしら・・・」
 「出来ないこと?」
 「例えば、火の玉を出すとかは出来るけど、辺り一面焼け野原にしたりとか、所持魔力以上の大きなエネルギーがいるようなこと、それから、死者を生き返らせたり、時をさかのぼったり、命を創造したり、神の領域に達する様な事かしら・・・」
 「それ以外は出来るのか?」
 「まぁ、極端ではない限りね・・・」
 「例えばさ、若返ったりとかは?」
 四葉が唐突に割り込んでくる、そういえば、あのリビエーラってやつ、老人が若返ったとかなんとかこいつら言ってたっけ・・・
 「ううん、中年期以上で2、3歳若返るぐらいなら簡単に出来るんじゃないかしら?ただ、健康に気を使ってるのと同じような感じだし、魔法に集中力を削がれたりして、あまり、実用的でないことが多いのよね・・・」
 「老人が子供になるくらいは?例えば、私より少し若いくらいとか・・・」
 「そこまで行くととてつもない魔力がいるし、体への負担も大きいわね、年齢にもよるけど、一日生きてられるのが限界とかじゃないかしら?少しづつ手順を踏んだとしても・・・ううん、現実的じゃないわ・・・」
 「あの人、大丈夫かしら・・・」
 確かに、一日持つか否かだとか言われると、確かに心配にはなる、
 「機会があったら会いに行けばいいじゃん、行ければの話だけど・・・」
 「そうね、教皇庁に行ったらしいし、機会があれば生死ぐらいは確認しときたいわ・・・」
 「じゃあ次俺、」兎白が声を上げる、振り返ると発声と同時だろうか右手も上げていたがすぐに下げた「魔の道具ってどんな種類があるんだ?」
 「まぁ、色々よ、自己である程度周囲の気を吸収したりして魔力を発生させるものや、そういった能力がない代わりに大量の魔力を溜めこめるもの」
 「へぇ~」
 「他にも使用時に特定の属性を強化する物や特定の使いかたのみに特化したもの等、上げ始めるときりがないわね・・・」
 「おねぇさんの持ってる物は?」
 「私の?私のは魔力を少量ずつ生産できるバランス型といったところかしら、父さんの使い方の影響か、攻撃魔法に少し偏りがちだけどね、ほら」
 そう言って、まわりに見えないようにわきの下辺りにそれを出してくれた、
 紫の平たい布の先に同じ紫の小さな宝玉が付いている、間には布をまとめ一点に収束して宝玉の上少しを覆って繋ぐ金の繋ぎが付けられていた
 「狙われるといけないから、あまり見せられないけどね・・・」
 「じゃあ次僕!」今度は鼓動だ、やっぱり右手を上げてたがすぐに下げた「なんか、魔法の道具って珍しい感じがするけど、実際に今までで3つしか見てないし、ここに来る道中でも見たことないし、どれくらい珍しい物なの?」
 「そうね、私の知る限りこっちがわ、と、人間の世界の方では、かなり珍しい物よ、というより、一般にはほとんど供給されてない、と言ったほうが正しいかしら?」
 「どういうこと?」
 「魔法の道具がまず一番に供給される場所、どこか知ってる?」
 「え・・・どこ?」
 「魔族と人間の境界線上の軍隊よ、魔族に対抗するために、ね」
 「あ・・・」
 「だから、魔族の世界ではありふれていたとしても、人間の世界では貴重なの、一般庶民じゃなかなか手に入らない、それこそ、貴重な宝石のようにね、魔導都市とか言われてるけど、ここでも、魔法の道具はそう簡単には手に入らないのよ」
 「へぇ・・・」
 「手に入るとしたら、そうね、」女性が顔を一瞬だけ上げて思考を逡巡させすぐ元に戻った「各国の王族や金に物を言わせた金持ち、ぐらいかしら、だからおおっぴらに魔法使いだなんて言えないの、そんなの言えるのは境界線の前線に勤務してる兵士か、現実を知らない金持ちかぐらいよ、前線に徴用させられちゃうかもしれないから・・・」
 「なんか、悪いことしちゃったかな?その道具を持ってるっていわせちゃって・・・」
 「そう、だから、秘密にしておいてね、あまりもめごとは起こしたくないの・・・」
 「はーい」
 「じゃ、続けて俺いいか?」
 と今度はカンテーラか・・・
 不意にカンテーラが真剣な目つきになる
 「魔の道具とは一体何だ、一体何からできていて、一体何処から供給されてる?魔や魔族との具体的な関連性は一体何だ・・・?」
 「・・・」
 
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