バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/11

 
到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/11
 

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宮殿-4
 
 「急ぐぞ」
 「忙しいなもう・・・」
 階段を上がったばかりの廊下を右手に俺達は走り出す・・・高階層になってきたせいか、夜風の音が涼しく耳元で響く気がする・・・
 「そうなんですのよ、もう卵も産んでねぇ、余生をここで雇っていただき本当に助かりましたわ」
 なんだ?背後から声・・・?
 壁際のT字路を右に曲がりながらチラリと振り返ると、一階にいた革と金属パーツの装備をした二人の兵士と、その間に挟まれる空飛ぶ昆虫がいた、
 大きく白い透明な羽に長く硬質な肢体と六足、
 羽と複眼以外は茶色が主体だが、長く伸びる複数の長い紙状の尾が優雅さを演出している・・・
 「しかし、余生って言ったって、そんなに時間あるんですか?」
 「どうしても、あのお菓子食べたかったんですのよ、でもですね、予想以上に高くてお金足りなくって」
 「ああ・・・それは大変ですねぇ・・・」
 「甥の様子も見れたし、後はという状況で人生設計狂ってしまいましたわ、あれを食べれなかったら死んでも死にきれません!!」
 「ははは・・・そうですか・・・」
 後ろから聞こえる三つの声も無視して、俺達は先へ先へと走って行き少しの上り坂を走る、雲が多くなってきたのか時々暗くなる、どうやら、見つかってないようだけど、このまま逃げなかったらどの道見つかるに違いない・・・
 って、上り坂・・・?
 おかしい、一階にも二階にもこんなものなかったのに、三階から急になんでこんなものが・・・?天井は平たんなままの上の階層に通じることも無い短い上り坂・・・
 「・・・!気配が・・・?」
 俺の側を走るカンテーラが突如足を止め、俺達もつられて止まる
 「カンテーラ、どうした!?」
 「まずいです、気配が完全に消えてました、でも、なんか変なような・・・」
 「殺気どころか緊張感の欠片も見えないぞこれ、まさか・・・おい!前の方に平たい部分が見えるな!?」
 確かに、先の方の上り坂の一番上に窓から月の光が来てる左と前後に分かれてる場所があり、そこが青、橙、青との四角が重なったような模様の平たい踊り場のようになっている、
 そこから三方向に下り坂が通っているという感じだ・・・
 「全員、あの部分は踏まないように飛べ、いいな!」
 「え・・・?」
 「は・・・?」
 「へ・・・?」
 「えぇ・・・」
 俺達が疑問符と呆れた声を出す中で、カンテーラがふよふよと飛行し平たい部分の上を通過する!
 ・・・飛べる奴はいいよなぁ・・・
 って、言ってる場合じゃないか!
 皆が助走を着ける!
 「ていっ!」
 「たあっ!」
 「やあっ!」
 「とぉい!!」
 そして、俺達三人、一気に飛び越え着地し
 「う、わわわ!」
 が、四葉がバランスを崩して後ろの方に倒れて行く
 「危ない!」
 思わず右手でその手を掴んで、こちらに引っ張り込む
 「あ・・・ありがと・・・」
 柄にもないことを言う四葉
 俺は少し気を紛らわせるために少し冷静に話しだす
 「・・・で、この不自然な廊下は一体なんだよ・・・」
 「少し開けてみるか・・・」
 すると、カンテーラが少し、踊り場の端の部分を押す、
 ・・・床に中央に斜めから交差したかのように手前側のみ三角形切れ目ができその部分が少し下に動き、中が見えた・・・
 そこには一面に蟻地獄のように敷かれた砂と、ペンチの頭のような何かが突き出ていた・・・
 「スナザイガだ」
 「ダブモン?」
 「そうだ」
 うへぇ・・・あんなのに落ちたら足を砕かれるぜ・・・
 しかし、ペンチの付け根にあるであろう黒い両複眼は、なんとなくつぶっている感じが・・・
 「多分、寝ているんだろう、寝てなかったら、上に来ただけで気配を察知される、寝ていたから、俺達も気付くのが遅れた・・・」
 なるほど・・・
 「さ、先に進むぞ、前階も階段同士はある程度離れていたからな、たぶんこの辺りだと思うんだが・・・」
 言って、注意深く探りながら先へとゆっくり歩き、右手に曲がった曲がり角の先、ある程度行った奥左手の壁に階段を発見する、
 が、そこには先ほどの虫型ダブモンと同じ服の兵士たちがいた、
 同じ奴ら・・・にしては速すぎるな、あの昆虫の羽音も少し違う気がするし、一瞬しか見なかったが兵士たちの顔も違うように見える、他の巡回チームだろうか・・・?
 そういえば、さっきの奴らは・・・と、後ろを見ると、俺達が曲がった階下への階段に通じる曲がり角をこっちの方に曲がろうとしてるか・・・!?
 まずい!このままだと確実に挟み撃ちだ!遠くにいるうちに何か対策を・・・
 と、外を見ると、もう少しで月に雲がかかり暗くなりそうだが・・・
 何かいいアイデアは・・・そうだ、さっきのペンチ!
 「なぁ、みんな・・・」
 俺の言葉に月が雲にかかった瞬間、全員急いで落とし穴の方に戻り、穴を開けてあわててスナザイガを上に乗せ、そこで砂を掘り返しひっかぶる!
 砂の量は思ったより多く余裕だが、サイズの方はギリギリだ・・・
 「最後はウィルピーに」
 四葉の指示にウィルピーに上から確認してもらい、最後にそのウィルピーが砂かぶって俺達と一緒に隠れる
 「あら・・・ここ、こんなに砂が多かったかしら・・・?」
 さっきの曲がり角曲がってきた方の虫型ダブモンの声!?覗き込んでいるのか!?頼む・・・気づかないでくれ!!
 
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