月夜と私の過去と光の城 ダブモン!!4話24
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・・・
「で、結局今日は野宿なわけ?」
「仕方無いだろ、街も村も見つからなかったんだから・・・」
「ま、あの城程ぜいたくは言えないけどさ」
「食料、ちゃんともらってきたから問題無し」
「ちゃっちゃと焚き木も集まったし、火ぃつけるぞ」
「天候も良好、雨とか降りそうにないですよ」
「これで雨降ったら野宿どころの騒ぎじゃないっつーの」
気が付くと元に戻っていたウィルピー、半蜥蜴人半人状態の時の記憶はなかったが・・・に私は愚痴をこぼし、その間にも前の野宿と同様の森の中の道の少し膨らんだ場所にいる私達の輪の中心の焚き木に、カンテーラが火が灯す、
「そういえば聞いたかよ?」
「何が?」
「商人たちが話してたんだ」
「俺達で前の街があったところに街をもう一度作ろうぜ!!」
「そうだ、この城があればできるはずだ!!」
「ってな」
「出来るといいわね、色々大変そうだけど、もしかしたら、こうして野宿をする回数も減るかもしれないし」
たわいのない三人とのおしゃべりの間にも、三人は料理の準備を進めようと袋を広げる
「ねぇちょっと」
「ん?」
袋を開けている良星が私の方を見る
「今日は私も手伝うわよ、その為の刃物だってあるんだし、前に教えるって言ったじゃない」
「そうだな・・・じゃ、トマト切ってもらおっか、その後、他のやつも順次やってってもらおう」
あ、少し思い出したことがあり、袋から道具を取り出す良星に問いかける
「・・・そういえば、玉座の間で何やってたの?」
「いろいろ聞きこんでたんだよ、月光を窓から見て黄昏てたシロドウケとか見つけてさ、ま、あんなんで事情聴こうとしても何も言ってこなかったんだけど」
そういえば、こいつにも色々迷惑かけたわね、でも、なんか、音楽に何か言いたげな所があるし、歌語理さんの事も黙っててくれたし、何より、真正面から私に文句を・・・
等と考えている間にも、当人がいきなりトマトを手渡してきて・・・不意に良星の手が触れる
「・・・どうした・・・?」
「別に・・・」
「そ」
良星がその手を離す
・・・一瞬心がざわめいたのは手が触れてしまった不快感からか・・・
なぜか渡されたトマトを見つめ
「四葉さん?」
「ああうん、やるやる」
少しぼおっとしたようだ、
「大丈夫ですか四葉さん?」
「無理しなくていいぞ~」
「このぐらい大丈夫よ、こいつらに後れを取るわけにはいかないもの」
三人が準備を進める中で、ダブモン二体の言葉に思わず息まき返事を返す、
そして、あれよあれよという間に、私は、まな板とナイフを用意し、トマトをまな板の上に置き、
トマトをグーの手で押さえ、ナイフを上に持って行く
「猫の手だぞ」
「そ~っと、そ~っと」
「手を震わせないで」
「わかってるわよ、すーはー、ていっ!」
ストン!
景気のいい音を立て、トマトが半分に切れる、幸い、私は怪我することなく・・・
・・・こうして、私達は糧を料理へと変え、明日へ進んで行くのだった・・・
「それじゃ、次四等分に」
「サラダに盛り付けるんだから、もう二個切ってくれよ」
「僕達が見守ってるからね」
「わかったから、」
慌てずゆっくり、トマトを回して指示通りに四等分にし、切ったトマトをどけてナイフを脇に置き、新しいトマトを手に取る
「さぁ、調理を続けるわよ!!」
ダブモン四話 月夜と私の過去と光の城 おわり
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