月夜と私の過去と光の城 ダブモン!!4話19
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場のモンスターが互いに全滅、また振り出しか・・・
ああ、もう、向こうが不利だからってのはわかるけど、わかるけど!!
そこにウィルピーが降ってくる
「ウィルピー、行ける?」
ウィルピーが気を持ち直すがごとくに大きく顔を振り、こちらに向く
「どうにか行けるですよ」
チラリと手札を見る
「おっし、次は憑依しないで、力温存、大丈夫、役目は振るから、城破壊になるかもしれないけどね・・・」
「了解したです」
了承を示すように気前よく手を握って親指を立ててくる
にしても・・・
フードの奴の周りを見てもやっぱり誰もいない・・・どういうこと、あの力の放出は、一体何だったの?
「来るぞ!!」
「奴の気配だ・・・!」
不意の中央階段からの良星とカンテーラの声、次の瞬間どこかから周りを包むようにから噴き出した白い煙、
「四葉さん!!」
慌てたようなウィルピーの声、だが、私は冷静だ
「進めろって言ってる気がするわね、いいわ、それなら、この城ぶっ潰してでも先に進んでやる」
こうなりゃ、一気に追い詰める・・・!
「リチャージ!!」チャージゾーンのカードを裏に返すが一向に向こうからのリアクションは無し、それなら、勝手に山札からカードを引いて進めさせてもらう「なら・・・ドロー!!」
こいつか・・・チャージゾーンに置いて・・・手札も1番に・・・
「セット!」
まだリアクション無し、進める!!
「オープン!!クワガリン!!」
「ダブモンNo.65、鋏精の間諜、クワガリン!!」
上から降ってきて着地したのは、青い忍び衣型の鎧をまとった忍者のような小さき妖精、
両腰に鎧で強化したような青い二振りの護り手付き刀を差し、目出し頭巾型鎧からは暗い中でその目のみを覗かせ、背中に二対の透明な楕円の虫羽を持つ、
すると、煙の中から黒い影が蠢き立ち上がる、
煙が晴れた時、そこには一体の黒い道化師が立っていた、
頭を覆う、下を向いた短い角の付いた頭の頭巾、黒で四角い目と半円口を無表情に作られた白基盤の仮面、
そして、全身を覆うマントを大きく開くと、両つま先が上尖った黒い全身タイツにマントの半円型首掛けに白い両の手袋、右手に金と角々の緑宝石の錫杖を持っているのがあらわになった
「ダブモンNo.143、城反の道化師、シロドウケ!!」
白なのに黒いけどね・・・っていうか、
「さっきの奴じゃなくて、あんたがここの城主ってわけ?」
シロドウケは首を横に振って、否定の意を示す、
「そんなはずは・・・」
「謁見の間にはあいつしか居なかったぞ!?」
「あいつが城主じゃないのか?」
「でも当人は否定してるよ、じゃあ、城主は誰・・・?」
カンテーラの声に三バカがそれぞれ反応する、
謁見の間・・・?あいつら城を探索してるうちにそんなとこまで行ってたの?
でも、別に玉座に座ってたとかそういう風な感じでもないみたい、どういうことだろ・・・?
「ウィルピー、わかる?」思わず前を飛ぶウィルピーに問いかける
「いえ、私にはさっぱり・・・向こうは自分は城主じゃないって発言の一点張りですよ、ここ、ダブモンの巣と化してるんですけどね・・・他に強いダブモンの気配とか無いですけど・・・」
「事情は話しそう?」
「そんな様子じゃないですね、ここを預かった以上、治療が必要なあなた達を返すわけにはいかないとか、そういう感じです」
それも勘違いなんだけどなぁ・・・
う~ん、考えたってわかんない、とにかく、話すつもりもなさそうだし、
倒してから事情を聴く!!
と、私が三枚のカードを前に出すと、向こうの板で四枚のカードが表になってきた、
ほこり落としエレメンツ!!、植物の実弾きエレメント!!、メイドセイケツエレメンツ!!、デフォリティアエレメンツか・・・よし、
「私は、鋏精の間諜、クワガリンのコストにシャインシールド・アルファ、ウィルピーキラメント、元光の業を指定し、相殺にウィルピーキラメントを指定し、元光の業を2番に設置する」
と、向こうのシロドウケから煙が・・・あれは、オープン後効果!?
その間にも、クワガリンがシロドウケに向かって走り、その剣を両手に取り、跳躍、振り下ろす、
シロドウケがこれを杖で受ける、飛び散る火花、弾き合う両者、
やっぱり、パワー足りてないか・・・じゃ、これで・・・
「私は、シ鋏精の間諜 クワガリンの効果を発動!!シロドウケのパワーを800下げ、これで同点!」
この後の向こうの出方次第で、続けてのカードでパワーを逆転してやる・・・!
クワガリンが跳び、上の方で剣の柄の方を合わせて弓とし、光の弦と矢を形成、思い切り引いて撃ち出す!!
が、シロドウケは両手両足をおどけたように大きく出し、
脇腹のあたりをマントを貫通して飛び、床に着弾、しかし、痛がってる様子もない、
微妙に体の位置をずらして身体へのダメージを避けたか・・・
しかし、ここで合わせるようにクワガリンが真上に矢を放ち、天井に当て、
避けられて床に当たった矢とそれに合わせるように天井に放った矢が、大きく光をまき散らし消滅する、
辺りが一瞬白くなり、光が消えた時、クワガリンがいなくなっていた、
どこに・・・?そう思った時、不意にシロドウケが杖を右脇から背中の方に
ガキン!!
その先から何かがぶつかる音が聞こえ、よくシロドウケの後ろを見ると、
クワガリンがその剣で斬りかかり、杖に阻止されたところが見えた、
さらに、板の上でカードが一枚表になっているのが見える、画面には相殺って出てる・・・
相殺された!?でも、こっちは通るはず!右手を前に出し宣言!
「私は、元光のそらの効果を発動!シャインプラウオンエレメント!!とシャインエレメンタルパワーを表にし、クワガリンのパワーを1000アップする!」
突然、床に描かれた陣が光を放ち、放たれた光が収束して球となり、上の方よりクワガリンに放物線を描いて向かい一体化、光を受けたクワガリンが剣で杖を弾いて引き、その鎧が分離、中身をあらわにする、
そこにいたのは、銀虹の光を放つ長い髪と一対の羽を持ち、メタリックブルーのワンピース水着のような衣装を着た、
青百合の華を頭に差した、快活な印象を受ける妖精である、
さらに、両手から剣を離し、分離した鎧ごと一体化、頭に剣の大あご持つ青いクワガタへと変わる!
その上に乗り、両手で鎧の頭を抱え、右拳など振り上げ楽しそうに一気に突進するクワガリン!
その速度の空気圧で攻撃を察したか、あわてて左手に避けるシロドウケだが、思い切り周り飛んでの再度の突進攻撃、だが、これもあえなく元の場所に戻るように避けされ、気合を込めたのか速度を上げての三度目の突進は当たるかと思われたが避けつつの杖の受け流しで火花出しながらおしくも避けられた、
そこでクワガリンが一気に上に飛んで、
クワガタ鎧の左側足を掴んで、まるで斧のように鋏を下にし振り降ろしていく!!
これも杖で受ける、シロドウケ、しかし、大あごにより、杖が断ち切られた!
が、シロドウケが白い煙をだし、姿をくらました、
またこの手か!?
今度の煙はシロドウケが供給しているのか、一向に晴れる気配が無い、
クワガリンが姿勢を戻し上に飛んで見回すが、見当たらないようだ、顔を左右に振って探し回っている、
と、クワガリンが意を決したような表情を見せ、
頭にクワガタの鎧をかぶった!
身にまとったではない、かぶったのだ、頭が見えなくなるぐらい、髪も自動で収納され、おかげで、首から下は妖精だが、首から上は青いクワガタという一種異様な存在へと変わり、雄たけびを上げるように両手両足を狂気的に広げ上げ、ガチガチと大あごを動かす、
そして、体をだらりと下げる中でいきなりクワガタの目が赤く光り、白い煙を切り裂きながら地上に飛び、
シロドウケのマントにその大あごをかすらせた!?
慌てて下がる見えなかったはずのシロドウケにまるでクワガタかの様に両手両足を地に這わせ、
一気に飛びかかる!
避けようとするもあえなく囚われたシロドウケを、そのまま胴をくわえて勢いよく宙に飛び、天井に叩きつけた!!
天井から落ち始めるシロドウケ、
よし、今よ、追撃!!
「私は、元光の業の戦闘直前効果により、クワガタリンを2番に移動」
「戦闘直前効果?」「って」「何・・・?」
やっぱりあの三バカは知らなかった・・・
「戦闘直前効果は戦闘前と戦闘の間にあるタイミング、そして、自動効果でもある、自動効果は概と発が揃っていれば勝手に発動してしまうけど、その代り、任意効果で相殺されない、相殺出来るのは自動効果だけよ、そして、これを持つ元光の業はインヴォーク、インヴォークはジェイルと同じく設置するカードだけど、そこにあるパワーは互いのモンスターとオーバー両方が受ける、
「でもそれじゃ、パワーに差は出ないんじゃ・・・」
「パワー差が出なくても展開できる戦術はあるわ、パワー0以下の時にトラッシュに送る効果が発動しやすくなったりしづらくなったりするの、それに、自動効果が発動出来るから、効果の発動も格段にしやすいわ、わかった!?」
「わーったよ」「わかりました」「なんとなくだけど」
まったく・・・さて!
「ウィルピー、出番!!」
「了解しました」
ウィルピーがクワガタリンの上に乗って飛んで行ってハンマーとペンチを、宙を落ちていたシロドウケに叩き付け大地に沈める!!
っつ、画面に無機調整ほこり壁ってカードが・・・
気が付くと、叩きつけられたはずのシロドウケがゆらりと立ち上がり、仮面から赤い眼光を放つ!!
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